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平成28年「基準地価」、上昇トレンドは地方へ!?

市場動向

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2016年10月 4日

平成28年「基準地価」、上昇トレンドは地方へ!?

国土交通省から、今年の7月1日時点の基準地価が発表されました。1月1日時点の公示地価では地価上昇トレンドが勢いを増し、やや過熱感も見え始めた地価動向ですが、それから半年後、地価はどうなっているのでしょうか? 三大都市圏の地価動向を見ていきます。

商業地、住宅地ともに二極化がさらに広がる

今回の基準地価は、上昇トレンドが三大都市圏で弱まり、地方の中核都市に波及。その他の地方では依然下落が続き、全国的にもそれぞれのエリアでも二極化が進んでいる傾向となりました。
公示地価では8年ぶりに全用途全国平均が上昇に転じました。調査地点が違いますので単純比較はできませんが、基準地価の全用途全国平均では下落幅は縮小しているものの、いまだに下落しています。商業地の全国平均が、わずかながらプラスに転じましたので、このまま上昇トレンドが続けば、来年は全用途全国平均がプラスに転じる可能性もあります。

三大都市圏を見ると、住宅地が3年連続で上昇しました。伸び率は、東京圏、大阪圏、名古屋圏、いずれも伸び悩んでいるようです。商業地は、各エリアで上昇率も伸び、特に大阪圏では上昇基調を強めています。
注目すべきは地方四市(札幌市・仙台市・広島市・福岡市)の商業地で、三大都市圏の各エリアの倍以上の大きな上昇率を示しています。商業地が上昇した都道府県は、前年の11から14に増えました(0.0倍を除く)。
三大都市圏では不動産の投資利回りが低下し、不動産投資マネーが地方へと向かったことが要因のようです。今の地価上昇の要因の一つは、訪日外国人の増加です。訪日外国人は、以前は三大都市圏が中心でしたが、今は地方の観光地へも流れています。

ただし、三大都市圏にしても地方四市にしても、大きな地価上昇は再開発が進む中心地にとどまり、郊外にいくと下落した地点もあります。二極化は以前にも増して進んでいるようです。

■基準地価の変動率 (単位%)

東京圏の動向ー商業地は上昇率拡大、住宅地は郊外が伸び悩み

全国で最も地価が高かったのは、11年連続で東京・銀座の「明治屋銀座ビル」です。1平方メートルあたりの地価は3,300万円。これは、リーマンショック前の地価3,000万円を上回り、バブル期のピーク3,800万円に迫る価格です。
東京圏全体の商業地で見ると、調査地点の4分3の地点で上昇しています。東京23区は4.9%の上昇で、東京圏の上昇率トップ5はすべて銀座となりました。2020年東京オリンピックや品川の再開発による影響は落ちついてきたとのことですが、上昇率トップの『銀座6-8-3』は27.1%の上昇で、この水準はミニバブル期とされるリーマンショック前以来ということです。

住宅地を見ると商業地ほどの勢いはなく、東京圏全体で見ると上昇地点は昨年より減少しました。神奈川県、茨城県では下落となっています。住宅需要の高い横浜市、川崎市では上昇したものの、上昇幅は減少しています。

東京23区はすべての区で上昇しています。市区町村別で見ると変動率トップは千代田区の10.0%、千代田区は商業地7.3%よりも高い上昇率です。千代田区では富裕層向けの億ションに底堅い需要があるようです。
一方、多摩地域の住宅地は上昇幅が縮小し、多摩市やあきるの市では下落に転じました。下記の市区町村別に変動率を示したマップを見てください。中心部は上昇しているものの周辺部は下落しているエリアが広がっているのが分かります。昨年のものと比べると、都心部は2.0〜5.0%未満の上昇率を示すオレンジ色のエリアが増えているのですが、周辺部は下落を示す水色が増えているエリアもあり、以前にも増して、二極化が広がっているのが分かります。

■東京圏(東京都・神奈川県)の地域別変動率 (単位%、カッコ内は前年)

■商業地変動率上位ー東京圏(単位%)

■東京圏住宅地
※国土交通省「土地総合ライブラリー」より 詳細はコチラ

名古屋圏の動向ー名古屋駅周辺の商業地は依然高い上昇率

空前の大型再開発ラッシュに沸いている名古屋駅周辺。2027年のリニア中央新幹線開通を控え、名古屋駅周辺は高層ビルの開発が相次いでいます。全国で最も高い上昇率となったのは、名古屋駅西側の中村区椿町32.3%です。昨年の名古屋駅東側の中村区名駅3丁目の45.7%には及びませんでしたが、それでも高い上昇率です。今年の中村区名駅3丁目は2番目に高い32.0%ですが、この2年間でほぼ倍の値上がりとなりました。
また、繁華街である錦、栄地区では店舗需要が堅調であることに加え、投資用不動産としての需要も見られ、上昇幅が拡大した地点も見られます。

