川口先生のペットコラム
旭化成ホームズ株式会社
Profile
ゾウの先生 川口 幸男

1940年東京都伊豆大島に生まれる。上野動物園飼育課を定年退職後、エレファント・トークを主宰。講演や執筆をしている。講演依頼は、メール またはFax 048-781-2309にお願いします。
NHKラジオ番組夏休みこども科学電話相談の先生でもあり、本編では長年の経験を踏まえて幅広く様々な話題を紹介します。
わんにゃんドクター 川口明子

日本獣医畜産大学卒業、同大学外科学研究生として学び、上野動物園で飼育実習後、埼玉県上尾市にかわぐちペットクリニックを開業する。娘夫婦もそろって獣医師で開業しており、一家そろって動物と仲良くつきあっている。
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おもしろ哺乳動物大百科58(霊長目 ヒト科 またはショウジョウ科) 2011.6.29

ゴリラ属
ゴリラはアフリカに分布し、かつては1種類とし、その中で2亜種または3亜種に分類していました。しかし、最近はDNAの研究が進んだ結果、ヒガシゴリラとニシゴリラの2種に分け、前者をマウンテンゴリラとヒガシローランドゴリラの2亜種、後者をニシローランドゴリラとクロスリバーゴリラの2亜種に分類しています。

  アフリカのルワンダで撮影した、野生のマウンテンゴリラ一家だそうです。貴重な一枚です。
アフリカのルワンダで撮影した、野生のマウンテンゴリラ一家だそうです。貴重な一枚です。
写真家  大高成元氏 撮影
   
マウンテンゴリラは、ザイール、ルワンダ、ウガンダの1,500〜4,000mの高地に生息し、体色は黒く長い体毛でおおわれています。オスは後頭部が突出し、ヒガシローランドゴリラと似ています。ヒガシローランドゴリラはコンゴ民主共和国(旧ザイール)東部に生息して、体毛は短く、顔が長くて4亜種類の中で体が最も大きくなります。クロスリバーゴリラはナイジェリアとカメルーンの国境だけに分布していていますが、生態などはまだよくわかっていません。世界中の動物園で飼育している種類はほとんどがニシローランドゴリラで、マウンテンゴリラの飼育は皆無、ヒガシローランドゴリラも、世界中で10頭に満たない貴重な種類です。
今回は日本国内でも飼育しているニシローランドゴリラを紹介しましょう。

58)ニシローランドゴリラ
生息地はアフリカ中西部のカメルーン、中央アフリカ、ガボン、コンゴ、赤道ギニアの標高0〜1600mの熱帯多雨林、低地多雨林、二次林、などの湿地林がおもな生息域です。昼行性でほとんどの時間を地上で生活していますが、体の軽い子どもやメスは樹上も利用します。夜間は、地上や樹の上に枝を折って寝床を作りその上で寝ます。
群れの大きさはふつう10頭前後で、背中が銀色になったシルバーバックと呼ばれる成獣のオス、そしてメスとその子どもたちで構成されています。他にも単独でいる成獣のオスや、ワカモノだけのグループもいます。遊動域は開放的で群れ同士が重複するところも多いのですが、若者が成長し群れを乗っ取ろうとするときは、群れのリーダーとの間で激しい闘争もあります。遊動域は4亜種のなかで最も広く約15km2で、1日に500〜1000mを移動します。移動は地上が多く、ゴリラとチンパンジーに見られる独特のナックル歩行をします。ナックル歩行とは、手首を伸ばし親指以外の指の第2関節を直角に曲げて指の背を地面につけて歩く方法です。彼らのコミュニケーションはさまざまな声の他にも、アイコンタクトで相手を見つめ意思表示をします。また、威嚇するときに二本足で立ち上がり、胸を叩くドラミングと呼ばれる行動が見られますが、このときは独特な声や近くの木の枝をとって投げるなど、一連の行動を伴います。メスは性成熟を迎える6歳ころに生まれた群れを出て違う群れに入り、そこで繁殖をします。

からだの特徴
体色は茶褐色から灰色で、短毛です。オスは12〜13歳に成長するとシルバーバックと呼ばれるように、肩から腰にかけて背中の毛が白くなります。とくにリーダーは成獣になると短い脚と胸囲が150cmにもなる大きな胸で上半身が筋肉隆々とした4頭身のような体形になります。
足の親指は手のつくりと似ており、握力は霊長類の中で最も強くて餌になる枝や竹をいともたやすく折ることができます。オスは長い犬歯と、顎を動かすための大きな筋肉が顎から頭部にかけてついており、巨大な頭部となっています。ゴリラはチンパンジーのように他の動物を積極的に狩りで捕えて食べる行動は観察されていません。基本的に植物食のため、腸内の微生物の力を借りて、消化しにくいセルロースを分解して栄養源としています。コロブスは前胃で発酵させているのに対し、類人猿をはじめ他のサルの仲間は大きな大腸に貯めて発酵させています。歯式は、門歯2/2、犬歯が1/1、小臼歯2/2、大臼歯3/3で左右上下合わせて32本です。胸部には、共鳴袋と呼ばれる部位があり、ドラミングすると音が響く構造になっています。尾はなく、尻には白い毛が生えていますが、5〜6歳ころまでに消えて親と同じ毛色となります。

えさ
ニシローランドゴリラは季節によって食べる内容が変わり、果物が実る季節はそれらが主食になり、シロアリやアリも重要なタンパク源となります。このほかに草や竹のすべての部分、キノコ、昆虫、はちみつ、卵、土も食べます。生息域によっては、腰まで水中に浸かり水草を食べるところも観察されています。マウンテンゴリラは高地の生息地に果物が少ないことから木の葉や草などが主食となっています。世界各地の動物園はゴリラが多種類の植物を食べるところを参考にして、イギリスのハウレッツ野生動物園では120種余りのレパートリーを誇っています。これは別格としても、海外の動物園では動物たちの給餌をエンッリチメントの一環として捉え、多くの動物園が餌をチップの下に隠して探すように仕向けたり、給餌回数を多くするなど工夫しながら、30〜50種類を給餌しています。

繁殖
交尾期は決まっていなく、通年繁殖します。月経周期は30〜33日で、排卵される2〜3日の間に交尾します。山極寿一博士の野生ゴリラの調査結果によれば、初発情が6歳頃で、初産は10歳ころと報告していますが、飼育下では2年程度早くなります。妊娠期間は250〜270日です。出産後3年間は授乳期間中で発情はなく、出産間隔は約4年となります。上野動物園における出産例をみると、赤ちゃんの体重は1800〜2200g、色は黒みのあるピンクで毛はほとんど生えていません。生後1ヶ月齢ころ、自分で手足を動かし、目が見えるようになり、首が座ってきます。母親はお尻をなめて排泄を促します。生後2ヶ月齢ではまだ4肢でたてません。生後3ヶ月齢でリンゴやトマトを生えてきた前歯でかじった、と報告しています。野生の観察例によれば、生後2歳まで母親の乳首をくわえているそうですが、成獣まで生き残るのは約半数という厳しい世界です。
長寿記録は、フィラデルフィア動物園で1984年12月30日に死亡したニシローランドゴリラの飼育期間53年3ヶ月、推定年齢53歳6ヶ月という記録があります。

生息数減少の原因
森林を伐採して農地に転用したことや、木材の輸出、食肉用の狩猟が主な減少原因ですが、他の野生動物を捕えるために仕掛けたワナにかかることもあります。そのほか風邪や伝染病など人間の病気が感染して死亡する例が報告されています。野生の外敵は、まれにヒョウに子どもが捕えられるくらいです。

ニシローランドゴリラ
分類   霊長目 ヒト科
分布   アフリカ中西部
大きさ  

体長(頭胴長) オス 約110cm    メス 約90cm
身長(立ち上がった時の高さ)  オス 160〜180cm    メス120〜150cm
体重     オス 150〜250kg     メス 80〜120kg 

絶滅危機の程度   ゴリラの生息数は4亜種合わせて110,000〜130,000頭と推測されています。生息地の破壊、分断化、密猟が続いていることから、国際自然保護連合(IUCN)発行の2010年版のレッドリストでは、ニシローランドゴリラ、クロスリバーゴリラ、マウンテンゴリラは絶滅のおそれが非常に高い絶滅寸前種(CR)に、ヒガシローランドゴリラは絶滅のおそれが高い絶滅危惧種(EN)に指定されています。

国内の霊長目の研究は、1950年代から京都大学の今西錦司博士らが中心となって始まりました。現在は、先生と一緒に研究した方々と、その門下生たちがそれぞれ世界で著名な霊長目の研究者として活躍しています。今回、参考文献に挙げているサル学者たちは世界中にその名を知られている人ばかりです。名前を列挙すると枚挙にいとまがありませんが、今回の参考文献は、伊沢紘生、伊谷純一郎、河合雅雄、水原洋城、和秀雄、西田利貞、島泰三、杉山幸丸、山極寿一、各博士ほか多くの研究者たちのご高著を参考にしています。動物を飼育するうえで一番知りたいことは、野生状態の実態で、それらの情報を基に飼育してきました。ネットでサルの研究者を引けば著作もわかり、図書館で借りることもできます。詳しいことが知りたければ探してください。

次号からライオンやオオカミなどに代表される食肉目について、紹介していきます。

主な参考文献
Beacham, W. and Beetz, K.H.(ed)   Beacham's Guide to International Endangered Species Vol.1 Beacham Publishing Corp., Florida 1998
Estes,R,D.   The behavior guide to African mammals, The University of California Press , 1991.
今泉吉典 監修   

世界哺乳類和名辞典 平凡社1988

黒鳥英俊   モモタロウが生まれた  フレーベル館  2001
今西亮   ニシローランドゴリラの繁殖 どうぶつと動物園 東京動物園協会 春号2011
Lang,K.C. (Reviewed by Stoinski,T . )   Primate Factsheets: Gorilla, Gorilla , Taxonomy, Morphology, Ecology, Behavior and Conservation, National Primate Research Center (University of Wisconsin) 2005
Nowak, R. M.   Walker's Mammals of the World, Six Edition Vol.1, The Johns Hopkins University Press, Baltimore 1999.
杉山幸丸 編   サルの百科 データハウス 1996
山極寿一    ゴリラ・雑学ノート ダイヤモンド社 1998
山極寿一    ゴリラ図鑑 文渓堂 2008
おもしろ哺乳動物大百科57(霊長目 ヒト科 またはショウジョウ科) 2011.6.10

