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AsahiKASEI旭化成ホームズ株式会社


News Release
 

平成26年5月30日
旭化成ホームズ株式会社


 
単身居住者の防犯意識に関する調査報告書を発行
「ひとり暮らしの安全・安心」調査について
~匿名コミュニティ志向の単身女性入居者の意識~

 

 旭化成ホームズ株式会社(本社:東京都 新宿区、代表取締役社長:池田 英輔)では、侵入窃盗被害リスクが比較的高いと言われる低層賃貸住宅について、特に女性単身居住者の防犯意識を把握して防犯設計の向上・促進に役立てるための調査を行い、結果を調査報告書「ひとり暮らしの安全・安心~匿名コミュニティによる低層賃貸住宅の防犯~」としてまとめましたので、お知らせします。
今回の調査では、当社が平成20年に発売した女性専用防犯賃貸住宅「ヘーベルメゾン サフォレ」の入居者を中心に、単身居住者のコミュニティ意識や犯罪不安の把握に努めました。その結果、防犯カメラやオートロックなどの防犯設備が安心感を高めるということについては評価が高いものの、防犯設備だけで犯罪を防ぐことができるとは考えていないことが明らかとなりました。また、低層賃貸住宅に住む一人暮らしの女性の約6割が、シェアハウスのような居住者同士が会話をするほど密接なコミュニティ関係は望まないが「名前は知らなくても顔がわかる人がいるとなんとなく安心」と考える層と推測され、「顔を知っていれば何かの時には助け合える」と期待していることがわかりました。本調査では、このような匿名でつながる緩やかなコミュニティを「匿名コミュニティ」と名付け、その特徴を調査しています。
 匿名コミュニティをうまく機能させることは、主に防犯設備などに頼る「くいとめ」型の防犯だけでなく、人の目が抑止力となる「みまもり」型の防犯効果の向上につながるものと考えます。特に、全体で20戸程度までの比較的小規模物件となることが多い低層集合賃貸住宅では、居住者同士の緩やかなつながりから生まれる「みまもり」防犯効果が機能しやすく、匿名コミュニティという新たな視点による防犯設計が有効と思われます。
なお、当社が平成26年6月1日より発売する賃貸住宅「ヘーベルメゾン ニューサフォレ」は、当調査内容を反映して開発された新商品です。

 
  調査の背景
 

  住宅の犯罪安全性の指標とされる住宅対象侵入窃盗の認知件数(泥棒の件数)は、全国データ(警察庁)では2004年、東京都(警視庁)では2002年をピークに減少傾向にあります。しかし、住宅の種類別分析結果では、戸建住宅や中高層マンションと比べて低層集合住宅は被害件数の減り方が小さく、被害リスクが比較的高いとされています。
  当社ではこれまで戸建住宅や低層集合住宅を対象とした被害実態調査を独自に行ってきました。その研究結果から、戸建住宅に比べて地域コミュニティによる防犯活動などによる「みまもり」型の防犯機能が弱いことや、中高層集合住宅に比べて1階の住戸が多くオートロックの採用率が低いなど「くいとめ」型の防犯機能が不充分なことが、低層集合住宅の被害リスクが高い理由と考えられます。
  今後、低層集合住宅の被害リスクを低減させ居住者の安全や安心を向上させるためには、このような低層集合住宅の特性に合わせた防犯手法の研究が課題と言えます。今回の調査研究は、その一助となることを目的に実施したものです。

 
  II 調査概要  
  1.調査名称  

ひとり暮らしの安全・安心(匿名コミュニティによる低層賃貸住宅の防犯)調査


  2.調査目的  

防犯リスクが比較的高いと言われる低層集合住宅における安全性や安心感の向上を実現するために、居住者の意識を把握し、低層集合住宅の特性に合わせた防犯手法を提案すること。


  3.調査方法・調査対象期間・調査対象者など  

※サフォレ=当社供給の女性専用防犯配慮賃貸住宅

(1)個別インタビュー調査

2010年8~9月 サフォレの単独居住者:女性4名
2011年12月~2012年2月 一般賃貸住宅(当社供給以外)の単独居住者:女性12名、男性10名

(2)グループインタビュー調査

2013年5月 サフォレの単独居住者:女性4名
2013年5月 一般賃貸住宅の単独居住者:女性5名
2013年5月 購入した分譲マンション(一般物件)単独居住者:女性6名
2013年5月 シェアハウス(一般物件)単独居住者:女性6名

