川口先生のペットコラム
旭化成ホームズ株式会社
Profile
ゾウの先生 川口 幸男

1940年東京都伊豆大島に生まれる。上野動物園飼育課を定年退職後、エレファント・トークを主宰。講演や執筆をしている。講演依頼は、メール またはFax 048-781-2309にお願いします。
NHKラジオ番組夏休みこども科学電話相談の先生でもあり、本編では長年の経験を踏まえて幅広く様々な話題を紹介します。
わんにゃんドクター 川口明子

日本獣医畜産大学卒業、同大学外科学研究生として学び、上野動物園で飼育実習後、埼玉県上尾市にかわぐちペットクリニックを開業する。娘夫婦もそろって獣医師で開業しており、一家そろって動物と仲良くつきあっている。
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  おもしろ哺乳動物大百科
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 ・戌年にちなんだイヌの話(番外編)
 ・酉年にちなんだニワトリの話(番外編)
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 ・126 菅歯目 ツチブタ科
 ・125 ハイラックス目 ハイラックス科
 ・124 偶蹄目(クジラ偶蹄目)プロングホーン科
 ・123 偶蹄目(クジラ偶蹄目)ウシ科
 ・122 偶蹄目(クジラ偶蹄目)ウシ科
 ・121 偶蹄目(クジラ偶蹄目)ウシ科
 ・120 偶蹄目(クジラ偶蹄目)ウシ科
 ・干支「申:サル」にまつわる話(番外編)
 ・119 偶蹄目(クジラ偶蹄目)シカ科
 ・118 偶蹄目(クジラ偶蹄目)シカ科
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 ・112 偶蹄目(クジラ偶蹄目)キリン科
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 ・101 食肉目 ネコ科
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 ・97 食肉目 ネコ科
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 ・93 食肉目 ネコ科
 ・へびの話(番外編)
 ・92 食肉目 ネコ科
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 ・87 食肉目 マングース科
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 ・83 食肉目 イタチ科
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 ・66 食肉目 イヌ科
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 ・64 食肉目 イヌ科
 ・63 食肉目 イヌ科
 ・62 食肉目 イヌ科
 ・61 食肉目 イヌ科
 ・60 食肉目 イヌ科
 ・59 食肉目 イヌ科
 ・58 霊長目 ヒト科 またはショウジョウ科
 ・57 霊長目 ヒト科 またはショウジョウ科
 ・56 霊長目 ヒト科 またはショウジョウ科
 ・55 霊長目 ヒト科 またはショウジョウ科
 ・54 霊長目 テナガザル科
 ・53 霊長目 オナガザル科
 ・52 霊長目 オナガザル科
 ・51 霊長目 オナガザル科
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 ・48 霊長目 オナガザル科
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 ・卯年にちなんで(番外編)
 ・46 霊長目 オナガザル科
 ・45 霊長目 オナガザル科
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 ・38 霊長目 オマキザル科
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 ・30 霊長目 マーモセット科
 ・29 霊長目 マーモセット科
 ・28 霊長目 マーモセット科
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 ・25 霊長目 ロリス科
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 ・21 霊長目 インドリ科
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 ・19 霊長目 キツネザル科
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 ・16 翼手目 チスイコウモリ科又はヘラコウモリ科
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 ・14 皮翼目ヒヨケザル科
 ・13 ツパイ目ツパイ科
 ・12 食虫目ハリネズミ科
 ・11 食虫目アズマモグラ
 ・10 貧歯目アルマジロ
 ・9 貧歯目フタユビナマケモノ
・(番外編)バードウイークとペット
おもしろ哺乳動物大百科
 ・8 貧歯目オオアリクイ
 ・7 有袋目コアラ
 ・6 有袋目ウォンバット
 ・5 有袋目タスマニアデビル
 ・4 有袋目オポッサム
 ・3 有袋目アカカンガルー
 ・2 単孔目 ハリモグラ
 ・1 単孔目 カモノハシ
・ウシに見習う
・サンタはトナカイが引いたソリに乗ってやってくる
・ネコの足
・足のはこび
・秋は食がすすむなー
・TBSラジオ『全国こども電話相談室』最終回に出演
・恋の季節
・ゴリラのドラミング
・ウンチの話 その3
・夏はスイカだ
・帰省するときのペット対策
・ウンチの話 その2
・魚のすみか
・ウンチの話 その1
・ビーバーのすまい
・テングザルのおなか
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・おっぱいの魅力
・アブラコウモリの住まい
・お乳の成分
・樹上にベッドを作るオランウータン
・乳の話 その1 乳頭の数
・冬はホッキョクグマの季節だ
・手を使った動物のおねだり
・ネズミの嫁入り
・動物の住居
・手の話(3) 指紋
・手の話(2) いろいろな動物の手
・カメの冬眠
・手の話(1) サルの手
・食欲の秋
・ネコのゴロゴロ
・王様の耳はロバの耳
・あえぐように暑い
・ライフルマン
・動物の口
・泳ぐどうぶつと泳げない動物
・動物の舌
・メダカの飼い方
・動物の歯
・バードウイーク
・動物の頬袋
・春 新入生の季節
・動物の鼻
・ヤドカリのすまい
・なんで眼(がん)つけているんだ!
・贅沢が好きな男
・ゴリラの頭とゾウの頭
・ブタもおだてりゃあ木に登る

