川口先生のペットコラム
旭化成ホームズ株式会社
Profile
ゾウの先生 川口 幸男

1940年東京都伊豆大島に生まれる。上野動物園飼育課を定年退職後、エレファント・トークを主宰。講演や執筆をしている。講演依頼は、メール またはFax 048-781-2309にお願いします。
NHKラジオ番組夏休みこども科学電話相談の先生でもあり、本編では長年の経験を踏まえて幅広く様々な話題を紹介します。
わんにゃんドクター 川口明子

日本獣医畜産大学卒業、同大学外科学研究生として学び、上野動物園で飼育実習後、埼玉県上尾市にかわぐちペットクリニックを開業する。娘夫婦もそろって獣医師で開業しており、一家そろって動物と仲良くつきあっている。
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・動物の住居
・手の話(3) 指紋
・手の話(2) いろいろな動物の手
・カメの冬眠
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・ゴリラの頭とゾウの頭
・ブタもおだてりゃあ木に登る

動物の住居 2007.12.18

今年の我が家の一大イベントは、2月に30年近く住んだオンボロ家から念願の新家屋に移転したことだ。そして、慎重に選んだ住宅メーカーがくしくもヘーベルハウスだった。
動物園のケージは地震で建物が壊れて猛獣が逃げたら事件なので、恐らくみなさんの想像以上に強固だが、我が家の基礎工事の頑固なまでの鉄筋の組み方も動物舎並で、ウーン、これなら安心と胸をなでおろした。今後30年のメンテナンス計画も示されたが、そんなに生きていられるか、と一応反発してみた。

人間は動物と比較にならないほど遊び心が発達しており、住まいも、外観から内装まで多様になっている。さらに、50階、100階建ての建築もあり完全に動物の住まいと違ったものになった。それでも基本的な部分では、人間もまた酸素を吸い、二酸化炭素を排出し、食事をし、排泄する点では他の動物たちと同じである。住処をもつ動物は暑さ寒さから逃れたり、外敵から身を守ったりするために地下や樹上などを利用している。


  プレーリードッグ
  岩の下に巣穴の入り口があって、すぐに逃げこめます。
  プレーリードッグの巣穴
  低い山(入り口)から入った空気は、部屋を通り高い山から出ていきます。
  プレーリードッグ
  リスみたいにかわいいでしょう。
   
いくつか代表的な種類の住まいを紹介しよう。
  1. 地下にもぐり、寒さや暑さを防ぐ、
プレーリードッグ。
  2. 樹上に作るオランウータン。
  3. 洞窟や木の洞にもぐりこむコウモリ。
  4. 川の中に作るビーバー。

プレーリードッグの巨大な地下街
彼らを有名にしているのは地下に巨大な町をつくることだ。北米中部の広大なプレーリー(平原)に、巨大な地下の町を作っていて、19世紀始めには、その数40億頭いたと推定されている。モグラもそうだがプレーリードッグも生息地にはたくさんの塚が築かれ、地下は縦横に穴が掘られて繋がっている。休憩する場所には乾草が敷かれ居心地が良さそうだ。そこで問題となるのは、換気をどうしているか、と言う点だ。じつは、塚の出入り口には、掘り出した土を高く山積みしているが、皆同じ高さではなく、高い山と低い山があり、低い山から入った空気は各部屋に空気を入れて、もう一方の高い山から排出される。これで何時でも清浄な空気が地下の町に行き渡ると言う寸法だ。ところが、ここでも人間が彼らの移住区に移り住むと、家畜のウマやウシが彼らの穴に足をとられ骨折する事故があり、駆除された結果今ではかつてのような大きな町はないそうだ。

私もプレーリードッグを担当したことがあるが、地下に住む動物で苦労するのは、彼らが想像以上に穴を掘る能力に長けていることだ。たとえば、ステンレス製の金網を入りめぐらせても、1箇所でも大きかったり、とめ方が充分でなかったりしているとそこから脱出する。そうなると事件勃発で探索が始まるのだが、姿が見えないので一苦労である。

動物の脱出に関する失敗談は、いろいろあるが、いずれも円満に解決しているので、深く触れないでおこう。

プレーリードッグ
体長で30cmから40cm、尾が10cmくらいあるリスの仲間だ。彼らは群れで生活しているが、基本的にオス1頭に4頭のメスの繁殖集団と、若い雌雄が共同で生活しており、この群れをコテリーと呼んでいる。個々のコテリーは縄張りを持っていて、真冬の交尾期はお互いに攻撃的になるが、およそ1ヵ月の妊娠期間を経て、春が訪れる頃5頭前後の子が生まれるとまた静かな町になる。

 
手の話(3) 指紋 2007.11.28

赤ちゃんが生まれると記念に手型や足型をとる。自分の赤ちゃんはかわいくできる限りのことをしてあげるが、子どもが親の気持ちを本当に理解するのは、自分が親になって子育をしたときだろう。そこでこの気持ちを理解してもらうためにも、
「未婚の人たちにも結婚を勧めたい」
と言ったら、子どもたちに、現代はそんなことを他人がとやかく言う時代ではない、とたしなめられた。