住宅地は、名古屋市内中心部への交通利便性が良好な地下鉄沿線を中心に需要が堅調に推移し、上昇幅が拡大したエリアが増えましたが、平均値で見ると年々上昇のペースが緩やかになっています。住宅価格が名古屋圏でも上昇し、サラリーマンが購入できる上限に近づいているのが要因とみられています。

■商業地変動率上位ー名古屋圏(単位%)

■名古屋圏住宅地
※国土交通省「土地総合ライブラリー」より 詳細はコチラ

大阪圏の動向ー商業地はホテル開発ラッシュが続く

訪日外国人の増加が続き、ホテル建設ラッシュと、加えて都心の高層マンション建設の需要も高まっている大阪圏。大阪府内への訪日外国人数は、上半期で450万人と過去最多を更新しました。関西国際空港への格安航空会社の就航便数の拡大が後押しし、通年でも過去最多の昨年(716万人)を上回ると見られています。
商業地は三大都市圏の中でも最も高く3.7%の上昇。都道府県別に見ても、大阪府は4.7%上昇し、東京都の4.1%を上回り、2年連続の全国首位です。最高価格は、グランフロント大阪南館がある大阪市北区大深町です。調査地点となって3年連続の一位です。
また、京都市の需要も顕著で、京都市の商業地は6.5%もの上昇。京都も訪日外国人の増加で、ホテルの稼働率は80%で満室と言われますが、90%台が続いています。これは東京、大阪も同じ状況です。

住宅地に関しては、変動率は昨年と同様の0.0%。大阪市内中心部への交通利便性に優れた地域では、マンション需要を中心に需要が堅調で上昇を続けていますが、それ以外のエリアでは下落も目立ちます。
都道府県別で見ると大阪府は0.0%で横ばい、京都府は0.4%下落、兵庫県は1%下落しています。エリアを絞れば、好調なのは中心部で、大阪市内では北区が4.3%、福島区が3.9%上昇、京都市では上京区が3.2%上昇しています。

■商業地変動率上位ー大阪圏(単位%)

■大阪圏住宅地
※国土交通省「土地総合ライブラリー」より 詳細はコチラ

今後の地価動向は訪日外国人がカギ。エリアを絞って動向を見極める。

今回の基準地価で特徴的だったのは、地方四市(札幌市・仙台市・広島市・福岡市)の上昇率が三大都市圏を大きく上回ったことです。
日銀のマイナス金利政策により、中長期国債の利回りが低下しましたが、その影響で利回りを求める投資マネーが不動産へと向かいました。しかし、三大都市圏はすでに不動産価格が高騰し利回りは低下しています。その結果、投資マネーは地方の中核都市へと流れたのが今回の地価動向に現れたということです。
先頃日銀は、長期金利の水準を「0%程度」にするという目標を設けた金融政策を発表しましたが、マイナス金利政策自体は続きます。不動産市場にとっては、まだまだ追い風となるでしょう。

その原動力となるのが訪日外国人の増加です。訪日外国人に人気のある京都市、北陸新幹線が開業した金沢市では20%を超える上昇地点が出ました。話題になった“爆買い”は落ちついたようですが、訪日外国人は増加の一途をたどっています。三大都市圏で、出張サラリーマンがホテルの予約がとれないと嘆いているのはよく聞く話です。ホテル開発ラッシュは当分続くと思われますので、地方を含めた観光地の地価はまだ上昇を続ける可能性はあります。しかし、今回不動産マネーが地方中核都市に向かったように、都心部の地価は天井感があり、上昇率は減少していくという見方もあります。
いずれにせよ、訪日外国人の数や消費動向が地価動向のカギを握っていると言えそうです。

一方住宅地は、商業地より先に変調の兆しも見られます。好調を維持するエリアもあれば、下落に転じているエリアもあり、二極化がさらに広がっています。住宅地価格も、三大都市圏の中心地ではサラリーマの手の届きづらい価格になっていますが、都心に近く、人の集まる交通利便性の良いエリアは、今後も底堅く地価は上昇していきそうです。一方で、交通の便の悪い郊外は低迷し、結果的に平均値で見ると、下落トレンドに見えるかもしれません。地価動向もエリアを絞って見極めていくことが、今後は大切になってくるでしょう。
土地オーナーにとって、地価動向は相続税への影響もありますので、気になるところですが、外部要因も含めた経済動向、地価動向に注視したいところです。

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