特別トーク ダイジェストムービー
特別トークの全容は以下の記事をぜひご覧ください
センス溢れるインテリアスタイリングで雑誌や広告など多分野で活躍する石井佳苗さんと、スペースの大小やスタイルを問わず庭や緑のプランニング・施工を行うBROCANTEの渡邉賢介さん、そして『余白の在る家』の設計を担当した小泉雅由。
心地良い暮らしを提案し続け、今回このコンセプトモデルに携わった3人が語る、「余白」のある豊かな暮らしとは。
インテリア
スタイリスト
石井 佳苗さん
ガーデン
ディレクター
渡邉 賢介さん
(BROCANTE)
設計士
小泉 雅由
(旭化成ホームズ)
中間領域という考え方は私も大好きです。狭い空間でも窓から見える景色があったり、部屋や玄関からの抜け、廊下まわりの抜けが広くあることで、気持ちのいい空間ができるんじゃないかといつも思ってるので、それにすごく近い考え方だと感じています。どうしても玄関まわりって狭く取られてしまうけれども、私は自分の家でも、部屋を小さくしても玄関まわりは大きく取りたいんです。玄関をひとつの部屋としていつも考えているので、「光の間」もひとつの部屋として、グリーンがあり、奥さまが仕事したり、コーヒーを飲んでくつろいだりできる、過ごしやすい場所に仕上げたいと思いました。
一方で、人間は心のどこかで外とのつながりを求めてると思うんです。だから、街や自然とのつながりをどうつくるかも重要なポイントでした。外構と建物って、言葉として分けてしまうことも多いですけど、住まいの計画をする上で一緒に考えるべきで、それが今回うまくいったと思っています。
外構は家というプライベートな空間と、外のパブリックな空間とのつながり方を決める役割があるのですが、プランを考えていく上で、シェルウォールはとても効果的に感じました。例えばフェンスも外からの視線を遮蔽しますが、高さには限界があり、条件によってはお隣の窓やお向かいの窓が気になってしまう。シェルウォールなら視線も遮ってくれますし、リビングの延長という中間領域の感覚になるので、いかにも遮ってるという感じもない。自然と外に足が向く構造が造りやすいですね。
一般的にコートハウスと呼ばれる家は、完全に閉じちゃうんですね。そうすると、室内と中庭のつながりはできても、今おっしゃったような、庭と外のつながりが生まれない家になってしまう。
敷地はあまり広くないですけれども、充実した“外の体感”がありますよね。「縁の間」があって、少し下りた所にテーブルと椅子が置かれたオープンエアーになっている場所があって。建物沿いの奥行きのないスペースでも、アプローチの形で植物を楽しんだりとか、家以外にできた「余白」を気持ちいい場所にしやすいんです。
住まいと外のつながりを渡邉さんにも感じていただけたのはうれしいです。実際に完成した『余白の在る家』を見たときの印象はいかがでしたか?
