資料請求 ロングライフ住宅 ヘーベルハウス ペットと暮らす家 ペット研究会
ペットと暮らす家 ペット研究会
ペットコミュニティ ペットに関する研究 ペットと仲良く暮らす家 おすすめリンク
尾崎先生のペットコラム

  ペットをめぐる法律(2)海外編

尾崎裕子(日本女子大学大学院人間生活学研究科)

はじめに
今回も前回に引き続き「ペットをめぐる法律」についての話題です。前回は国内の法制度を紹介しましたが、今回は欧米を中心に、海外での動物の福祉に関する法制度に目を向けてみます。欧米社会は、経済的・政治的に先進国であるのみならず、女性の権利や子供の権利を尊重するといった社会的な意味でも先進国であることはご存知のとおりです。ペットに関しても、例えば、ヨーロッパでは「ペット動物の保護に関する欧州協定」(1987年)も結ばれるほど、ペットの権利が規定されています。ちなみに、この協定の序文では、人間にはあらゆる生き物を尊重する道徳的義務があり、ペットは人間と特別な関係にあり、生活の質に重要な貢献をしていることなどが述べられています。
では、イギリス、ドイツ、フランス、アメリカ、台湾、韓国の順に、各国の「ペットをめぐる法律」事情をご紹介します。

イギリスの法令

はじめに、イギリスの法令をみましょう。イギリスは「動物愛護の先進国」といわれている国だけあって、動物の飼養や利用に関連する法令はとても多くて、実に70を超えています。歴史を遡っていくと、1822年にアイルランド選出の下院議員リチャード・マーチン(Richard Martin)の尽力によって成立した「家畜の残酷で不適当な使用を禁止する法律」が記念碑的法律です。この法律はイギリスの動物愛護法制度のスタートといわれており、一般には「マーチン法」と呼ばれています。その後、1876年に「動物虐待防止法」(Prevention of Cruelty to Animals Act 1876)が、また1911年に「動物保護法」(Protection of Animals Act 1911)が様々な動物への虐待を防止する目的で制定され、これが今日まで動物愛護に関する基本法となっています。一方で、1951年の「ペット動物法」(Pet Animals Act 1951)は、ペットショップの経営を認可制にし、青空市場でのペット販売を禁止しています。さらにこの法律は1983年に改正され、街頭や公共の場でのペット販売が全面的に禁止されています。また12歳以下の子供に対するペットの販売も禁止しています。これらの制度には、ペットの衝動買いやペット飼育に不適切な者の購入防止の意味合いが含まれています。
この他に、実験動物に関する「動物(科学的)処置法」(1986年)や、商業目的のために保有されている動物に関する法、野生動物に関する法、危険な犬に関する取締りや管理に関する法など、いろいろな観点からの法令が何種類もあります。
またイギリスでは、RSPCA(王立動物虐待防止協会 Royal Society for the Prevention of Cruelty to Animals)という動物保護団体があります。この団体は、1824年に世界に先駆けて設立された団体で、世界の動物福祉の総本山的な規模と活動を行っています。このRSPCAは国内に195の支部を持ち、アニマル・センターやアニマル・クリニックの運営や募金集め、里親探しなどを行っているほか、専門の訓練を受けた300人以上のインスペクター(捜査官)を擁しています。RSPCAには動物虐待などについて助けを求める通報が一般市民から寄せられますが、それに対しインスペクターが警察官とともに現場へ出動し、改善指導を行っており、場合によっては虐待者を裁判にかけるというシステムができています。

ドイツの法令

次に、ドイツの法令をみていきます。ドイツでは「ライヒ動物保護法」が1933年制定されたのが、動物愛護法制度の始まりです。現在のドイツは、民法にも「動物は物ではない」と宣言する規定が挿入(1990年)されるほど動物愛護には熱心な国です。
1974年の「犬の屋外保有に関する命令」では、犬を飼育するにはその収容スペースや犬小屋の素材、風向きや日当たり、散歩や遊びのための運動時間や、つないでいるリードの長さなど、詳細な規定がされています。1988年には動物保護法は改正され、さらに前進しています。現在も動物保護に対する様々な規定が存在し、ペットの種類も犬のみならずハムスターといった小動物まで、動物の種類によってそれぞれ細かな飼育の規定があります。また、業界側でも動物取扱業団体によるペットショップにおける動物保護のための自主規制があり、ペットショップを営業するにはかなり細かな条件が求められています。
それから面白いことに、ドイツには犬税があり、州法に基づいて市町村税として犬の飼い主に課税されます。税額は年間、大型犬が250マルク(約13,750円)、中型犬200マルク(約11,000円)、小型犬は150マルク(約8,250円)程度となっています。犬の飼い主には街の清掃や公園の開放など公的な恩典が与えられているので、そのコストを受益者が負担すべきであるという、ドイツらしい発想です。