サンタはトナカイが引いたソリに乗ってやってくる 2008.12.16

ジングルベル♪ ジングルベル♪ 鈴が鳴る〜  クリスマスだ・・・!
最近では地域によっては一般の家庭でそれぞれ工夫を凝らしたイルミネーションを飾って寒い夜を彩り、ご近所の人々を楽しませてくれる所がある。しかし、子どもたちにとってもっと楽しみなことはクリスマスプレゼントだろう。子どもの頃、寝る前に枕元に靴下を置くと、翌朝お菓子や玩具が入っているのが楽しみで、いったい何時サンタクロースさんは来るのか不思議だった。

さて、西欧の伝説では、クリスマスの前夜、サンタクロースがトナカイにひかせたソリに乗ってやってくる。
トナカイの体格は体長が1.2m〜2.2m、体重120kg〜300kgになるから日本に住むシカより一回り大きい。北極圏のツンドラ地帯、フィンランド、ノルウェーなどの北方圏から、アジア東部、アメリカ大陸の北部とカナダに住む。北極圏で半家畜化したトナカイは肉や皮、ミルクを利用し約200万頭がいる。テリトリーは地域によって異なるが、狭いテリトリーでは15〜65km、大きな群れで年に2回、1200km移動するグループもいる。
シカの仲間だが、唯一メスでも角を持っていて、1年に1回生え変わる。オスは3月、メスは5月頃に落角する。メスに角が生えている理由は、いくつかあるが一つは冬季に緑の食べ物がなくなったとき、器用に前足や角を使って雪を掘り、雪の下に生えている地衣類やキノコを食べる。もう一つは、メスは出産した子どもを育てる場合、餌でオスや他のメスと競合するときに、角があるほうが有利と言われ、妊娠していないメスは出産メスより早く落角する。

トナカイの角は立派でしょう
  トナカイの角は立派でしょう
写真家  大高成元氏撮影

一方、オスは秋の交尾期が終わると、冬にかけて落角する。繁殖期にオスは角を使って争い優劣を決めて、勝者が交尾権を獲得するが、角の大きい個体が有利になる。また、生息域が広いため、森林に住むグループとツンドラのように開けた空間では角の生え方が違う。森林に生息するものは、角が木にあたり邪魔にならないように、真上にまとまっているが、平地のツンドラで生息するほうは、大きく広がっている。
食べ物の中で驚くのは、もともとシカの仲間なので草食獣だが、トナカイはかなり雑食性が強い。夏はスゲやハーブ、柳の葉などを食べるほか、ネズミの仲間でこの地方にたくさん生息しているレミングなど小動物まで食べる。
体毛は2層になっており、鼻先まで毛でおおわれ、1年の平均気温がマイナス30℃以下でも耐えられる。天敵としてはオオカミ、オオヤマネコ、クズリ、ヒグマ等が挙げられる。

12月13日の朝日新聞の夕刊によれば、日本で初めてクリスマスを祝う行事を行ったのは戦国大名の大内義隆で、1552年(天文21年)のことであった。しかし、現代のようにみんなでお祝いをするようになったのは、第二次大戦後のことで今更ながら平和のありがたさが身にしみる。

 
ネコの足 2008.11.28

我が家のネコ、メメオ君は、音もなく近寄って足元にうずくまるので、ときどき踏みそうになる。
ペットの祖先はリビアヤマネコといわれているが、彼らの主食はネズミなどの小動物であった。彼らは獲物を捕らえるために音を立てないで忍び寄り、一挙に襲って捕らえる。
そのためには、柔らかい体とすばやい動きが必要だが、音をさせずに歩行するために、ヒトの足とは大きく違う点がいくつかある。

もしネコを飼っていたら、自分の足の裏と、ネコの足の裏と比べてほしい。ネコの毛でおおわれた足の裏には、肌が露出した部分があり、これを肉球と呼んでいる。押してみるとかたく弾力性に富み、すこしザラついている。足の裏の毛は保温と共に滑り止めにもなる。さらに、体では肉球の周囲にだけ汗腺が発達しており、緊張すると汗がにじみ出て足の裏が湿る。私たちが手にツバをかけて物を握り、あるいは、昔は刀の柄に口に含んだ水を霧状にして吹っかけて滑らないようにしたが、同じ理屈である。この肉球については、家の中だけで飼っているネコと比べて、外も出歩くペットのネコは、表皮が厚く丈夫だ。ましてや、野生のネコ科動物では一段とかたく簡単には傷つかない。

もう一つの特徴は、かかとの位置だ。一番背の高いキリンとネコ、人間と比べてみるとおもしろい。
「メメオのかかとはどこですか」と孫にたずねたところ、人間と同じ位置を指した。実際には、ネコやライオンは、指が地面に着地しており、踵(かかと)は人間の膝と見える場所である。これは骨格を見れば一目瞭然だが、皮膚や毛でおおわれているとわかりにくい。

キリンの踵、図を参考に踵を確認してください キリンの踵参考図

キリンの踵、図を参考に踵を確認してください

キリンの踵参考図
 
ネコの踵も膝とまちがえませんか   ヒトの踵は、ご自身の踵を見てください

ネコの踵も膝とまちがえませんか

ヒトの踵は、ご自身の踵を見てください

そこで、足の裏のどこが着地するかで、3つに区分けすることもある。人間はクマ、ウサギと同様に、足の裏を指からかかとまでべったりと付けて歩く。ところが、イヌやネコなどは足の指が着地し、踵は着かない。そして、ウマやウシは蹄となっている。