57)チンパンジー
チンパンジーはアフリカに生息し、地域によって3亜種に分類されています。西アフリカのセネガルからガーナにかけて分布するニシチンパンジー、中央アフリカのカメルーン、コンゴ、中央アフリカ共和国に生息するチュウオウチンパンジー、そして、ウガンダ、タンザニアに生息するヒガシチンパンジーの3亜種ですが、最近はナイジェリアとカメルーンの一部に孤立して分布する個体群を、別の亜種(ナイジェリアチンパンジー)として認め、4亜種に分類する場合もあります。
生息地は標高およそ3,000mの高地から低地までの、熱帯多雨林、山地林、サバンナ、乾燥した疎開林と、さまざまな環境に適応しています。昼行性で樹上と地上の双方で生活し、若い個体は樹上を木から木へと身軽に渡ります。移動は地上が多く、手首を伸ばし親指以外の指の第2関節を直角に曲げて指の背を地面につけてナックル歩行で歩きます。手で物を持つときには直立して2本足で歩行します。夜間は毎日、各自が枝を集めて9〜12mの樹上に寝床を作って寝ます。
群れで生活し、複数の成獣の雌雄と子どもで15〜80頭のオスを中心とした父系集団を作っています。メスは8歳ころに生まれた群れを出て違う群れに入り、そこで繁殖をします。群れのリーダーは、オス同志や外から群れに入ろうとするオスとの闘争によって決まります。1日の移動距離は1.5〜15kmで、遊動域は多雨林のような常緑林の地域では20〜40km2ですが、サバンナのような開けた土地では100〜500km2と広くなっています。多様な鳴き声と、豊かな表情や抱擁やキスなどの行動が観察されています。

からだの特徴
  オスの筋肉隆々とした感じがわかりますか。サルやノブタも、こんなチンパンジーがいる群れに捕まったらおわりだね!
オスの筋肉隆々とした感じがわかりますか。
サルやノブタも、こんなチンパンジーがいる群れに捕まったらおわりだね!
写真家  大高成元氏 撮影
   

体色は成長に伴い褐色から黒に変わっていきますが、亜種間で差があります。ヒガシチンパンジーのワカモノの顔はピンク色で加齢すると黒くなっていきます。また、頬や頭部の毛は長く密に生えていて、別名を毛長チンパンジーとも呼ばれています。尻の毛は白色ですが3歳になると消失し、老齢期の個体は頭髪が薄くなってきます。額に毛が生え、眉弓には毛が生えていないため、顔の表情がわかりやすく、意思の伝達を図ることができます。足の親指は手のつくりと似ており、握力が強く手のように使うことができます。
オスの犬歯は長く顎の力が強力で、ときにはヒョウも撃退します。歯式は、門歯2/2、犬歯が1/1、小臼歯2/2、大臼歯3/3で左右上下合わせて32本です。胸腰椎は16〜18個、肋骨は12〜13対あります。

えさ
主食は果実ですが、木の葉、花や茎、樹液、キノコ、シロアリ、昆虫、はちみつ、卵、土も食べます。この他に多くの動物を捕えて食べる肉食が知られ、その中には同種のチンパンジーや他のサルの仲間・コロブス、ヒヒ、アカオザル、そして、ノブタ、リス、コウモリ、ダイカー、は虫類、など何でも食べる雑食性動物です。餌を採るために、木の枝や草の茎を使ってシロアリ釣りや、アブラヤシの実を石で叩き割るなど道具使用する動物としても知られ、各地の動物園ではその様子を再現しています。

繁殖
月経周期は30〜36日で、排卵前後の性皮の腫脹は大きく、1〜2週間持続し、この間に交尾します。妊娠期間は230〜240日で通常は1産1子、まれに双子が生まれます。多摩動物公園の出産例によれば、赤ちゃんは体重が1200〜1500gで生まれ、頭部、背、手足の外側は毛が生えており、胸部、腹部、手足の内側には生えていません。イヌやネコは赤ちゃんのおしりをなめて排泄を促す行動が見られますが、チンパンジーは手で刺激を与え排泄させます。生後10〜14日齢で首がすわり自分の力でしがみつき、生後6ヶ月齢になると、出産時に生えていなかった部位にも毛が生えはじめます。尻の白い毛は6〜7歳まであり、この期間は群れの仲間から子どもとして保護してもらえます。生後10ヶ月齢で固形物は何でも食べますが、離乳は生後約18ヶ月齢です。しかし、その後も、夜間は母親の乳首をくわえて寝る状態が6歳くらいまで続き、ほぼ野生における母子の観察記録と一緒でした。野生の初産は13〜15歳で、ふつう生涯に2〜3頭しか生みません。ところが多摩動物公園の1頭は生涯に9頭の子を生みました。外敵の心配がなく、餌が十分あることに加え、このメスが娘たちにも育児を託したためと報告しています 。初潮は8〜10歳、メスの性成熟は6〜10歳、オスが7〜8歳です。
長寿記録は、オーストラリアのタロンガ動物園で2007年7月19日に死亡した個体の飼育期間59年、推定年齢60歳という記録があります。

生息数減少の原因
木材の輸出や農地へ転用のために森林を伐採して生息地が減少したことや、食肉用の狩猟が主な減少原因です。そのほか、ペットにするために親を殺して子どもを捕えることで、群れの形態が乱れます。また、漢方薬の材料としても捕えられています。野生の外敵はヒョウくらいです。

チンパンジー
分類   霊長目 ヒト科
分布   アフリカ西部から中央部(セネガルからタンザニア)
大きさ  

体長(頭胴長) オス 77〜92cm    メス 70〜85cm 
体重     オス 34〜70kg     メス 26〜50kg 

絶滅危機の程度   現在の生息数は172,700〜299,700頭と推測されて、国際自然保護連合(IUCN)発行の2010年版のレッドリストでは、絶滅危惧種(EN)に指定し、近い将来、野生では絶滅の危険性が高いとしています。

主な参考文献
Beacham, W. and Beetz, K.H.(ed)   Beacham's Guide to International Endangered Species Vol.1
Beacham Publishing Corp., Florida 1998
イアン・レッドモンド
日本語版監修 齋藤勝
 

ビジュアル博物館 霊長類 同朋舎出版 1997

Lang,K.C. (Reviewed by Videan,E . )  

Primate Factsheets: Chimpanzee, Pan troglodytes,
Taxonomy, Morphology, Ecology, Behavior and Conservation,National Primate Research Center (University of Wisconsin) 2006

Nowak, R. M.   Walker's Mammals of the World, Six Edition Vol.1 ,
The Johns Hopkins University Press, Baltimore 1999.
Estes,R,D.   The behavior guide to African mammals, The University of California Press , 1991.
Parker, S.P. (ed)   Grzimek's Encyclopedia of Mammals, Volume 2, McGrow-Hill Publishing Company 1990.
杉山幸丸 編   サルの百科 データハウス1996
田坂清・吉原耕一郎   チンパンジーの成長記 どうぶつと動物園 東京動物園協会 1982
吉原正人    "ジャーニー", 第9子を出産 どうぶつと動物園 東京動物園協会 1989
おもしろ哺乳動物大百科56(霊長目 ヒト科 またはショウジョウ科) 2011.5.26

チンパンジー属
本属は、ボノボとチンパンジー(ナミチンパンジー) の2種類がいます。ボノボは体がチンパンジーより一回り小型で、ピグミーチンパンジーと呼ばれていましたが、現在は一般にボノボと呼ばれています。両種は生息地、体色、食性、繁殖行動などで大きな差があるので、1種類ずつ解説していきましょう。

56) ボノボ
中央アフリカのコンゴ民主共和国(旧ザイール)のコンゴ川左岸の標高1,500m以下の地域に生息しています。熱帯多雨林の中で25〜40mの高い樹上が主な生活圏です。複数の成獣の雌雄と子どもで10頭前後からなるオスを中心とした父系集団を作っています。さらにこの群れがいくつか集まって、40〜120頭の大きな群れとなります。雌は7歳ころに生まれた群れを出て違う群れに入り、そこで繁殖をします。群れのリーダーはオスですが、メス同志の関係は親密で息子との関係は生涯続き、リーダーとなるには母親のバックアップが必要とされています。チンパンジーとくらべ、群れ内の闘争が少ないのですが、それは発情や妊娠の有無に関係なく、雌雄の他にも、メス同志やオス同士、子どもまでがお互いに性器を接触させ、子ども時代からあいさつ代りに行うことによってセックスを巡る闘争の必要がないからです。
昼行性で、樹上生活に適応しており、4本足歩行で樹の上を歩き、時には枝から枝へ飛び移り、地上では4本足でナックル歩行(軽く手を握り、指の背を地面につけて歩く方法)や、手で物を持つときには2本足で歩行します。夜間はそれぞれ枝を集めて寝床を作り、数日間使います。遊動域は20〜50km2、1日の移動距離は2.4kmとの報告があります。ボノボのコミュニケーションは顔の表情の変化など直接的な行動が多く、鳴き声のレパートリーはチンパンジーほど複雑でないと考えられています。

からだの特徴
  チンパンジーよりボノボの方が人間に似ていると思うのですが、いかがですか。
チンパンジーよりボノボの方が人間に似ていると思うのですが、いかがですか。
写真家  大高成元氏 撮影
   

体色はチンパンジーに比べ、黒くて毛が長いのが特徴です。尻の毛は白で大人になってもそのまま残り、年をとると頭の毛は薄くなってきます。頭髪は頭部の中央部で左右に分かれているので、外見上簡単にチンパンジーと区別できます。
頭部や耳は小さく、胸郭(きょうかく)の幅は狭く、手足が細長いので、2本足の立ち姿は一番人間に似ています。足の親指は手のつくりと似ており、握力が強くて手のように使うことができます。また、足の第2と第3指は融合し、水かき状になっています。チンパンジーは水に入るのを嫌がりますが、ボノボは水中に浸かりイグサを採食することから、水のある生活に慣れていると考えられます。歯は小さくオスは犬歯が長くなっています。歯式は、門歯2/2、犬歯が1/1、小臼歯2/2、大臼歯3/3で左右上下合わせて32本で臼歯にはヒダがあります。胸腰椎は16〜18個、肋骨は12〜13対あります。

えさ
雑食性ですが、主食は果実で、そのほか、木の葉、花や茎、樹液、キノコ、シロアリ、昆虫、はちみつ、卵、土、は虫類、リス、コウモリ、ダイカーなどの採食が報告されています。また最近になって、死亡した自分の子どもを、群れの仲間と一緒になって食べた母親の例が報告されています。食べ物を分配する行動も見られます。

繁殖
月経周期は30〜34日で、排卵前後の性皮の腫脹は非常に大きく、1〜3週間持続します。妊娠期間は230〜240日で通常は1産1子、まれに双子が生まれます。出産は年間を通じて見られますが、ピークは3〜5月の雨期の間です。出産間隔は4〜6年と生息環境によって差があります。赤ちゃんの体重は、1〜2kgで生まれた時から体全体が黒く、唇がピンクです。生後1ヶ月齢まではお腹に抱いて離さず、生後3〜6ヶ月齢で1m、生後10ヶ月齢で3〜4m、3歳になりやっと動きがスムースになり、背に乗るのが見られた、との報告があります。授乳は生後4歳近くまで見られますが、実際に1〜2歳以降も乳が出ているか否かわかりません。4歳まで同じ巣で寝ますが、1歳のころから母親の巣作りを横で見て、自然に覚えて4〜5歳ころに自分で巣を作ります。メスの性成熟は6〜11歳ですが、初産は13〜14歳です。オスの性成熟は9歳ですが、その後も体の成長は続きます。
長寿記録は、ベルギーのアントワープ動物園で2005年1月現在飼育中の個体の、飼育期間50年1ヶ月、推定年齢55歳という記録があります。

