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暮らしのコツ

ルツェルンの「朝のひかり」

朝は冬でも窓を全開

 朝の生活習慣で、日本と違うことと言えば、お国柄の違いか定かではありませんが、朝起きて直ぐと就寝する前には家の窓をすべて開け放って、5分くらい空気の入れ替えをすることでしょう。
 真冬は零下になることも少なくない当地(ルツェルン州エビコン)ですが、寒さの厳しい時期でもこれは欠かせません。しばらく怠ると、すぐに壁にカビが浮き出てくる住宅も少なくありません。スイスの住宅はもれなく気密性が高いので、空気の入れ替えはカビの問題がなくても欠かせないと思います。
 朝日を積極的に浴びるという習慣は特にないように思います。冬至の時期は8時ごろにならないと明るくならないので、朝日に執着することには無理がありますね。
 学校はおおむね8時前後に始まりますから、年齢にもよりますが、子どもたちは6時半から7時くらいに起きるのが普通だと思います。
大人の1割弱(調べたわけではないので自分の経験からの印象ですが)くらいの人は早出出勤をします。始業時間が8時~9時として、仕事の忙しい時や天気の良い夏の日などは、何人かの人は1~2時間早く出勤し、たまった仕事を片づけたり、あるいは始業時間より早く出社した分、早めに仕事を終えて、長いオフタイムを有効に使っています。残業する人は日本に比べるとずっと少ないと思います。

スイス、チューリヒの朝の風景 最近は日本でもおなじみミューズリーはスイス生まれ

スイスの朝食はさまざま

 子どもも大人も忙しいので、みんなで揃って朝食を食べる家庭は稀ではないでしょうか。
ボクの住んでいる町はドイツ語圏ですので、文化的にはドイツ色が強く、黒くて重いジャーマンブレッドに蜂蜜かジャム、マーマレード等で食べる甘口派と、チーズ・ハム・サラミ等の塩味派に分かれる傾向があるようです。もちろん両方食べちゃう方たちもいますけど、ダイニングテーブルにそれらが並べられて、勝手にそれぞれがパンをナイフで切り取って、ミルクやコーヒー、紅茶、ハーブティーとともに食べますね。
 パンとは別にミューズリーを食べる人も少なくありません。スイス独特のビルヒャーミューズリーは、コーンフレークスなどよりもはるかに健康的で、自分は最近はもっぱらこれが朝食です。

DATA
ドイツ連邦共和国

人口

787万人(2010年、スイス連邦統計庁)

面積

41,290万「3(九州本島よりやや大きいくらい)

時間帯

UTC +1(DST=サマータイム: +2)

言語

ドイツ語64%、フランス語20%、
イタリア語6%、レート・ロマンシュ語1%
(2000年、スイス連邦統計庁)

1815年に欧州列強がウィーン会議で永世中立を承認、現在も永世中立国として知られている。26の州(カントン)により構成される連邦共和国。山本さんが暮らすエビコンはルツェルン州にある人口約1.2万人の町。チューリヒと連邦首都ベルンの中間に位置する、ドイツ語圏の町だ。WHO世界保健機関、国際オリンピック委員会、国連欧州本部など、国内にはさまざまな国際機関の本部が置かれている。在スイス日本人は約9100人(2011年10月時)

プロフィール

山本まさと●東京生まれ。ヨーロッパの家庭用品メーカーbodumで13年デザイナーを務め、キッチン用品を数多く手がける。各国のデザイン賞受賞多数。2007年に独立し、現在はstudio in the air/空中工房を主宰。フリーランスデザイナーとして活動している。「ちなみにデザイナーの前は1年半ほど主夫をしていました。本人はいつまでも浮ついてますが、生活にちゃんと着地して根をはれる『暮らしの道具』を作りたいと常に目論んでいます」。http://studio.intheair.ch/

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