このように、足の裏一つ見ても、動物たちはそれぞれの生息地や、獲物を捕らえるため、あるいは、反対に肉食獣から逃げるために、長い期間をかけて進化し、生活に適応してきた。人間は衣服をまとい、靴をはくようになったので、足を傷つける機会が減少したが、野生動物にとって足はとりわけ大切な部位だ。ネコはたとえへーベルの立派な家だろうと、一向に飼い主に気も使わず、毎日柱や壁で爪を研いでいる。そして、定期的に爪はすっぽりと抜けて落ち新しい爪と変わる。じつに合理的な体のつくりだ。 

サル山でニホンザルを観察していると、新生児が2頭で向かい合ってジャンプをしている。自宅で孫を見ていると、2歳の孫がさかんにジャンプ!ジャンプ!を繰り返している。
私にはとても付き合いきれないタフさだ。この時期、サルもヒトもこのようにして足腰を鍛えていくのであろう。

 
足のはこび 2008.11.17

最近、孫がハイハイから進歩し、歩くようになった。みなさんは赤ちゃんがハイハイするとき、手足をどのような順序で動かして進むか、注意してみたことがあるだろうか。
はじめに左足が前に出ると、次に左手、それから右足そして右手と交互に動かし前進する。ところが、同じハイハイをするのでも歩き始めると、手足を出す順序が違ってくる。左足⇒右手⇒右足⇒左手となる。実はこの手足の運び方は、人間やサルなどに見られる順序だが、動物の種類によって違うのでいくつか紹介しよう。

先日、アフリカに行ってラクダに乗ってきた女性と話がはずみ、
「ところでラクダの乗り心地はいかがでしたか」とたずねたところ、
「気持ちよかった!また乗りたい」という返事が返ってきた。ラクダには背中のコブが一つのヒトコブラクダと二つのフタコブラクダがいるが、彼女はフタコブラクダに乗ったそうだ。そして、以前ゾウやウマにも乗ったことがあり、それぞれの飼い主に乗り方が上手だとほめられたという。動物はこちらが緊張し警戒しながら近寄ると向こうも同じように警戒する。もちろんどんな動物でもさまざまな癖をもっていて、飼い主はそれらの気質を飲み込んでいるので彼らの言うとおりに平常心で接するのが良い。動物好きの彼女は、飼い主の指示に素直に従い乗ったのが良かったのだろう。
「ところで、ラクダとゾウの乗り心地はウマと比べてどうでしたか」
と重ねて聞くと、
「やっぱりウマは背が低いし、乗りやすい鞍もあるから、ウマの方が楽かもね」
彼女の答えは、正しいのだが、実際には走る速度によって足の運びが違う。
一番ゆっくり歩く常足(なみあし)では、右後肢⇒左前肢⇒左後肢⇒左前肢の順となる。一分間におよそ110m歩くという速足(はやあし)は2倍、駆足(かけあし)は常足の3倍の速さで走り、足の運び方が違ってくるので受ける振動も違い、乗り手はそれぞれの歩き方に慣れる必要がある。さらに鐙(あぶみ)が重要な役割を果たしている。

ところがフタコブラクダ、キリン、ゾウ(図参照)は、同じ側の前肢と後肢を交互に出して歩く。オトナのゾウは一歩がおよそ2mの歩幅があり、乗っていると左右に大きく揺れることになる。ラクダも同じで、左右がガクンガクンと傾くような動きになるので、長距離を乗っていると、船酔いならぬラクダ酔いやゾウ酔いになる人もいる、という話だ。私は幸いゾウに長時間乗ってもゾウ酔いしたことはない。ゾウ使いがゾウに乗って酔っていたのでは仕事にならないのだが。

ゾウの歩行
ゾウの歩行

4本の脚のうち、片側の後肢が上がり、着地と同時に同じ側の前肢が上がる。
図1〜6参照。

こんなこともあって女性に聞いたのだが、動物の歩行について予備知識がなく、そんなことは意に介さず楽しんで乗ってきたようだ。

かつて、『アラビアのロレンス』というすばらしい名画があった。どこまでも果てしなく続く砂漠の魔力を秘めた美と、ヒトコブラクダを巧みに操る主演のピーター・オトゥールに感動し、今までに5〜6回も見た。 

 

秋は食がすすむなー 2008.10.31

お父さん、そんなに食べたらメタボで病気になってしまうよ。かわいい娘にそう言われちゃあしかたがない、それでは柿でも食べるか。もう、本当に食欲だけはあるんだから。

写真は、写真家のさとうあきら氏撮影。
  写真は、写真家のさとうあきら氏撮影。
ニホンヤマネはこんな動物です。

四季がある日本で、冬に雪が積もるような北国や寒い地域で生活している動物は、秋になり寒さが増してくる頃から食欲が出てくる。それでもホッキョクグマは北極のマイナス50℃の気温にも耐え、凍え死ぬことはない。ホッキョクグマのように大きな体の動物は簡単に冷えないが、小さなシマリスなどマイナス50℃の世界ではたちまち凍死するだろう。
そこで外気温がマイナスになる地方では、冬越しする方法のひとつは、地下や樹洞にもぐりこみ冬眠する方法だ。しかし、地下にもぐれば寒さをしのぐことはできるが、外は雪や氷におおわれていれば食物をとることはできない。そこで秋に食物を巣穴にたくさん溜め込むシマリスのような仲間と、体に脂肪分として蓄えるヤマネのような動物が現れた。

