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ゆとりのある暮らし

人生100年時代における
“共働き家族”のあり方とは

ヘーベルハウス駒沢第三展示場のキッチンで夫婦が一緒に料理をする様子

インタビューリビング・ダイニングキッチン

在宅勤務が推奨されるなど「働き方」の多様化が進む昨今。社会の変化に伴い、家族が家で共に過ごす時間が増えている。仕事のみならず家事育児も含めた夫婦の「共働きのあり方」が重要だと語るのは、「共働き未来大学」のファウンダーでワーク・ライフバランスコンサルタント、さらに「ゆとりうむプロジェクト」の理事と多方面で活躍する小山佐知子さん。彼女が提案する“人生100年”と言われる時代、共働き家族のLONGLIFEとは──

公私における「共に働く」を、もっと豊かに

「企業と家庭における『共に働く』をもっと快適にすることで、個人のライフとワークをより豊かに、無理なく続けられるものにしていきたい。そんな想いで『共働き未来大学』を立ち上げました」。

2017年に始動した共働き未来大学。そのルーツには不妊治療の経験から生まれた課題意識があった。企業で働きながら4年の不妊治療を経て第一子を授かった小山さん。同じ悩みを抱える女性に寄り添う場としてコミュニティサロンを設立したことが始まりだ。その後独立し、働き方の専門家として企業の働き方改革にも伴走していくことに。

「コミュニティでいろいろな境遇の方とお話する中で、不妊治療においても子育てにおいても、夫婦の価値観をすり合わせることの重要性を感じました。また、企業がどれだけ体制を整えても、家庭での負担が大きければ働きつづけられない人もいる。企業と家庭の一気通貫で『共働き方』を整えていきたいと思ったんです」。

ヘーベルハウス駒沢第三展示場のダイニングでインタビューに答える「共働き未来大学」ファウンダーの小山佐知子

先輩から生き方のヒントを学んだり、ロールモデルを見つけたり。オンラインやリアルで情報交換する中で、参加している人たちは自然と「共働き方」を模索するようになりました。

「共働き」とは「共に生きること」

働く女性の数が専業主婦を上回ったのは1989年(平成元年)のこと。この年、ヘーベルハウスは「共働き家族研究所」を設立し、以来、住宅設計をはじめ、家庭内の家事分担やコミュニケーションなど、共働き家族の生活課題の研究を行っている。

小山さんは共働き世帯の推移を見て、数字と実態の関係性について指摘する。

「データ上の数字を見ると、1989年以降、共働き世帯は増えているんですが、実際には収入面に偏りのある『共稼ぎ』世帯が多くの割合を占めています。男性が大黒柱として稼いで、女性は扶養内のパートで働き家事育児を担うといった性別役割分業、ジェンダーギャップが潜んでいるんです」。

ヘーベルハウスLONGLIFE IS BEAUTIFUL 共働き世帯数・専業主婦世帯数の推移

では、本来あるべき「共働き」の姿とはどんなものなのだろうか。

「家計や仕事だけでなく、家事育児などのライフを含めて『共に生きる』ことを『共働き2.0』と定義しました。人生100年時代、個人がどう働くかだけでなく、長い人生を共にどう生きるか、『共働き方』を夫婦で探っていく必要があると考えています」。

思い込みを手放し、ゆとりを手に入れる

夫婦が共に生きる「共働き方」を見つけ、ワーク・ライフバランスを整えていくためには、何から始めればいいのだろう。そんな疑問をぶつけると、小山さんは「難しいですよね」と寄り添いながら、前提となる考え方を教えてくれた。

「正直なところ、一朝一夕にできることはなく、『これをやればバランスが取れる』といった万能な解決策もありません。100の家庭があれば、100通りの『共働き方』があるんです」。

できることはひとつ、「対話を重ねて、価値観をすり合わせていくこと」だという。

「目先のライフハックも時に必要だけれど、小手先のテクニックだけでは暮らしにゆとりは生まれません。中長期的な視点でお互いの価値観を棚卸しして、それぞれの人生設計を共有することが大切です」。

豊かな暮らしには「思い込みを手放す」こともポイントに。

「『自分が稼がなければ』『料理は手づくりしなくちゃ』といったように、性別役割分担に紐づく『〜しなければならない』に囚われている部分もあるかと思います。本当にそうかな?と疑って、思い込みを手放していく。その上で、時短テクニックや時産家電を取り入れるなど、納得できる具体策を組み込んでいけるとよいと思います」。

ヘーベルハウス駒沢第三展示場のダイニングで妻は仕事、キッチンでは夫が料理をする様子

とはいえ、慌ただしい日々の中で、夫婦でお互いの価値観のすり合わせから始めることは少しハードルが高いようにも思う。そんなときは?

「対話の糸口として、どんな暮らしをしたいか、住まいの理想を話し合ってみるのもいいかもしれません。たとえば、子ども部屋の設計も“どんな子に育ってもらいたいか”から考える。在宅ワークのスペースをつくる際に、お互いの理想の働き方を伝える。そうすることで、家づくりを通してお互いの価値観をすり合わせることができると思います。逆に言えば、夫婦の価値観を共有することで、理想の間取りが見えてくることもありそうですね」。

ヘーベルハウス駒沢第三展示場の子ども部屋

共働き家族のLONGLIFEなあり方

共働き家族のLONGLIFEなあり方とは?──その壮大な問いに、小山さんは、働き方研究の第一人者であるリンダ・グラットン教授が『LIFE SHIFT2-100年時代の行動戦略-』で提唱する「シーソー・カップル」について教えてくれた。

「100年時代の人生を考えると、パートナーや家族との関係性、ライフスタイルやライフステージにも変化が訪れます。シーソー・カップルは、長い人生において、仕事と家庭の比重を夫婦で変えて、家計をシーソーのように交互に担っていくあり方です」。

ヘーベルハウス駒沢第三展示場のダイニングでインタビューに答える「共働き未来大学」ファウンダーの小山佐知子

たとえば、妻が育休中は夫が家計を担うけれど、子育てがひと段落して復職した後は妻が家計を支え、夫はキャリアアップを見据えて大学院でリスキリングを。交互にバランスを取りながら家計を支えるスタイルは、共働き家族のLONGLIFEを実現する上で、理想のスタイルとも言えそうだ。

「労働市場で人手不足が進む中、今後は会社の辞令や働く場所・時間に縛られず、自分のスキルに拠った柔軟な働き方が増えていくと思います。一時的に経済的に不安定になったとしても、夫婦でバランスをとりながら、お互いのスキルを磨き“柔軟な共働き方”を実現していく。それが長い視点で、家計を、家族を支えていくことにもつながるはずです」。

思い込みを手放し、対話を重ねる。人生100年時代において、柔軟な共働き方を実現するための秘訣は、いたってシンプルなのかもしれない。

小山佐知子

ゆとりうむプロジェクト理事。「共働き未来大学」の立ち上げや、Webメディア「LAXIC」の編集長など、ワーク・ライフバランスコンサルタントとして多方面に活躍する。

ヘーベルハウス駒沢第三展示場の外観

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