チュニジア チュニジア

独特の辛味調味料「ハリッサ」やオリーブ油を使い、素材のおいしさを上手に引き出した素朴な味わいが魅力。

チュニジアの食文化 チュニジアの食文化

アフリカ大陸の北に位置するチュニジア。モロッコ、アルジェリアと共にマグレブ三国(マグレブとは日の沈む西方の地の意)と呼ばれています。国土面積は日本の約2/5という小国ながら、海、山、砂漠、緑豊かな平原などの美しく多様な自然景観や、多くの世界遺産を有する観光国です。ことに地中海をのぞむ沿岸部では、白壁にチュニジアンブルーと呼ばれる青色の扉や窓枠が鮮やかに映える家並みが、旅行者をひきつけます。かつて「ローマの穀倉地帯」と呼ばれたチュニジアは、小麦、大麦、ライ麦などの穀類、牛や羊などの肉類、トマト、オリーブ、ぶどう、デーツなどの農作物が豊富に生産され、沿岸部ではイワシ、タイ、エビ、イカなどの海産物にも恵まれており、独特の食文化も魅力の1つです。

中でも国を代表する料理「クスクス」は、とてもユニーク。マグレブ地域が起源とされており、2020年にはユネスコ無形文化遺産にも登録されました。「クスクス」はザラザラとした小さな粒状のパスタで、その作り方は、非常に手が込んでいます。あらびきのデュラム小麦に水を加え、小麦粉を薄くまぶしながら手でもんで細かい粒状にしたものが生パスタで、これを乾燥させて蒸して再度乾燥させると、長期保存用となります。保存用は火が通っているので、湯をかけたり蒸らすだけで食べられ、市販品も売られています。
調理には専用の二段重ねの鍋を使い、上段にクスクスを入れ、下段では羊肉や鶏肉、魚、野菜、ひよこ豆などを使ったシチューを作ります。上段の底に穴が開いており、下段から立ち上る蒸気でクスクスが蒸される仕組みです。蒸し上がったクスクスにシチューの汁けを混ぜ、具をのせれば完成。粒状のパスタ素材も、料理名も、どちらも「クスクス」と呼ばれますが、地域により、それぞれ様々なバリエーションがあるようです。

また、チュニジアの食卓に欠かせない独特の辛味調味料が「ハリッサ」です。「クスクス」をはじめ、チュニジア料理にはなくてはならない調味料で、日本のしょうゆやみそのような存在です。とうがらし、オリーブ油、にんにく、スパイス等で作られ、ピリッとした辛味だけではなく、香りや味わいが深く、料理にこくとうま味をプラスします。パンに直接塗って食べたり、料理の味つけにもよく使われます。

チュニジアの人々は総じて穏やかで明るく、旅人にも親切なのだとか。素晴らしい景観や歴史的遺産など、小国ながら多くの観光資源に恵まれたチュニジアは、食文化や人情味においても、訪れた旅行者を魅了しています。

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