今回は、このニホンヤマネのお話を紹介しょう。
写真でお分かりのように、ネズミとリスの中間的な姿で、齧歯(またはネズミ)目ヤマネ科に分類している。体格は体長約8cm、尾長約5cm、体重約25gという手のひらにのる程度の愛らしい動物である。現在、ヤマネの仲間は世界で11種類がヨーロッパ、中央アジア、アフリカなどに生息して、その中の1種が日本の固有種となっているニホンヤマネだ。
夜行性で、山や亜高山帯森林に生息する。冬眠期間は、ヤマネの研究で著名な湊秋作博士の浅間山で行った結果では、10月中旬から翌年の4月下旬までの6〜7カ月間と報告している。地域によって冬眠期間は違うこともわかっている。暖かい和歌山では、およそ4カ月間ということだ。日本に生息するイシガメやクサガメは外気温が15℃以下になると食欲がおち、12℃以下で冬眠に入るが、ヤマネの冬眠に入る温度は平均9度ということだ。

エゾシマリスの場合、秋にせっせと巣穴に餌を溜め込んで、途中で目が覚めると、食物を食べて、排尿と排便をしてまた眠る。じつは、ヤマネも10日から2週間に一度覚醒するが、シマリスのように食事はしない。どうしてそんなに眠ったままでいられるか、ということだが、これは秋にひたすら食べまくって脂肪を体内に蓄積し、後はこの脂肪を栄養源として生きている。もちろん、寝ている間は、体温を大幅に下げ、代謝を抑えているが、これは冬眠中だけでなく、活動期の日中も休眠して代謝や体温を低下することがあり、いずれにしても無駄なエネルギーは極力を使わないのだ。

彼らのえさは、チョウ、ガ、幼虫類、小鳥の卵、小動物を食べるほか、アケビの実などの果実、種子、花、新芽といった栄養価の高い植物を食べる雑食性の動物だ。しかし、盲腸がないため繊維質の多い植物は消化できないという。冬眠する小動物は昆虫や果実を主食とするものが多いのだが、これらは脂肪分として溜めるには良い食物なのだろう。

ニホンヤマネは夏の体重が15〜20gで、冬眠前に35〜40gまで太るんだって。お父さん、お父さん、あれテレビ見ながら冬眠している。

 
TBSラジオ『全国こども電話相談室』最終回に出演 2008.10.14

スタジオに入りテーマ曲「ダイアルダイアルダイアルダイアル〜回して〜」という軽快なメロディーが流れると、出演者一同今日はどんな問題が出るか、不安と期待で身が引き締まった。あの番組の面白さは、わずか30秒から1分前に質問内容が回答者にわかるというもので、回答者にとってはストレスがたまる番組だった。生放送なので、どうしても判らないときは宿題ということで次回出演のときに持ち越せるのが唯一の救いだった。昆虫の矢島先生やお魚博士の杉浦宏先生たちは、豊富な経験と巧みの話術で人気回答者でしたが、私は平成元年から月に2回出演する許可を、園長と本庁に兼職承認の書類を提出して回答者の仲間入りを果たした。初めは電話のお姉さんの平野市子さんや科学の先生とご一緒する機会が多く、和田忠太先生や中村浩美先生、それにとにかく面白い毒蝮三太夫さんたちが巧みにフォローしてくださり、本当にうれしく感謝しておりました。

最終回の記念写真
  最終回の記念写真
7代目お姉さん・近藤かおりさんと、おなじみ生き字引のような永六輔先生、それに空想科学研究所の柳田理科雄先生とご一緒しました。撮影はスタッフ。
犬のノドチンコ(軟口蓋)の位置
  犬のノドチンコ(軟口蓋)の位置
口蓋のすぐ上部がちょっとふくらんでいます。金井理恵画

ところで20年間の間に即答できないで宿題にした問題が2問あった。
一つは
「犬にノドチンコはありますか?」という問題だ。
えーっと、思った瞬間、頭は真っ白になり、知らない、どうしよう!であった。この種の質問はイエスかノーの2者択一なので一番困る問題だ。
みなさんの中で犬を飼っている人は自分の飼っている犬にノドチンコがあるか確かめたことがありますか。ご存知ならば恥ずかしいのですが、ともかく即答ができず宿題にして帰宅した。そして正解を家族の獣医師たちに聞いたところ、やはり「えーないと思ったけどねー」、とやはり意表つかれたようで、即答が出ません。それでも犬の解剖の本を取り出して、調べたところ図のようにノドチンコ(解剖学的には軟口蓋といいます)はあるのですが、人間のように長く垂れ下がっていなく、わずかに膨らんでいる程度でした。これではノドチンコのトラブルで動物病院にくる人もあまりいないので、わからないのも無理ありません。

さて、あと一問ですが、みなさん卵の黄身が2個入っている卵を食べたことがあるでしょう。質問は
「黄身が2つある卵は、双子が生まれますか?」
というものでした。もちろん、オスメス飼っていて、有精卵という前提ですが、これもまた、頭が真っ白です。というのは、有精卵ならば孵化する可能性があるからだ。しかし、卵から双子が生まれたなどという話は聞いたことがないし、どこかで実験して発表しているかも知れないし・・・と思ったのですが、即答しなければなりません。
「すみません。かえらないと思うのですが、確かめますので宿題にさせてください」
翌日、動物園で皆さんに聞いてみましたが、自信を持って回答できる人はいません。それでも畜産試験場に問い合わせてみたところ、胚はできるが中で競合して雛までは育たない、と教えていただいた。

