HOME > BioCradle™ > 技術情報 > BioCradle™-Lと2次元培養の比較:エクソソーム産生量に関する差異
BioCradle™-Lと6ウェルプレートで脂肪由来間葉系幹細胞を培養し、上清中のエクソソーム量を比較した試験のデータをご紹介します。
グルコース消費量を細胞数の指標とすると、BioCradle™-L の細胞当たりのエクソソーム産生効率は 9-12 日目で 445.3 pg/mg、2D 培養は 159.8 pg/mg でした。BioCradle™-Lの細胞当たりのエクソソーム産生効率 は 2D 培養より約 2.8 倍高く、よりエクソソーム 産生に適した培養環境を提供している可能性が示唆されます。
BioCradle™-L では 3 日目以降もエクソソーム産生量が増加し、9-12 日目に 748.1 pg/mL に達しました。対照的に 2D 培養は 3-6 日目に 393.0 pg/mL でピークを迎え、12 日目には 274.8 pg/mL まで減少しました。培養初期(3-6日目)の時点では両者はほぼ同等のエクソソーム産生量を示しましたが、培養後期(9-12 日目)ではBioCradle™-Lは2D 培養の約 2.7 倍のエクソソーム産生量となっています。
BioCradle™-L では培養開始から終了までグルコース消費量が一貫して増加しており(0.8→1.68 mg/mL)、細胞が緩やかに時間をかけて増殖していったと考えられます。一方 2D 培養では グルコース消費量が0.7→1.8 mg/mL へ急増した後にすぐに頭打ちとなり、細胞数が早期に飽和したと推察されます。
ヒト脂肪由来幹細胞(PT-5006、Lonza社)を無血清培地(ADSC-5、コージンバイオ社)を用いて2Dフラスコ内で増殖させました。その後、細胞を2.8×10⁴ cells/mLの密度で6ウェルプレート(各ウェルに培地2 mL)または三角フラスコ(各フラスコに培地50 mLおよびBioCradle™-L 100 μg)に播種しました。播種16時間後から三角フラスコは毎時5分間120 rpmで震盪され、両培養システムの培地は3日ごとに全量交換されました。培養は37°C、5% CO₂、湿度制御インキュベーター内で行われました。
CD9/CD63サンドイッチELISAキット(コスモ・バイオ社)を用いて測定しました。
BF-8M(王子計測機器社)を用いて測定しました。
BioCradle™は旭化成の登録商標です。