コンパクトでありながらも、リビングからつながる「縁の間」と「光の間」があることで、とても広く感じますよね。同じ平米数のリビングダイニングでも、この抜けがあるのとないのでは全く違います。家具が入り、外側にある植物と、内側にあるインテリアの植物がうまくリンクしていってひとつの空間になっていますね。
きれいな四角が重なってしっかり座っている、そんな外観だなと思いました。それに対してどんな高さの何を植えるか考えたんですけれども、一番は形がきれいな木が似合う「おうち」だなと。そこでまずファサードのハナミズキは端正な形のものを選んで据えました。落葉樹も多く入れていて、冬は葉が落ちて木の幹と枝があらわになったときも、建物と合わさって落ち着いた雰囲気になるように思い描きながら行いました。
インテリアやグリーンが入った時、「やっぱり家って器なんだな」と。何度も打ち合わせさせていただいて家具は一緒に見にも行きましたけど、ここまで想像できてなくて。素朴でシンプルな間取りだからこそ、人が住むといきいきと輝きだすことを狙いました。なので、はじめて空間に家具が置かれて、豊かな生活が見えてきたときに鳥肌が立ちました。
本当ですか!ありがとうございます!私は、どういう人生を歩んできた方がこの家に移り住んできたのか、この家を建てたいと思ったのかを、住んでる人になりきるところから仕事を始めていくんです。初回の打ち合わせで家具のイメージを皆さんに見ていただいたのですが、確かに皆さんまだ想像できていなかったようで...。その後、皆さんと家具を見に行ったんですよね。「なんでこれを選んだんですか」とか質問を受けながら、ひとつひとつ説明して。4、5回は行きましたね。
改めて、家具や人が主役なんだと思いましたし、違ったテイストの物が入ってきたときに、家は違う表情を見せてくれるんだと。シンプルな間取りの器を作る。それが一番長く飽きずに使っていただける。もちろん当初住んだ家族が幸せになることも大切なのですが、10年、20年、30年と暮らしやすいかという観点や、世代交代して子どもが暮らしたり、事情によって他の方が暮らすことになったり、誰にでも暮らしやすいということが重要じゃないかなと思います。外構やインテリアはいかがですか。
良い物を長く使うという考えは、小泉さんと何度も打ち合わせを重ねました。それで今回、「縁の間」の床材は、ベルギーの街中で何十年、何百年と実際に使われていた石畳を持ってきて入れることにしたんですよね。
この家は、物を大切にするご夫婦が暮らしている、というイメージ。家具も建物も、大切に受け継いでいく。ダイニングテーブルや、階段下にあるチェアは、おじいさんやお父さんから受け継いで使ってるという設定です。建物自体はモダンですが、先ほど渡邉さんがおっしゃったヨーロッパで使われていたタイルなどとうまくリンクすることで、イギリスやスペイン、インドなどさまざまな国の古い家具を入れても、まとまりのある空間になるんですよね。
今回、シンプルな設計で素晴らしかったと思うことがふたつあります。ひとつは照明。室内を明るくしないと設計者としては不安だと思うんですけど、この部屋の照明はダイニングのペンダントライトとリビングのダウンライトぐらい。インテリアを作る上で照明は家具と同じぐらい重要で、照明の表情で部屋の雰囲気ががらっと変わるんです。インテリアは素敵でも、夜、何か白けた感じになるという家が多いのですが、それは照明で全体をぱっと明るくしてしまうからなんです。このお部屋は夜の雰囲気もすごくいいんですよ。ひとつひとつ暗くなりかけた部分から照明をつけ始めて、次第に照明だけで部屋が成り立っていくようにできている。朝から夜まで素敵な家ができたと思います。
あとひとつは、リビングが壁面収納などがないシンプルな箱になっているので、家具が置けるんです 。大切な家具を置いたり、アートを飾って楽しめる。住んでる人たちがどう暮らしたいのか、趣味嗜好が反映されてくる場所になるんじゃないかな。私としてもやりがいのある空間でした。
お客さまが、この家にお手持ちの家具やインテリアを組み込む場合はどのようにしたらよいでしょうか?ぜひ石井さんからアドバイスをいただけますか。
家具やインテリアは生き物。新しい家具、気に入った家具と出会ったときに、家具がひとつ来ることで空間の風景が変わってくるので、少しシャッフルするように楽しんでください。新しい家にお引っ越しされるときも、今まで通りそっくりに置くのではなく、ちょっと考え方の基点を変えて違った場所に配置してみるということを楽しんでもらえれば、十分その方のインテリアが作れると思います。インテリアは、その家に住む人たち、家族を表すもの。何々スタイルとか、何々風というような言葉一つでは表現できません。家族のありさまが出てくるものだと思うんです。この家は家具を置く場所がいくつもあるので、そういった楽しみ方をしていただければと思います。
