50’S RESEARCH PROJECT
疑問 QUESTION
次に家を建てるとしたら?50代の理想の住まいについて、考えてみました。
家族構成の変化やこれからの生活に対応するため、50代に入って住み替えを検討する人は少なくない。Casa BRUTUSでは読者組織Casa iDに向けて50代の理想の住まいに関する意識調査を実施。50代未満の人は自分が50代になった時を想定して、どんな家に住み、どんな暮らしをしたいか回答してもらった。約2100名の声から見えてきた“50代の家づくり”の声を紹介します。
Casa BRUTUS分室研究
調査結果 RESULT
自由度が高い戸建新築注文住宅が人気。
(グラフ)いま住んでいる家のタイプは?(n=2102)
- 戸建て新築注文
- 賃貸マンション
- マンション
- 戸建て中古
- 戸建て新築建売
- その他
- 賃貸戸建
「戸建新築注文住宅」と回答した人が全体の3割を占めて一位に。戸建はマンションに比べて面積が広い場合がほとんどで独立性も高い。建物からすぐにアクセスできるガレージや庭が作れるのも魅力だ。中には、ペットとの暮らしを満喫するために戸建を選んでいる人も。
ライププランを反映できる戸建注文住宅が一位に。
(グラフ)これから新しく住んでみたい住宅のタイプは?(n=2102)
- 戸建て新築注文
- マンション中古リノベ
- 戸建て中古リノベ
- マンション新築
- その他
- 賃貸マンション
- 戸建て新築建売
「戸建新築注文住宅」が一位。次いで、「マンション中古リノベ」、「戸建中古リノベ」の結果に。いずれも理想の暮らしを住空間に反映できる点が人気の理由のよう。新築派の人の中には、中古物件に対してリフォームの費用が高くつくことや給排水管の老朽化を懸念する声も。
家づくりには積極的に関わりたい人が7割越え。
(グラフ)家づくりにはどの程度関わりたいですか?(n=2102)
- 深く関わりたい
- ある程度任せたい
- お任せしたい
- その他
家作りに深くかかわりたい人が多数。ただし、理想を盛り込むにあたっては家づくりについて調べたり、打ち合わせの時間を設ける必要があり、負担に感じる人もいる。建売住宅は注文住宅と違って完成後の空間を見て購入を検討でき、「想像と違った」というリスクが減らせる。入居までの期間が比較的短いところも人気のようだ。
働き方の変化を見据え、仕事場を兼ねたい人も。
(グラフ)次に家を建てるとしたら、住居形態は?(n=2102)
- 一世帯
- 住居+仕事場
- 二世帯
- その他
「一世帯」と答えた人が6割と多数。また、住宅と仕事場を兼ねたいという人も約3割いる。勤務先に通うのではなく自宅で働く環境を整え、仕事をしたいという人の中には作業に集中でき、オンライン会議にも適した自分だけの個室(書斎)が欲しいという意見もあった。
50歳以降の働き方。
無理なく、やりがいのある仕事を続けたい人が多数。

-
「職住一体。のんびりと年を重ねても働きたい」
(60歳・デザイン・クリエイティブ職)
-
「自宅のお気に入りの空間で仕事をする」
(29歳・デザイン・クリエイティブ職)
-
「無理せず、プライベート重視」
(37歳・会社員・公務員)
-
「仕事よりもプライベートを重視。 趣味や食事に時間をかけて生活したい」
(45歳・主婦・主夫)
いつまで働くのか、老後をどう過ごすのか。キャッシュフローを計画するにあたって将来の働き方を考えることも重要だ。自由回答で意見を募ったところ、がむしゃらに働くよりもプライベートを大事にしながら無理なくやりがいのある仕事をしたいという意見が多かった。
アートや緑が楽しめる余白がほしい。