ほんとうに子どもたちの質問は、意表をつくようなものがあり、その都度良い勉強をさせていただきました。こんな素晴らしい番組が消えるのはさびしい限りです。

 
恋の季節 2008.09.29

「奥山に紅葉踏み分けなく鹿の 声聞くときぞ秋は悲しき」これは『小倉百人一首』に出てくる歌で猿丸太夫の作といわれている。秋の風情を描写した歌として有名な句だ。シカのミューン、ミューンと鳴く声がはるか彼方までよく響きわたり都まで聞こえ、物寂しく聞こえたのだろうか。

シカ
  袋角の出始めでこれがどんどん成長し三叉になる。
エゾシカ
  袋角に送っていた血液が止まり、内部が骨化すると、角を立ち木などにこすりつけて、表面の皮を剥がす。すると中から鋭い角が現れる。

写真は金華山シカ。写真家 さとうあきら氏撮影

初めての担当動物は、ハナジカと呼ばれるタイワン原産の種類で、日本のホンシュウジカと同じ大きさくらいのシカであった。5月から担当になったので、早速慣らそうと意気込んで、柵の中に入るたびに青草を与えていたところ、私が行くと餌を目当てに近寄ってくるようになった。
シカの角は、春先に古い角が脱落して、その跡にまた新しい角が生えてくる。この角は袋角といって表面には細かい毛が生えて、まるでビロードの布をかぶせたようだった。内部では血液によってカルシウム分が運ばれ沈殿していくのだが、やがて血液の流れが止まり、内部が骨化し全体が硬くなると皆さんよくご存知の角となる。

私が担当になった頃、メスはそろそろ出産シーズンに入り、オスは袋角の時代で武器として使うことができないため、メスのほうが強いくらいだ。やがて真夏を迎える頃になると、袋角は急に大きくなってきた。オスジカは立木の幹に角をこすり、表皮をはがし始めると中から骨化した角が姿を現した。袋角から本物の角に変身したのだ。すると、今まで傍によってきていたオスたちは距離を置いて私を見るようになった。初秋になるころ、私が草を片手に「さあ、食べにおいで」とばかりに一歩ずつ近づくと、オスは体を反転し数歩遠ざかって私をにらんでいる。翌日も同じように、草をあげようとすると、今度は頭を低く下げて角を私のほうに向けて、突進してきそうな気配である。いままでかわいがってあげたのに、なんで急に敵対意識を持つのか、と今度は反対に悔しくなって、持っていた竹製の熊手を振りあげた。その剣幕にびっくりしたらしくオスジカは10mくらい後退し、なおもこちらを伺っていた。

事務所に戻り、この数日間の一部始終を先輩に話し、私はシカの変わりようを話したところ、それは怪我をしないでよかった、と自分の経験談を話してくれた。その話によれば、とくに大きなオスジカはこれから本格的な発情期に入ると気性が荒くなり、角で突きかかることがある。先輩は、以前、オスに角で突きかかられて、金網をよじ登って難を逃れた話を身振り手振りを交えて話してくれた。そう言えば高校の畜産の授業で、発情したウシに飼い主が後ろから突かれた話を聞いたことがあった。シカの話は聞いていなかったが、角を持つ動物は要注意と思い知らされた。

多くの動物たちは太古の昔より、健康で強いオスの遺伝子を残すために、オスの間で戦い勝ち抜いたものが種オスになるよう遺伝的に組み込まれている。人間も含め実に恐ろしきかな恋の行く末である。

ところで、百人一首に出てくるシカのミューン、ミューンというトーンが歌人たちには物悲しく聞こえたのだろうが、実際には秋ならばオスの発情期の鳴き声で、オスの雄叫びだ。こんな詮索をすると侘びさびも理解できないと反論されそうだね。

 
ゴリラのドラミング 2008.09.16

幼いゴリラのぬれたような瞳は哀愁が漂うような魅力があり、そのまなざしでじっと見つめられると、なんてかわいいんだろう、と思わず手を差し伸べたくなるのは私だけだろうか。
私が上野動物園に採用されたのは1959年6月で、同年10月からゾウ係員となった。当時のゾウ舎は類人猿舎(ゴリラ、チンパンジー、オランウータンを飼育)に隣接しており、2年前(1957)に3頭のゴリラが来園していた。1960年当時、オスが5歳半と4歳くらい、メスは5歳半と推定されていた。私もゾウ舎への通りすがりに毎日かわいいゴリラを見るのが楽しみだった。

今年、NHKラジオ『夏休み子ども科学電話相談』で、『ゴリラはどうしておなかをたたくの?』という質問があった。

ブルブル
  かわいいブルブル(オス)のドラミング。
サルタン
 

大人になると迫力満点のドラミングだ。
写真はいずれも(財)東京動物園協会

ゴリラは4歳くらいになると遊びのレパートリーのひとつに立ち上がって両手で胸を叩くドラミングが加わる。オス、メスともに平手や指を少し曲げて胸を叩く。これを英語ではドラムを叩くという意味で、ドラミングとよんでいる。まだ子どもたちのドラミングは遊びだが、13歳すぎて背中が白くなりシルバーバックと呼ばれる群れのボスのドラミングともなれば迫力満点だ。

ドラミングについては、一連の行動が観察されている。ゴリラの研究で著名な山極寿一博士によれば、はじめにフーティングと呼ばれるフーとかホーとか聞こえる短く高い音を出し、近くの草や葉を引きちぎって投げながら、立ち上がりドラミングをしながら突進する。突進は方向が決まっているわけではなく、むしろ誰もいない方向を選んでする。そして、最後に地面を力いっぱいパン!と叩いて終わりになる、との報告がある。

