モンゴル モンゴル

遊牧民の伝統料理「チャンサンマハ」など、シンプルで豪快な肉料理をご紹介します。

モンゴルの食文化 モンゴルの食文化

ユーラシア大陸の西部に位置し、北はロシア、南は中国に囲まれた国、モンゴル。日本の約4倍もの国土をもち、その多くを牧草地が占める草原の国です。
かつて、チンギス・ハーンとその子孫によってアジア・ヨーロッパまで勢力を拡大していた歴史的背景から、モンゴル民族はモンゴル高原を中心に、内陸ユーラシアの広範囲に分散し、遊牧生活を送ってきました。 伝統的な遊牧民の暮らしは、羊、山羊、馬、牛、駱駝の「五畜」を飼い、「ゲル」と呼ばれる移動式住居に住み、季節に応じて草や水を求め移動しながら営むものでした。

モンゴル人は、家畜の乳を加工した多彩な乳製品類を「白食」、家畜を屠って得た肉類を「赤食」と呼び、これら2種の食品で長い間暮らしてきました。
地を耕し定住することのない遊牧生活では、大地から生える植物はすべて家畜たちの食べものと考えられ、人は野菜や果実を食べることはほとんどありませんでした。家畜の餌となる草が豊かに萌え始める夏には乳が多く採れるため、「スーテイツァイ(乳茶)※」や「アイラグ(馬乳酒)※」、さまざまなチーズ類、ヨーグルト類などの「白食」を主食とします。秋には羊を中心とした家畜を巧みにさばき余すところなく加工し、家畜が痩せる冬には秋から作った肉の保存食の「赤食」を食べつなぐのです。偏った食生活のわりに生活習慣病にかかる人の割合が少なかったのは、彼らが常食とする乳発酵食品の乳酸菌の健康効果によるものとも言われています。

しかし近年は、1990年代初頭の民主主義体制への移行や、数年ごとに起こる深刻な雪害、草原の砂漠化などの影響で、遊牧生活をやめ、首都ウランバートルへ定住する人が急増しました。定住化により、食生活の環境も変化し、生活習慣病の増加も懸念されています。遊牧民族特有の伝統的食文化がどのように変化していくのか、今後の行方が気になるところです。

※「スーテイツァイ(乳茶)」・・・お茶に乳を加え、塩で味つけしたモンゴル版ミルクティー。
※「アイラグ(馬乳酒)」・・・馬乳を発酵させた飲料でアルコール度は1~3%。大人だけでなく子どもも飲む。

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