-
「キッチン、リビング、寝室だけでなく、趣味やアートを飾れる休息の空間が欲しい」
(35歳・契約社員・派遣社員)
-
「今の家は賃貸で圧迫感を感じるので、次は開放的な間取りの家に暮らしたい」
(37歳・会社員・公務員)
-
「日当たりが悪く、狭い家に暮らしているので、自然光がふんだんに入る大きな窓がある家が理想」
(28歳・デザイン・クリエイティブ職)
暮らしてみて気づいたことを次の家づくりに活かしたい人は多い。回答の中には「最低限生活ができる空間に加えて、趣味やウェルネスを考慮した空間がほしい」、「自然を感じられるルーフバルコニーや大きな窓、グリーンに囲まれた空間が欲しい」といった声が寄せられた。
窓の少なさや日当たりの悪さに不満が。
(グラフ)現在の家の窓や採光についての悩みを教えてください。(n=2102)
- 開口部を広く取りたいが、プライバシーも気になる
- 結露しやすい
- 機密性が悪い
- 日当たりが悪い
- 風通しが悪い
- その他
日当たりや風通しの良し悪しは暮らしの質を左右する重要なポイント。現在の住環境に不満がある人の中には「日当たりが悪く、窓が小さいため部屋全体が暗い」、「目の前に住宅が立ち、カーテンを開けられなくなったため採光が取れる天窓が欲しい」といった悩みの声も。
ゆとりや開放感がキーワードに。

-
「空間が広く、ゆとりのある家」
(37歳・会社員・公務員)
-
「中庭のある家に住んでみたい」
(43歳・主婦・主夫)
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「周辺との関係を遮断しつつ、開放感のある家」
(32歳・デザイン・クリエイティブ職)
-
「吹き抜けがあり、採光のある広い家」
(36歳・会社員・公務員)
30、40代に比べて家で過ごす時間が増え、趣味や趣向も確立されてくる50代。家に求める役割も、忙しい日々を下支えする生活の場ではなく、ゆったりとした日常を実現するくつろぎの空間へ変化。「自然(緑)」「庭」「開放感」「趣味を楽しむ」といったキーワードが目立った。
機能性よりも趣味や癒し。
-
「30代は家族優先、50代以降は自分の時間を考慮」
(50歳・経営者・会社役員・管理職)
-
「30代は機能性、50代は癒し」
(41歳・経営者・会社役員・管理職)
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「30代は仕事中心、50代以降は趣味中心」
(60歳・会社員・公務員)
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「30代は通勤が便利な土地を優先したが、50代以降はくつろぎを優先したい」
(34歳・会社員・公務員)
家族構成や勤務地、勤務時間が変化しやすい30代に比べて、50代以降はある程度生活が落ち着く傾向にある。将来を見据え、人生を豊かにするような癒しやくつろぎ、趣味を楽しめる空間、体力が衰えた時も過ごしやすい生活動線を意識した家を求める回答が多かった。
text_Mariko Uramoto
editor_Keiko Kusano
Illustration_Norihiko Shimada(paper)
考察 ANALYSIS

好みが明確に
なってきた50代は、
理想の住み替えが可能に
仕事の向き合い方や家族との過ごし方に変化が訪れる50代。これからの生き方を見据え、住環境に求めるものも変化しているようだ。Casa
BRUTUSが読者に向けて「50代の理想の住まい」について行ったアンケートをこうして丹念に見ていくと、さまざまな傾向が見えてきた。
たとえば、これまでは部屋数の多さを重視していたが、ゆとりのある空間で過ごしたいという声や、家で過ごす時間が増えることで自然光や風を感じたり、趣味を満喫できる家に住みたいという意見が目立った。
一般的に50代は若年層と比べて、好みが明確になっているため満足度の高い住み替えがしやすいとも言われている。50代の理想のライフスタイルを具体化し、それに合わせた住環境を整えることでこれからの暮らしはさらに快適になりそうだ。

Casa BRUTUS
カーサ ブルータスは1998年、生活に必要な「衣・食・住」のうち、日本人に足りなかった「住」の要素を充実させようという時代の空気を感じ取り、生まれました。
建築、住宅、インテリアを中心に、デザイン、アート、食、ファッションまで最先端に網羅。時にミーハーに、時に深~く掘り下げてご紹介する「Life Design Magazine」です。

余白の在る家 RATIUSRD
50代が理想の暮らしを叶えるための、「間」を設ける
余白の在る家の特徴は、「シェルウォール」という一枚の壁から生まれる、外でも内でもない「間」。
プライバシーを守りながらリビングに広がりをもたらしたり、光や緑を取り込み、四季の移ろいを感じさせたり。50歳を見つめる先にたどり着いた、ゆとりある暮らしを叶える住まいです。