フランスの法令

今度はフランスについてみていきましょう。フランスでは1850年に「1850年7月2日法」(グラモン法 loi Grammont)で、動物虐待を処罰する法律を規定しています。その後この法は廃止され、動物虐待は通常の刑法に含まれるようになりました。「1976年7月10日法」では動物は人間と同じく「感覚ある存在」と規定されています。その他、集合住宅(マンション、アパート)などにおける動物の飼育は、日本でも大きな問題ですが、フランスでは「1970年7月9日法」で、住宅(集合住宅も含む)の契約に関連して、ペット飼育を禁止する規約を結ぶことを無効としています。つまり、ペットを飼い始めたからといって、賃貸住宅や公団住宅などでも規約違反になることはないというものです。ペット愛好家にとっては朗報なのですが、もちろん当然のことながら、ペットを飼育することで隣人に迷惑をかけないという条件は付きます。

アメリカの法令

アメリカでは「1985年修正動物福祉法」(動物福祉法 Animal Welfare Act, Amended 1985)で、動物の愛護と虐待防止のための認可制度、禁止事項、罰則等を規定し、また法的権限を持つ査察官制度が確立しています。その他アメリカは連邦制という特徴を反映して、各州、各都市で、独自に動物虐待防止法等を詳細な規定で設けて執行しています。
ニューヨーク市を例にみますと、日常におけるルールとしては、飼い主は路上においては犬を自分のコントロールのもとにおくことが義務付けられています。具体的には、リードの長さが定められています。また、日本でも最近少しずつ増えてきた「ドッグラン」(公園の一角などに囲いを設け、その中では犬を自由に走らせることのできるスペース)も、ニューヨークではおなじみです。ただし、この制度がある公園とない公園とでは異なる法が適用されるそうです。すなわち、ドッグラン制度のある公園では、それ以外の区画ではリードをはずすことは24時間禁止されるのですが、ドッグラン制度のない公園では、夜の9時から翌朝9時まではリードをはずしてもOKというものです。

台湾・ 韓国の法令

今度は、アジアの台湾と韓国のペット法制度を紹介しましょう。台湾の動物保護法(1998年)では、動物の飼養者は15歳以上でなければならず、動物取扱業は免許制となっています。以前、台北市は町にあふれる野犬に悩まされている状況でした。しかし、この法律制定後、飼い犬の登録を徹底させ、登録の際に犬にマイクロチップを埋め込むという方法で、犬がはなれて迷うという状況になっても飼い主の氏名や住所などがわかるようになりました。その成果で、近年台北市内の野犬の数は大幅に減少しています。
韓国でも1991年に12条から成る動物保護法が制定されており、動物虐待に対しては、20万ウォン以下の罰金や拘留などの罰則があります。また韓国では、自治体が保護した遺棄動物は1ヶ月以上飼い主がわからない場合、所有権は自治体が取得することになります。

おわりに
以上、いくつかの国の法令についてふれてきましたが、動物保護について共通する部分と、国によって制定の歴史や内容など、ずいぶん異なる点も多いと思います。前回のコラムで、日本の動物愛護法が、ようやく最近になって、26年ぶりに改正されたことをお話しました。それ自体は大きな前進といえるでしょう。しかし今回、各国の制度、とくにペット先進国といえる欧米の制度をみてくると、日本の法律もまだまだ改善するべき余地は大きいように見受けられます。ペットの飼い主、関係業者、行政サイドの三者、どの視点に立っても、これらの法令は今後の日本でのペットの社会的位置付けを考える上で、とても参考になるのではないでしょうか。参考までに、動物取扱業に関する各国での法規制を表にまとめておきます。

表:動物取扱業の法規制の国際比較

免許制か届出制か
イギリス 免許制
ドイツ 免許制
フランス 届出制(違反者には罰則適用)
スイス 免許制
スウェーデン 免許制
アメリカ 免許制
EU 免許制
台湾 免許制
日本 届出制(1999年動愛法)
(1973年動管法では規制なし)
マンスリーレポート
前のページへ 次のページへ
 
©旭化成ホームズ株式会社