野生のドラミングの報告例では、シルバーバックのドラミングは他の群れのオスや外敵に対する威嚇行動だ。たとえば、集団同士の出会いや単独でいるオスと出会ったときで、お互いのオス同士がドラミングを行う。さらに、メスたちにボスの強さを示す自己アピールの意味もある、と考えられている。

ドラミングの音は数kmに届くといわれるが、その仕組みはオスの胸筋の下に発達している共鳴袋による。長い時間を経て肉体的な変化がこの特殊な威嚇方法を獲得させたのだろう。

ゴリラの野生の生態を知らない時代、体重180kgにもなる巨大なシルバーバックが立ち上がり奇声を発しドラミングしながら突進してきたら、されたほうの恐怖はいかばかりであったろう。しかし、その実態は植物が主食の穏やかな群れだ。マウンテンゴリラの生態調査は1960年頃からG.シャラー博士他の研究者たちが科学的に調査して、それまで凶暴と思われていた生態が誤りであると証明した。それにしても初めて野生ゴリラの生態調査を行った研究者の勇気と熱意に敬意を表したい。

そうそう腹を叩くゴリラという質問だったが、本当は腹ではなく、胸を叩いているんだよね、と言いつつ自分の腹を叩いていたら、娘にただのメタボだと言われてしまった。

 
ウンチの話 その3 2008.08.29

一本の柔らかい管があり、両端が人間の意志で開け閉めできる。入り口が口で、出口が肛門だ。水や食物はこの管を通り抜ける間に栄養物を吸収されて不要なものや消化できないものがウンチとなり体外に排泄される。ウンチは汚いものと決めがちだが、生物にとってウンチはじつに多くの役割を担っている。アフリカのサバンナでゾウがウンチをすれば、フンコロガシをはじめ数千もの昆虫が群がってきて食べ分解する。消化できないで排泄された種子は新たに芽を出したり、ヒヒが拾い種子を割って食べる。

ところで、みなさんはウンチを食べる動物が身近にいることをご存知だろうか。草食獣の多くは、離乳期に母親のウンチを離乳食として食べる。この中には植物のセルローズを分解してくれる細菌がたくさんいて、ここではじめて腸内に入り、その後の消化が可能となる。もっとすごいのは大人になってもウンチを食べる動物がいる。ウサギは肛門の近くに大きな盲腸があり、口から入った食物は胃から盲腸にたどり着くと、腸内細菌と一緒にパックされ肛門から出てくる。それをウサギは直接口を肛門に付けて食べる。そして、再び口に戻った軟便は腸内細菌のおかげで発酵も進み消化できる。かつては、軟便だけ食べると考えられていたが、ビデオで24時間観察した結果、硬いふつうの便も午後2〜3時頃までに出たものは食べることがわかった。
そして、夕方から夜間にかけて排泄されるウンチが本当のウンチとなる。

コアラ
  昨年のオーストラリア旅行で出会ったコアラ。
コアラのウンチ
 

コアラのウンチは10円玉と比べると半分くらいだ。写真はビーズに付けたコアラのウンチです。

もうひとつ糞食でよく知られているのがオーストラリアに住んでいるコアラだ。コアラはご存知のように、ユーカリの葉を食べているが、この葉には青酸が含まれており、コアラとフクロムササビ以外は食べることができない。彼らの肝臓は解毒作用があることや、盲腸が哺乳類中で最も長く、1.5mくらいあり、無数の腸内細菌がゆっくりとユーカリの葉を分解している。コアラの赤ちゃんは、生後6カ月くらいになると、育児のうから顔を出し、母親の排泄孔に口をつけて軟便をたべる。この軟便はパップと呼ばれ、約1ヶ月間排泄され離乳食となる。

ウンチ尽くしで恐縮だが、もうひとつウンチのお話をしよう。

野生のタヌキは何箇所かタメ糞の場所をもっている。動物のウンチは情報交換の場所になり、発情していれば匂いで判断できるだろし、雌雄の区別も恐らくできるだろう。むかしの猟師はこのため糞を見れば、タヌキが近くに潜んでいることがわかり、良い目印となったそうだ。雑食性の彼らの糞の中には、季節によりさまざまな果実の種や、タニシやカワニナの殻、鳥やネズミの骨などの一部が発見され、季節変化も知ることができる。これではタヌキ同士だけではなく、地元の猟師たちにも情報を提供しているようなものだ。

以前当病院で保護したタヌキがケージから脱出し、部屋の隅に、一晩のうちに同じ場所にドッサリと排便したことがあった。あの時は参ったね。
さあ、今日も快食快便、毎日ウンチをするにはたくさん水を飲み粗繊維の多い野菜を食べよう。

 
夏はスイカだ 2008.08.15

ミャンマーに行くと、道路の脇にたくさんのスイカが山積みされていた。そこで私たちもスイカを食べたが、日本のように格別に甘く品種改良をしていないが、暑いときに汗を流しながら食べるスイカは格別で、やはり夏の食べ物と実感したものだ。

ゾウのスイカ割り
  上野動物園では、夏のイベントでゾウにスイカをあげている。ちょうど良いくらいの大きさに割るでしょう。
(財)東京動物園協会撮影

近年とみに動物園の動物たちに、有り余る余暇を楽しく過ごさせる試みが各地の動物園で試みられている。そのひとつが、スイカを動物にあげるとどうやって食べるか、ということだ。
まず、ゾウはどうやって食べるか。これはスイカの大きさと、ゾウの大きさによって違う。おとなのゾウに小玉スイカをあげると、そのままくわえて割って食べる。口に入らないくらい大きなスイカの場合、足をスイカに乗せてジワジワと力を加えて、ペシャンコにならない程度に割って食べる。このとき普段歩くときと同じように、体重を足にのせて踏み潰すとどうなるか、自分の足の力を知っており手加減して上手に割るのだ。

