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ヘーベルハウスLONGLIFE IS BEAUTIFUL 及源鋳造のロゴ

ゆとりのある暮らし

南部鉄器のOIGENがつなぐ「愉しむをたのしむ」暮らし方

ヘーベルハウス三鷹展示場のワークスペースで撮影した及源鋳造の 急須 千草

リビング・ダイニングキッチン半屋外空間ワークスペース和室

約900年前の平安時代末期、平泉に栄えた藤原氏が仏具等を作らせことに始まった南部鉄器。その歴史を継承する及源鋳造は170年余りの歴史を持つ。「OIGEN」の鉄器としてニューヨーク近代美術館(MoMA)でも紹介されるなど、海外からも高く評価される同社の製品が長く愛される理由とは。鉄器づくりに込める想いについて、五代目社長の及川久仁子さんに話を聞いた。

自然の恵みと、手の感触と

岩手県で長らくつくられてきた鉄器たちを地域ブランド「南部鉄器」と呼ぶようになったのは1959年のこと。そもそもこの地で鉄鋳物がつくられるようになったのはなぜだろうか。

「岩手県を流れる北上川流域は、北上山地から流れてくる良質な砂鉄や粘土が採れます。鉄を1500度の熱で溶かして鋳型に流し込むときの燃料になる木材も山林にたくさんあります。鋳物作りに欠かせない自然の恵みが豊富にあるこの地域は、鋳造業に最適の環境なのです」。

同じ南部鉄器でも「盛岡の鋳物」は茶道具など美術的要素が強いが、及源鋳造が手がける「水沢の鋳物」は生活必需品の鍋や釜が多く作られ、庶民の生活に寄り添いながら発展してきた。しかし技術継承は、時代を追うごとに難しくなっているという。

ヘーベルハウスLONGLIFE IS BEAUTIFUL 及源鋳造で鉄瓶を作る職人小野竜也さん

写真提供:及源鋳造

「鋳物作りには、江戸時代から続く手作りの焼型(やきがた)技法と、量産できる生型(なまがた)技法があります。焼型で作る鉄瓶は伝統工芸品に指定されていますが、焼型職人の育成には長い年月がかかります。焼型技法は気候に左右されることも多く、例えば着色をするためのサビと呼ばれる液体を作るには夏の前だけ。一年に一度だけの作業なので経験するためには数年かかります。夏の暑さや冬の寒さで、型の乾燥具合なども変わります。何年かの経験を経なければ安定した鉄瓶を作ることが難しいのです」。

技術継承を担う若者は年々減っており、及源鋳造の焼型職人も1人だけ。南部鉄器業界全体でも見習いも含め40人ほどしかいないそうだ。

「体に負担のかかる造型作業には、機械も使いますが、鋳物砂の扱いはアナログです。簡単な水分量を図る装置も使いますが、砂はどんどん乾燥していきますので、職人たちは掌で砂を握りながら塩梅を図っています」。

ヘーベルハウスLONGLIFE IS BEAUTIFUL 及源鋳造で砂を確かめる職人

写真提供:及源鋳造

「焼型と生型で技法が異なりますが、どちらも鋳肌(いはだ)の美しさにこだわって1つ1つの工程の精度を高める努力を続けてきました。鋳物の品質の良さも私たちは鋳肌の美しさで判断します。美しい鋳肌は伝統の証であり、鋳物職人たちの誇りでもあるのです」。

生活者の視点に立って

人間にしかできない手作業を重んじながらも、時代に呼応するように生型技法で生産性を高めてきた及源鋳造の鉄器。その人気が高まったのは昭和40年代。販路を海外に拡げたことで「OIGEN」の名で世界に広く知られるようになったことに加え、金属造形家・広瀬愼(まこと)さんとの出会いによって、デザイン性に優れた製品が次々と生み出されていったことによる。また、廣瀬さんの背中を追って社内でもデザイナーが育っていった。

「広瀬さんがデザインした製品は、グッド・デザイン賞やロングライフデザイン賞を次々に受賞しました。そして、後を追ったデザイナー及川松美もグッド・デザイン賞及びロングライフデザイン賞を『ニューラウンド万能鍋」で受賞しました。 『ニューラウンド万能鍋』は、鍋と蓋で『焼く・煮る・蒸す・炊く』などさまざまな役をこなせます。 蓋は焼肉プレートやステーキ皿など器としても使えて便利なので、発売から50年経った今も人気ですね」。

ヘーベルハウス三鷹展示場のキッチンとダイニングで撮影した及源鋳造のニューラウンド万能鍋

1992年にロングライフデザイン賞を受賞した「ニューラウンド万能鍋」

「2000年頃に発売した『焼き焼きグリル』は、魚焼きグリルを上手に使えないという悩みに応えるために開発した製品で、MoMAのカタログでも紹介していただいています。こうした製品をきっかけに、OIGENの鉄器がある暮らしを愉しんでくれる人が増えました」。