  オランウータンの手
  オランウータンの手・親指が短いけどみなさんの手とそっくりでしょう。群馬サファリ・パークの川上茂久園長撮影


指紋は掌にある皮膚が隆起した部分を指し、専門用語では皮膚隆線という。本文では分かりやすいように指紋とよんで話を進めよう。多くはサルの仲間で人間と似たような手の形態をしているが、有袋類(オッポサム目ともいう)の仲間にもサルと似たような手を持つものがいる。その一つがニューギニアやオーストラリアにすむクスクスだ。体長は30〜40cm、同程度の長さの尾をもち、体重も2〜3kgだ。主に樹上で生活し、果実や木の葉、昆虫などを食べていて、手の親指と人差し指が他の中指、薬指、小指と向かい合い物を握る。そして、手には指紋がある。

指紋の役割は大別すると2つある。一つは滑り止めであり、もう一つは触覚としての感覚器官である。目の不自由な方は、手で触ることで多くのことが理解できることは周知の事実である。それは指紋の隆起した部位が物に触ると、刺激を受けて神経線維を通じて脳に情報が入る。隆起していることで刺激を感知しやすくなっている。

サルはネズミのような形をした祖先型の原猿類と呼ぶ仲間と、私たちが見慣れているニホンザルやオマキザルなどがいるが、指紋を比べると、原猿類よりニホンザルの方が複雑な指紋だ。一方、現在の類人猿や人類では単純化しているが祖先はもっと複雑な指紋を持っていたのでは、と指摘する学者もいる。

チンパンジーやゴリラが4本足歩行するときはナックル歩行をする。人差し指から小指まで軽く握り、第二関節を地面につけて歩く。そのため指の背側にも隆線がある。南米のクモザルは尾を枝に巻きつけてぶら下がることができるが、この尾の内側にも指紋と似た隆線がある。

 
  うーん、きみたち来年は環境破壊がもっと進み住みづらくなりそうだねー。

人の指紋は、基本型として弓状紋、蹄状紋、渦状紋の3つに分けているが、それぞれの特徴は呼んで字のごとくである。基本形は3つでも指紋は一人一人違い、親子でも双子でも違うため、現在でも警察が犯罪捜査の犯人を特定するときなどに活用している。ただし、一卵性双生児の場合は良く似ているようだ。

人間にはもう一つ手相判断という指紋の使い道がある。手相学は数千年の歴史があり、アリストテレスも見てもらったとか。私は残念ながらまだ見ていただいた経験がない。
「あなたは東に行けば金運が付いているとか、西に行けば女難の相がある」
なんてね。そう言えば今日は新宿に予定があった
が、家から見れば西だなー。

手の話(2) いろいろな動物の手 2007.11.19

以前飼っていたネコのミーちゃんは、ネズミや小鳥を捕まえるのが上手で、やんわりとくわえてカミさんの部屋に持ってくる。夜の獲物は、ハタネズミやモグラだが、そっとくわえてくるのでダメージはない。ハタネズミなどは放されたとたん一目散に逃げ出し、格好の避難場所となるタンスの後ろに隠れるので、私もたたき起こされ寝ぼけ眼でタンスを動かし、ハタネズミの救出となる。


  モグラの頑丈そうな手。
  モグラの頑丈そうな手。
写真家 大高成元氏撮影
  ジャイアントパンダの手
  ジャイアントパンダの手
奥の肉球が6番目、手前の大き目の肉球を7番目の手と言っている。
写真家 大高成元氏撮影
   

動物の手は、使い道によって少しずつ、いや全然というくらい違うものもいる。
モグラはご存知のように地下で生活するため、穴掘り名人だ。何しろ1頭で年間数百kgの土を掘りだすそうだ。その穴掘り用の手(前足)は、5本の指の横にもう一本小指を補強するような弓状の骨があってまるでグローブに頑丈な爪があるような感じだ。こんな頑丈な手と爪をもっているからこそすばやく穴が掘れるのだ。

余分な骨という点では、今ではパンダの方がメジャーで、手には5本の指のほかに6番目の指がある、と言われる。もちろん、本物の指ではなく種子骨が人間で言えば親指のような役割をしている。パンダの親指は人間のように物をつかむ配列ではなく、人差し指や中指などと同じ付き方で並んでいるので、物をにぎるときはこの種子骨を親指代わりに使っている。最近はさらに副手根骨が7番目の指の代わりをしているとの報告もあるが、見ていると竹くらいの太さなら6番目の種子骨を使ってにぎっているようだ。しかし、もっと太いものを持つときに役立っているのかもしれない。

マレーグマの飼育も担当したことがあったが、彼らの手もまた大きく爪も頑丈で長い爪を持っていて、私たちが苦心して作った藪もたちまち掘り起こされてしまった。かれらは蜂蜜やシロアリが好物なので、ちょっと探して見ただけだろうが私はがっかりし、狭い放飼場ではチップの方が良かった、と反省したものだ。

インドのダージリンにあるヒマラヤ動物園に行ったとき、ユキヒョウをまじかに見せてもらった。ユキヒョウはチベットやヒマラヤの標高2000〜5000mの山岳地帯にすむ動物で30〜90kgもあり、餌は主に野生のヒツジの仲間だ。このユキヒョウの掌は大きく、雪に埋もれた場所を歩くのに適応している。