生息数減少の原因
人工の増加による住み場所の確保、農地の開発、木材の輸出などのために、森林を伐採したことによる生息地の減少が最大の原因です。そのほか、食肉用やペット、漢方薬の材料としても捕らえられています。野生の外敵はほとんどいませんが、まれにヒョウに狙われます。

ボノボ
分類   霊長目 ヒト科
分布   中央アフリカ
大きさ   体長(頭胴長)  オス 73〜88cm、メス 70〜76cm
体重  オス 約39kg、メス 約31kg
絶滅危機の程度   現在の生息数は29,500〜50,000頭と推測されて、国際自然保護連合(IUCN)発行の2010年版のレッドリストでは、絶滅危惧種(EN)に指定し、近い将来、野生では絶滅の危険性が高いとしています。

主な参考文献
Beacham, W. and Beetz, K.H.(ed)   Beacham’s Guide to International Endangered Species Vol.1
Beacham Publishing Corp., Florida 1998
古市剛史   Primate Research Institute, Kyoto University
類人猿ボノボ:メスたちの平和力 2010
http://www.pri.kyoto-u.ac.jp/official/tokyo2010/index.html
林壽朗   標準動物図鑑全集 動物� 保育社1968
ジョン・R・ネイピア プルー・H・ネイピア 伊沢紘生 訳   世界の霊長類 どうぶつ社1987
Lang,K.C.
(Reviewed by Frans de Waal. )
  Primate Factsheets: Bonobo, Pan paniscus,
Taxonomy, Morphology, Ecology, Behavior and Conservation,
National Primate Research Center (University of Wisconsin) 2010
Nowak, R. M.   Walker's Mammals of the World, Six Edition Vol.1 ,The Johns Hopkins University Press, Baltimore 1999.
Estes,R,D.   The behavior guide to African mammals, The university of Calfonia press , 1991.
Parker, S.P. (ed)   Grzimek’s Encyclopedia of Mammals, Volume 2, McGrow-Hill Publishing Company 1990.
杉山幸丸 編   サルの百科 データハウス1996
おもしろ哺乳動物大百科55(霊長目 ヒト科 またはショウジョウ科) 2011.5.10

ヒト科
今泉吉典博士は、オランウータン、チンパンジー、ゴリラはショウジョウ科とし、人間は別にヒト科に分類してきました。しかし、ヒト科とショウジョウ科は共通の祖先から進化・分岐したこと(最も早く分岐したのはオランウータンで約1300〜1500万年前と推定されます)、また最近の分類は、外見的な違いや大きさなどよりも、DNA分析を重視する傾向にあることから、現在はショウジョウ科とヒト科を合わせてヒト科にするのが一般的です。そして、その中をオランウータン属、チンパンジー属、ゴリラ属、およびヒト属の4属としています。本科の種には尻だこや頬袋、尾はありません。また、四肢の指には平爪がありますが、親指に爪がない場合もあります。盲腸があり虫垂もあります。 以下にヒト以外の3属について順次紹介していきましょう。

オランウータン属
本属は最近までオランウータン1種に分類し、スマトラ島とボルネオ島に分布する個体群をそれぞれ亜種として扱ってきました。しかし、両島が分離したとされる約2万年前よりはるか以前の約150万年前には、両島の個体群はすでに遺伝学的には分岐していたと考えられています。その結果最近はそれぞれを独立種としてみなし、スマトラオランウータンとボルネオオランウータンの2種に分類しています。
DNAだけでなく、2種には外見上の違いもあります。ボルネオオランウータンは体色が暗色で、頭部や頸部の毛が少なく個体差が大きく、あごひげが目立ちません。また、のど袋が大きく垂れ下がるなどの特徴があります。一方、スマトラオランウータンは体色が明るいオレンジで、頭部や頸部の毛が長く、あごひげが必ずあります。のど袋は成獣になってもそれほど目立ちません。過去には両島に生息するオランウータンは1種として、亜種で分類していたため、動物園では一緒に飼育し亜種間雑種も生まれています。
今回はボルネオオランウータンについて紹介しましょう。

55)ボルネオオランウータン
ボルネオ島のインドネシア領のカリマンタン、マレーシア領のサバ州、サラワク州に生息し、ブルネイ国には生息していません。生活空間は高地の熱帯林、低地のフタバガキ林、山地林低部、山岸林、湿地林やマングローブの一部などにもみられます。他のヒト科は明確な群れを作って生活していますが、オランウータンのメスは4〜6歳の子ども、1〜2頭と一緒に生活し、メスが性成熟を迎える頃、7〜10歳で子どもと別れます。成獣のオスは単独で生活していますが、メスやワカモノたちは5〜6頭が日中同じ木で採食しているのが観察されています。
昼行性で、樹上生活に適応しており、樹上の移動は手でぶら下がり、体を振って片手で枝をつかみながら、腕を伸ばし先方の枝をつかんで渡ります。地上は4本足で歩くか、両手を上にあげて2本足歩行します。夜間は樹冠部に枝を集めて寝床を作り、数日間同じ巣で寝たり、休憩したりするときに使います。オスはロングコールと呼ばれる鳴き声を1〜2分あげ、自分の場所を主張しますが闘争することはありません。この鳴き声は、数kmも届き、メスを誘う時に呼びかけの役割も果たしていると考えられています。メスの行動範囲は3〜6km2で、1日の移動距離は100〜3000m, 平均500m程度とあまり広くはありません。

からだの特徴
  どうですかこの立派なオスの顔、初めてジャングルで遭遇した人はびっくりしたでしょうね。
どうですかこの立派なオスの顔、初めてジャングルで遭遇した人はびっくりしたでしょうね。
写真家  大高成元氏 撮影
   

体色は栗色か赤褐色で、肩部と背中の毛が長く伸び約30cmにも達します。樹上で上腕を使って枝渡りするので、腕に筋肉をつけるため広い胸部と細い腰をしています。オスは完全に成長すると、頬の両側に固い脂肪層が張出して、喉から胸にかけて膨らんで垂れ下がったのど袋、長い体毛などから、体全体を巨大に見せる効果となっています。頬の張り出しは、その地域で一番強いオスに見られます。身長は約1.5m、両手を広げると2m以上となり、腕の長さは足の1.5倍ほどあります。体重はオスで50〜100�ですが、飼育下では200�になった個体もいます。手足の指は長く親指は短いのですが、他の4本指に対向しており物をつかむことができます。握力が非常に強く5寸釘や直径1cmのボルトをねじ切ったなどの話を飼育員から聞いたことがあります。歯式は、門歯2/2、犬歯が1/1、小臼歯2/2、大臼歯3/3で左右上下合わせて32本で臼歯にはヒダがあります。5〜8歳で乳歯から永久歯にすべて生え変わります。

えさ
果実(ドリアン、イチジク、ランブータンほか)、木の葉、花や茎、樹液、キノコ、シロアリ、昆虫、卵などで、ごく稀に小型動物食べた報告があります。およそ350種前後におよぶ種類の食物を食べていますが、1日の種類数は10種類前後と報告しています。

繁殖
交尾期は不定ですが、乱婚で飼育下ではメスの発情に関係なく、オスがメスと強引に交尾するのが観察されています。月経周期は 22〜30日といわれていますが、多摩動物公園の例では、4頭の平均が36日でした。 発情は5〜6日間続きます。妊娠期間はやはり多摩動物公園の例で7頭の平均が264日間でした。野生の初産年齢は14〜15歳、出産間隔は6〜8年ですが、飼育下の方が若い年齢で出産します。1産1子で、多摩動物公園の出産例によれば、赤ちゃんの体重は、1.5〜2kg、目は生まれてすぐに開きましたが、見えるようになるには生後1ヶ月齢、動くものを追うのは生後2ヶ月齢以上かかりました。体重は上野動物園で出産した例では、生後6ヶ月齢に約13�になりました。授乳は2歳くらいまで続き、4歳近くまで一緒の巣で寝ます。4〜5歳ころになると母親の近くで自分の巣を作ります。性成熟に達するのは一般的にはオスで8〜15歳、メスでは7〜10歳です。
長寿記録としては、多摩動物公園で2011年4月30日に死亡した個体の飼育期間55年5ヶ月25日、推定年齢59歳4ヶ月という記録があります。

生息数減少の原因
ボルネオの森林破壊はすざましくオランウータンが暮らしていた森林の80%以上が破壊され、木材として搬出され、その跡にパームヤシ畑を作ったことにより、生息地域を奪われたことが、彼らの生息数の減少の一番大きな原因です。そのほか、山火事などの自然災害、ペット、漢方薬の材料として捕られます。野生の外敵はほとんどいませんが、まれに子どもがウンピョウやニシキヘビに狙われます。

ボルネオオランウータン
分類   霊長目 ヒト科
分布   ボルネオ島
大きさ   体長(頭胴長)  オス 平均 97cm、メス 平均78cm
座高     70〜90cm
体重  オス 50〜100kg、  メス 30〜50kg
絶滅危機の程度   現在のボルネオにおける生息数は最近の報告によると、45,000〜69,000頭と推測されて、国際自然保護連合(IUCN)発行の2010年版のレッドリストでは、絶滅危惧種(EN)に指定し、近い将来、野生では絶滅の危険性が高いとしています。
ボルネオでは、1964年「セピロク・オランウータンリハビリセンター」がWWFの援助のもと設立され、現在森林局で管理されています。

主な参考文献
Lang,K.C. (Reviewed by Husson,S.)   Primate Factsheets: Orangutan, Pongo, Taxonomy, Morphology, Ecology, Behavior and Conservation, National Primate Research Center (University of Wisconsin) 2005
林壽朗   標準動物図鑑全集 動物� 保育社1968
ジョン・ボネット・ウェクソ編
増井光子 訳・監修
  ゴリラ・オランウータン 誠文堂新光社 1985
京都大学霊長類研究所 編著   新しい霊長類学 20098
宮本昇   In,世界の動物分類と飼育1 霊長目 1987
Nowak, R. M.   Walker's Mammals of the World, Six Edition Vol.1 ,The Johns Hopkins University Press, Baltimore 1999.
小寺重孝   In,世界の動物分類と飼育1 霊長目 1987
杉山幸丸 編   サルの百科 データハウス1996
安間茂樹   ボルネオ島 アニマル・ウオッチングッチング・ガイド 文一総合出版 2002
おもしろ哺乳動物大百科54(霊長目 テナガザル科) 2011.5.2

