アパート経営において入居者募集の繁忙シーズンは、ライバル物件も多いため、この期間に確実に入居者を決めることが大切。今回は、入居者獲得につながるアピールポイントを考えます。
春の入居者募集の繁忙期真っ只中の賃貸市場。業界紙などを見ると市場は回復傾向にあるとの見方もチラホラ見受けられます。しかし、この時期は、既存の物件にとって、空室になるリスクも高いシーズンだともいえます。就職、結婚、住宅購入といった、ライフスタイルの変化にあわせた転居も多くなりますが、転居の理由は、それだけではありません。気を付けなければならないのは、設備や住み心地を理由に、ライバル物件に移るケースです。
この場合は、できるだけ退去の理由を確認したいものです。オーナーが直接入居者から聞く機会はないと思いますので、不動産会社に転居の理由を聞き出すよう頼んでおくとよいでしょう。そこに、次の入居者探しに有効なヒントがある場合もあるからです。中には簡単な設備投資でフォローできるものもあるかもしれません。
最終的には、設備、家賃、初期費用などを含めたトータルなコストパフォーマンスの向上を目指すことになるでしょう。
退去の理由が、次の入居者を獲得するヒントになる。
不動産ポータルサイトのアットホームで、人気の吉祥寺エリアを検索すると、ワンルーム・1Kの物件はなんと2,000戸以上が登録されています(2011/2/7時点)。その中で、どう差別化を図っていけばよいのでしょうか。前述の弱点をカバーすると共に、アピールポイントを明確にするということが大切になってくるのです。もちろん、募集を依頼している不動産会社も把握していることと思いますが、オーナーとしても知っておきたい、また、意外と気が付かなかったアピールポイントがある場合もあります。
そのヒントが、不動産ポータルサイトの特集です。例えば「収納スペース充実の物件」「追焚付きでポカポカゆったりバス」「セキュリティを重視した安心の生活」「フリーレント特集」などです。特集が組まれるということは、ニーズがあるということ。何か一つでも特徴があれば、特集に組み込まれ、検索でヒットされる確率は高くなります。これらの特集は定期的に更新されるので、チェックするとよいでしょう。また、アットホーム独自の入居者への部屋探しのアンケートのコーナーもあります。そこに、部屋選びの際に重視した点などが、掲載されていますので、チェックするとよいでしょう。
セキュリティ、収納、追焚きといった設備で特集が組まれている。ニーズがある証拠。
もう一つの人気サイト「スーモ」を見てみましょう。ここでは、アピールポイントが細かくカテゴリー分けされています。初期費用や家具・家電付きなどをテーマにした「少しでもおトクに借りたい」、ペットや防音設備などのある「趣味を楽しみたい」。「安心・便利なプラスα付き」では、セキュリティ、収納、地デジ対応の他に、スーパー・コンビニが近いといった環境をテーマにしたカテゴリーもあります。
その他、デザイナーズ、日当たり、部屋の広さをテーマにした「自慢できるこだわりルーム」、「動画で今すぐ部屋を見たい」などのテーマがあります。このカテゴリー項目が入居者のニーズをあらわしているのです。
また、最近の賃貸事情を書いた読み物のコーナーにも目を通して見ましょう。例えば、更新か引っ越しかを問う記事では、初期費用が安い傾向から、更新を機に住み替えを勧める内容となっており、最終的には物件検索にもつながるしくみ。満室物件のオーナーとしては、ちょっと気がかりですが、こういったページからも最近の入居者ニーズを読み取ることができるはずです。
設備、費用の他に、周辺環境もアピールポイントとして活用する。
この時期に空き室が出た場合、工期がかかる大規模なリフォームを行うと、その間にチャンスを逃してしまう可能性があります。費用対効果のことも考えると、なるべく短期間でしかもローコストでできる設備投資を考えたいものです。
まずはセキュリティ設備で、TVモニターインターホン、玄関ドアの2ロック、また、女性に人気なのは室内物干しです。最近はホームセキュリティと契約するケースも、都心の物件では増えてきました。契約費用を誰が支払うかなどの問題がありますが、選択肢としてあるだけでもよいでしょう。さらに1階は2重サッシや、簡易なものでは窓ガラスに貼るだけの防犯フィルムなども有効性があります。
日当たりが今一つという場合は、クロスや床材を明るい色のものにするだけでも、イメージが良くなります。また、一面だけ色の違うアクセントクロスも部屋をお洒落に演出します。その他、温水洗浄機付便座なども後付けできる簡単なものが出ています。
また、内見の印象を高める工夫も大切。退去後のクリーニングはもちろん、スリッパ、消臭剤、メジャー、アピールポイントを書いたPRシートなどを置いておくと良いでしょう。入居者もネットであたりを付けたとはいえ、内見での印象が最終的な判断になることがほとんどです。
TVモニターインターホン、室内物干し、防犯フィルム、明るいクロス、アクセントクロスがおすすめ。