フィンランド フィンランド

伝統的なライ麦のパイ「カルヤラン・ピーラッカ」や、クリスマス料理などをご紹介。

フィンランドの食文化 フィンランドの食文化

「森と湖の国」と呼ばれる北欧の国、フィンランド。国土の70%近くは森林に覆われ、約10%が湖と言われ、夏には日が沈まない白夜が、冬は天空にオーロラが見えることもある厳しい寒さが訪れます。自然豊かなフィンランドでは、大自然の恵みをだれでも自由に享受することができる「自然享受権」が認められており、人々のライフスタイルの重要なベースになっています。

古くから人々は森に入り、野生の植物を採取し、魚釣りや狩猟をし、厳しい冬に備えて保存食を蓄えました。現代でも週末や長いバカンス期間には、森のコテージに移動し、ゆったりと過ごし、夏はベリーを摘んでジャムやジュースにし、秋にはきのこ狩りを楽しみ、釣りや狩猟なども行います。
フィンランド料理は、素材の味を生かしたシンプルな調理が基本。主な味つけは塩、こしょう程度で、他は乳製品やハーブ、ベリーなどを使いながら素材の味を引き立て、余計なものはあまり加えません。調理法も、煮込むだけ、オーブンで焼くだけなど、あまり手の込んだことはしません。主食はじゃがいも、もしくはライ麦や全粒粉でできたパンが一般的ですが、ライ麦などのおかゆも食べられます。人気の「カルヤラン・ピーラッカ(カレリアパイ)」は、なんとお米で作ったミルクがゆをライ麦の生地で包んで焼いたもの。われわれ日本人には驚きのお米の食べ方ですが、朝食や軽食として親しまれています。

また、サンタクロースが暮らすことで知られるフィンランドでは、クリスマスは人々にとって特別なシーズン。12月になるとクリスマス用のお菓子やパンが一斉に焼かれはじめ、町は鮮やかに飾りつけられます。クリスマス当日の食卓には、ニシンの塩漬け、ビーツのサラダ(ロソッリ)、メインには大きな豚のハム、デザートにシナモンとドライフルーツの入った甘いミルクがゆ、ジンジャークッキー(ピパルカック)など、定番料理が並び、スパイス風味の温かいワイン(グロッギ)を飲んで体を温めます。クリスマスにさまざまな料理が食べられるのは、1年の収穫に感謝しお祝いする収穫祭の名残によるものだそうです。

大自然の恵みをもたらし、安らぎを与えてくれる森や湖は、フィンランドの人々にとって、とても身近で、そしてとても大切な存在です。自然の中で培ってきたその生活スタイルが、食材の質への意識を高め、素朴でシンプルなフィンランド料理の魅力を、いっそう際立たせているようです。

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