ありがとうございます。『余白の在る家』は、空間の余白だけでなく、心の余白、精神的なゆとりという意味合いも含んでいます。生きていく上でいろいろある事象を、家が許容してくれる。具体的には用途が決まってない「光の間」や「縁の間」ですね。決まってないこの状態がいいのかなと。石井さんがおっしゃっていたように、緑が見えたり自然が感じられることも重要だと思います。
「余白が在る」というのは選択する余地があるということ。忙しい中でも「ここをどう使おう」とか自分のペースで選択できると全然つらくないんですよね。選択肢があるというのが心の豊かさやゆとりになると感じます。
心の余白は大切ですね。ぎゅうぎゅうに物がいっぱい溢れて片付いてない部屋にいたら、心に余白って持てないと思うんですよ。自分の目に映る、自分の置かれてる環境がまず気持ちいいかどうかということはすごく大きいと思います。その結果、心に余白が生まれるんですよね。
長年住んでいる中で、家族構成に変化があったり、その時々によってやりたいことや、居心地のよい場所は、違うと思うんです。それを許容してくれる家でありたい。全てに用途が当てはめられていて何も動かしようがないと家は窮屈だと思うので、「光の間」でヨガをしたり、お茶を飲んだり、仕事をしたり、その時々によっていろいろイメージして使いこなしていただけると嬉しいですね。
展示場に来てくださったら、ぜひそのお部屋の住人になりきってみてください。例えばソファやダイニングの椅子に座って、その高さで景色を見ていただいたり、「光の間」のチェアに座って「私はここで何しようかな」って考えてみたり。寝室や書斎も、立って見る目線と、座って見る目線とではだいぶ違うので、そうやってじっくり楽しんでいただけたらと思います。実は私も、家具や小物はもちろん、本1冊、レコード1枚にいたるまで、この家の住人になりきってセレクトしています。家族それぞれが歩んできた歴史を、小物や本などを通じて感じていただくのも面白いと思います。「縁の間」から外に続く小径もぜひ。ここで育てている植物を一枝切って、洗面スペースのかごやキッチンに挿したりしています。そんなふうに、外と中で楽しめる空間になっているんです。来場されたら、外に出て歩いてみたり、植物を愛でてみたりということも併せてしていただくと、『余白の在る家』の良さがより伝わるんじゃないかなと思います。
カーテンを開け放っていても安心できるスペースになっているところが『余白の在る家』の魅力。これは本来、なかなか難しいことなんですよね。プライベート感と開放感の両方が味わえるというのはすごく魅力だなと思います。「縁の間」から1段下りてテラススペースがあり、そこを少し下りて玄関側に向かうと、通路なんですけれども、両脇に少し植物を置ける、ちょっとお庭っぽいようなスペースがあります。奥行き感が結構あり、しっかりと歩けますので、これだけのスペースでもこういった体験ができるんだ、ということを味わってみてください。そこに配した植物も、花が咲いて、実がなって、収穫して食べられたり、紅葉して落葉後、冬の光の入り方が違かったり。壁に木の影が映っているのが面白かったりしますので、ぜひその目で楽しんでください。
ヘーベルハウス久々のコンセプトモデルができあがりました。「この壁が居心地を変える」をキャッチコピーにシェルウォールを巧みに計画し、道路や隣家からの視線を上手に遮りながら、空や緑などの自然を取り入れる設計手法「賢く開いて、賢く閉じる」を実現した展示場になっています。季節、時間、天気によって様々に表情を変える空間をご堪能ください。石井さんのスタイリングによる家具・小物や、渡邉さんのプランニングによる外構・植栽も、細部に渡り丁寧にセレクトして作り込まれておりとても魅力的です。インテリア、外構だけでもワクワクする、皆様の暮らしの参考になる価値のあるものに仕上がっています。ぜひ、展示場まで足を運んで頂ければ幸いです。
電車でお越しの方:
JR根岸線「港南台駅」より駅前通り沿い徒歩3分
お車でお越しの方:
横浜横須賀道路「日野IC」より5分、同「港南台IC」より7分
『余白の在る家』は、シェルウォールを使って、中間領域という外とも中とも言えないような領域を設けて、暮らしをより良くしようという住まいです。シェルウォールには囲われ感や包まれ感があり、精神的に安心する効果もあるんですよ。