ALCとは?外壁材に使用するメリット・デメリットや注意点を解説

住宅の構法・構造

「ALCとはどのような外壁材なのか」
「注文住宅の外壁材にALCを使用するメリットとデメリットはあるのか」
家づくりにおいて、どの建材を使用するか悩む方は多いでしょう。

実はALCは遮音性が高いことから外壁のみならず、床や天井にも使用される建材です。本記事では、ALCとはどのような建材なのか、メリットやデメリットを紹介します。ALCを使用する際の注意点も解説していますので、外壁材を選ぶ際の参考にしてください。

この記事でわかること

  • ALCとは何か
  • ALCを外壁材に使用するメリットとデメリット
  • ALCを外壁材に使用する際の注意点

ヘーベルハウスの情報ナレッジサイト「THINK HAUS」では、ALCの魅力や、ALCに惚れこんで注文住宅を建てたオーナーのインタビューを掲載しています。ALCが気になっている方は、以下より会員登録して理解を深めるためにご利用ください。

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  1. ALCとは?
  1. ALCを注文住宅に使用する6つのメリット
    1. 耐久性が高く経年劣化が少ない
    2. 断熱性が高く室内の温度差が少ない
    3. 遮音性が高く静かな住環境を実現できる
    4. 防・耐火性に優れており火災に強い
    5. 完全無機の材料で寸法安定性も高く腐食しない
    6. 軽量で建物に負担がかからず地震に強い
  1. ALCを注文住宅に使用する3つのデメリット
    1. 水を吸う性質があるため適切な防水対策が必要になる
    2. 目地が多く雨水侵入の可能性がある
    3. 他の外壁材と比較して価格が割高になる
  1. ALCと他の外壁材との違い
    1. ALCとコンクリートの違い
    2. ALCとモルタルの違い
    3. ALCとサイディングの違い
    4. ALCとタイルの違い
  1. ALCを外壁材にする際の注意点
  1. ALCを使用して快適な注文住宅を手に入れよう

ALCとは?

ALCとは、高温高圧の環境で蒸気養生された、軽量気泡コンクリートのことを指します。「Autoclaved Lightweight aerated Concrete」の頭文字から「ALC」と名付けられました。

ALCは100年以上の歴史がある建材で、ドイツで生まれて以来、暑い国から寒い国までさまざまな気候の土地で使われています。

ALCは日本産業規格のJIS A 5416を取得しており、防・耐火性や耐久性などが高い建材です。そのため、注文住宅の外壁だけでなく、床や天井などさまざまな部位に使用されます。

また、ALCの主原料は、以下のとおりです。

  • 珪石
  • セメント
  • 生石灰
  • 発泡剤のアルミ粉末

有害物質を含まない建材のため、健康で安全な空間がつくれます。

ALCには水分を吸収しやすいなどの性質はあるものの、適切な施工方法が確立されています。適切な方法で施工すれば安心して使えるからこそ、ALCは世界中の注文住宅に使用されているのです。

※参照:日本産業規格「軽量気泡コンクリートパネル(ALCパネル)

ALCを注文住宅に使用する6つのメリット

ALCを注文住宅に使用するメリットは、以下の6つです。

  1. 耐久性が高く経年劣化が少ない
  2. 断熱性が高く室内の温度差が少ない
  3. 遮音性が高く静かな住環境を実現できる
  4. 防・耐火性に優れており火災に強い
  5. 完全無機の材料で寸法安定性も高く腐食しない
  6. 軽量で建物に負担がかからず地震に強い

具体的にどのような利点があるのか、順番に見ていきましょう。

1. 耐久性が高く経年劣化が少ない

耐久性が高く経年劣化が少ないことが、注文住宅の建材としてALCを使用するメリットです。

ALCは、天然鉱物のトバモライトを人工的に再現した「トバモライト結晶」を大量に含んでいます。トバモライト結晶を含んでいることで、ALC自体の乾燥による収縮や膨張が少なくなるため、耐久性が高くなります。

このため、ALCは季節ごとの気温や気候の変化に強く、経年劣化しにくい建材です。実際に、築32年のALCを使ったヘーベルハウスの注文住宅で、ALCや関連する建材に劣化が見られないことを確認しています。

※参照:旭化成建材「ヘーベルライトとは(ヘーベルライトの性能)

2. 断熱性が高く室内の温度差が少ない

断熱性が高く室内の温度差が少ないことも、ALCを注文住宅の建材に使用するメリットです。ALCの内部には無数の気泡が含まれているため、熱が伝わりにくい特徴があります。