もうひとつ、サル山のニホンザルにも大きなスイカをおいてどうやって食べるか試したことがある。平らなところにスイカを置いて、観客側から見ていると、子ザルたちが集まってきてかじろうと試みるが、スイカが大きすぎて歯が立たない。皮を少しぐらいかじっても美味しいことはない。すると上に乗ってみたり、足で蹴っ飛ばしたりして遊びはじめ、食べ物としては見てくれないのだ。そこで、再び山の中に入ってスイカを割ってあげると、やっとそれぞれスイカのかけらを持っていき食べ始めた。


ところが、ゾウにしてもニホンザルにしても、スイカはリンゴやバナナに比べると、いまひとつ興味がうすいような気がする。バナナやリンゴはお互いに取り合って食べるのだが、スイカはそれほどでもないのだ。これは、スイカを常時食べていないためか、それとも水分が多く歯ごたえがないためか、はたまた甘味が少ないのか不明だが、少なくとも私たちがスイカに対する興味より少ないようだ。もっとも、現代の子どもたちもスイカを好まない子どもたちも多くなってきたような気がするけどね。

サル山と氷
 

同じく上野動物園のサル山。やっとお目当てのリンゴが出てきたね。
(財)東京動物園協会撮影

夏には、スイカだけでなく、氷を作るときに、中にリンゴやバナナなどを入れて凍らせてサル山の中に置いたこともある。サルは目が良いので、中に好物があるのが見えているので、強いサルがやってきて早速かじってみる。しかし、ガチガチに凍った氷は簡単には溶けないので、強いサルがあきらめ日陰に戻ると今度は若者や子どもたちが入れ替わり立ち代りなめたり、かじったりする。やがて、中のリンゴが現れると、再び強いサルがやってきて、どっかりと座り、好きな食べ物だと気の済むまでたべる。サル山のような狭い空間では、強いサルは食べ物を独占できる。

我が家の娘たちも、スイカやリンゴにあまり興味を示さない。両親はどちらも好きなのにスイカを食べない理由は、スイカとケーキを比べると、ケーキのほうが強く惹かれるということなのだろう。

 
帰省するときのペット対策 2008.08.01

夕方、家族で外出しワイワイ言いながら帰宅し、門から庭を見るとなんとシマヘビがポーチに寝そべっている。そこでそっと門を開けるとさすがに振動が伝わりあわててねぐらの木の根元にある穴へ滑り込んでいった。どうしようかと家族に聞いたら、みんなヘビはネズミやモグラを食べるから、そっとしておけば、ということになり、庭の守り神となった。

帰省
  我が家の孫は里帰り。うれしそうにネコと一緒にお出かけだ。ネコはすでに車内で待っている。

今年の夏はひときわ暑さが厳しそうで、家族連れで海や山、あるいはお盆休みに田舎に帰省する人も多いことだろう。そんなときペットをどうするかが問題となる。そこで留守中のペット対策をいくつか紹介しよう。

1 自宅で自由にしておく
家の中で飼っているネコの場合、2泊3日程度なら自宅にそのまま置いておく。
ただし、ネコは一日に数回排泄するので、トイレは複数用意しておく。そのためふだんからネコ用トイレで排泄していることが条件となる。そして、知人やご近所、どなたかが毎日きて、餌と水、及びネコ用のトイレを交換してくれることが望ましい。室内は27度くらいにエアコンを設定しておき、ネコが自由に好きな温度のところに行けるようにしておく。

2 動物病院に預ける
一番安心なのは、いつもかかっている動物病院で預かってもらうのがよい。それでも老齢な個体は、環境が変わったことでストレスが加わり、体調をくずす場合もあるだろう。日ごろ一緒にいるペットは、ネコでもイヌでも、自分が家族の一員であり、突然一匹にされると、情緒不安定になるからだ。

メメオの特等席
 

ネコのメメオ君は、洗濯機の後ろから来る風が心地よいらしく、夏の特等席となっている。

3 旅行に一緒に連れて行く
最近では、ペット同伴可というホテルや旅館も多くなっている。移動も車で一緒に乗っていけば、条件が合えば可能である。この場合、車酔いするペットには、酔い止めを動物病院で処方してもらうと良い。また、買い物や食事などで車内におくのは、たとえわずかな時間でも放置しておくと車内温度が急速に上がり熱中症なりかねないのでやめたほうが良い。

4 ペットホテルに泊める。
健康でワクチン接種をしているペットなら、ペットホテルに預けることもできる。ふだんからペットホテルを探しておけば、一番簡単な方法である。
簡単に注意事項をあげたが、ペットはいまや家族の一員となり、ペットもまたそのように思っているふしがある。困るのは、人間は話せば分かるが、イヌ、ネコは3日後のことまでは分からないことを飼い主は自覚しておかなくていけない。おかげで我が家では、夫婦そろって海外旅行なんて夢物語だ。

冬にはかみさんの布団にもぐりこむ我が家のネコたちも、さすがにこの暑さでは、布団から抜け出し一番涼しいところを探して、気持ちよさげに昼寝をしている。

 
ウンチの話 その2 2008.07.10

動物園の飼育係は担当動物への愛着が高じると、すべてがその動物のために回転するようになる。暑いときにウンチの話で恐縮だが、一番臭いのは肉食獣のウンチで、朝、狭い室内に入ると強烈なアンモニアの匂いが立ちこめ、涙目になってくる。

