50’S RESEARCH PROJECT
疑問 QUESTION
終の住処となる家、どんな家にしたい?
50代以降のセカンドライフを考える時、長い時間を過ごすことになる住まいに求める役割はどう変化するのか?Casa BRUTUSでは読者に向けて「50代の理想の住まい」に対する市場調査を行った。約2100人の声からこれからの生き方を踏まえた具体的な「理想の家のあり方」が見えてきた。
Casa BRUTUS分室研究
調査結果 RESULT
集中できる自分だけのオフィス空間がほしい。
(グラフ)50代以降の理想の仕事部屋は?(n=2102)
- 完全に部屋が区切られている
- リラックススペースがある
- 住居スペースとシームレスになっている
- オンライン会議がしやすい
- その他
「完全に部屋が区切られている仕事部屋」が一位に。生活音が入りにくい環境はWeb会議に集中しやすく、家族に話しかけられて作業が止まる心配もない。自分なりのリラックススペースを作れるのもホームオフィスならでは。「季節の移り変わりが感じられる空間」も人気。
すっきりとした空間を実現するためにも増やしたい。
(グラフ)収納スペースは増やしたい?減らしたい?(n=2102)
- 増やしたい
- 同じくらい
- 減らしたい
- その他
いつでも片付いた家をキープするために重要なのが収納スペース。身軽な生活に憧れるが、「子どものものは捨てられない」「来客用の寝具は必要」など、ある程度の収納はほしいという声が。10年後、20年後も意識して収納の容量、ものの出し入れがしやすいかが、ポイントに。

子どもの独立後、どう活用するかが問題。
Q.子ども部屋の悩みはありますか?
-
子どもが出て行った後は倉庫になるしかないので、新築設計時から将来的なビジョンを持った方が良い。
(59歳・自営業)
-
今は子どもたちは独立して同居はしていませんが、ちょくちょく泊まりがけでくるため、部屋をそのままにしてあります。うまく活用したいと思います。
(65歳・主婦・主夫)
-
子どもが独立して普段使わなくなったので、他の用途に使っていいものか、たまに帰ってくるのでそのままがいいのか悩んでいる。
(63歳・無職・その他)
子が巣立った時に子ども部屋をどうするか頭を抱えている人は多い。「子どもが帰省する時に使うので、部屋はそのまま。他の用途に使っていいのか悩む」「物置き化している。書斎やゲストルームに活用したい」。設計時から将来的なビジョンを持っていた方がよさそうだ。
ひとりで気ままに過ごせる空間が鍵に。
(グラフ)50代以降の家づくりで重要なことは?(n=2102)
- 自分の時間を過ごせる空間
- バリアフリーを考えた間取り
- 断熱性・気密性・換気に優れた家
- 家事効率の高さ
- その他
仕事や家事、育児に使っていた時間を自分のために使いたい人は多く、ひとりで快適に過ごせる空間がほしいという人が3割以上に。老後も快適に暮らせるようバリアフリーや、快適性や光熱費の節約にも直結する気密性・断熱性能を高めた住まいづくりを意識する人も多かった。
心にもゆとりが生まれる余裕のある家が理想。
(グラフ)贅沢な家づくりとはどんな家?(n=2102)
- スペースにゆとりがある
- 住宅設備が充実している
- 庭がある
- 住宅資材のバリエーションが豊富
- その他
見た目の豪華さを追求するよりも、広さに余裕がある家の方が心にゆとりが生まれ、贅沢に感じる人が多数。また、玄関や廊下、水回りに至るまで家全体の温度を一定に保つハイスペックな住宅設備や、マンションにはなかなかない「庭」がある家に憧れる人も一定数いる結果に。
家の印象を左右する
家具や素材にこだわりたい。
(グラフ)家づくりで何に一番お金をかけたいですか?(n=2102)
- 家具
- 壁紙や床材、外壁
- グレードの高いキッチン&ユニットバス
- アート
- 家電
- その他
優先したいところにしっかりお金をかけることで納得のいく家づくりが叶う。読者が選んだのは「家具」が一位。また、建築後に変更しづらい壁や床材、外壁に重きを置きたい人も多め。その他の中には「緑豊かな庭づくり」「中庭やテラス」と外の空間を重視する人も。
長くなるからこそ住み心地を追求したい。

子どもが巣立ち、仕事が落ち着く50代以降は「家にいる時間が増える」と答えた人が7割。これから多くの時間を自宅で過ごすことを見据えて、間取りや住宅設備を検討したいという声が多かった。少なくなると答えた人の中には旅行を楽しみたいという意見が目立った。
生活動線を集約し、
自然を感じられる住まいが理想。
(グラフ)終の住処となる家、どんな家に住んでいたいですか?(n=2102)
- 階段がない平家
- 植物を眺められる庭がある
- 断熱性や機能性がある家
- 和風住宅
- その他
-
バリアフリー、移動しやすい家
(49歳・会社員・公務員)
-
植物を眺められる庭がある平屋
(26歳・会社員・公務員)
-
中庭があって、1部屋だけ2階の部屋から、景色が見られる
(63歳・主婦・主夫)
-
風を感じ、光を感じ、仲間を感じの住まい
(64歳・会社員・公務員)
-
自然と調和した家
(61歳・自営業)
動線がシンプルな間取りは将来的に介護が必要になった時も住みやすい。そのため、平屋住宅に住みたいという人が多かった。また、「四季の変化が楽しめる自然や植物の成長が感じられる庭や中庭のある家」「家の中にいても風や光を感じる住まい」を理想に挙げる人も。
text_Mariko Uramoto
editor_Keiko Kusano
Illustration_Norihiko Shimada(paper)
考察 ANALYSIS

外と緩やかにつながる
空間がポイントに
仕事や子育てがひと段落し、自分のために時間を使いやすくなる50代以降。読者アンケートによると、自分らしく、健やかに安心して過ごせる家を理想に挙げる人が多かった。健康な暮らしを支える採光や気密性、断熱性はもちろん、家にいながら自然を楽しめる庭(中庭)や土間を取り入れたいという人も。
外と緩やかにつながる空間は季節や時間の移ろいを感じられ、その日の気分やシチュエーションによってさまざまな過ごし方を可能にする。また、寝室や書斎以外に自分の居場所と思えるスペースがあることで、家族と程よい距離を保ちながら、自分に向き合う時間も確保できる。日々小さな幸せや充足感を感じられる住まいは、充実したセカンドライフを叶えるポイントになりそうだ。

Casa BRUTUS
カーサ ブルータスは1998年、生活に必要な「衣・食・住」のうち、日本人に足りなかった「住」の要素を充実させようという時代の空気を感じ取り、生まれました。
建築、住宅、インテリアを中心に、デザイン、アート、食、ファッションまで最先端に網羅。時にミーハーに、時に深~く掘り下げてご紹介する「Life Design Magazine」です。

余白の在る家 RATIUSRD
50代が理想の暮らしを叶えるための、「間」を設ける
余白の在る家の特徴は、「シェルウォール」という一枚の壁から生まれる、外でも内でもない「間」。
プライバシーを守りながらリビングに広がりをもたらしたり、光や緑を取り込み、四季の移ろいを感じさせたり。50歳を見つめる先にたどり着いた、ゆとりある暮らしを叶える住まいです。