住宅・建築SDGs推進センターとリフォーム産業新聞によると、ALCと一般的な外壁材の熱伝導率は、以下のとおりです。

外壁材 熱伝導率
ALC 約0.2W/(m・K)
コンクリート 約2W/(m・K)
サイディング 約0.03~0.2W/(m・K)
タイル 約1W/(m・K)
モルタル 約2W/(m・K)

※参照:一般社団法人住宅・建築SDGs推進センター「住宅の省エネルギー基準と評価方法 2024

※参照:リフォーム産業新聞「省エネ性能も高い金属サイディングの外壁

他の外壁材と比較してALCは熱伝導率が低く、適切な断熱材と組み合わせて施工することで室内が外部の気温の影響を受けにくくなります。

年間を通して室内の温度差が少ないため、空調の効率が良く省エネにつながります。

3. 遮音性が高く静かな住環境を実現できる

ALCを外壁材に使用することで、遮音性を高められる点もメリットです。

内部に存在する無数の気泡で外壁材の中に空気の層ができることが、ALCの遮音性が高い理由です。外部からの音の侵入はもちろん、住宅内部から外部への音漏れも防ぎます。

開口部を二重サッシにしたり、吸音性能のある断熱材をしたりすれば、さらに遮音性を高められます。また、ALCを床に使用することで、上の階と下の階の間で響く衝撃音をやわらげることも可能です。

4. 防・耐火性に優れており火災に強い

防・耐火性が高く、火災に強いことがALCのメリットの一つです。ALCは、国土交通省が不燃材として定めるコンクリートに含まれています。

そのため、火災が起きてもALC自体が燃えにくく延焼も防ぎます。原料が無機質な素材のため、有毒なガスや煙が発生する心配の無い建材です。

※参照:国土交通省「○不燃材料を定める件

※参照:一般社団法人ALC協会「ALCパネルQ&A

5. 完全無機の材料で寸法安定性も高く腐食しない

ALCは自然素材が原料の完全無機建材のため健康被害の心配が無く、建材が腐食しない特徴があります。

ALCは、シックハウス症候群を引き起こすホルムアルデヒドやクロルピリホスなどの有機化合物を一切含まない無機建材です。

さらに、以下のような揮発性有機化合物を含まないため、健康被害の懸念がありません。

  • アスベスト
  • キシレン
  • トルエン

また、完全無機の建材で腐食しにくいため、1階の床に使用しても白アリなどの被害に遭いにくいこともメリットです。

6. 軽量で建物に負担がかからず地震に強い

ALCは軽量な建材のため建物に負担がかからず、地震に強いこともメリットです。

コンクリートと比べて、ALCは非常に軽くて耐久性が高い建材です。そのため、地震発生時の建物の構造体にかかる負担を軽減できます。

さらに、耐久性が高いことにより大きな地震が起きても建物が倒壊しにくく、安心して暮らせます。

実際に耐震等級3を標準として提供しているヘーベルハウスでは、ALCを外壁、床、天井に採用しています。以下のリンク先では、安心・安全な暮らしにこだわり続けるヘーベルハウスのALCについて、詳しく解説しています。

・ALCコンクリート・ヘーベルの詳細を見る

ALC以外の耐震性や耐久性に関する特徴も以下のリンク先で紹介しているので、ぜひご覧ください。

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ALCを注文住宅に使用する3つのデメリット

ALCを注文住宅に使用する際のデメリットは、以下のとおりです。

  1. 水を吸う性質があるため適切な防水対策が必要になる
  2. 目地が多く雨水侵入の可能性がある
  3. 他の外壁材と比較して価格が割高になる

デメリットの詳細と回避方法を解説しますので、ALCを使用する際の参考にしてください。

1. 水を吸う性質があるため適切な防水対策が必要になる

水を吸う性質があるため、適切な防水対策が必要な点がALCのデメリットです。

ALCの内部に無数の気泡がある構造上、水分が内部に侵入しやすくなっています。水分をALCが吸収すると、ひび割れや膨張などの原因になりかねません。

ただし、適切な防水塗装を施すことで水分を吸いやすいデメリットをカバーできます

2. 目地が多く雨水侵入の可能性がある

目地が多く、雨水が内部に侵入するリスクがある点もALCのデメリットです。

ALCはパネルをつなぎ合わせて施工するため、つなぎ目部分はコーキング材による雨水の侵入対策が不可欠です。

コーキング材の経年劣化などで、雨水が内部に侵入する懸念があります。雨水の侵入については、ハウスメーカーに対策してもらえるケースがあります。

たとえばヘーベルハウスなら、コーキング材を充填した上から防水塗装を2~3回重ねることで対策可能です。しっかりと防水対策できているからこそ、初期保証期間30年を実現できています。