テナガザル科
テナガザルの仲間は、テナガザル属・1属とする学者と、染色体の違いでフクロテナガザルを別の属あるいは亜属に分類する学者がいます。(シロテテナガザルの染色体数2 n=44、フクロテナガザル2 n=50)。ここでは今泉吉典博士の分類にしたがい、テナガザル属・1属としました。共通している点は、長い前肢で枝に懸垂してつかまり、体を前後に振って枝から枝へ飛び移りながら移動します。これをブラキエーションと呼んでいます。樹上生活に適応しているため地上に降りることは少ないのですが、歩行するときは両手を挙げてバランスをとりながら2足歩行します。

テナガザル属
本属はクロテナガザル、フーロックテナガザル、クロステナガザル、シロテテナガザル、ボウシテナガザル、フクロテナガザルの6種に分類され、タイ南部、ラオス、カンボジア、ミャンマー、中国、マレー半島、スマトラ島、ボルネオ島に生息しています。最近の分類では細かく14種に分類する学者もいます。フクロテナガザルはシャーマン・ギボンとも呼ばれ、テナガザル属の中では最大になり、体長約1m、体重10kg前後となり、喉に共鳴袋があり大声を出すことができることで有名です。
今回は、国内の動物園で飼育している園が多い、シロテテナガザルについて紹介していきましょう。

54)シロテテナガザル
タイ、ミャンマーと中国の国境地域、ラオス、カンボジア、マレー半島、スマトラ島北部の低地や、山地の常緑林、熱帯多雨林とモンスーン林の樹冠で生活しています。オトナの雌雄ペアとその子ども1〜2頭、ふつう3〜4頭で生活していますが、最大で6頭が観察されています。昼行性で早朝から大きな声を張り上げて鳴くのが特徴で、雌雄で合唱のように鳴き合いますが、メスは単独でいるときはめったに鳴きません。この声は数�も届き、周辺の群れに存在を伝えることができ、群れ同士がお互いのなわばりを守るときや、オスがメスを誘う時に呼びかけの役割を果たしていると考えられています。遊動域は生息地によって異なりますが、平均すると約40haでこのうち約75%をなわばりとして防衛し、1日に約1.4�移動するといわれています。夜間は急斜面や崖縁の高い樹上で眠ります。

からだの特徴
  シロテテナガザルの得意技、強い前腕を使った腕渡りでブラキエーションといいます。
シロテテナガザルの得意技、強い前腕を使った腕渡りでブラキエーションといいます。
写真家  大高成元氏 撮影
   

前肢の長さが後肢より極端に長く、腕を振ってブラキエーションするとき、片方の腕を離すと180度体が回転して反対側に向きます。強い腕力を生み出す筋力をつけるため、胸郭は前後より左右の幅が広くなっています。歩行するときは人間と同様に足底を地面につけて歩きます。尾はありません。顔は毛が生えていなく黒く、その縁取りは白い毛が生えています。体色は黒、白、クリーム色、赤、茶色と変化に富んでいます。親指は短いのですが、他の4本指に対向しており物をつかむことができ、足もまた、足裏に毛がなくて物をつかむことができます。
盲腸に虫垂があり結腸が大きく、ここに食べ物をためて発酵させ消化します。頬袋はありません。歯式は、旧世界のサルと同じで門歯2/2、犬歯が1/1、小臼歯2/2、大臼歯3/3で左右上下合わせて32本です。犬歯は雌雄とも長く鋭く、成獣は攻撃的になり、動物園の飼育員が噛まれて負傷する事故例もあります。尻だこはオナガザルの仲間は生まれる前からあるのに対し、出産後形成されます。

えさ
熟れた果実、木の葉、花や茎、昆虫、卵などおよそ100種類の食べ物を食べていると報告されています。水を飲む時は直接口をつけないで、木のくぼみなどに溜まった水に手を入れてそのしずくを口にいれたり、葉に溜まったものをなめたりします。

繁殖
交尾期は不定ですが、最も多いのは乾季の3月で出産のピークは雨期の10月です。発情周期は28〜30日で繰り返し、7〜11日続きます。妊娠期間は6〜7ヶ月、出産間隔は約3年です。1産1子で、赤ちゃんの体重は約380g 、頭部に毛があるだけでほぼ丸裸なので母親のお腹にしっかりとしがみつき保温されています。体の色はたいがい白っぽく、親と同じ体色になるのは2〜3年後です。生後4ヶ月齢で固形物を食べはじめますが離乳は生後1歳から1歳半です。生後9ヶ月齢ころから枝につかまり移動するようになります。7〜8歳で性成熟に達すると、親に群れから追い出され、雌雄ともに自分たちのペアを形成します。野生のテナガザルの初産は11歳ころです。
長寿記録としては、アメリカのサンアントニオ動物園で2004年6月現在飼育中の個体の飼育期間49年6ヶ月、推定年齢52歳という記録があります。

生息数減少の原因
テナガザル科はすべての種類が森林破壊により生息地域を奪われCITES(ワシントン条約)�表にランクされています。そのほか食料やペット、漢方薬の材料として捕られます。野生の外敵はトラ、ヒョウ、ウンピョウ、マーブルキャット、アジアゴールデンキャット、ベンガルヤマネコ、ワシ、タカなどの猛禽類、ニシキヘビ、同じギボンの仲間にも殺されることがあります。

シロテテナガザル
分類   霊長目 テナガザル科
分布   南アジア(ミャンマーからタイ、マレー半島、スマトラ島北部)
大きさ   体長  オス 44〜59cm、メス 42〜58cm
体重  オス 5〜8kg、  メス 4〜7kg
絶滅危機の程度   現在のタイにおける生息数は15,000〜20,000頭と推測されていますが、他の地域での生息数は不明です。いずれの地域でも生息地が寸断され、生息数が減少していることから国際自然保護連合(IUCN)発行の2010年版のレッドリストでは、絶滅危惧種(EN)に指定し、近い将来、野生では絶滅の危険性が高いとしています。

主な参考文献
今泉吉典 監修   世界哺乳類和名辞典 平凡社1988
イアン・レッドモンド 著 日本語版監修 齋藤勝   霊長類 同朋社出版 1997
Gron, K. J.
(Reviewed by Mootnick, A. )
  Primate Factsheets: Lar gibbon, Hylobates lar,
Taxonomy, Morphology, Ecology, Behavior and Conservation,
National Primate Research Center (University of Wisconsin) 2010
林壽朗   標準動物図鑑全集 動物� 保育社1968
ジョン・R・ネイピア プルー・H・ネイピア 伊沢紘生 訳   世界の霊長類 どうぶつ社1987
河合雅雄 岩本光雄 吉場健二   世界のサル 毎日新聞社 1968
小寺重孝   In 世界の動物分類と飼育1 霊長目 1987
Nowak, R. M.   Walker's Mammals of the World, Six Edition Vol.1,
The Johns Hopkins University Press, Baltimore 1999.
杉山幸丸 編   サルの百科 データハウス1996
おもしろ哺乳動物大百科53(霊長目 オナガザル科) 2011.4.12

リーフモンキー属
今泉博士は本属を、ハヌマンラングール、スンダリーフモンキー、シルバールトン、ダスキールトンなど14種に分類しています。今回は皆さんになじみの深いハヌマンラングールについて紹介しましょう。本種は、ハヌマーンという名がインド神話に由来し、現在も民間信仰の対象となり保護しているため、野生群がヒンドゥー教寺院などを餌場にして生活しています。

53)ハヌマンラングール
インド、パキスタン、アフガニスタン、バングラデシュ、ネパール、スリランカの各地に広く分布しています。ヒマラヤ高地の標高1000〜3500mから、低地の沼沢林、竹林、低木林、マングローブ林、耕作地、半砂漠、乾燥した熱帯有棘林まで様々な環境に適応して生息しています。昼行性で、寺院近くにいる群れは一日の大半を地上で過ごし、夜間は高い樹上で寝ます。
群れで生活するグループは、1頭のオトナオスと5〜10頭のオトナメスとその子どもで構成されたもの、次に複数の雌雄と子どもたちが集まった群れ、そして、若いオスのみのグループが周辺部にいます。南インドの群れの調査報告によれば、オスは時々群れを攻撃し、平均して3年に1回、乗っ取りが起きたと報告しています。群れの大きさは生息地や季節によって異なり、100頭前後になることがあります。遊動域は0.2〜10km2、1日の遊動距離は360mです。仲間同士では19種類の声で交信していると報告されています。1962年に野生のハヌマンラングールを調査し、群れを乗っ取ったオスは離乳前の子どもを殺す行動が、杉山幸丸博士らによって報告され、それまで同種のサルの中では継子殺しはないと信じていた世界中のサル学者たちに衝撃を与えました。その後、野生のサルの調査が進むと他のラングールや、アカオザル、ホエザルなどにもあることがわかりました。新生児を殺すことにより、母親は授乳を中止するため、発情がきて、新リーダーは交尾できることになります。

からだの特徴
  大空を舞うように、大きくジャンプした瞬間をとらえた貴重な写真です。
大空を舞うように、大きくジャンプした瞬間をとらえた貴重な写真です。
写真家 大高成元氏 撮影
   
体はほっそりとして4肢や尾が長く、4足歩行するときは尾を高く背中にあげています。体色は全体的に灰色で、顔と4肢が黒です。体の大きさは生息地によって異なり、ヒマラヤ高地など北方の個体群は大型で体長は100�、体重は20�を越えます。手の親指は短く、木に4本の指をひっかけて樹上を渡り歩くのに適応しています。頬袋はありませんが唾液腺が大きくなっています。腹部はせり出し、胃は大きく3つにくびれて、胃腸内の微生物により消化しにくいセルロースを発酵させて栄養源として取り込みます。盲腸に虫垂はありません。
顎を前後に動かし食べ物を噛みます。歯式は門歯2/2、犬歯が1/1、小臼歯2/2、大臼歯3/3で左右上下合わせて32本です。オスの尻だこは左右がくっついていますが、メスは分かれています。

えさ
ハヌマンラングールの生息域は広範囲で、環境や植生、季節により変わり、果物が実るころは主食になることもありますが、基本的に葉食動物で、木の葉、若芽、花、種子、が主体となりますが、葉が少ない時期には樹皮も食べます。また、昆虫も食べることが知られています。水はあまり飲みません。

繁殖
出産期は生息地で差があり、冬季積雪するヒマラヤに生息する群れは4〜5月が多くなっていますが、これは冬の前に離乳するためと考えられています。一方、暑いインドの場合、1年を通じて生まれます。発情周期は約24日で5〜7日間続きます。妊娠期間は190〜210日、1産1子ですが時々2子の例が報告されています。出産間隔は15〜24ヶ月です。赤ちゃんの体重は約500g、顔はピンク、体は暗褐色か黒で、生後3〜5ヶ月齢でオトナの体色に変わります。生後1週齢は母親が胸に抱いていますが、生後2週齢になると周囲に目を向け、3週齢で遊び始めます。群れの他のメスたちも早い時期から赤ちゃんの面倒をみます。固形物は生後6週齢から自分で食べ始めますが、授乳も生後10〜12ヶ月齢まで続きます。性成熟はメスが3〜4歳、オスは4歳ですが、体の成長は6〜7歳まで続きます。
長寿記録としては、ドイツのエアフルト動物園で1995年4月25日に死亡した個体の飼育期間26年4ヶ月、死亡時の推定年齢29歳という記録があります。

