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イオン交換膜法 大型食塩電解プロセス受注について

~当社史上過去最大級規模の受注~

2019年11月12日
旭化成株式会社

旭化成株式会社(本社:東京都千代田区、社長:小堀秀毅、以下「当社」)は、中国・陜西省神木に建設予定のイオン交換膜法食塩電解設備を受注し、設備供給契約書を締結いたしましたので、お知らせいたします。

当社が今回供給する食塩電解設備の規模は年産60万トンであり、過去最大級規模の受注となります。

1.契約の概要

(1)発注者
陜西金泰クロルアルカリ神木化工有限公司
(2)受注者
旭化成株式会社
(3)建設地
陜西省神木
(4)生産能力
年産60万トン(100%苛性ソーダベース)
(5)供給機器および仕様
イオン交換膜法食塩電解設備一式
ML32NCZ-Σ
(6)貨物出荷時期
2021年(予定)

2.旭化成の食塩電解プロセスの実績

イオン交換膜法食塩電解プロセスとは、当社が世界で初めて開発した、イオン交換膜を使用して食塩水を電気分解し、塩素、水素と苛性ソーダを生産するシステムです。このプロセスは、従来技術に比較して、水銀やアスベストなどの環境汚染物質を使用せず、電解電圧が低く、電力消費量が少ない技術であり、環境負荷の低減に貢献しています。

当社のイオン交換膜法食塩電解プロセスは1975年に販売を開始して以来、40年以上に亘る実績と優れた性能により、顧客から高い信頼を得ています。2019年10月現在、全世界で30か国、152工場で採用され、その累積受注量は3,000万トン(100%苛性ソーダベース)を超える世界のトップクラスのサプライヤーです。

これまでに、Dow、Olin、Shintech、Formosa Plastic、BASFといった世界有数の大手化学メーカーに採用いただいております。

3.中国での実績

経済発展著しい中国は、現在、苛性ソーダの世界最大の市場になっています。当社は、1986年に中国最初のイオン交換膜法電解プロセスを蘭州塩鍋峡でスタートさせて以来、数多くの受注を積み重ねています。2019年10月現在、信発集団、金嶺集団、新疆天業集団、万華集団といった大手化学メーカーを含め72工場で採用され、その累積受注量は1,500万トン(100%苛性ソーダベース)を超え、中国内でのトップシェアを誇っています。

4.当社の事業特長

当社のイオン交換膜法食塩電解プロセス事業には次の特長があります。

  • (1)当社はイオン交換膜と電解槽、陽極、陰極、運転技術を含むすべての食塩電解プロセス技術を供給している世界で唯一のメーカーです。それによって顧客にトータルソリューションを提案して、顧客の信頼を得ています。
  • (2)当社が開発した「Aciplex™ F」イオン交換膜は優れた電解性能を有しており、電解電圧、電流効率、塩水不純物耐性などで世界トップレベルの性能を有しています。そのため、中国、全世界共、トップシェアとなっています。
  • (3)自らの電解プラントを日本で運転している実績と、世界各地に販売した電解プラントの運転支援経験に基づいた優れた技術サポートを提供できます。

5.今回の採用の経緯

今回の発注者である陜西金泰クロルアルカリ神木化工有限公司と同じ集団公司に属する陜西金泰クロルアルカリ化工有限公司には、2005年に年産10万トン、さらに2013年に年産10万トンの当社の電解プロセスを採用いただきました。

当社プロセスの運転を通じて、当社への信頼を深めたこと、当社の充実した技術サポートへの満足度が高いことなどの理由により、今回も当社のプロセスを採用いただけることになりました。

6.今後の事業展開

中国経済は、今後も成長が期待され、政府が開発に力をいれる中西部を中心に、さらなる苛性ソーダ生産能力の伸びが見込まれます。当社は今回の受注により、トップシェアの地位を確固たるものとし、さらに積極的な展開を図るため、技術改良の継続とAIやIoT技術を生かしたより安全で効率的な運転技術の提案を通して、中国政府が重視する環境負荷の低減と安全性の向上を実現し、中国のクロルアルカリ業界に貢献していきます。

  • 11月5日に開催された陝西省主催の調印式の様子(提供:第一財経)

以上