3. 他の外壁材と比較して価格が割高になる

他の外壁材と比較すると、ALCの価格は割高になります。

日本産業規格の「JIS A 5416」の認証を取得していないと、ALCを製造できません。そのため、ALCを日本で製造できるのは、旭化成建材を含めて3社のみです。

限られたメーカーしかALCを製造できないため価格は高くなりますが、築年数が長くなっても資産価値が落ちにくいことを考えれば、コストパフォーマンスは高いといえます。

注文住宅を購入する際にかかる金額だけにとらわれず、長期的な視点で考えることが、後悔しない家づくりには重要です。

専門家コメント Expert Opinion

ALCは、以下のような方法で防水性を高められます。

● 表面の塗装を何層にも塗り重ねる
● コーキングした上から現場で2、3層目を塗装する

表面の塗装やALCの構造はメーカーによって異なるため、ハウスメーカーの担当者に確認してみましょう。

ALCと他の外壁材との違い

ALCと他の外壁材との違いを、以下の4つにわけて紹介します。

  1. ALCとコンクリートの違い
  2. ALCとモルタルの違い
  3. ALCとサイディングの違い
  4. ALCとタイルの違い

1. ALCとコンクリートの違い

ALCとコンクリートの大きな違いは、耐震性や遮音性、断熱性など外壁材としての性質です。

コンクリートとは、セメントに砂利や砂、水を混ぜて型枠に流し入れて固めて作る外壁材を指します。重量があって強度が高く、耐久性に優れている点が特徴です。

ただし、ALCのほうがコンクリートより軽量な分、耐震性を高めやすくなっています。また、遮音性や断熱性もALCのほうが高いです。

2. ALCとモルタルの違い

ALCとモルタルの違いは、職人の手作業による美観性の高い外観にあります。

モルタルとは、セメントに砂と水を混ぜたものを、左官職人が外壁の下地に塗って施工する外壁材のことです。パネルを貼る施工方法ではないため、目地などの継ぎ目が無く、美観性に優れています。

ただし、継ぎ目が無いことにより、ひびが入ると広がりやすい点がデメリットです。

ALCよりも外壁の施工期間は長くなりますが、初期コストは抑えられます。

3. ALCとサイディングの違い

ALCとサイディングの違いは、遮音性や耐久性、熱伝導率などの機能性です。

サイディングは、注文住宅など建物の外壁の仕上げ材の一つです。種類が豊富ですが、現在は以下の2つが主流になっています。

金属系サイディング アルミニウムなどの金属を加工する
窯業(ようぎょう)系サイディング セメントに繊維を混ぜて板状にする

金属系サイディングは断熱性が高いものの、金属のため音が響きやすくALCより遮音性が低いデメリットがあります。

窯業系サイディングは、熱を吸収しやすい性質があります。断熱性の高いALCと比べると、窯業系サイディングは夏場に室内の温度が上昇しやすい点がデメリットです。

4. ALCとタイルの違い

ALCとタイルの違いは、耐震性にあります。

タイルとは、粘土を主原料として石などを練り込んだものを、高温で焼成した素材のことです。外壁に使用する際は、サイディングなどの基盤になる材料にタイルを貼り付けて施工します。

硬く耐久性に優れているタイルですが、地震の揺れの影響で下地から剥がれて落下の懸念がある点がデメリットです。

ALCは軽く耐久性も高いため、耐震性の観点ではALCに軍配が上がります

ALCを外壁材にする際の注意点

ALCを外壁材にする際の注意点は、希望のデザインを選べない可能性があることです。

パネルを貼り付けて施工するため、ALCを外壁に使用する場合、外観デザインは直線的になりモダンな雰囲気になります。そのため、ベランダを半円の形にするなど、曲線を取り入れるデザインは選択できません。

シンプルでスタイリッシュなモダンデザインが好みの場合は、とくに気にならないといえるでしょう。

ALCを使用して快適な注文住宅を手に入れよう

ALCとは、高温かつ高圧の環境下で養生された、軽量気泡コンクリートを指します。日本産業規格の「JIS A 5416」の認証を取得したメーカーだけが製造できる建材です。

耐久性や防・耐火性に優れており、外壁の他に床や天井など建物のさまざまな部位に使用できます。

ALCの特徴や注文住宅に使用する魅力は、ヘーベルハウスが提供する家づくりの情報ナレッジサイト「THINK HAUS」でより詳しく紹介しています。「THINK HAUS」では、ヘーベルハウス独自のALCや施工方法で、高性能で高品質な注文住宅を実現できる秘密がわかります。

「THINK HAUS」でALCについて知識を深めて、快適な注文住宅を手に入れるためにお役立てください。

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この記事の監修者

ヘーベルハウス編集部

ヘーベルハウスのコラム編集部です。
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