Revolefin™

バイオエタノールからエチレン・プロピレンなどの
基礎化学品を製造する技術

Technology for producing basic chemicals such as ethylene and propylene from bioethanol.

About Revolefin™

旭化成の⾰新的技術「Revolefin™」とは

旭化成の取り組み

私たち旭化成では、基礎化学品と呼ばれるエチレンやプロピレンなどの軽質オレフィン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどのアロマティクスを、化石資源に代わり、植物由来のエタノールから製造する技術「Revolefin™」を開発しています。

Revolefin™とは?

レジ袋やフィルムなどに使われるポリエチレン、ボトルのキャップから自動車部品まで幅広く使われるポリプロピレン、食品トレイや家電製品に使われるポリスチレン、或いは飲料ボトルや繊維に使われるPETは基礎化学品が原料となります。
Revolefin™技術にて、植物由来のエタノールから基礎化学品を製造することにより、日常で使われるこれらのプラスチックや樹脂をバイオマス由来とすることができます。
旭化成では、マスバランス方式を用いて、バイオマス由来の基礎化学品の提供を検討しています。

Concept

Revolefin™のコンセプト

Revolefin™が目指すのは、サーキュラーエコノミー実現への貢献です。

石油などの化石資源に含まれる炭素成分は、過去に地中に蓄積されたCO2が元になっています。そのため、化石資源由来のプラスチックがリサイクルされないと、その炭素が再び大気中に放出され、大気中のCO2を増加させる要因となります。
一方、植物を原料としたバイオマス資源の炭素は、光合成によって大気中から取り込まれたCO2です。そのため、植物由来のエタノールを原料とするRevolefin™技術を用いて製造されたプラスチックや樹脂であれば、リサイクルしきれなかった場合でも、大気中のCO2の増加にはつながりません。

私たち旭化成は、 Revolefin™を通じて、バイオマス由来のプラスチックの普及を促進させ、CO2排出量や石油使用量の削減に貢献します。

Technology

Revolefin™の特徴

エタノールからエチレンを製造する技術は既に実用化されています。しかし、旭化成のRevolefin™技術により、植物由来のエタノールを原料として、エチレンに加え、プロピレン、或いはベンゼン、トルエン、キシレンといったアロマティクスの製造も可能になります。この技術の実用化により、プラスチックや樹脂、化学繊維などの原料になる基礎化学品の多くを、石油などの化石資源由来からバイオマス由来にすることが可能になります。

バイオマス由来の基礎化学品

  • バイオエチレン
    (C2)

  • バイオプロピレン
    (C3)

  • バイオC4オレフィン
    (C4)

  • バイオベンゼン
    (C6)

  • バイオトルエン
    (C7)

  • バイオキシレン
    (C8)

  • Revolefin™の特徴

    • ・ 植物由来のエタノールから、エチレン・プロピレン・C4オレフィン・芳香族(ベンゼン、トルエン、キシレン)といった基礎化学品をワンストップで製造可能
    • ・ 汎用性・入手性の高い原料であるバイオエタノールを使用
    • ・ 化石資源由来の基礎化学品と同質・同一の製品を製造可能
    • ・ 川下工程での設備新設・プロセス改修が不要
  • Revolefin™のメリット

    • ・ 植物由来のバイオマス原料への転換により、石油使用量・CO2排出量削減に貢献
    • ・ より多くのプラスチック、樹脂などをバイオマス由来にすることが可能
    • ・ 化石資源由来の既存品と同一性能のため、川下工程での設備新設・プロセス改修が不要
    • ・ 化石資源由来のプラスチックと混ぜてリサイクルすることも可能

Products

Revolefin™の適用製品例

旭化成のRevolefin™技術では、化石資源由来の基礎化学品と同一・同質の化学品を製造できるため、従来製品と同じ機能・性能を保ちながら、原料をバイオマス由来に切り替えることが可能になります。つまり、従来の化石資源由来のプラスチックの性能・特性を保持することが必要とされる製品にとって、石油使用量やCO2排出量を削減する有効な手段となります。

プラスチック/樹脂

  • 家電
  • 食品包装
  • 自動車部品

合成繊維/生地

  • スポーツウェア
  • ぬいぐるみ
  • カーペット

合成ゴム

  • タイヤ
  • ゴム手袋

塗料/接着剤

  • インク
  • ペンキ
  • 接着剤

その他化学品(界面活性剤など)

  • 洗剤
  • シャンプー
  • 化粧品

Derivatives

バイオマス由来基礎化学品から製造できる誘導品

ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)など、プラスチックや樹脂製品に広く使われている誘導品は、基礎化学品を原料として製造されるのが一般的です。Revolefin™にて、基礎化学品を植物由来のエタノールから製造することにより、PE・PP・PETといった素材もバイオマス由来にすることができます。