ところでデスマンという名の動物をご存知だろうか。私は初めてこの名前を聞いたときホラー映画に出てくる怪人かと思ったが、調べてみるとモグラの仲間で、ロシアデスマンやピレネーデスマンがいることが分かった。川の近くで生活し、サカナや貝、昆虫から水生植物の根まで食べている。日本のモグラばかり見ていると、モグラは地下に住み、ミミズや昆虫が餌とばかり思っていたが、水中に潜って餌をとるモグラもいるのだ。そして、このモグラの手に少し水かきが付いている。ビーバーの手に水かきが付いていても不思議はないが、モグラにもあるとはびっくりだが手は生態と密接に関連している。

白魚のような手が憧れだったが、差し障りが在るといけないからこの話はよそう。

カメの冬眠 2007.11.2

真夏の暑さも体に堪えたが、11月になりそろそろ北風がひゅりと吹き始めるころだ。
まことに勝手ながら、猛暑もいやだったが、寒いのもまた辛いね。これからしばらく「春よ来い」と暖かい春を心待ちにしながら散歩するか。


  アルダブラゾウガメ 成獣の体重は150kgから200kg近くになる大きなリクガメ。
  アルダブラゾウガメ 成獣の体重は150kgから200kg近くになる大きなリクガメ。

寒い地方では、真冬に小皿に入れた水を外に出せば簡単に凍るが、大きなバケツに入れた水が全部凍るまでに時間がかかる。こんなことからも分かるように、この地で生活する小型の動物たちは、特別な冬の過ごし方を手に入れた。それが冬眠だ。日本で冬眠する哺乳類ではシマリスやコウモリ、ヤマネなどが代表的だ。ヤマネの夏季の体重は、わずか20g程度だが、冬眠前になると40gまで太り、体力を蓄えてから冬眠に入る。冬眠は凍ることのない地下や木の洞などに潜り込み、体の代謝を抑え、冬をやり過ごそうとするものだ。もちろんツキノワグマやエゾヒグマも冬眠するが、クマの冬眠はヤマネに比べれば眠りが浅く、冬ごもりとも言ったほうが生態を上手く表現している。

ペットにカメを飼っている人も多いので、日本に住むイシガメやクサガメの冬眠のさせ方を簡単に説明しよう。

  カメの冬眠 上記の注意点を読んでから実行してください。
 

カメの冬眠 上記の注意点を読んでから実行してください。

  1. 冬眠させようと考えていたら、室内で飼っているカメは外気温の変化に合わせて少しずつ下げ、日照時間も短くする。そして寒くて食欲が落ちてきたら餌を与えず便が出なくなり、消化管に食べ物がなくなってから冬眠に入るようにする。
  2. 夏が過ぎたら冬眠に備えて餌を充分に食べさせる。
  3. 外気温が15度以下になると食欲がなくなり、12度以下になると冬眠する。
  4. 甲長が10cmに満たないような子どもや、秋充分に栄養が取れなかったカメは冬眠を断念し、冬の間はあたためて温度を25℃前後に保ち、夏や初秋と同じように飼う。
  5. 陸上で冬眠させる場合は、15cmくらいの土の上に腐葉土や落ち葉を15cmくらい敷きつめておけばよい。カメは自分で腐葉土の下に入り込み冬眠する。冬眠したから安心してそのまま置くと乾燥させると良くない。水ゴケを端に置いておき、時々霧吹きなどで水をかけ、乾燥を防ぐ。
  6. 水中で冬眠させるには、水を30cmくらい入れて、底に土や落ち葉を10〜15cm入れておく。自然蒸発した水は同じ温度の水を足しておく。
  7. 水中の温度は凍らないのが条件で0〜5度前後に保ちたい。冷暗所の温度差が少なく静かな場所が望ましいので、外側に発泡スチロールで保護しても良い。
水中で冬眠するカメは酸素を皮膚や喉、総排出口の内側の粘膜から水中の酸素を取り込むことができるので窒息する心配はない。
冬眠から目覚め、来春元気な姿を見るのを待とう。

私もカメのように冬眠したいが、恐らく春に目覚めるほど体力がないのが残念だ。
手の話(1) サルの手 2007.10.22

インドやミャンマーに行くと、食事は右手を上手に使って食べる。かれらは、まず手で味わって、それから口で味わうので食事を二度楽しめる、と言う。食べ方を見ていると親指と人差し指をたくみに使い、一口大にまとめて食べている。日本人は何時から箸を使うようになったのだろう。


