スペイン

シンプルな味つけでいて、素材の良さを引き出す魅惑のスペイン料理。
オリーブの豊かな香りが漂う、個性的な料理の数々。

スペインの料理

スペインの食文化

ヨーロッパ南西の端、イベリア半島の大部分を占めるスペインは、大西洋、地中海に面し、農・畜・水産物に恵まれた国です。15世紀にスペインとして統一されるまで、古代ギリシャ人、ローマ帝国、西ゴ―ト族、アラブ人よるイスラム支配など、さまざまな民族や文化の流入があったこと、またその気候風土の違いにより、地方ごとに特徴のある郷土料理が発達しました。カンタブリア海の魚貝類をふんだんに使うガリシア料理、山海の幸に恵まれ、美食の街として名高いバスク地方の料理、仔豚や仔羊などの肉料理で有名な内陸部のカスティーリャ料理、ヨーロッパ風に洗練されたカタルーニャ料理、米料理「パエージャ(パエーリャ)」で知られるバレンシア料理、真夏は暑く乾燥するため「ガスパチョ」などの冷製料理や揚げ物が多いアンダルシア料理など。「スペイン料理」という1つの枠でとらえるには困難なほど多彩です。

地方ごとに特色は違っても、料理の基本はたっぷりのオリーブ油とにんにくを使うこと。世界一の生産量を誇るオリーブ油は、炒める、煮る、揚げるなど調理に使われるのはもちろん、卓上に置いてサラダや焼き魚にかけたりと、スペイン人の食生活に欠かません。そして味つけはいくつかの香辛料やソース、塩だけといたってシンプル。香辛料ではパプリカパウダーが多用され、「ソフリト」と呼ばれるトマトソースは、味のベースとしてさまざまな料理に「だし」がわりに使われます。シンプルな味つけで、素材の味を生かしながら、料理としてのおいしさを引き出すのがスペイン料理の真骨頂。おいしい「トルティージャ(スパニッシュオムレツ)」を味わえばそれを実感できるでしょう。

また、スペインの食文化で何といっても特徴的なのは、食事の時間帯や回数です。1日の中で一番重きがおかれるのが昼食で、14時ころから時間をかけてゆっくりとフルコースの食事をいただきます。夕食は22時頃からスープやトルティージャ、ハムなどで簡単に済ませます。夕食が遅いため、朝はミルクコーヒーやホットチョコレートなどにパンやビスケット程度。そして朝昼夕の合間の11時や18時ごろに「バル(bar)」に立ち寄り、軽食やおやつを食べます。「バル」は喫茶、食堂兼大衆酒場のような店で、国中のどこにでもあります。「バル」ごとに看板料理になっている「タパス」(小皿料理、つまみ)があり、地域によっては、それを目当てに仲間と何軒もはしごをして楽しむことも。食事を楽しむだけでなく、ちょっとひと息いれたり、親しい人との交流の場でもある「バル」は、スペイン人の日常になくてはならない存在なのです。

シンプルな味つけながら、多様な広がりのある食文化を持つスペイン。家族や友人と楽しく語らいながら、大いに食べ、飲む。地方により料理の違いはあれ、そんなゆったりとした食事の時間を大切にする食スタイルはスペイン全土共通のようです。

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