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Revolefin™により、植物由来のエタノールからエチレン、プロピレン、C4オレフィン、ベンゼン、トルエン、キシレンといった基礎化学品を製造することができます。
これにより、従来は化石資源を原料としていた多くの誘導品を、バイオマス由来とすることが可能になります。

Value Proposition

バイオマス由来原料の価値

現状の課題

石油などの化石資源に含まれる炭素成分は、過去に地中に蓄積されたCO2が元になっています。そのため、化石資源由来のプラスチックがリサイクルされないと、その炭素が再び大気中に放出され、大気中のCO2を増加させる要因となります。

バイオマス原料がもたらす価値

⽯油使⽤量、CO2排出量の削減

植物を原料としたバイオマス資源の炭素は、光合成によって大気中から取り込まれたCO2です。そのため、植物由来のエタノールを原料とするRevolefin™技術を用いて製造されたプラスチックや樹脂であれば、リサイクルしきれなかった場合でも、大気中のCO2の増加にはつながりません。

リサイクルやリユースが抱える課題を解決

世界各国で進められている「リデュース・リユース・リサイクル」は、プラスチックの環境負荷を低減する上で重要な取り組みです。しかし、すべての素材がリサイクルに適しているわけではないため、バイオマス由来のプラスチックの活用は、CO2排出量のさらなる削減につながる選択肢として注目されています。

1

リサイクルが難しい材料へのバイオマス素材の適用

塩化ビニル樹脂、熱硬化性樹脂、複合材料、洗剤・塗料などの化学品は、構造や用途の特性上、リサイクルが困難、または分離・回収が難しいとされています。このような素材においては、初めからバイオマス由来の原料を使うことで、製品ライフサイクル全体におけるCO2排出量の削減が期待できます。

2

新規投入材料としてのバイオマスプラスチックの活用

どんな製品にも寿命があるため、リデュース・リユース・リサイクルの取り組みが進んでも、新たな原料の投入は不可欠です。このような場面において、化石資源由来に変わり、バイオマス由来のプラスチックを活用することが、カーボンニュートラルに向けた有効な手段と考えます。

Q&A

バイオエタノール・バイオ素材についてのよくある質問

バイオエタノールとは何ですか?

バイオエタノールとは、トウモロコシやサトウキビなどの植物由来のバイオマス資源を原料として製造されるエタノールのことを指します。世界では現在、年間約1.2億キロリットル(kL)*が生産されており、アルコール飲料の原料としてだけでなく、自動車燃料(ガソリン混合)や消毒剤などの工業用途にも広く使われています。

バイオエタノールの原料は、サトウキビ等から砂糖を精製する際に副生する廃糖蜜(モラセス)や、トウモロコシに含まれる澱粉が一般的ですが、最近ではバガスと言われるサトウキビの残渣や、ウッドチップに含まれるセルロース成分からの製造も進められています。バイオエタノールは、植物由来でありカーボンニュートラルに貢献しうる原料であること、また、豊富な生産量を誇ることから、近年SAFと呼ばれる航空燃料への活⽤も検討されるなど、注目を集めている原料です。
* OECD-FAO Agricultural outlook 2023-2032参照

バイオエタノールの主な原料と製造⼯程

バイオプラスチックとは何ですか?

バイオプラスチックとは、バイオマスを原料として製造される「バイオマス由来プラスチック」と、ある条件下において微生物などにより分解される性質を持つ「生分解性プラスチック」の総称です。旭化成のRevolefin™由来のプラスチックは、「バイオマス由来プラスチック」に分類されます。

マスバランス⽅式とは?

現在、化学業界においても欧州を中心としてマスバランス方式が取り入れられています。マスバランス方式とは、リサイクル原料やバイオマス原料など、特性の異なる原料が混合される場合に、ある特性を持つ原料の投入量に応じて生産する製品の一部にその特性を割り当てる手法です。

例えば、100トンの製品を製造する際に、原材料のうち25%がバイオマス由来、75%が化石資源由来だった場合、生産者は製品の25トン分に「100%バイオマス由来」として割り当てることが可能です。

マスバランス方式のメリット

マスバランス方式はインフラへの投資を最小限に化石資源の使用を減らすことができます。
マスバランス方式を利用することで、以下が可能になります。

  • ・大規模投資をせず既存設備の活用が可能
  • ・再生可能原料の使用を促進し、CO2の削減に貢献(段階的に再生可能原料由来の割合を増加)
  • ・従来品と同等の製品性能を担保
  • ・第三者認証(ISCC PLUS、 REDcert等)取得により、サプライチェーンでのより厳密なバイオマス使用量の管理が可能

News

お知らせ

旭化成は
European Bioplastics Associationの会員です