  チンパンジーがご馳走の野菜をにぎりしめている。人間の手とそっくりでしょう。
 

チンパンジーがご馳走の野菜をにぎりしめている。人間の手とそっくりでしょう。

サルの握力は非常に強く恐らくどんな力持ちの人間でもかなわないだろう。かつてのゾウ舎は隣が類人猿舎で、担当者から類人猿の話を聞く機会があった。ある日、「今日はオランウータンに抱きつかれて放すのに往生したよ」と話し始めた。彼によれば、オランウータンは手はもちろん、足の握力もとても強く、抱きつかれたときには、片手を振りほどくと足でつかまれ、足をほどけば手でつかまれて、容易に逃げることができないそうだ。オランウータンにすれば大好きな担当者と離れまいとして、抱きついていたのだろうが、それでは他の仕事ができないので、なんとか放さなければならずお互いに辛いところだ。また、直径6〜7mmの太さの5寸釘を簡単に曲げたり伸ばしたりして折ってしまう、と聞いた話が印象に残っている。ゴリラ、オランウータン、チンパンジーなどの握力を正確に測ることは難しいが、一説によればチンパンジーの握力は400〜500kgあるらしい。オランウータンの手の長さはおよそ40cmもあるのでチンパンジーより握力は強いと思う。私はサル山のニホンザルの担当も長い間受け持っていたが、子ザルたちは壁面のちょっとした窪みに指1本を引っ掛ければ指1本で体重を支えることができる。フリーハンドクライマーにとってはうらやましいかぎりだろう。

手とは、簡単に言えば手袋をはめる部位を指すそうだ。一口にサルといってもおよそ200種類もいるのだから、環境や食性に応じてさまざまな形に進化している。上野動物園では、エチオピアの高地に生息するゲラダヒヒを飼育していたが、このヒヒは野草をあげると手で器用に美味しそうな部分をすばやくもぎりとり一口で食べられるくらいにまとめて食べていた。ニホンザルも結構器用で麦や米をばら撒くと親指と人差し指でつまんで食べる。一方、樹上生活で主に木の葉を食べているコロブスや、果実が主食のメキシコからパナマにすむチュウベイクモザルの共通点の一つは、両種とも手の親指がないかとても小さいのだ。彼らは空中ブランコのように枝から枝へ移動するので、枝を握るのではなく親指を除いた4本の指を引っ掛けている。そのため親指を使わなくなり退化したので、人間やニホンザルのように米粒を指先でつまみあげることができない。

上野動物園の120周年記念のシンボル動物はマダガスカル島に生息するサル・アイアイである。細長い中指が特徴の一つで、昆虫が主食とされていたが、島泰三先生の研究によると、昆虫も食べるが、主食はラミーの果実で、硬い実に切歯で穴を開けて、長い指でかき出して食べることが分かっている。

人間の手は器用で、親指と人差し指はもちろん、他の指同士でもつかもうと思えばつまみあげられるが、こんなことができるサルはいない。

子どもの頃は、指を内側に曲げると腕に中指の先が付いたような気がしたのでやってみたが、痛くてだめだ。今度母親に内緒で孫の指をそっと曲げてみよう。

食欲の秋 2007.10.02

中学2年生の頃、先生がお汁粉を作るからと招かれ同級生5人で連れ立ってお邪魔した。トップがドンブリで4杯、あとの連中は私もふくめてそれぞれ3杯ずつ食べた。その旨さは格別でひたすら皆でご馳走になった。美味しかったし、嬉しかったなー。


  インドの自然公園では美味しそうなカヤと木に枝が主食
 

インドの自然公園では美味しそうなカヤと木に枝が主食

陸上動物で一番の大食漢は言わずもがなゾウだ。ゆっくりと移動しながら餌を探し、およそ15時間をかけて草や木、竹などを食べている。草食獣の多くは体重のおよそ5%を食べるので、5トンのゾウは250kgの餌を食べることになる。ところが動物園で250kgも食べていたら、たちまち肥満となる。理由は簡単、野生状態で食べている食物より栄養価が高い上に、慢性の運動不足が災いして肥満となる。まるでメタボリック症候群に悩む現在のわが身を見ているようなものだ。話しを戻そう。本来ならば、餌探しに費やしていた時間が不要になるため、その時間の過ごさせ方が動物園の命題の一つとなった。理想を言えば、野外の野草や木の枝などを与えて短時間で食事が終わらないようにすれば良いのだが、毎日大量の餌を集めることは容易ではなく、どうしても乾草が主体となる。現在は家畜の乾草を使っているが野生動物用の栄養価の低い乾草があれば良いと思う。

20年以上前になるだろうか、北米の動物園で新しい試みがなされた。肉食獣が餌を捕るときの条件の一つとして、全神経を緊張させ食べさせようと考案し、餌をレールの上を走る台上に乗せるというものだ。しかし、与える時間を覚えると、その時間に餌が出てくるのを待つようになりあとはまた寝てばかり。そこで時間を不定期にしたところ、今度は餌の出てくる入り口で緊張しながら待ち続けストレスが溜まる。このように常に試行錯誤を繰り返し、どのようにすれば野生状態のような採食様式を取り入れられるか、今でも模索中である。

 
日本のように四季のあるところでは、多くの動物が冬に備え秋に食欲が増大し、十分に体力をつけたクマ、シカ、サルたちは発情して繁殖行動が活発になり子孫を残していく。とりわけ寒い地方の動物たちは、充分脂肪を体内に蓄えておかないと、年老いた個体や病気になった個体は厳しい冬を乗り切れず死に至ることも珍しくはないだろう。まさに大いに食べて太るべしである。