(3)アンケート調査

2012年12月 防犯メゾン(サフォレおよび当社供給の男女混合防犯配慮賃貸)の単独居住者:女性196名、男性43名(内、サフォレ居住女性149名、男女混合物件居住女性47名、男性43名)
・調査方法は郵送アンケート(調査物件所在地は東京都39棟、神奈川県3棟)
2013年12月 一般低層(3階建て以下)集合住宅の単独居住者:女性150名、男性150名
・調査方法は、調査会社アンケートモニターへのウェブアンケート(調査エリアは東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県(各都県とも一部の市区))
2013年12月 一般中高層(4階建て以上)集合住宅の単独居住者:女性150名、男性150名
・調査方法と調査エリアは一般低層集合住宅と同じ


  4.調査結果概要  

(1)女性専用賃貸住宅の評価

  • ◆現状の住まい全体の満足度では、当社防犯メゾンの評価は一般の低層・中高層賃貸に比べて高く、中でも女性専用サフォレが最も高い評価を得ました。

  • 女性専用サフォレに暮らす単身女性が、周囲の
    居住者に「絶対に女性」「できれば女性」であって
    ほしいと願う割合
    ◆女性専用サフォレに住んでいる人は、フロア内の男女混合で暮らすことには半数超が抵抗感を示しますが、1棟全体ではなく女性専用のフロアという運用でもあまり抵抗感がありませんでした。
    特に、隣人が女性であってほしいというニーズは9割以上と高く、自分の周囲の居住者は女性であってほしいという希望が強いことが判明しました。
  • ◆一方、一般賃貸の女性居住者は男女混合フロアに対する抵抗感が1~2割と低く、逆に1棟全体女性専用の運営に対する抵抗感は3~5割と高くなることがわかりました。これらのことから、女性専用の運用については賛成派と反対派の両方が存在しており、ある程度限定された賛成派の人が女性専用賃貸住宅に集住していると言えます。


(2)住まいの安全・安心の評価、防犯設備の限界と誤解


  • 現在の賃貸住宅の安全性に対して
    「非常に安全」「安全」と感じている割合
    ◆現状の住まいの犯罪に対する安全性の評価は、男女共に当社防犯メゾンでは8割以上が安全と評価しましたが、一般低層では5割に満たない結果となりました。このような評価となった要因の一つとして、防犯設備の充実度の差が考えられます。当社防犯メゾンではほぼ100%設置されている設備が、一般低層では3割程度しか設置されていないからです。防犯設備が安心感を高めることについて、その設備が設置されている建物の居住者は概ね高く評価しています。特に、防犯配慮賃貸住宅の女性居住者によるカメラ付きインターホン、オートロック、住戸玄関の2ロックなど外部訪問者の接近防止設備に対する評価は高く、いずれも9割以上が安心につながると評価しました。
  • ◆一方、多くの人が防犯設備で犯罪を防ぐことはできないと考えており、特にストーカーのような特定の意志を持った接近については、約7割の女性がオートロックやホームセキュリティでは防げないと回答しました。


    ホームセキュリティでは「全く防げない」「あまり防げない」と回答した人の割合

  • ◆防犯設備の効果については誤解が多いこともわかりました。例えば、ホームセキュリティの一般的な契約内容における通報後の到着時間が「25分以内」ということを認識している人は2割程度しかいませんでした。また、泥棒の侵入手段として最近あまり見られなくなったピッキングについて、現在も多いと誤解している人は6割近くに上り、2ロックに対する高い評価もこのような誤解から生じている可能性があります。


(3)建物の管理状態や防犯環境設計の評価


  • 共用部の管理清掃が「安心感を高める」
    「少し高める」と感じる割合
    ◆防犯設備以外の要素では、建物の管理状態の良さも安心感を高めるものとして高く評価されています。共用部の管理・清掃状態の良さは、女性の9割以上が安心につながると評価しています。

