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マイナンバーと相続対策

相続

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2016年3月 1日

マイナンバーと相続対策

マイナンバー制度がスタートしました。既にマイナンバーが記載された「通知カード」が届いていることと思います。特に土地オーナーにとっては、今後の資産運用や相続対策に大きな影響があるので注意が必要です。今後、マイナンバー制度がどのように活用されていくのか、どう対応するべきか、解説していきたいと思います。

マイナンバーで資産透明化の時代へ

マイナンバーの活用は、当面「税」「社会保障」「災害対策」に限られています。これにより、行政サービスを受ける際の手続きが簡素化され便利になります。
一方、資産家などが心配しているのが、資産が全て透明化されてしまうのではということです。その理由の一つが、マイナンバーと預貯金口座の紐付けです。
既に、平成27年の通常国会で「銀行等にマイナンバーによる預貯金情報検索管理義務を課す」ことを定める法律が改正され、その準備に入っています。預貯金口座にマイナンバーを紐付ける理由は、制度そのものの目的である「公平かつ公正な社会を実現する社会基盤」にあります。生活保護の不正受給がたびたび話題になりますが、市町村の事前調査にもかかわらず、多額の預貯金残高があったなどということがなくなると期待されています。また、相続税に関しても同様に、実は隠し口座があったなどという話はよく聞く話です。社会保障や税務執行の観点から、マイナンバーによる預貯金の把握が必要となるのです。

今後は、平成30年に銀行等に預貯金口座へのマイナンバーの付番が可能なシステム対応をするよう法整備され、平成33年に既存口座への付番を官民挙げて進める方策について法改正も視野に前広に検討する、となっています。
つまり、平成30年から預貯金口座にも任意でマイナンバーの提示が促されますが、さらに、平成33年にはそれを義務化させようという計画です。

ただし、任意とは言え、本人の意向とは関係なく紐付けされることも検討されています。例えば、確定申告書にはマイナンバーを記載しますが、仮に所得税の還付金がある場合は、申告書に還付金の振込口座を記載することになっています。その際、税務署は銀行に対して預金者のマイナンバーを通知して番号を付けることが予定されています。同様に、年金の振込口座については日本年金機構が、また、高額療養費の振込口座は市町村(国民健康保険の場合)が、同様の措置をとれるよう法改正が検討されています。

また、証券口座については、既にマイナンバー付与が始まっています。これから、新しく口座を作る場合は、口座開設時にマイナンバーを提示、現在口座を持っている場合は平成30年末までにマイナンバーを通知しなければなりません。
さらに、今年平成28年(平成27年分)の確定申告から「申告所得金額が2,000万円超で、かつ、財産総額3億円以上、または有価証券等1億円以上の者」に対して「財産債務調書」の提出が義務付けられるようになりました。違反した場合は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金という重い罰則があります。財産債務調書には、土地、建物、現金、預貯金などを細かく書かなければなりません。タンス預金にしても、ここで現金として記載する必要があります。
このように、着々とマイナンバーをベースとして資産を把握する準備が進んでおり、資産の透明化は避けられそうにありません。

マイナンバーと預貯金口座の紐付けは、平成33年に義務化を目指して準備が進んでいる。資産透明化の時代は避けられない。

土地オーナーの負担はますます増える?

ご存じのように、昨年から以下の税制改正が行われました。
・相続税の基礎控除40%引き下げ
・相続税の税率構造を6段階から8段階に。2つの区分で税率引き上げ
・相続税最高税率を55%に引き上げ
・所得税最高税率45%に引き上げ(平成27年分より)

また、現在検討されているのが、高所得者や一定の預貯金がある場合の高齢者に対する年金の部分的な廃止、そして年金と給与所得がある場合の公的年金控除額と給与所得控除額との調整による課税強化などです。

さらに、土地オーナーが注目しているのが不動産とマイナンバーの紐付けです。相続が発生しても相続登記をしていない不動産が多くあるのが実態であり、これらの事実関係を調査するのに多くの時間と費用を要するということで、マイナンバーの紐付けは当面見送られています。しかし、早急に結論を得ることができるよう協議を継続することとなっており、例えば新規の登録物件に関してはマイナンバーを付けることは難しくありませんので、義務付けられるかもしれません。そうすれば、金融資産を不動産に転換した資産もしっかり把握することができ、年金支給や生活保護の支給基準に利用できるからです。

もちろん、マイナンバーによる資産の透明化は「公平かつ公正な社会を実現する社会基盤」のためですが、土地オーナーにとっては税制を含め、負担増になっていく可能性があります。

マイナンバーによる資産の透明化で、税制を含め土地オーナーの負担は増す方向に。

資産透明化時代の相続対策

マイナンバー導入による資産透明化時代の資産運用には、課税強化などによる負担増に対応できるよう、これまで以上に安定的で確かな資産運用が求められます。ひいては、相続対策も同じです。

特に相続税対策に対して最も効果が高いのは不動産投資です。遊休地にアパートを建てた場合は、資産の評価額が約80%減額の効果が期待できるのです。
例えば、1億円評価の遊休地に1億円のローンでアパートを建設した場合で考えてみます。
土地は貸家建付地として7,900万円、建物(アパート)は固定資産税評価額と賃貸住宅の評価減で4,200万円に評価が減額されます。マイナス1億円のローンで、結果的に評価額の合計は2,100万円となります。

[例]自用地評価額1億円、借地権割合70%、借家権割合30%の土地に、1億円(全額ローン)でアパートを建設

ただし、ローンは元本返済が進めば、負債控除の効果も減ってきます。また、家賃収入により、毎月資産が膨らんでいくことになりますが、現金資産がない場合は、それを将来の納税資金に活用するなどが考えられ、さまざまな相続メリットが生まれます。

アパート建設による、財産評価の引き下げ効果については、「相続・贈与の基礎知識:財産評価の引き下げ編ー土地活用で節税効果」でも詳しく解説しています。

また、相続対策としてよく使われる生前贈与ですが、アパートを生前贈与するというのも、大きな効果が期待できます。生前贈与が有効な資産は、現金の他に将来価格が上昇すると思われる不動産や有価証券などです。なぜなら、評価は贈与時点になるからです。今後、地価が上昇するかどうか中長期の視点で予測することは難しい時代ですが、この数年でいうと確実に地価は上がっています。

アパートの贈与は、評価額が固定資産税評価額となるため時価より低い上、さらに借家権割合の分が評価減になり、おおむね時価の40%で贈与することができます。また、先にも述べたように、生前に贈与することでその家賃収入も相続人に移転され、それを納税資金として確保することもできます。資産運用としても効果が高いのは言うまでもありません。また、アパートの贈与には相続時精算課税制度が利用できるのも大きなメリットです。
アパートの贈与に関しては、「相続・贈与の基礎知識:財産の移転編ー生前贈与を活用する」でも詳しく解説しています。

マイナンバー導入による資産透明化時代では、安定的で確かな資産運用と相続対策となるアパート経営が有効。


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