  ナマケモノ
  ナマケモノ さかさまにぶら下がるので毛流も背から腹にかけている。 写真は筆者
   
  ナマケモノのウンチ
 

ウンチはコロコロと硬そうだね。
写真は(財)東京動物園協会

先日久しぶりにゾウの削蹄を頼まれ、ノコノコ出かけて行ったが、ゾウのウンチは良い匂いだ、と言ったら、人間に比べるとね、だって。40年もゾウのウンチと付き合っていれば、匂いに慣れていたのかもしれない。久しぶりに嗅いだので懐かしく良い匂いと感じたのかもしれない。
友人のパンダの飼育担当者は、パンダも竹の消化効率は悪く、約20%しか消化できないこともあり、その匂いは笹の香りがして良い匂いだといっている。人間に比べればね。
ウンチと食物の関係は歴然としており、クマは雑食獣で、動物園ではサツマイモの蒸かしたものや、クマ用に開発したペレット、煮魚、りんご、青菜、青草、パンなど、人間に似通った食事をしている。そのため、300kgもあるクマは、大量のウンチをする。それも人間と同じようなやつだ。

ある日、ナマケモノの飼育員がニコニコしながら事務所に入ってきた。何か良いことでもあったの、と聞くと、今日は8日ぶりにナマケモノがウンチをした、と言った。飼育員の話によれば、ナマケモノは週に1回の排便で正常だそうだ。動物園の飼育員の報告によれば、排便が近づくと、食欲がなくなり、直前には、突然動き出すそうだ。 野生の場合は、木の上から降りて地面に尾を使って穴を掘り、終わると落ち葉をかけて再び木に上るというからマナーは良い。一週間もかけて消化するので、きっと無駄がないんだろうね。それにしても、食べた餌がすべて消化されて出てくるまでには1ヶ月を要するというから、只者ではない。充分に消化された便は、硬い粒状で、私は嗅いだことはないが、展示場の外からでもわかるほど臭いという話なので相当なものでしょう。

慢性便秘症のような原因は、かれらの消化器をみれば納得がいく。反芻動物ではないのにも関わらず、大きな胃があり、一日に10グラム程度の葉をゆっくりと時間をかけて消化する。胃は複数に分かれ、最初の部屋で微生物に木の葉を分解させ、最後の部屋で消化液が出て消化し栄養を吸収している。ゆっくりとした行動は、代謝を抑え少量の食事で生存できるような仕組みを完成させたのだ。

どうも野菜が苦手で、ついつい肉や魚ばかり食べると便秘がちとなる。わずか数日でこんなに辛いのだから、ナマケモノも出すときは大変なんだろうね。今日は新サツマイモでも食べようかな〜。

 
魚のすみか 2008.07.01

子どもたちの質問に答えるとき、百科辞典のような答えのほかに、自分が体験したことを付け加えることで面白さが倍増するようだ。子ども時代、勉強はそっちのけで夏は海、冬は山で遊んだ経験が今ごろになって生きている。7月に入り梅雨の中休みともなると、海は自宅から目と鼻の先ということもあって、海パンにモリを片手に喜び勇んで出かけた。お目当ての魚は、主にブダイやメジナだ。ブダイは岩の下に入るとじっとしていることが多いので突ける可能性が高いが、一方のメジナは反対側からすり抜けて行ってしまうため突くのが難しい。

同じ場所を毎日のように泳ぐので、数キロにわたり、海底の形状や岩の大きさなどはおのずと頭の中に入っている。魚のすみかが分かれば、泳いでいる姿が見えなくとも、潜っていきひとつずつ心当たりの場所を探って行けば、魚に出くわす機会が増えてくる。初めてモリを持った頃は泳いでいる魚を必死に追いかけたが、彼らの動きがすばやくいくら泳ぎが得意と自負していても容易に突けるものではない。そんなことを繰り返しているうちに、彼らの潜んでいる場所を探した方が早いことを悟り、いっぱしの漁師気取りとなる。

  トゲウオの巣
  トゲウオの巣 理恵画

メジナやブダイは巣を作らないが、鳥のように巣を作る魚がトゲウオの仲間だ。背中にとげがあるのでこの名がつけられた。トミヨという魚は、腎臓から出る粘液を肛門から分泌して、巣材にする水草になすりつけ固めていく。巣が完成すると、卵を持っているメスを探し、自分の作った巣に誘導する。メスが巣の中に入り、産卵するとすかさず今度はオスが入り、放精し受精させるのだ。その後も、卵に新鮮な水を送り込むために巣の入り口で胸びれを動かす。

ザリガニなども卵を持ったメスは盛んに新鮮な水を卵に送るが、水の中にいても酸素を充分供給すためには水の循環が必要なのだ。とくに巣を作る動物は人間のように意識せずとも、自然に空気の流れができるようになっている。たとえ水中で生活していても巣に新鮮な水が充分いかない場合は、酸素を充分吸収できない。そこでトゲウオのように直接新鮮な水を送り、巣の中の卵に十分な酸素を供給することになる。

動物の巣は、オランウータンのように一晩か数日の使い捨てのものから、ビーバーのように大規模なものまでいろいろあるが、どんどん遡っていくと魚までもが作っているから奥が深い。
最近は国内外で地震が続き被害も甚大だが、被災地の惨状を見るたびに科学が進んだとは言いながら自然災害に強い家屋に住みたいと、という願望とらわれる。このように考えると、地震に強いヘーベルハウスにして良かったとしみじみ思う。

 
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