さて、私たちは動物とは比較にならないほど多種多様な物を食べているにもかかわらず、ニシキヘビの餌にウサギやニワトリを与えるのを見ると、なんて残酷なことをすると、たちまち抗議の電話がくる。肉食動物は生きている動物を食べ、獲物の内臓から肉まで食べることで生きている。ライオンがキリンを食べようが、ヘビがカエルやウサギを食べようが、それが自然の姿だと理解していただきたい。
人間ほど残酷ではないんだから。

わが家の家族には、1年中秋のように食欲が進すんでいるネコと人間がいる。人間だって体力は大事だからまあいいか。

ネコのゴロゴロ 2007.09.21

ペットのイヌやネコを相手に会話する飼い主が増加しているようだ。
「ごめんください」と訪問すると、中で話し声がするので、もう一度大声で「すみませーん、回覧板です」と声をかけた。
「どうも、すみません、いま梅子と話していたもので、聞こえませんでした」 と慌てて玄関に出てきた。梅子とはペットの愛称で、一人暮らしの彼女はネコが話し相手だ。このような家庭では、自宅も娘や息子と同様に、ネコやイヌと一緒に暮らす快適な住まいが欲しくなり、そこでヘーベルハウスの出番となる。

ネコを飼っていると、良く分かるのだが、抱いたときや寝床に入り込んできたときにゴロゴロという音が聞こえる。この音は、ご機嫌の良いときとばかりでなく、痛みを感じるときや病気の時にも鳴らす。そこでゴロゴロ音を出しているときは、満足して出しているのか、病気のサインなのか飼い主はチェックする必要がある。生後1週間頃から出すこの音は、母親とのコミュニケーションに使われている。授乳しながらでも出すことができるので、母親は声の様子から赤ちゃんの状態が分かるのであろう。最近では、ゴロゴロ音が20〜50ヘルツの低周波音で、この音域が骨芽細胞を刺激し骨の強化に役立っている、という報告もある。

  わが家のペット、メメオ君は甘えん坊で、お母さんに抱っこされるとゴロゴロ音を出している。
  わが家のペット、メメオ君は甘えん坊で、お母さんに抱っこされるとゴロゴロ音を出している。
 
キャットウォークにつながるネコ棚
 

ヘーベルハウス プラスにゃん
キャットウォークにつながるネコ棚

ゴロゴロ音は大型のトラやライオンもだせるが、小型のネコの仲間と違い呼気と吸気の双方で鳴らすことはできない。小型のネコと言っても分類上の区分なので、アメリカライオンと称されるピューマもイエネコと同じようなゴロゴロ音を出すことができる。しかし、イエネコはヒョウやトラ、ライオンのように大声で吼えることはできない。トラやライオンは舌骨の一部がじん帯で繋がっているので咽頭を自由に上げ下げして大きな声で吼えることができる。一方、小型のネコは骨でつながり音が振動せず、小さな音しか出せない。

じつは、ゴロゴロ音をどこから出すか、諸説あってはっきりしないが、動物の行動学で著名なデズモンド・モリス氏は、彼の著書「キャット・ウオッチング 羽田節子訳1987 平凡社」の中で次のように言っている。

現在2つの説があり要約すれば、次のようなものである。
1)通常の声帯のほかに仮声帯が一対あり、人間のいびきのようなもの。
2)血液が大静脈から心臓に向かう血流が増加すると乱流が生じる。このときの血液の流れが低い音をだして、横隔膜がその振動を増幅して、器官から口や鼻、咽頭部に達するとき共鳴音として聞こえる。

そこにいくと人間の会話はすごいね。もっともかみさんが外国人だったら何を言っているのか分からなくて良いときもあるけどね。

え!あちらも同じこと言っているって。
王様の耳はロバの耳 2007.08.27

王様は自分にロバの耳がついていることをひた隠しにしますが、床屋だけは王様がロバの耳である事を知っていて、厳重に口止めしていました。 ところが、床屋はそのことを黙っていることができず井戸の中に向かって、「王様はロバの耳だ!」と叫びました。すると、その声が井戸から井戸へ伝っていき国中の者が知ってしまうのです。そこで、王様は「これはみんなの意見を良く聞けるようにロバの耳にしたのだ」〜と展開していく有名なイソップ物語があるけど、好きだなー。

  ロバの耳は大きくてよく聞こえる。写真家 大高成元氏撮影
 

ロバの耳は大きくてよく聞こえる。写真家 大高成元氏撮影

実際のロバの耳を見ると紙を丸めた奉書状になっていて、自分の意思で聞きたい方向に向きを変えることができる。耳の付き方を動物別に見ていくと、動物によって付いている位置が違うことに気づくはずだ。ロバやサイなど草食獣は後頭部に付いており、背後の音も拾いやすくなっている。一方、肉食獣の方は、頭頂部あたりに付いており、耳で獲物の位置を絞り込むのに都合が良いようだ。虫を主食にするコウモリの仲間も、超音波を聞く耳が発達していて、付き方も肉食獣に類似している。