生息数減少の理由
最大の原因は開発によるに生息域の減少ですが、他にも食料や漢方薬の原料、ペット用の捕獲、エルニーニョ現象で生息域の森林がダメージを受けて食料不足を招いたことも挙げられます。野生の外敵としては、トラ、ヒョウ、ドール、オオカミ、キンイロジャッカル、ヘビ、などに狙われます。

ハヌマンラングール
分類   霊長目 オナガザル科
分布   南アジア:北はインド北部のヒマラヤ山系、ネパールから南はスリランカまで、西はアフガニスタン、東はバングラデシュまで。
大きさ   体長  オス・メス 50〜110cm
尾長  オス・メス 73〜110cm
体重  オス 約9〜21�  メス  約8〜18kg
絶滅危機の程度   2001年の報告によると、インドでの生息数は約300,000頭と推測されていますが、最近の生息数はインドを含めて不明です。国際自然保護連合(IUCN)発行の2010年版のレッドリストでは、生息数が安定している地域と減少している地域もあるので、絶滅危機の程度も地域によって異なり、現在は絶滅の恐れが少ない低危急種(LC)から、絶滅の恐れが非常に高い絶滅危惧種(EN)まで様々です。

主な参考文献
今泉吉典 監修   世界哺乳類和名辞典 平凡社1988
Gron,K.J.   Primate Factsheets: Gray langur, Semnopithcus, Taxonomy, Morphology, Ecology, Behavior and Conservation, National Primate Research Center (University of Wisconsin) 2008
林壽朗   標準動物図鑑全集 動物� 保育社1968
ジョン・R・ネイピア プルー・H・ネイピア 伊沢紘生訳   世界の霊長類 どうぶつ社1987
河合雅雄 岩本光雄 吉場健二   世界のサル 毎日新聞社 1968
Nowak, R. M.   Walker's Mammals of the World, Six Edition Vol.1,
The Johns Hopkins University Press, Baltimore 1999.
Parker, S.P. (ed)   Grzimek's Encyclopedia of Mammals, Volume 2, McGrow-Hill Publishing Company 1990.
杉山幸丸 編   サルの百科 データハウス1996
おもしろ哺乳動物大百科52(霊長目 オナガザル科) 2011.3.30

テングザル属
テングザル属に含まれるのはテングザル1種だけで、ボルネオ島にのみ生息する固有種です。成獣のオスの鼻がテングのように長いことから命名されました。

52)テングザル
サラワク州中央部以外の、海岸やニッパヤシのマングローブ林と河川に沿った川岸林など低地多雨林に生息し、純粋なマングローブ林や熱帯多雨林にはいません。昼行性で午前中の10時ころまでと夕方3時から5時ころまでは群れが一緒になって採食し、日中の暑さが厳しいときは三々五々で休息しています。夜間は1本から数本のこずえで寝ていますが、木の枝に果実が実っているように見えます。行動域は約130haで、日中1〜2km遊動しながら採食しています。
群れは15〜40頭ですが、基本的には、1頭の成獣オスと複数のメス、およびその家族です。大きな群れの場合、成獣オスが2〜3頭いますが、これらは群れが集まったものと推測されます。周辺には若いオスの群れや単独でいる成獣オスもいます。川は泳いで渡り、あるいは高い木の上から飛び込みそのまま犬かきで泳ぎ、潜ることもできます。かつては人間が捕らえていたため、近づくと逃げていましたが、近年餌付けに成功した群れや、観光の目玉として保護し始めたことから、10m以内にまで近づけるようになりました。仲間同士の交信は6種類の声があると報告されています。

からだの特徴
  お母さんの鼻がテングの鼻のようでしょう。赤ちゃんの毛の色はもう少し大きくなるまで青味かかっています。
お母さんの鼻がテングの鼻のようでしょう。赤ちゃんの毛の色はもう少し大きくなるまで青味かかっています。
写真家 大高成元氏 撮影
   
体は全体に赤褐色で、4肢はうすい灰色で、顔には毛が生えておりません。肩部から背中にかけては濃いオレンジ、灰色、黒など地域差があり、尾の付け根には3角形のパッチ状の部位があります。最も特徴的な点はオスの大きな鼻で、天狗のように長く伸びています。メスの鼻は少し上向きにぴんとしています。雌雄差が大きく、オスの体重がおよそ20kgあるのに対し、メスは半分の10kg前後です。
歩行するときは4足歩行ですが、2本足でも歩きます。足の第2指と第3指の間には水かきのような膜があり、泳ぐときやマングローブの泥の上を歩くときに適応しています。手の親指は短めで、この点は、オナガザルの仲間(ニホンザルなど)は5本、コロブスの指が4本と比べると中間の長さとなっています。胃はくびれて大きく、腸も長いため太鼓腹のようになり、内部にはセルローズを分解する腸内細菌がいて長時間かけて発酵させ消化しています。尻だこはオスは中央でくっついていますが、メスは離れています。歯式は門歯2/2、犬歯が1/1、小臼歯2/2、大臼歯3/3で左右上下合わせて32本で、オスの犬歯は強大です。

えさ
野生時の主食は、葉、花、新芽、果物、種子、水生植物などで動物性のものは食べません。 動物園で飼育するのは難しく、最近横浜ズーラシアで飼育をしていますが、原産国以外で飼育している動物園は少ないサルです。

繁殖
交尾期は地域差がありますが、11月から2月ころがピークで、出産期は3月〜5月で雨季の終わり近くが多いようです。発情中は陰部に性的な腫脹があります。妊娠期間は約166日、1産1子です。赤ちゃんの体重は約450gで、赤ちゃんの顔の色は濃い青か真っ黒ですが生後2.5〜3ヶ月齢で灰色に変化し始めます。固形物は生後6週齢ころから食べ始めますが、授乳は生後7ヶ月齢ころまで続きます。赤ちゃんはおもに母親に抱かれますが、母親が許せば、ほかのメスや成獣のオスも抱きます。性成熟は約5歳です。
長寿記録としては、日本モンキーセンターで1974年9月18日から1999年11月9日までの25年1ヶ月という飼育記録があります。

生息数減少の理由
生息地では、彼らの住んでいた森林とマングローブ林を開発して、その跡に広大なパームヤシ畑を作り、テングザルはこれらの地域では川沿いの林に生息するか、一部の保護区で生息するのみとなっています。開発のほかにも密猟もまだ続いています。野生の外敵としては、ウンピョウ、クロコダイル、ミズトカゲ、ニシキヘビなどのほかカンムリワシには赤ちゃんやこどもたちが狙われます。このほかに、高い樹の上から飛び降りた際の打撲による死亡も多いと報告されています。

テングザル
分類   霊長目 オナガザル科
分布   ボルネオ
大きさ   体長  オス 66〜76cm  メス 53〜61cm
尾長  オス 66〜75cm  メス 57〜62cm
体重  オス 約16〜23�  メス  約7〜11kg
絶滅危機の程度   国際自然保護連合(IUCN)発行の2010年版のレッドリストでは、絶滅危惧種(EN)に指定し、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いとしています。 1986年の調査では約250,000頭いたと推測されていましたが、1994年には数千頭にまで減少したとの報告もありますが、現在の生息数は不明です。

主な参考文献
Beacham, W. and Beetz, K.H.(ed)   Beacham's Guide to International Endangered Species Vol.1 Beacham Publishing Corp., Florida 1998
Gron,K.J.(Reviewed by Boonratana, R.)   Primate Factsheets: Proboscis Monkey Nasalis larvatus, Taxonomy, Morphology, Ecology, Behavior and Conservation, National Primate Research Center(University of Wisconsin) 2009
ジョン・R・ネイピア プルー・H・ネイピア
伊沢紘生 訳
  世界の霊長類 どうぶつ社1987
河合雅雄 岩本光雄 吉場健二   世界のサル 毎日新聞社 1968
Nowak, R. M.   Walker's Mammals of the World, Six Edition Vol.1,
The Johns Hopkins University Press, Baltimore 1999.
杉山幸丸 編   サルの百科 データハウス1996
安間茂樹   ボルネオ島 アニマル・ウオッチングガイド
文一総合出版 2002
安間茂樹   熱帯雨林の動物たち 築地書舘 1991
おもしろ哺乳動物大百科51(霊長目 オナガザル科) 2011.3.15

ドゥクモンキー属
本属は、中国に2種ブレーリッヒモンキーとキンシコウ、およびベトナムからラオス、カンボジアにかけて生息するアカアシドゥクモンキー、ベトナムに生息するトンキンシシバナザルの4種に分類されます。いずれも山奥に生息していることで、長い間生態が不明でしたが近年ようやく原産国と共同調査が進み明らかになってきました。
今回は別名ゴールデンモンキーとも呼ばれているキンシコウ(金絲猴)について紹介しましょう。

51)キンシコウ(金絲猴)
中国の湖北省、陝西省、甘粛省、四川省、雲南省、チベット山地の、標高1500〜3500mの山奥に生息しています。このあたりの冬は長く、雪が降り積もり、気温はマイナス5度〜マイナス8度に下がるため、体には長い毛が密生しています。昼行性で、行動域は20〜40km2と推定され、おもに樹上生活ですが、成獣のオスは地上にいる割合が多く、全行動の約15%と報告しています。樹上生活をするサルの仲間ではもっとも大きな群れを作り、最大でおよそ600頭におよぶ大群の観察例があります。しかし、通常は1頭のオスと複数のメス及びその家族で構成される5頭前後で生活し、それらが集まり30〜100頭前後になります。このほかに、周辺部にはオスだけの群れもいます。移動は4足歩行で、木の間を飛び移るときは前足をいっぱいに伸ばして飛び移ります。群内の交信やなわばりの主張には、警戒、威嚇、呼びかけ、その他を入れると18種類の声を使っている、との調査報告があります。

からだの特徴
  キンシコウは孫悟空のモデルとも言われていますが、きれいなサルですね。
中国にはジャイアントパンダ以外にも、希少な動物が生息しています。 キンシコウは孫悟空のモデルとも言われていますが、きれいなサルですね。
写真家 大高成元氏 撮影
   
4肢と体はがっしりとして、顔は三角形で、鼻は上向きで鼻端が目の近くまで来ています。大型のサルで、オスの体長と尾長は70�を越え、体重も20�に達します。オスは成獣になると二次性徴の特徴であるイボが口の両端にできます。体色は全体的にオレンジ色ですが、頭部の隆起部位から背中、尾にかけては暗褐色から黒褐色、肩には50cmに達するたてがみ状の金色の毛が生えています。口吻と目の周りには毛が生えていず、目の上と鼻の周囲は淡青色で顔が際立って美しくなっています。樹上生活に適応して手の親指が非常に短くなっています。胃は大きく、小嚢(のう)にわかれています。頬袋がなく、歯式は門歯2/2、犬歯が1/1、小臼歯2/2、大臼歯3/3で左右上下合わせて32本で、大臼歯の咬合面は高く盛り上がっていて、主食となる葉を細かく切る事ができます。犬歯の長さもオスが大きく性的二型となっています。オスの尻だこは雌雄ともに左右が離れています。

