ベンベルグ®のインドでの取り組み

インド繊維産業と共に歩む。ビジネスを通じてインドの社会課題の解決を図ります。

インドの繊維産業と旭化成、
双方にとって価値ある取り組みを

旭化成は糸の販売だけに留まらず、原材料から最終商品までのサプライチェーンを通じて、様々な取り組みを行っています。労働者の収入向上や女性の社会進出促進などの社会課題解決につながるだけでなく、旭化成の事業にとっても、新規顧客獲得やイノベーションの創造などが期待できると考えています。インドの繊維産業における旭化成の取り組み事例をご紹介します。

産学連携活動

ベンベルグ®を通じた学生教育支援

インドの繊維業界やファッション業界の未来を担う若者・学生への教育支援活動を行っています。学生の知識と能力の向上を目的とし、教育機関と産学連携を行い、若手人財育成に貢献しています。
※取り組み校:NID、NIFT(ムンバイ校、ベンガルール校)、 DKTE
※各校紹介は下記をご覧ください。

旭化成は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています。
関連するSDGs

取り組み学校の所在地
取り組みの背景

インドでのベンベルグ®ビジネスには40年を超える歴史があり、デュパタ、サリーなどの伝統衣装に多く採用されています。しかし、衣料品素材に関して、シルクやコットンは広く知られているものの、他素材については小売り、消費者レベルでの差別化が進んでおらず、同時にベンベルグ®及び一般素材繊維名キュプラに対する認知度はまだまだ低いのが実情です。その一因として、インドで販売されている衣服の多くに日本や欧米のような品質表示を示すタグや下げ札が付いておらず、繊維製品の使用素材や混率に意識が向けられていないという背景がありました。そのため旭化成は、まず衣服に使われる素材に目を向けてもらうこと、次いでベンベルグ®を知ってもらい、将来的に繊維業界、ファッション業界でのものづくりにその知識を生かしてもらうことを目標としました。
また他国同様、服飾デザインを専攻する学生の女子率は高いため、服飾系芸術大学での活動を通して女性の社会進出に貢献することも目指しています。

NID学生インターン来日
NID学生のスーラット産地実習
活動内容と実績

学生側にも旭化成側にも意義のある産学連携活動となるよう、旭化成からの一方的なレクチャーのみに留まらず、学生からの作品発表、研究課題発表も盛り込み、互いに学ぶ機会となる活動を目指しています。

■NID、NIFT
2016年から取り組みをスタートし、主にベンベルグ®についてのレクチャーを実施しています。またベンベルグ®生地の主要生産地・スーラットでの課外学習なども行いました。レクチャーで得た知識を元に、学生がベンベルグ®糸を使用して手織り作品を制作するなど、素材を理解した上で作品に落とし込む有意義な取り組みを継続しています。
2017年にはNID、NIFTムンバイ校の両校で旭化成がメインスポンサーとなり、卒業ファッションショーを開催。学生による素晴らしいベンベルグ®コレクションが発表されました。
なおNIFTとはムンバイ校との取り組みとしてスタートしましたが、2018年からはベンガルール校でのレクチャーも開始しました。インドの主要都市にキャンパスを持つファッション教育機関であるNIFTと総合的に関わる活動へと発展しています。
NIFTムンバイ校
NIFTベンガルール校
■DKTE
2018年、第1回ベンベルグ®素材レクチャーを実施。主に繊維業界での技術者育成機関であるDKTEでは、ベンベルグ®の素材特性を学生に知ってもらうことで、製織などの生産現場における将来的な技術力向上につなげることを目的としています。講義から得たベンベルグ®に関する知識を元に学生が織布に挑戦し、その活動報告会を開催しました。
DKTEでのレクチャー
DKTEでの活動開始時の合意書取り交わし
ベンベルグ®ビジネスへの成果

2016年より行っているNIDやNIFTでのレクチャーの継続や、2018年に開始したDKTEとの取り組みにより、インドにおいて徐々にベンベルグ®や旭化成の取り組みに対する認知度が増してきました。また取り組みを行う学校との関係も強固となり、若い学生の、豊かな発想力や新しい用途開発にもつながる鮮度ある素材分析力から、旭化成側が学ぶことも多く、まさに“産業と学校の連携活動”として結実しつつあります。

社会への貢献

昨今、繊維業界ではサステナビリティが最重要事項の一つであり、教育機関や学生の間でも大きな関心が寄せられています。環境配慮型素材であるベンベルグ®について学び、作品として活用することを通して、“世の中で求められるサステナビリティとは何か”を共に考える有意義な機会となっています。サステナビリティについて学ぶことは、ひいては環境配慮の視点に立った産業の発展を下支えすることになります。また日本、欧米のテキスタイルトレンドを伝えることにより、学生の国際感覚の養成や、比較文化的に業界を学ぶ機会の創出にもつながっています。
インドでの産学連携活動は、繊維・ファッション業界を担う若手人材の育成を基軸としていますが、ベンベルグ®生地の認知度向上により顧客が増加することで、インド国内のベンベルグ®生地生産を手掛ける機屋業への支援にもつながると考えています。

インド産学 各校紹介

NID(National Institute of Design):アーメダバードに位置するインドを代表する国立芸術大学。主にテキスタイルや服飾デザインを専攻する学生を対象に産学連携活動を実施。
NIFT(National Institute of Fashion Technology):ファッションデザインに特化した国立教育機関。デリー、ムンバイを始めとするインドの主要都市にキャンパスを構え、デザイナー職を中心にアパレル業界へ多くの卒業生を輩出している。
DKTE(Dattajirao Kadam Technical Education Society):マハシュトラ州のマンチェスターとも称される、繊維産業が盛んなコラプールのイチャルカラナジ地区に位置する繊維技術系大学。製織、生地加工、機械エンジニアリング等の高度な教育が充実した技術者養成機関。

