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路線価と土地相続評価の行方

市場動向

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2012年8月 1日

路線価と土地相続評価の行方

ここ数年下落が続いている路線価ですが、相続税評価の算出基準となるだけに、土地オーナーとして路線価の動向はしっかりと把握しておきたいところです。そして、相続税評価にとって、今、最も目が離せないのが税制の行方です。今回はこの路線価と税制の視点から、今後の相続税評価について考えてみたいと思います。

ついに上昇地点現る!路線価は下げ止まった?

国税庁が発表した2012年の路線価は全国平均で2.8%下がり、4年連続の下落となりました。しかし、東京都は1.2%、大阪府は1.7%の下落で、下げ幅は前年のほぼ半分でした。しかも東京都では、北千住3.6%、曳舟2.1%、赤羽0.6%の3地点で上昇。曳舟はスカイツリー効果、北千住は大学移転 などの再開発が理由と見られています。神奈川県では、川崎1.6%、たまプラ―ザ1%、溝の口0.9%とそれぞれ駅前で上昇。大阪府でも、大阪市北区 0.9%と阿倍野区3.6%の2地点が上昇。いずれも東京同様、再開発等の影響と見られています。

スカイツリー効果は周辺の賃貸の家賃相場にも影響し、物件によっては賃料を値上げしていると言います。ただ、これはかなり特殊な例と言っていいでしょう。他の再開発がらみのエリアは集客力の高まりが路線価にも反映されましたが、周辺の家賃相場を上げる程ではありませんでした。また、上記以外のエリアの路線価は、まだ下落が続いています。しかし、路線価の下げ幅が縮まったのを見ると、路線価は下げ止まりの傾向とみることができます。

路線価は4年連続の下落だが、上昇地点も現る。下落率は縮小し、下げ止まりの傾向が見える。

低金利で分譲は好調!地価の動向は?

景気の低迷や路線価の下落と別の動きを見せているのが分譲マンションです。5月の首都圏の平均価格は4,696万円(国土交通省)。この2、3年間、価格は上下を繰り返し、ほぼこの水準を維持しています。価格が大きく下がらない要因は、まずデベロッパーが供給を絞ることで価格競争を避けていること。そして歴史的な低金利で住宅ローンが組み安くなり、高い価格のマンションでも購入しやすくなっていることです。先に紹介した、赤羽の路線価上昇も、大型の分譲マンションができ、街が活性化したのが影響しているという見方があります。今は、景気の動向だけでなく、複雑な要因が地価や不動産価格に影響しているようです。

路線価はその年の1月1日時点での評価ですが、その後の動向を直近の地価で見てみます。
国土交通省の地価LOOKレポートを見ると、平成24年第1四半期(1~3月)は、全体としては緩やかな下落が継続しているものの、上昇または横ばいを示す地区が前回より増加しています。東京圏では上昇、または横ばいを示す地区が全体の7割を超える46地区となり、前回の35地区から増加しました。地価そのものも下げ止まり傾向を示しているようです。

分譲マンションは売れ行き好調!地価も下げ止まり傾向。

税制に左右される土地の相続税評価

さて、今回のテーマ、相続税評価の観点からすると、今は路線価以上に税制に注意を向けなければなりません。今の段階では平成27年1月1日以降の相続から適用となっていますが、この件については、平成25年度の税制改正で再度審議されることになっています。

主な内容は次の通りです。

基礎控除の引き下げ

定額控除 5,000万円⇒3,000万円
法定相続人控除 1,000万円×法定相続人⇒600万円×法定相続人

税率構造の見直し、最高税率の引き上げ

最高税率 50%⇒55%

死亡保険金の非課税限度額の要件引締め

500万円×法定相続人⇒500万円×法定相続人(但し、法定相続人は未成年者、障害者、または相続開始直前に被相続人と生計を一にしていた者に限る。)

相続時精算課税制度の対象の拡大

贈与者の年齢 65歳以上の親⇒60歳以上の親
受贈者 20歳以上の子⇒20歳以上の子・孫

相続税の大増税は平成27年からの予定だが、あらためて審議される。

ポイントは日本財政再建と政局の行方

今や、日本にとって解決しなければならない喫緊の課題は財政再建。ギリシャよりもはるかに多い累積債務をどうするかという問題です。加えて、社会保障費 は少子高齢化により今後毎年1兆円規模で増加するとの予測が出ています。そこで出てきたのが社会保障と税の一体改革。この中に、相続税増税案も含まれています。最大の争点であった消費税増税も衆議院を通過し、たとえ参議院でこじれても、このまま成立すると見られています。それでも政局はますます混迷を極めています。

消費税増税については、財政再建のための施策として世界にアピールする必要もあります。実際、日本の消費税は世界に比べても低水準です。一方、相続税は、制度がない国の方が多く、富の再分配を主張する日本とは違って不公平と捉えられているようです。しかし、低所得者にも影響のある消費税が導入されれば、富裕層への増税もやむなし、と見るのが日本の国民感情でしょう。政局の行方によっては、さまざまな駆け引きも考えられますので、再び相続税増税の見 送りもあるかもしれませんが、節税対策の準備だけはしておきたいものです。

財政再建のためにも相続税増税は必至。その時に備えて、準備はしておきたい。

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