えさ
野生時の主食は葉ですが、地衣類、竹、草、茎、新芽、果実、松の実、種子、樹皮、昆虫、小鳥、卵なども食べます。大きな胃でゆっくり時間をかけて消化するために日中も休息しています。

繁殖
月経周期は約27〜29日間で、飼育下の妊娠期間は174〜208日ですが、野生では約6ヶ月です。交尾期は生息地によって違う報告が出ていますが、9月から11月でピークは11月(名古屋東山動物園の例:10月から1月が交尾期で、半年後の4月から6月が出産期となります)です。性成熟はメス4〜5歳、オス7歳と推定され、初産年齢は5歳です。赤ちゃんは体長20〜25cm、体重約500gで、体の色はうすい黒です。母親は生後10〜15日齢までは抱いており、この間赤ちゃんは寝ている時間が多くなります。生後3〜4週齢で手の届く範囲まで離すようになります。生後2〜3ヶ月齢で遊び始め、約7ヶ月齢ころから子供同士で遊びます。授乳は約1年間続きその後も19〜20ヶ月齢までは乳首をくわえるのが観察されます。
長寿記録としては、北京繁殖センターで1980年5月1日に生まれ、2004年3月に死亡した23歳10ヶ月という記録があります。

生息数減少の理由
キンシコウの生息域近くまで道路ができて開発が進み、大幅に生息域が減少しました。中国政府はパンダと同様、保護にのりだし、現在の生息数は8,000〜20,000頭と推定されています。人々は1000年以上まえから、金色のマントのような毛皮でコートを作り、肉と骨は漢方薬に利用するために捕らえていましたが、現在もまだ密猟者に狙われています。野生の外敵としては、トラ、ドール、ヒョウ、アジアゴールデンキャット、タイリクオオカミ、インドジャコウネコ、キツネ、テンのなかま、オオタカ、イヌワシなどがいます。

キンシコウ(金絲猴)
分類   霊長目 オナガザル科
分布   中国中部から西部の山岳地帯
大きさ   体長  オス53〜73cm  メス50〜52cm
尾長  オス59〜80cm  メス 48〜52cm
体重  オス 約20kg  メス  約13kg
絶滅危機の程度   国際自然保護連合(IUCN)発行の2010年版のレッドリストでは、絶滅危惧種(EN)に指定し、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いとしています。

主な参考文献
今泉吉典 監修   世界哺乳類和名辞典 平凡社1988
Gron,K.J.(Reviewed by Ren, R.)   Primate Factsheets: Golden snub-nosed monkey, Rhinopithecus roxellana ,
Taxonomy, Morphology, Ecology, Behavior and Conservation, National Primate Research Center(University of Wisconsin) 2007
林壽朗   標準動物図鑑全集 動物� 保育社1968
ジョン・R・ネイピア プルー・H・ネイピア
伊沢紘生 訳
  世界の霊長類 どうぶつ社1987
東山動物園   インターネット情報
河合雅雄 岩本光雄 吉場健二   世界のサル 毎日新聞社 1968
Nowak, R. M.   Walker's Mammals of the World, Six Edition Vol.1,
The Johns Hopkins University Press, Baltimore 1999.
杉山幸丸 編   サルの百科 データハウス1996
四川資源動物誌編集委員会 編   四川資源動物誌 第2巻 獣類 四川科学技術出版社 1984

おもしろ哺乳動物大百科50(霊長目 オナガザル科) 2011.2.25

コロブス亜科
本亜科には、アフリカに生息するコロブスの仲間と、アジアに生息するリーフイーターと呼ばれる仲間やテングザルなどが含まれています。アフリカのコロブスについて、今泉吉典博士は、コロブス属とプロコロブス属の2つに分類しています。

コロブス属
今泉博士は本属をアンゴラクロシロコロブス、アカコロブス、アビシニアコロブス(ゲレザ)、キルクコロブス、キングコロブス、サタニックコロブスの6種に分類しています。属や種ごとに川などをはさんですみ分ける地域と、分布が重なる所では同じ場所で木の高さによって、樹冠、中間層、そして、下層とすみ分けて生活するケースもあります。アカコロブスがいない場所ではアビシニアコロブスが樹冠にいます。
今回は国内でなじみの深いアビシニアコロブス(ゲレザ)について紹介しましょう。

50)アビシニアコロブス
アフリカ中央部の西はナイジェリアから中央アフリカ、東はエチオピア、南はタンザニアにかけて広く分布しています。昼行性で森林や疎開林の樹上で生活していますが、1日の大半は休息し、日没後樹上で寝たあと、日が登っても1時間から数時間は寝ています。群れは6頭から10頭程度が多く、1頭のオス、または複数のオスとメス及びその家族で構成されています。群れのリーダーは年長のメスで、外敵にはオスが対応します。なわばりは5〜25haで、群内の交信やなわばりの主張には、5種類の声と1種類の舌打ちを使っている、との調査報告があります。

からだの特徴
  肩の立派なマントと、白くて長い尾が魅力的なサルです。
肩の立派なマントと、白くて長い尾が魅力的なサルです。
写真家 大高成元氏 撮影
   
体は全体的に黒く、顔の周囲は白、肩から尻にかけて白いマント状の毛があります。体長は50〜70cmですが、尾の方が長く、オスではおよそ80cmに達し、途中から長くふさふさとした白か薄い黄色の毛が生えています。体重は、オスは約14kgになりますが、メスは9kg未満です。他のオナガザルの仲間と違うところは頬袋がなく、手の親指がないか、いぼ状に退化しているところです。そのため木にぶら下がるときは、4本の指を引っ掛けて反動をつけて飛び移り、物を掴むときは、指と掌の間にはさみます。胃は大きく3つにくびれており、前方でセルロースの消化酵素が出され、微生物により発酵させて栄養源として取り込みます。鼻端は長く口に触れるくらいです。 歯式は門歯2/2、犬歯が1/1、小臼歯2/2、大臼歯3/3で左右上下合わせて32本で、大臼歯の咬合面は高く盛り上がり、主食となる葉を細かく切る事ができます。オスの尻だこは左右がくっついています。

えさ
野生時の主食は葉ですが、季節により未熟の果実や花も食べます。1日の採食量は体重の三分の一から四分の一に当たる2〜3kgです。彼らの餌となる葉は豊富にあり、採食所要時間も少なくてすみます。大きな胃でゆっくり時間をかけて消化するために日中も寝て休息しています。動物園の餌は、木の葉、ジャガイモ、ゆで卵、バナナ、リンゴなどです。

繁殖
月経周期は約24日間で、外見上メスの発情徴候はありませんが、排卵前後2〜3日間にメスはオスを受け入れます。妊娠期間は158〜170日で、出産間隔は16〜22ヶ月間です。繁殖期は決まっていませんが、雨期に多くなっています。性成熟はメス4歳、オス6歳と推定されています。上野動物園の例では生まれたばかりの赤ちゃんは、体長約20cm、尾が24cm、体重は約500〜600gで、眼は開いており、頭部、手足と尾の先以外は純白の毛で被われていました。生後1週間齢で手足の先、3週間齢で目の周囲が黒くなり始め、親と同じ体色になったのは生後100日齢でした。また、生後1週間齢は母親に抱かれて動かず、その後徐々に離れ生後4週間齢で母親の手の届く範囲まで離れました。父親が育児に参加することが知られていますが、父親が初めて赤ちゃんを抱いたのは生後28日齢でその後頻度が増加しました。生後70日齢で固形物をしゃぶり始め、3ヶ月齢ころまでには咀嚼できるようになり、生後6ヶ月齢では親と同じものを食べました。乳をくわえるのは生後1歳まで続いていました。
長寿記録としては、ドイツのエアフルト動物園で2004年3月22日に死亡した個体の33歳6ヶ月という記録があります。

生息数減少の理由
生息域に人間が増加して、樹木を伐採して建築材や燃料として使用し、さらに農地の開拓をしたことにより、大幅に生息域の減少が進みました。また、きれいな尾は装飾として価値があり、殺されて商品として売られました。この他、肉を得るためにも殺されて生息数が減少しています。野生の外敵としては、カンムリワシ、チンパンジー、ヒョウなどに狙われます。

アビシニアコロブス
分類   霊長目 オナガザル科
分布   アフリカ中央部の西はナイジェリアから東はエチオピア、南はタンザニアまで
大きさ   体長  オス55〜70cm  メス52〜67cm
尾長  オス67〜89cm  メス 71〜83cm
体重  オス 9〜14kg  メス  8〜9kg
絶滅危機の程度   国際自然保護連合(IUCN)発行の2010年版のレッドリストでは、現在のところは絶滅の恐れが少ないので、低危急種(LC)に指定されています。

主な参考文献
今泉吉典 監修   世界哺乳類和名辞典 平凡社1988
Estes, R.D.   The Behavior Guide to African Mammals,
University of California Press 1991
Gron,K.J.
(Reviewed by Fashing,P. and Harris,T.)
  Primate Factsheets: Guereza, Colobus guereza ,
Taxonomy, Morphology, Ecology, Behavior and Conservation,
National Primate Research Center (University of Wisconsin) 2009
林壽朗   標準動物図鑑全集 動物� 保育社1968
ジョン・R・ネイピア プルー・H・ネイピア
伊沢紘生 訳
  世界の霊長類 どうぶつ社1987
河合雅雄 岩本光雄 吉場健二   世界のサル 毎日新聞社 1968
Nowak, R. M.   Walker’s Mammals of the World, Six Edition Vol.1,
The Johns Hopkins University Press, Baltimore 1999.
杉山幸丸 編   サルの百科 データハウス1996

おもしろ哺乳動物大百科49(霊長目 オナガザル科) 2011.2.9

パタスザル属
パタスザル(またはパタスモンキー)属は、1種類ですので、パタスザルについて紹介しましょう。

49)パタスザル
  草原をかけるパタスザル 写真家 大高成元氏撮影
草原をかけるパタスザル
写真家 大高成元氏 撮影
   
アフリカ中央部の西はセネガルからエチオピア、ケニア、そして東アフリカのタンザニア北部まで分布しています。生息環境は、疎開林や潅木林の草原から半砂漠や高山の岩地などで、熱帯雨林や川沿いの場所には生息しません。昼行性で朝夕の涼しいときに活動し、真昼の暑さが厳しいときは数時間樹上で休みます。群れは、おもに夜間活動するハイエナやジャッカルなどの外敵にそなえて、親子以外は分散して樹上で眠ります。群れの大きさは10〜70頭とさまざまで、普通1頭のオスとその家族で構成されています。オスは成長すると、群れから出て行きオスの群れに入るか、単独でくらしますが、メスは群れに残ります。テリトリーは地域や群れで違いますが20〜50km2で、1日4〜5kmを移動した報告例があります。仲間同士の交信は声より顔の表情や行動で表わすことが多いのですが、これは地上性の本種が外敵に居場所を知られないためと考えられています。