ウサギの耳は長いものと思い込んでいる人も多いのではないだろうか。ウサギはウサギだけで一つの大きなグループ、ウサギ目と分類されるほど独特な仲間だ。大きくナキウサギ科とウサギ科に分けられるが、このナキウサギの仲間の耳はわずか1.5cmくらいしかない。一方、ウサギ科のなかまのケープノウサギなどは体も大きく体重が1.5〜4kgになり、耳は15cmくらいになる。ウサギは逃げるとき耳を立てて逃げるが、これには2つの理由がある。一つは周囲の音を聞くため、もう一つは耳に血管が集中しており、ここで血液温度を下げる放熱作用をしているのだ。

  アフリカゾウのオスの大きな耳、このゾウの体重は約7,300kgもある巨大なゾウ。
 

アフリカゾウのオスの大きな耳、このゾウの体重は約7,300kgもある巨大なゾウ。

 
アジアゾウの親子、アフリカゾウの半分くらいの耳。
 

アジアゾウの親子、アフリカゾウの半分くらいの耳。

ゾウもウサギと同じように、耳の裏側を見ると太い血管が走行していて、ここに水や泥をかけたり、耳をパタパタと動かし風を送りこんだりして血液温度を下げる。しかし、ゾウにはもう一つの使い道がある。アフリカゾウの耳の大きさは、片方で約150cmもある。両耳を広げ頭の大きさを加えるとなんと4m近くになるのだ。背の高さが3メートルある上、こんな巨大な団扇と強烈なトランペット音を出しながら群れで威嚇されたら、どんな猛獣も逃げ出してしまう。

外に出ている外耳(耳介)について書いてきたが、アザラシやセイウチの仲間には外耳はないが耳孔はあり、耳は聞こえる。アシカは小さな耳があるので、こんなところでもアザラシとアシカの区別がつく。クジラにも耳介がないので水中生活に適応した動物には不要なのかもしれない。
また、地下に住む多くのモグラには外耳がない。

あっ!痛てて、また孫に耳をかまれた。若いときと違うんだから止めとくれよ!

あえぐように暑い 2007.08.16

浴衣と洒落たいが、パジャマに団扇を片手にチョット夕涼みとしゃれてみようと、外に出てみると、舗装した道路は昼間の熱気が残りムンムンしており、たちまち汗が噴出す。やっぱり現代は冷房のきいた部屋でテレビでも見るに限るか。

動物は暑さにどうやって対応しているのだろう。講演のきめ台詞に、動物はカバンを持って学校にいかない、暑いときは直射に当たらずジャングルの木陰や土の中、樹の洞などで寝そべっている。と言っている。また涼しい場所まで移動してしまう手もある。さらに言えば、冬眠の反対で夏眠という究極の方法もある。そして涼しい朝や夕方、餌を探しに出かけになれば良いのだ。

われわれは冷房のきいた部屋に入る以外に、自分自身で体温調節する機能として汗をかいて体温調節下げることができる。動物で汗をかく種類は案外少なく、よく知られている動物にウマがいる。ただし、ウマの汗と人間の汗とでは汗腺の出る部位が違う。ウマの汗はアポクリン腺と言い毛根と同じところから分泌され臭いも強い。暑さより運動によって分泌が促されるので、ウマに汗をかかせることを、汗を揉む、と表現することがある。人間の場合は、毛根とは関係がない部位に位置しているエクリン腺から分泌され、臭いも動物の汗に比べれば少ない。運動しても出るが、暑いときに汗をかくことは良くご存知だろう。


  大きく舌を出してあえいで浅速呼吸
 

大きく舌を出してあえいで浅速呼吸している。モデルは我が家のウメコ。

 
打ち水
 

ネコに学んで夕方は庭に水を打ち冷気をよぶ。孫が喜んでやってくれる。

汗腺の発達していない動物、たとえばイヌの場合、汗腺は足の裏にあるが、この汗は、体温調節や暑さとはあまり関係がない。イヌの体温調節は、パンティング(あえぐ)と呼ばれ舌をだらりとたらし、ハアハアとあえぐので、浅速呼吸ともいう。一見するとイヌがあえぐ姿は苦しそうだが、見た目よりはそうでもないのだろう。熱帯のシナイ半島の砂漠に生息しているベドウィンヤギは、発汗とパンティングの双方で暑さを凌ぐ。

ネコの場合は、自分の体を舐めてそのとき蒸発する気化熱で涼をとる。唾液をぬって気化熱を利用する動物は他にもコウモリやネズミの仲間がそうだ。私たちが夕方道路に水をまくのも同じで気化熱を利用している。ネコに学んでいるのだ。

暑い地方にすむ動物は、体温調節をする特殊な機能を体内に備えている。枚挙に暇がないが、たとえば、ラクダの体温は朝37度から日没39度くらいだ。これ以上あがれば発汗する。このほかにも砂漠に住む動物たちはそれぞれ特殊な機能を体内にもち暑さに対応している。

イヌが暑いとき庭に穴を掘って中に入ろうとするのは、暑さを避けるためと思ってよい。ペットも人間と同じで、炎天下に散歩すれば熱射病や日射病になりかねない。小屋の作りや置場所も充分考慮して夏を上手に過ごす工夫をしてみよう。

