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賃貸市場最前線!その動向と対策

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2012年6月 1日

賃貸市場最前線!その動向と対策

「首都圏の居住用賃貸物件」の2012年3月期の市場動向が発表されました(アットホーム調べ)。調査結果からは、市場にとってプラス要因、マイナス要因ともにさまざまな動向が読み取れます。その他のデータも合わせ、今後の賃貸市場を探ります。

成約数は過去最高!市場回復の兆しか!?

例年、1~3月期は賃貸市場にとっては繁忙期です。まず、今年の繁忙期の成約数(首都圏)を見てみます。前年同月比で、1月は4.6%、2月は 8.4%、そして3月は17.2%と大幅なプラスとなりました。東日本大震災の影響があるものの、成約数は調査開始(1992年4月)以来過去最高の 33,390件とのことです。エリア別に見ても、全てのエリアで2ケタの上昇(前年同月比)となり、埼玉県が30%、千葉県20.5%、東京23区 18.2%、東京都下16.6%、神奈川県12.0%の上昇でした。特に埼玉県では50~70m2のファミリー向けマンション、30m2未満のアパートが好調でした。

この結果からすると、今年の繁忙期は部屋探しのニーズが増加し、市場は活況を呈したと見て取れます。これまで景気の低迷に加え、大震災の影響で需要が停滞するのではと懸念されていましたが、そうではありませんでした。大震災後の1年のスパンで見ても、成約数に関しては震災のあった3月と4月、11月を除 いては、全ての月で前年同月比プラスでした。成約数が伸びているのは、市場が動いているということ。業界の市場動向としては、プラスの要因と言えるでしょう。

2012年3月期の成約数は過去最高。市場は活況を取り戻している。

賃料は下落傾向、競争激化が要因か?

市場が活発に動いている賃貸市場ですが、賃料への影響はどうでしょう。成約数が増えれば、売り手市場となり賃料は上昇しそうなものですが、実際は一部のエリアは下落傾向という結果になりました。

首都圏の一戸あたりの成約賃料は、前年同月比でマイナス2.3%です。エリア別に詳細を見ていくと、成約数の伸びが大きかった埼玉県では、新築マンションは0.3%、アパートでは7.8%と大きく上昇したものの、中古マンション1.5%、アパート1.5%の減少となりました。

東京23区のマンションの一戸あたり賃料は、昨年3月9.89万円であったのが今年3月に9.47万円と4.2%も減少。アパートも6.84万円が6.78万円と0.9%の減少でした。1年間、全般を見ても家賃は横ばいか、やや下落傾向です。

成約数は全てのエリアで大きく伸びていたのですが、賃料に関しては、そうはなりませんでした。入居者は、よりコストパフォーマンスの高い物件を求める傾向が強くなっていると言えます。入居者にとっては比較物件が多く選びやすいと言えますが、賃貸オーナーにとっては競争が激しい状況になっていると言えるでしょう。

極端に成約数が増加したエリア以外は、家賃は下落傾向。

地価の動向や分譲賃貸から市場を見る

次に不動産市場のベースとなる地価動向を見てみます。2012年1月1日時点の公示地価は、4年連続の下落でしたが、下落率は縮小傾向でした。国土交通省では「大震災の影響により、不動産市場は一時的に停滞したが、被災地を除き、比較的早期に回復傾向を示している。一方、円高、欧州債務危機等の先行き不透明感による地価への影響も見られる」との見解を発表しています。

また、分譲マンションの価格も下落傾向が続いていますが、その分譲マンションを賃貸にしたときの3月の分譲賃貸平米単価家賃は、東京都が前月比でマイナス0.3%とやや弱含み、埼玉県は1.1%上昇しています。(ともに東京カンテイ調べ)

地価や分譲マンションも、下げ基調は続いています。これら不動産のベースとも言える指標が上向かない限り、賃貸住宅の賃料も上昇していかないというのが、一般的な見方です。

しかし、長期の視点で見ると違った見え方もできます。国土交通省の「土地関連市場マンスリーレポート」のマンション賃料指数を見てみます。これは、2005年1月の賃料を100とした指数ですが、2012年2月の首都圏は前月比0.1%減の106.2、東京都区部は前月同値の103.6でした。つまり、7年前と比べるとまだ、賃料は下がっていないということです。賃貸事業を投資として見ると、他の金融商品と比べても影響が少ないことが分かります。

賃貸住宅の賃料は、7年前と比べるとまだ下がっていない。

賃貸市場で生き残りのカギは何か?

賃貸市場の成約件数が過去最大だったように、分譲マンションの新築・中古も成約件数の大幅な伸びが伝えられています。ともに、その理由は、比較物件がたくさんあること、価格が手頃になってきたことです。つまり、入居者にとっては選びやすい環境になっているということです。まだまだ、この市場環境は続くものと思われます。

そして、今の買い手市場では、物件の淘汰が進み、現在進行している二極化がますます鮮明になってくると思われます。そこで、淘汰されないためには、物件のコストパフォーマンスを上げていくしかありません。家賃、設備など、エリアのニーズにあわせて条件を整えることが大切です。または、ペット共生やセキュリティー強化などコンセプトを明確に打ち出すことや、定期的な清掃、メンテナンスを徹底していくことでもアピール度は高まるでしょう。

そのためには、エリアのニーズを徹底的に調べ、周辺のライバル物件の状況を把握することが必要になってきます。しかし、それは賃貸オーナーのみで把握するには、限界があります。やはり、最新の入居者動向などを把握している不動産業者と相談するなどして、ニーズを見極めることが大切です。

買い手市場で賃貸市場は活況。エリアニーズの見極めがカギ。

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