2009年12月に国土交通省が発表した「平成20年住生活総合調査」によると、子育てにおいて住宅や住環境で重視する要素として「住宅および住宅のまわりの防犯性」が20.0%と高い比率を占めています。身近な場所でさまざまな犯罪が発生する現在、消費者が住宅に確実な防犯対策を求めているのは当然といえるでしょう。そのような時代の要請に応えるように、防犯対策として新たに導入する設備については減価償却の対象となり、必要経費として計上できます。今回は、最新の防犯対策によるリスク管理とオーナーメリットをご紹介します。
賃貸住宅オーナーにとっては、さまざまなリスク管理が必要です。その中には、賃貸住宅の防犯対策も含まれます。特に2000年から2002年に急増したピッキングによる犯罪は、犯行を目撃されると目撃者に危害を加える可能性が高いとされているため、入居者の安全はもちろん、オーナー自身の建物を犯罪から守る対策が重要だといえます。
賃貸借契約には重要事項説明義務があります。この中には犯罪や事故に関する説明も含まれます。「この部屋、またはこの建物では以前に刑事事件があった」ことを説明しなくてはならないのです。事故物件を好んで選ぶ人はいませんから、この時点で入居を考えていた多くの人は考え直すかもしれません。通常の条件では入居者が決まらず、賃料を下げるなどの入居条件の緩和を余儀なくされるかもしれません。その場合、最初に設定した収支計画が著しく変わってしまい、最悪の場合、賃貸経営そのものが成り立たなくなる可能性もあります。
そこで注目したいのが、犯罪者が近寄らないマンション・アパートにしてしまう「予知防犯」という考え方です。つまり、他のマンション・アパートよりも犯罪を起こすリスクを減らす方法です。例えば、ピッキング対応のシリンダー錠への交換や、侵入予想経路にあらかじめ監視カメラを設置してセキュリティがしっかりしていることを印象づけること。また、防犯仕様の窓ガラスや玄関にリフォームするなども有効です。そうすると犯罪者側でも「侵入に手間取りそう」という心理が働き、侵入そのものをためらわせることができます。これらの対策を複数導入することで、犯罪に合う確率はぐんと低くなるはずです。費用はかかりますが、犯罪を未然に防ぐために検討に値する対策といえるでしょう。
防災対策用品としてピッキング対応のシリンダー錠や監視カメラ、防犯仕様の窓ガラスや玄関を設置した場合は、資産価値を上げるための支出になり資本的支出として判断されますので、減価償却費として必要経費に計上します。マンション・アパートの資産価値の向上ができ、さらに入居率アップにも寄与しますので、積極的に導入すべきでしょう。
こうした防犯対策の具体的な一例となるのが、ワイヤレスドアモニターです。いずれも、新たに壁やドアに対する配線工事等は一切不要なタイプで、部屋にいながら玄関ドアの前の様子を見ることができ、設置も簡単です。このような機器を導入、設置するだけで、特にセキュリティ意識が高い女性が来訪者を確認したいというニーズに対応できます。
予知防犯にプラスして、このような各部屋へのきめ細やかな対応が揃えば、入居者が安心して暮らすことができ、セキュリティマンション・アパートとしての付加価値も増大し、安定した入居者の確保につながるでしょう。