生地生産者への技術支援

商品の品質向上と、生地生産者の技術・収益向上の両立へ

技術者派遣や生地開発セミナーを通じて、現地生産者の技術の向上と、安定収入の確保などに取り組んでいます。

旭化成は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています。
関連するSDGs

生地の生産地
取り組みの背景

インドの繊維産業の中心地であるグジャラート州は、年間4,000tものベンベルグ®を販売する重要市場です。しかし先進国に比べ高度な技術が発達しておらず、生産生地種は限定され、品質も十分に安定していないという課題を抱えていました。また同州は先端技術を導入する機会や資金力を持たない小規模な事業者が多く、技術革新が思うように進んでいない状態でした。そこで、成長を続けるインド市場において生地生産者と旭化成が共に発展するという目標を掲げ、旭化成がこれまでに培ったノウハウを現地で活用すべく、活動を開始しました。

活動内容と実績

旭化成の経験豊かな技術者を現地に派遣し、ベンベルグ®を使った生地生産の技術指導を継続的に実施しています。生地品質の安定により顧客の満足度を高めるだけでなく、無駄な廃棄を減らし、生産効率の向上にも貢献しています。また、定期的に生産者を一堂に集め生地開発セミナーを開催。旭化成が日本で試作した多種多様な生地や、インド市場向け最新ファッショントレンドを紹介するなど、新商品のアイディアを提供しています。生地生産者が多様なニーズに応えられる商品開発力を養い、それに伴って、収益が向上することで、現場で働く労働者の賃金増も目指しています。
取り組みを始めた2000年以降、現地のベンベルグ®生地生産者による販売量は約6倍に増加し、現地生地生産者にも利益をもたらす有意義な活動となっています。

生地生産者への生地開発セミナー
ベンベルグ®ビジネスへの成果

インドでのベンベルグ®生地の品質が向上し、生地バリエーションが広がったことにより、ベンベルグ®のブランドとしての価値も高まりました。それに伴い、アパレル企業によるベンベルグ®生地の採用が増えたことも大きな成果と考えています。

社会への貢献

活動を通じて生地の品質が上がり、インドの消費者に対してより高品質な商品を届けられるようになりました。
生地生産者は、各々が技術力・開発力を高めることで、売上増・収益向上・商品バリエーション拡充が期待でき、業績の拡大ひいては現地での新規雇用にもつながります。
労働者は、会社の収益向上による賃金増に加え、労働者自身の技術力アップによる昇給も見込めます。この一連の流れが後進の教育にも活かされ、インド生地産地における永続的な技術水準向上、さらには現地での労働環境改善にも貢献しています。

現地機屋での技術指導

原料サプライヤーへの技術支援

サプライヤーの技術・収益向上に貢献し、原料の安定購買も確保

インドのオイルミルへの設備無償貸与や技術指導などを通じて、原料サプライヤーの技術力向上、雇用の創出、安定した収入の確保などに取り組んでいます。

旭化成は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています。
関連するSDGs

原料サプライヤーの所在地
取り組みの背景

ベンベルグ®は綿糸として使用されないコットンリンターと呼ばれるコットンの種の周りの産毛を原料としています。コットンリンターは、通常コットンの種から綿実油を作るオイルミルという業者から供給されます。しかしながらコットンリンターは天然素材のため、気候変動による調達不安、価格の乱高下の懸念があり、ベンベルグ®糸生産に欠かせない原料調達が価格的、量的に不安定にならざるを得ないという背景がありました。

世界有数の綿花の生産国であるインドは、コットンリンターの新たな調達先として大きな可能性を秘めていましたが、インドにはコットンリンターを製造する設備を所有するオイルミルは少なく、また品質管理技術も十分ではありませんでした。
通常、綿花~綿実油の生産プロセスは下図②の通りですが、インドではオイルミルの約95%が下図①のようにリンターの刈り取り(デリンティング)をせずに油を採っており、その場合、綿実から得られる製品は油とその搾った残りかすのみになります。結果としてインドの綿実油には不純物が多く含まれ、品質も劣り、またデリンティング設備があれば得られるはずの、コットンリンターや殻という貴重な副産物が活用されていないという状況でした。
このような課題を解決し、原料の安定的調達と、現地オイルミルの収益向上を目指し、活動を開始しました。

活動内容と実績

インドの複数のオイルミルに対して、旭化成からコットンリンターの製造に必要な設備や分析機器を無償貸与し、さらに定期的に旭化成社員を現地に派遣し技術指導を行っています。この活動によってベンベルグ®の原料であるコットンリンターの品質が改良され、調達における不安要素も軽減されました。
設備無償貸与を開始した2010年から2019年の間に旭化成がインドから購入するコットンリンターの量は約3倍となり、オイルミルの収益増に貢献しています。

現地オイルミル工場
ベンベルグ®ビジネスへの成果

原料サプライヤーとの取り組みによって旭化成は高品質のコットンリンターを安定的に調達することができるようになりました。それによってベンベルグ®ビジネス自体の安定にも大きな成果をもたらしています。

社会への貢献

旭化成からの設備無償貸与や技術提供を経て、インドのオイルミルでは純度の高い綿実油生産が可能となり、収益増と技術力向上を果たしました。また同時に綿実油生産時の副産物であるコットンリンターなどの販売という、新たな収入源の開拓も達成しています。今後も技術者派遣を継続し、品質安定に努めると同時に、世界のファッション業界で求められているトレーサビリティ追求を強化すべく、この取り組みを深化させることを目指していきます。

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