イヌがあえぐのは当たり前だが、人間があえぐのは運動のときくらいにしたいものだ。

ライフルマン 2007.08.01

かつて「戦場にかける橋」という題名の映画があり、早川雪洲やアレック・ギネス、ウイリアム・ホールデンという名俳優が出演し日本でもヒットした。このモデルとなった場所がタイとミャンマーの国境クワイ川にかかる橋(メクロン鉄橋)で、今では観光名所になっている。近くの博物館には、急斜面の難所に線路を建設するために働く捕虜とそれを指揮する日本軍の姿が解説されている。戦争の傷跡を見るにつけ平和の有難味をかみ締める。

  クワイ川鉄橋
  クワイ川鉄橋のたもとで記念撮影。
 
クワイ鉄道
  こんなところも走る。
タイのクワイ川鉄橋から車で2時間ほどミャンマー国境に向かって北上するとお目当ての野生のゾウを見ることができる場所に到着する。夜8時頃になるとゾウが現れるというので、バンガローで待機していた。タイといえども野生のゾウは簡単に見られない。案内してくれるのは現地のゾウキャンプの連中だ。

ゾウキャンプというのは、10頭から20頭くらいのゾウを飼育し、観光客をゾウの背に乗せて、ジャングルの中、今では林程度のところが多いのだが、案内してくれる所だ。ゾウキャンプはタイでは三々五々点在し全土では数十箇所もあろう。

日中は35度〜40度くらいになり、蒸し暑くこの時間帯にウロウロしている動物はいない。みんなジャングルの木陰で昼寝でもしているのだろう。人間のようにタイムカードのないかれらは、暑いときにわざわざ働く必要はサラサラないのだ。

  野生ゾウを探しに行く
 

夜、野生ゾウを探しに行くゾウ使い。

 
野生ゾウ
 

サトウキビを食べる野生ゾウ。(これは自然保護事務所に飾ってあった写真を撮らせてもらったもの)

さて、夜8時頃から見学の準備をして待っていると、パイナップル畑にゾウが出た、とトランシーバーに連絡が入った。それ!とばかり車に乗って駆けつけると、すでに移動していない。バンガローにもどると、今度は群れがサトウキビ畑にいるという。再度車で駆けつけると、畑でサトウキビを食べているが、大勢で行くとゾウが興奮し危険だという。そこで私と同行した友人の2人が行くことになり、ガイドにゾウキャンプのベテランゾウ使い2人が付き添った。一人はライフルに実弾をこめ、ゾウが向かってきたらこれで撃つので心配ない、と自慢げに話しかけてくれた。

街灯もない畑はわずかな月明かりが頼りで、20メートル先もはっきり見えず、あたりが静寂に包まれる。ガイドが口に手を当てて静かにしろ、とサインを送っている。すると動物園時代聞き慣れたゾウが餌を食べる独特のあの音が聞こえてきた。かれらがサトウキビの皮をしごき、軽くパタパタと脚に叩きつける音から、ゾウの姿が見えなくとも私には彼らの仕草が容易に想像できた。ガイドが小声で、かなり大きな群れで20頭くらいいるかもしれない、と耳打ちしてくれた。

そのとき突然、すぐ横から地面に響くような「ウオー!」という大きな威嚇音が響いた。その瞬間、「逃げろ!」とガイドが大声で叫び、ライフルマンを先頭に一気にもと来た道に向かい走った。私もすかさず走ったがすでに安全な場所までにげたガイドが銃を片手に必死で手招きしていた。ガイドと私の3人は大事に至らず良かったとほっと胸をなでおろしているのに、ゾウの怖さを知らない友人は一番後ろから「何が起こったの?」とトコトコとついてきた。

それにしても先頭を切って逃げたあのライフルマンは何のために付いていたのだ。
動物の口 2007.07.20

ゴリラは色がわかりますか?
サカナにも鼻がありますか?
まったく子どもの質問は何が飛びだすか予測できないからこわいね。
でも子どもの頃から自然の不思議を少しでも理解したら、成長したとき自然に対する思いやりが備わる人になると思う。大切なことは、さまざまなことに疑問をもってそれを調べることだ。


  キリン
 

キリンの下顎の歯が見えるでしょう。でも上顎の前歯(切歯)と犬歯はありません。上顎の歯のないところはまな板の役割をしています。

 
ライオン
 

やっぱりアフリカは暑いのかな〜・・・。牙の間から舌が出ているね。

動物の口と食べ物
先に頬袋、歯、舌の話をしたので、各部位の働きのあらましはお分かりいただけたと思う。口の役割はいろいろあるが、肉食獣の場合は餌になる動物を殺す役割と、歯で切り裂いて小さくして胃に送り込む作業をしている。顎は上下にしか動かさない。さらに、子どもを運ぶ手段として、人やサルのように抱くことができないのでイヌやネコの仲間、たとえばトラやオオカミは子どもの首筋をくわえて運ぶ。ペットのイヌやネコも同じで、首筋をつかんで持ち上げると反射的にやんちゃなネコが静かになる。ペットのネコやイヌにもこのような習性が受け継がれているのも面白い。