ヘーベルハウスLONGLIFE IS BEAUTIFUL 及源鋳造の焼き焼きグリルスリム

MoMAのカタログで紹介される「焼き焼きグリル」。てこの原理で容易に持ち運べ、付属の木台にのせてそのまま食卓へ ※写真提供:及源鋳造

デザイン性と実用性を兼ね備えたOIGENの鉄器はどれも、生活者の視点に立って生み出された永遠の定番ばかりだ。

ヘーベルハウス三鷹展示場のキッチンで撮影した及源鋳造のネイキッドフィニッシュ製法でつくられたフライパン

鉄器を900℃の高温で焼くことで鉄自体の組成を変化させ、錆びににくくする「ネイキッドフィニッシュ」製法で作られたフライパン

なかでも海外で高く評価されているのが、2003年に開発された「ネイキッドフィニッシュ」と呼ばれる革新的な技法だ。化学塗料やほうろうなどのコーティングを一切せず、錆を防ぐ世界初の技法で作られたノンケミカルの安全な製品は、「鉄と砂」に170年以上向き合ってきたOIGENならではの、今とこれからを見据えたサステナブルな技法と言えるだろう。

育てるように使い込む喜び

南部鉄器の魅力は、長く使い続けるうちに自分仕様の鉄器に変化していく点だ。安くて便利なモノがあふれる現代社会で、あえて時間をかけて丁寧に使い込んでいく鉄器が喜ばれ、愛されるのはなぜなのだろう。

ヘーベルハウス三鷹展示場のそらのまで撮影したアクアパッツァが入った及源鋳造のダッチオーブン天火

「デジタル社会が発展し過ぎた反動で、アナログを愉しんで心のバランスをとっている人が増えているのかもしれません。キャンプがブームになったのもその1つだと思います。ダッチオーブンに名入れをしたお客様は、『仲間とキャンプしているときに自分の鍋を間違えたくない』と言っていました。“自分の鉄器”という意識を持って使い込んでいくうちに愛着を持ってくださる方も多いですね」。

健康志向の高まりや、ナチュラルな暮らしが注目されている昨今。毎朝の日課として白湯を飲むために鉄瓶を購入する若い女性も多いという。

ヘーベルハウス三鷹展示場の和室で撮影した鉄瓶まろみアラレから白湯を注ぐシーン

鋳肌の美しさが際立つ鉄瓶。ハンドルが熱い場合はミトン等の使用を推奨

「鉄瓶でお湯を沸かすと、軟水化して舌触りがまろやかになるんです。『鉄瓶の内側に付く白い塊はなんですか?』という質問も受けるのですが、これは水に含まれるカルシウムが結晶化したミネラルの塊。私たちはこの湯垢をラッキーサインと呼んでいます。サビも防止してくれるので、こすり取らずにそのまま使い続けるこがおすすめです」。 鉄サビを防止するためには、お湯を沸かしたあと軽く空焚きして水分を蒸発させなければいけない。そのひと手間こそが、今、鉄器が求められる理由になっているという。

「手間」を愉しむ暮らしを未来へ

親から子へ、子から孫へと100年も200年も使い続けられる鉄器は、その家族の歴史の一部となっていく。「東日本大震災のときには、被災者が家を流された場所から鉄瓶を見つけ出して修理に持ってきてくれたこともありました」と及川さん。

「あのときは、それほど大切に使ってくれていたんだなとありがたく思いました。東日本大震災を機に、自分にとって本当に大事なものを大切に使い続けたいというお客様も増えました。鉄はもともと地球の一部ですから、津波に流された鉄器も何百年後かには地球の一部に戻るでしょう。地球に優しい鉄器のサステナブルな魅力も見直されているように感じます」。

そう語る及川さんが考えるLONGLIFEとは何だろうか。

ヘーベルハウス三鷹展示場のキッチンカウンターに及源鋳造の鉄瓶まろみアラレ、ダッチオーブン天火、急須千種を並べて撮影

「鉄器というのは、ボタン1つで使えるような簡単・便利なモノではありません。使う上で少し手間はかかるかもしれませんが、その手間は『愉しみ』でもあると思います。鉄器と暮らしながら『愉しむをたのしむ』人たちを増やしたい。100年たのしめるモノを作ることで、100年先に伝統工芸をつなげていきたい。そういう思いで、私たちもモノづくりをたのしんでいます」。

「私たちが鉄器を製造することが伝統工芸の未来につながります。伝統を大事にしながらライフスタイルに合う商品を作っていくことが、日本の文化の継承にもつながっていくでしょう。それが私たちの考えるLONGLIFEですね」。

「鉄と砂」に向き合い、暮らしの楽しみ方を提案するOIGEN。そのアナログだからこその愛着や温かみは、今の時代にこそ必要とされ、人々のライフスタイルを自分らしく彩ってくれるのだろう。

OIGEN:
https://oigen.jp/

ヘーベルハウス三鷹展示場の外観

ヘーベルハウス三鷹展示場

  • ■住所:東京都三鷹市大沢3-2-37(駐車場完備)
  • ■アクセス情報
    JR三鷹南口より小田急バス51番[武蔵小金井行]
    または52番[朝日町行]で「大沢十字路下車」
    武蔵境駅南口より小田急バス91番[調布駅行][狛江駅行]で「大沢」下車
    京王線調布駅北口より京王バス6番[武蔵小金井駅行]で「大沢十字路」下車
    ※営業時間等についてはお電話にてお問合せください。
    ※ご来場前⽇の17時以降ご予約の場合、ご対応できないケースがございます。その際は恐れ⼊りますが、直接お電話にてご確認をお願い致します。
  • ■旭化成ホームズ(株)
    東京中央支店 営業課 0422-39-1201
  • ■HP: https://www.asahi-kasei.co.jp/hebel/model/detail/view/?mhid=24

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