からだの特徴
  アップにすると口ひげがわかるでしょう。 写真家 大高成元氏撮影
アップにすると口ひげがわかるでしょう。
写真家 大高成元氏 撮影
   
体毛は全体に赤褐色で、腹部、尻、4肢の内側は白か灰色です。鼻の色は、地域、年齢、妊娠中と授乳中などさまざまな要因で変化します。鼻下に白い口ひげがあり、一列に並んで行進することから別名を、軍隊ザル、あるいは軍人ザルとも言われます。雌雄差が大きく、オスの体重がおよそ10kgに対し、メスは5kgで半分しかありません。体長は50〜90cmで尾も同じくらいの長さです。地上生活に適応し、手足が長く細い体型はイヌのようで、4足歩行で指先を地面につけて尾を上げてバランスをとって走ります。草原で外敵に追われると地上を時速55kmで逃げた記録が報告されています。歯式は門歯2/2、犬歯が1/1、小臼歯2/2、大臼歯3/3で左右上下合わせて32本で、オスの犬歯は強大です。ほお袋があり、また、尻だこは中央で離れています。

えさ
野生時の主食は草ですが、他にも果物、葉、種子、木の髄、根、樹脂、昆虫、トカゲ、ヘビ、ヒナや卵など、地上で採れるものは何でも食べ、消化ができます。動物園では、果物や根菜類、サル用ペレットなどを与えています。

繁殖
飼育下の月経周期は30〜33日、発情は13.5日続きます。妊娠期間は平均167日、1産1子です。他のサルが夜間出産することが多いのに対し、昼間に分娩します。これは夜行性の肉食獣から防御する上で役立っていると考えられています。交尾期は雨季の夏、出産期は乾季の冬に多く、カメルーンとその近辺では11月から1月、ウガンダでは2月ころと地域差があります。乾季の方が栄養価の高い食物が採れることに起因しています。交尾期は群れのリーダーだけでなく外から群れに入ってくるオスとも交尾します。メスは2歳半で性成熟し、初産は3歳ですが、オスは少し遅く4歳で性成熟します。生まれたばかりの赤ちゃんは黒い毛で覆われており、体重は約300gで、目が開いています。生後3ヶ月齢ころから成獣のように赤くなりはじめます。飼育下の例では、生後7週齢ころから固形物も食べ始めます。およそ生後4ヶ月齢で親や他の個体から盛んにグルーミングされて、生後6〜7ヶ月齢で一人前の子どもになります。しかし、授乳は回数が少なくなりますが、次の子が生まれるまで続きます。
長寿記録としては、2003年10月20日に豊橋動物園で死亡した個体の28歳4ヶ月という記録があります。

生息数減少の理由
アフリカの生息地では、生息地の破壊のほかにも、農作物を荒らす害獣としてあるいは食料源として現地の人に捕えられています。野生の外敵としては、ヒョウ、チーター、ジャッカル、ハイエナなどの肉食獣や、猛禽類のワシ・タカなどに狙われます。

パタスザル
分類   霊長目 オナガザル科
分布   アフリカのセネガル、エチオピア、ケニア、タンザニア
大きさ   体長  オス60〜90cm メス 約50cm
尾長  50〜75�
体重  オス7〜13kg メス4〜7kg
絶滅危機の程度   国際自然保護連合(IUCN)発行の2010年版のレッドリストでは、現在のところは絶滅の恐れが少ないので、低危急種(LC)に指定されています。

主な参考文献
今泉吉典 監修   世界哺乳類和名辞典 平凡社1988
Gron,K.J.
(Reviewed by Enstam, K.)
  Primate Factsheets: Patas Monkey, Erythrocebus patas , Taxonomy, Morphology, Ecology, Behavior and Conservation,
National Primate Research Center (University of Wisconsin) 2006
林壽朗   標準動物図鑑全集 動物� 保育社1968
ジョン・R・ネイピア プルー・H・ネイピア
伊沢紘生 訳
  世界の霊長類 どうぶつ社1987
河合雅雄 岩本光雄 吉場健二   世界のサル 毎日新聞社 1968
Nowak, R. M.   Walker’s Mammals of the World, Six Edition Vol.1,
The Johns Hopkins University Press, Baltimore 1999.
杉山幸丸 編   サルの百科 データハウス1996

おもしろ哺乳動物大百科48(霊長目 オナガザル科) 2011.1.24

ゲラダヒヒ属
ゲラダヒヒ属は、ゲラダヒヒ1種類ですので、ゲラダヒヒについて紹介しましょう。

48)ゲラダヒヒ
  胸のピンクが印象的でしょう。 写真家 大高成元氏撮影
胸のピンクが印象的でしょう。
写真家 大高成元氏 撮影
   
東アフリカの標高1,500〜5,000mのエチオピア高地に生息しています。この地域は木が生えていない草原なので彼らは全くの地上生活です。昼行性のゲラダヒヒは、夕方になると他の動物が利用しにくい1,000m以上もある崖の途中に移動し、夜の泊まり場としています。群れはマントヒヒの群れの構成と似て、1頭の成獣のオスと数頭のメスとその子どもたちでおよそ5〜25頭の一夫多妻の群れとなり、ワンメールユニットとよんでいます。ワンメールユニットは、いくつか集まり50〜300頭の群れになると、バンドとよびます。乾季には餌場でバンドが集まり、ときにはおよそ600頭もの大集団となりますが、これをハードとよびます。出産時の性別はほぼ半々ですから、ワンメール以外のオスたちはオスだけのグループをつくり、バンドの周辺部にいます。メスたちは基本的にワンメールユニットから出ませんが、オスはユニットやバンドから出入りしています。チンパンジーやニホンザルの場合は、他の群れが中に入ろうとすれば攻撃しますが、ゲラダヒヒの場合、ユニットのリーダーは何組集まっても基本的に争うことはありません。このように協調し平和な集まりがゲラダヒヒの特徴です。

からだの特徴
体は全体的に褐色で、リーダーは背中にマントのような長い毛があります。オスは首から胸にかけてと尻の部位に毛がなく皮膚が露出し赤くなっています。メスの胸にも同じようにパッチ状の部位がありますが、その縁は小さなイボが数珠繋ぎのようになり縁取られています。この部位は発情の視覚サインの役割を果たし、発情期には膨らみ、赤みが増大します。一般にサルやヒヒの発情は、メスの臀部から性器にかけて腫脹する種が多いのですが、ゲラダヒヒは、座った姿勢で長時間採食するので、同じようなパッチが胸部にもある、と考えられています。瞼には色素が欠落し白い部位があり、急に目をむいて白い瞼を相手に見せたり、上唇をクルリと反転させて白い歯と歯茎をむき出したりしますが、いずれも威嚇、恐怖、嫉妬心のあるときに行います。歯式は門歯2/2、犬歯が1/1、小臼歯2/2、大臼歯3/3で左右上下合わせて32本で、門歯が小さく小臼歯と大臼歯の咬合面に複雑な溝があって、主食のイネ科植物を食べるのに適しています。尻だこは、他のヒヒは左右が中央で繋がっていますが、ゲラダヒヒは雌雄共に離れています。尾は先端には房毛があります。

えさ
野生時の主食はイネ科の草ですが、他にも果物、葉、種子、木の髄、根、昆虫などを食べます。かつて私も上野動物園でゲラダヒヒの飼育経験がありますが、食べ方に特徴があります。給仕した牧草を手に取ると、すばやく5〜10cm程度にちぎり何本か一まとめにして握り、それを口の中に放り込むのです。この草をちぎる動作がすばやく、草原に座り効率よく草を集め口の中に放り込んでいる姿を連想しました。

繁殖
月経周期は32〜36日、妊娠期間は150〜180日で、出産のピークが1月と6月の2回ある生息地もありますが、交尾期には季節性はないとの報告もあり、生息地により違いがあるようです。初産年齢は3.5歳で、1産1子です。生まれたばかりの赤ちゃんの体重は約460gで、眼は閉じていて顔は赤く、体は黒い毛で覆われています。胸にある乳首は左右近い位置にあるので、赤ちゃんは2つの乳首を一緒にくわえてお乳を飲みます。授乳期間は18ヶ月〜24ヶ月間で、この間はふつう排卵しません。オスの性成熟は8歳です。
長寿記録としては、ニューヨークのブロンクス動物園で1999年2月18日に死亡した個体の飼育期間34年、推定年齢36歳という記録があります。

生息数減少の理由
人間が土地を開発して生息域を奪い、あるいは8歳以上なったオスは、立派なマントを飾りにするために撃ち殺され、減少しています。野生の外敵としては、ヒョウ、ジャッカル、サーバルキャット、ハイエナ、キツネ、イヌなどの肉食獣に狙われます。
現在はエチオピア北部のシミエン国立公園では狩猟が禁止され保護されています。

ゲラダヒヒ
分類   霊長目 オナガザル科
分布   東アフリカ エチオピアの高地
大きさ   体長  オス70〜74�  メス50〜65�
尾長  オス40〜50�  メス33〜40�
体重  オス20〜21kg  メス12〜14kg
絶滅危機の程度   国際自然保護連合(IUCN)発行の2010年版のレッドリストでは、現在のところは絶滅の恐れが少ないので、低危急種(LC)に指定されています。

ゲラダヒヒの社会は、国内の著名な霊長類学者河合雅雄博士らが4年間現地調査して、参考文献4) を出版されております。


主な参考文献
Beacham, W. and Beetz, K.H.(ed)   Beacham's Guide to International Endangered Species Vol.1 Beacham Publishing Corp., Florida 1998
Gron,K.J.(Reviewed by Dunber, R.)    Primate Factsheets: Gelada baboon, Theropithecus gelada , Taxonomy, Morphology, Ecology, Behavior and Conservation, National Primate Research Center(University of Wisconsin) 2008
ジョン・R・ネイピア プルー・H・ネイピア
伊沢紘生 訳
  世界の霊長類 どうぶつ社1987
河合雅雄   人類進化のかくれ里 平凡社 1984
Nowak , R.M.   Walker's Mammals of the World Six Edition Vol.�
The Johns Hopkins University Press, Baltimore 1999
Parker, S.P. (ed)   Grzimek’s Encyclopedia of Mammals, Volume 2, McGrow-Hill Publishing Company 1990.
杉山幸丸 編   サルの百科 データハウス1996