  • 道路からの見通しがよいことが
    「安心感を高める」「少し高める」と感じる割合
    ◆外構などの防犯環境設計についても同様に高く評価されています。例えば、道路からの見通しの良さについては女性の9割近くが、前面道路の人通りの多さは8割近くが安心につながると評価しています。
  • ◆また、道路から室内が見えないことについては、女性の8~9割が安心につながると評価しました。これらのことから、外部からの見通しの確保と併せてプライバシーの確保が居住者の安心につながることがわかりました。


(4)コミュニティに対する志向性(匿名コミュニティ志向の特徴)

  賃貸住宅の居住者同士がどのような関わり合いを希望しているかという「コミュニティに対する志向性」について調査しました。

  • ◆シェアハウスのように共用部で居住者同士話ができるとよい、と考える人は男女ともに2割程度に過ぎませんでした。(このような考え方を対面コミュニティ志向と名付けました。)
  • ◆しかし、残りの8割が居住者間の関係を否定しているわけではありません。名前は知らなくても顔がわかる人がいるとなんとなく安心、と考える人が女性では5割近く、男性でも4割超いました。このような考え方を匿名コミュニティ志向と名付け、それ以外をNONコミュニティ志向として、その差を分析しました。どちらとも言えない、とした回答者の半分を匿名コミュニティ志向と仮定すれば、匿名コミュニティ志向者は全体の約6割いると推測されます。
  • ◆顔を知っていれば何かあった時に助け合える、と考える人は、対面志向・匿名志向層の女性では9割前後に上るのに対し、NONコミュニティ志向女性では2割弱と大きく異なる傾向が見られました。
  • ◆匿名コミュニティ志向層の特徴として、直接的なコミュニケーションを避ける傾向があります。匿名志向女性の約7割が話しかけてくる居住者を嫌と感じ、部屋を訪ねてくる居住者については9割以上が嫌と感じています。
  • ◆匿名志向女性の9割近くは住民同士の挨拶をすると回答しており、ゴミ出しなどのマナーを守る意識も高いことや、他の居住者にも同様のマナーを期待する傾向にあることがわかりました。また、犯罪と思われる非常時の通報に対しても協力的な傾向が見られました。

匿名コミュニティ志向の居住者の意識

  匿名コミュニティ志向者はマナー意識が高く、非常時の通報に対しても協力的であることから、防犯性向上という観点からは充分に効果が期待されます。


  5.調査に基づく新たな提案(匿名コミュニティによる防犯手法)  

(1)マナー同意書

匿名コミュニティ志向の居住者はマナーや非常時の助け合いに対する意識が高く、他の居住者にもそれを期待する傾向があります。従って、そのような意識を持った人だけが居住していると認識できれば、直接的なコミュニケーションがなくても安心につながると考えられます。
そこで、入居時の手続きとして、お互いに挨拶をしたり、マナーを守り、非常時には助け合うことを誓約する「マナー同意書」にサインすることについて評価してもらったところ、匿名コミュニティ志向者はNONコミュニティ志向者と比べて支持する人がとても多く、約6割が「マナーの良い住人が集まる」「安心感が高まる」と答えました。こうした方法により匿名コミュニティ志向者が集まり、サインしたもの同士という信頼感によって安心感が高まると考えられます。



(2)共用部や日用品のシェア

匿名コミュニティ志向女性へのアンケートでは脚立、工具、ガーデニング用品などたまにしか使わない日用品をシェアしたいという回答が約8割に上りました。また、ラウンジのシェアについては約6割、ギャラリーは3割弱でしたが、同じ質問に対する当社防犯メゾン居住女性の回答はそれぞれ7割強、6割強と高い値を示しました。
これらの結果から、共用部や日用品をシェアし、その管理状態が良好に保たれることでマナーの良さが「見える化」され、安心感が高まる可能性が考えられます。



(3)エントランスのイメージ向上

エントランスのイメージについての評価では、共用ラウンジ空間を持つエントランスは「温かい」「安心な」「楽しい」「見守られた」といった評価を受けやすく、「無関係者が立ち入りにくい」「不審者がいればすぐ気づきそう」など防犯機能にもつながるという自由意見も見られました。これらの結果から、外部からの見た目にも明るい印象を与える管理の行き届いた共用ラウンジを設置したエントランスには、侵入者を抑止する防犯機能も期待されます。

コミュニティ志向が強いほど、共用ラウンジ空間を持つエントランス(左)を好む傾向がある


   
 
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