草食獣の場合は、草を食べるのは当たり前だが、草食獣といえども草を分解する消化酵素を持っていなく、腸内細菌に草のセルローズを分解させて、栄養素を吸収している。この細菌が取り付くにはなるべく細かく砕いて断面が多い方が良いので、臼歯というように、石臼で挽くようにして咀嚼する。ウシなどは、反芻しながら顎を上下左右に動かしている。ゾウの食べ方を見ていると、乾草ならば、一口ほおばるとおよそ25回下顎を前後に動かして噛んでいる。さすがにりんごのようにゾウにとっては柔らかい果物は、12回も噛めばおわり。

雑食獣の場合、イノシシは土を掘り根菜類など掘り起こすのは朝飯前だ。前方に突き出している歯で土を掘り、丈夫な鼻で土をかき分け掘り出せば、あとは強力な臼歯で噛み砕くだけだ。動物は食べ物を口に入れるまでに、もっているあらゆる機能を使っている。
もちろん唾液が嚥下や消化を助けているし、頬袋が発酵を助長する場合もある。

恒例のNHKラジオ夏休み子ども科学電話相談は、私にとって頭の体操の時期だ。質問する子どもたちは5歳から中学生くらいまでだが予想外の素朴な質問で時々冷や汗をかく。私は、7月28・30日および8月2・6・7・22・23・25・30・31日の計10日間出演予定だ。サル・ゾウ・クマ・ライオン、その他哺乳類のことで面白い質問や動物のことで判らないことがあったらこの期間にNHKに電話またはメールで質問してね。
意外性のある質問が採用される率が高いよ。みなさんが不思議と思っていることに答えられるといいなー。(ゴリラは色がわかる。サカナにも鼻がある。)
泳ぐどうぶつと泳げない動物 2007.07.05

深い海に潜りゆっくり浮上してくると、タカベの群れの真っ只中だ。背にある黄色い縦じまの帯が真夏の強い太陽に反射し輝き素晴らしい光景だ。タカベは中型のアジくらいの大きさの魚で夏が旬、刺身、てんぷら、塩焼き、どんな料理にしても格別旨かった。子ども時代は、海とは食料を得るところで、天草を採って売るか、おかずにする貝や魚を採る場所であった。それが上京し、プールで何の収穫も得ることなくただ単に泳ぐ人々を見て、無駄な体力を使っているなーと思ったものだ。

動物の中で泳げない動物は何だろう、と考えたら確実に泳げないと断言できる動物が案外いない。いや文献が見つからないのだ。キリンは泳げないので、川があればそこがキリンの境界線で亜種の決めての一つと言える、という記載はあった。動物が泳ぐか、泳がないかは生活環境と密接に関連していると思う。キリンの生活環境は草原や半砂漠、アカシアがまばらに生えている土地で、毎日水を飲まなくても平気だ。砂漠のように水が少ない地域にすむ大型動物は泳ぐチャンスがないから泳げないかもしれない。しかし、乾燥地帯で生活するクロハラハムスターは頬袋に空気を溜めて浮き袋にして川を渡るという。

以前成獣になったゴリラは水場を嫌がり泳げないと聞いたことがあるが、先だってテレビで沼地か池にゴリラが入り、水草を食べている映像をみた。泳ぐ映像はなかったように記憶しているが、水場は好まないと思っていたが腰まで浸かって歩く様子をみて驚いた。ゴリラが泳げないと言うのは、飼育中のゴリラが溺れた記録があるからだが、子ども時代からプールに入り練習させれば泳ぐのか。
  水面からぴょこんと耳、目、鼻が出ている。
  水面からぴょこんと耳、目、鼻が出ている。
 

同じ大型動物で水が好きなのはカバだろう。カバの目はぴょこんと飛び出たように付いているし、鼻孔は鼻の上側に飛び出て付いているので、横から見ると水面上に耳、目、鼻が出ている。耳と鼻孔は潜るときは閉じることもできる。ワニやカエルも同じだ。今度動物園に行ったら水中にいる彼らの目や鼻を見てごらん。また、カバは潜って進むときは前足で歩くようにして進み、後ろ足はうしろに曲げて浮かせるようにして使わない。足には親指を除いた4本の指があり、中央の2本の指は皮でくっつき水かき状態になっている。

カバは夜になると食事をするために数キロ歩いて草を食べるが、水中の草をたべて生活する哺乳類に海牛目の仲間、ジュゴンやマナティがいる。ジュゴンは沖縄にも生息しているが、現在沖縄では50頭以下に減少して保護されている。彼らが水中にいる時間はアシカやアザラシより長く、クジラのような体形だ。また海牛目は人魚のモデルと言われるが、美人のモデルとしてはチョット厳しいものがあるので、船乗りはこれらの 動物が人魚のように見えるほど、航海が厳しいものと表現したかったのだろう。

ペットのイヌやネコは慣らせば泳げるが、泳げない動物がいたら教えてほしい。コウモリが泳げないという文献もあるが、ウオクイコウモリも泳げないだろうか。判らないことがいっぱいあるなー。ゾウは水大好き、もちろん泳げるよ。
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