おもしろ哺乳動物大百科47(霊長目 オナガザル科) 2011.1.12

マンドリル属
マンドリル属は、ドリルとマンドリルの2種類に分類されています。アフリカのナイジェリア、コンゴ、カメルーン、ギニア、ガボンの熱帯多雨林に生息していますが、それぞれ生息域はわかれています。サルの仲間で最大となり、オスでは体重が50kg台という報告もありますが、一般に両種とも20kg〜30kgというところでしょう。昼行性で日中は森林の地上が主な生活場所ですが、夜間は外敵を避け,メスや子どもは樹冠で、成獣のオスは低い木の枝で眠ります。マンドリルとドリルの区別は容易で、ドリルの顔が漆黒であるのに対し、マンドリルの成獣のオスは極彩色に彩られ一目瞭然です。

47)マンドリル
  親子3頭 今年もよろしく。オスの顔がひときわきれいでしょう 写真家 大高成元氏撮影
親子3頭 今年もよろしく。オスの顔がひときわきれいでしょう
写真家 大高成元氏 撮影
   
カメルーンからコンゴにかけて、赤道ギニア、ガボンに生息します。熱帯雨林の密生した森林や山地林の地上から樹上まで利用しています。
生息地では、果実の実る頃は小川に沿って探し、乾季にはときどき農場に侵入している群れも観察されています。群れが草原まで出るときは、移動で低い山地林の草地を横切るくらいです。
生息域の広さは、5km2〜50km2で、1日3〜15km移動するとの報告があります。群れは1頭のオスと5〜10頭あるいは15〜50頭のメスと子どもで暮らし、乾季にはこれらのグループが集まり200頭前後になる、という記録や、複雄複雌の群れという報告があり、群れに関する詳細は不明です。いずれにしても熱帯雨林の奥地で広い行動域を持つマンドリルの調査は容易ではなさそうです。
音声によるコミュニケーションの手段として3種類の声、メスと子どもの間で交わされる声、メスとワカモノの間で交わされる警戒の音声、オスのリーダーによる集合の合図の声が知られています。

からだの特徴
オスは成獣になると大きな鼻梁がラッカーを塗ったような艶のある赤と、その両側の溝が青銅色で鮮やかなコントラストになっています。さらにあごひげと頬ひげが黄色で一度見たら忘れられないほど派手な顔になります。臀部から性器にかけて、うすい青、赤、紫色がまじり、後ろから見てもオスとわかります。これらの色は、暗いジャングルの中でも目立ち、群れで移動するときに、後に続くほかの仲間が認識するのに役立っている、と考えられています。
メスの場合は成獣になっても鼻梁の両側の溝はあまり発達せず、色もオスほど鮮やかではありません。尻だこもあります。雌雄で体重が倍近く違い、オスでは体重が54�という記録もありますが、普通は20kg〜30kg、メスは12〜13kgです。また、類人猿の仲間は親指が短いのですが、ヒヒやマカク、マンドリルは親指も長くて、ものを摘むのに適しています。歯式は門歯2/2、犬歯1/1、小臼歯2/2、大臼歯3/3で左右上下合わせて32本で、オスの犬歯はメスより長く、平均で4.5cmになります。体の大きさや体色、犬歯などで性的二型が顕著です。オスの胸部には匂いを出す分泌腺があって7歳以上のオス、とくに順位が1位のオスは胸部を木にこすりつけ、におい付けを頻繁に行います。飼育下のオスは、担当者の顔を見ると、あくびをするように大きく口を開けて、長い犬歯を見せつけるように、顔を左右に振りますが、これは相手を威嚇している行動と考えられています。

えさ
野生時の主食は果実ですが、他にも種子、葉、木の髄、新芽、キノコ、木の根、昆虫、ヘビ、卵、稀に小型のアンテロープの子どもなどを捕らえて食べる雑食性です。
動物園では、サル用のペレット、季節の果物、野菜などを主に与えています。

繁殖
発情周期は33〜35日、妊娠期間は167〜176日で 1産1子です。ガボンの交尾期は6月から10月で、出産期は1月から4月です。出産間隔は13〜14ヶ月、性成熟はメスが3.5歳、オスは5歳, 育児のときは叔母や他のメスも赤ちゃんの面倒を見ます。生まれたばかりの赤ちゃんの体重は900gぐらいで、顔はピンク色をしています。生後35日ぐらいになると固いものを口に入れるようになります。離乳時期は生後約8ヶ月です。
長寿記録は、1964年6月にボルティモア動物園で生まれたメスの個体が、2004年6月現在40歳でダラス動物園で飼育中という記録があります。

生息数減少の理由
一番の減少理由は、人間が土地を開発して生息域を奪い、あるいは、スポーツとしての狩猟や、食料にするためワナや狩猟で捕らえていることです。野生の外敵としては、ヒョウと子どもは猛禽類のワシやタカ、ヘビに狙われます。
ガボンのWong−Wonue国立公園とカメルーンのCampo保護区ではハンターから保護されて生息しています。

マンドリル
分類   霊長目 オナガザル科
分布   カメルーン、赤道ギニア、ガボン、コンゴの熱帯雨林
大きさ   体長 オス 65〜90cm メス 50〜65cm
体重 オス 20〜30kg  メス 12〜13kg
尾長 オス、メス  7〜10�
絶滅危機の程度   国際自然保護連合(IUCN)発行の2010年版のレッドリストでは、絶滅の恐れが高い危急種(VU)に指定され、絶滅が懸念されています。
一方近縁種のドリルはさらにきびしく、絶滅危惧種(EN)に指定され、ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が高いと、懸念されています。
主な参考文献
今泉吉典 監修   世界哺乳類和名辞典 平凡社1988
Beacham, W. and Beetz, K.H.(ed)   Beacham’s Guide to International Endangered Species Vol.1 Beacham Publishing Corp., Florida 1998
Gron,K.J.(Reviewed by Joanna Setchell)   Primate Factsheets: Drill Mandrillus Taxonomy, Morphology,&Ecology, Behavior & Conservation, National Primate Research Center (University of Wisconsin) 2009
林壽朗   標準動物図鑑全集 動物� 保育社1968

ジョン・R・ネイピア プルー・H・ネイピア
伊沢紘生 訳

  世界の霊長類 どうぶつ社1987
河合雅雄 岩本光雄 吉場健二   世界のサル 毎日新聞社 1968
Nowak , R.M.   Walker's Mammals of the World Six Edition Vol.�
The Johns Hopkins University Press, Baltimore 1999
Parker, S.P. (ed)   Grzimek’s Encyclopedia of Mammals, Volume 2, McGrow-Hill Publishing Company 1990.
杉山幸丸 編   サルの百科 データハウス1996

卯年にちなんで(番外編) 2011.1.1

新年明けましておめでとうございます。
今年も皆々様のご健康とご多幸を祈念いたします。

小学生のころ、祖父がウサギを飼っており、私はときどき餌にするオオバコやアシタバ、アザミなどの野草を採りに行きました。ウサギは出産が近づくとお腹の毛を抜いて自分でふかふかのベッドを作り、その中に子どもを生みます。でも、出産直後の子どもは絶対にさわったり、見たりしてはいけない、と注意されました。そうすると、お母さんが外敵に狙われていると思い赤ちゃんを食べてしまう、というのです。まだ毛が生えていない赤子の赤ちゃんは生後10日齢頃になると目も開き、毛も生えそろってきます。すると、30分くらい赤ちゃんを家のなかに持ち込み、板で囲ったサークルを作り遊ばせて私に見せてくれたものです。真っ白で目が赤くてかわいいので、ちょっとだけ抱かせてもらいました。

ペットのウサギの祖先はアナウサギ
  ほら、ふつうのウサギの目は黒です。
ほら、ふつうのウサギの目は黒です。
   
現在ペットで飼育しているウサギの多くは、イベリア半島のアナウサギを古代ローマ人(紀元前500年代)が飼いはじめたのが最初といわれますが、実際に家畜化したのは18世紀以降です。しかし、家畜化が進むと、生後1年未満で繁殖を始め、1年に数回、しかも5〜10頭出産するので瞬く間に数が増えました。餌は乾草や野菜の食べ残しで生きるため、冷蔵庫がない時代には、船に乗せヤギやニワトリと共に世界中へと広まっていきました。

初期には、ペットとしての需要より、肉や毛皮を得るために、飼育していましたが、やがて愛らしい姿に魅了され、現在はペットとして飼う人が増加しています。昔からペットにしていた種類はアナウサギのアルビノで、体内のメラニン色素がなく体が白く目が赤い種です。現在は体の色や耳の長さ、目の色、毛の長さなどたくさんの品種を作り100種類以上となっています。

食べ物を消化する3つの方法
1.人間やイヌ、ネコ、トラやゴリラなど多くの動物たちでは、口から入った食物は胃と小腸で消化されたあと、栄養分はおもに小腸で吸収されます。
2.ウシやキリンは反すう動物といって、一度口の中にいれた食物を胃の中に沢山いる微生物の働きで発酵させてから、もう一度口の中に戻し、良く咀嚼(そしゃく)して再度胃に戻し栄養分を吸収しています。
3.ウサギは、最初に食べた食物は胃から虫垂、盲腸までいくと、ここでたくさんのバクテリアと混ざりあい、硬いセルロースの壁を壊してもらい発酵します。そして軟便のような形で排泄されるとき、ウサギは肛門に口を付けるようにして食べます。ですから食物は2回消化器を通ることになり、食物の栄養を効率よく摂取しています。
ペットのウサギがウンチを食べることを知らないで取り除いていると、栄養不足になりますから注意してください。

歯のようすをチェック
動物は歯と食性が密接に関連しており、歯から年齢や食性が推測できます。多くの動物は前後か左右にどちらかに顎を動かしますが、ウサギは前後左右に動かして食べます。餌はさまざまな野草や堅い樹皮や木の根、落ち葉、果実、根菜類などです。一生伸び続ける前歯は堅い樹皮や小枝を前歯で削るようにして食べるので、ちょうど良く磨り減るのです。ペットのウサギに、好物のニンジンや野菜ばかりあげていると、本来使っていた前歯を使うチャンスがなくなり、伸びすぎて咬合が合わなくなり噛めなくなります。伸びすぎるのを防ぐために、歯を削る木片を入れてあげてください。それでも長く伸びてしまったら、動物病院に行き前歯を適正な長さに切ってもらいましょう。

ウサギの抱き方
  このように胸にしっかりつけて抱くとウサギも安心します。
このように胸にしっかりつけて抱くとウサギも安心します。
   
ウサギを抱くとき大切なことは、無造作に耳を持って持ち上げたりしないことです。片手をウサギの腰に回し、もう片方の手で首の後ろの柔らかい皮膚をつかみます。そして自分の体にくっつけて抱くのです。初めは抱く人が座った状態で、その上にウサギを乗せてもらうほうが良いかもしれません。

ウサギの寿命はおよそ10歳ですが、早熟で1歳未満で繁殖をはじめるので、世界中に広まりました。そのようすは人間が世界の果てまで住みかを広げていったのと似ています。しかし、ちがうところは人間のように武器を持って戦争をしないところです。

今年も旭化成ホームズと共に、ゾウぞよろしくお願いいたします。

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