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高齢入居者もオーナーも安心できる賃貸経営とは

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2011年11月 1日

高齢入居者もオーナーも安心できる賃貸経営とは

2011年10月20日から「サービス付き高齢者向け住宅」の登録制度がスタートしました。上限100万円の建設費・改修費が補助され、税金面での優遇措置も受けられる制度で、25㎡以上の床面積とバリアフリー化、見守りと生活相談が「最低限のサービス」として義務付けられています。一方、高齢入居者が万一死亡した際などに賃貸オーナーに対して保険金が支払われる「高齢入居者保険」が発売されました。今後ますます、高齢化が進む社会に合わせて変化する賃貸市場を探ります。

高齢者向け住宅の既存の制度を一本化

厚生労働省が2011年7月に発表した「平成22年国民生活基礎調査」によれば、65歳以上の高齢者だけの世帯数は2010年に1,000万件、そのうち独居世帯数は500万件を超え、今後も増加が続くものと予想されます。このため、国土交通省と厚生労働省では、全体の住宅戸数に占めるサービス付き高齢者住宅の比率を欧米並みにすることを目標とし、民間事業者や医療法人などが手がける、賃貸中心のサービス付き住宅を今後10年間で60万戸整備することにしました。

従来の高齢者住宅には、「高齢者円滑入居賃貸住宅」「高齢者専用賃貸住宅」「高齢者向け優良賃貸住宅」の3つの制度がありましたが、各施設の管轄が分かりにくく、登録すらなされていないものも多かったようです。サービス面でも、最後まで看取ってくれるところからバリアフリーすらない住宅までありました。こうした点を是正するため、「サービス付き高齢者向け住宅」に制度を一本化。不明瞭な部分を改善し、登録基準が明確化されました。

バリアフリー、見守り、前払い金に新たな基準

登録基準は1部屋がトイレや洗面設備を含む原則25㎡以上でバリアフリーであることや、高齢者が安心して暮らせる「見守りのある住まい」として、安否確認や生活相談サービスを義務付け、ヘルパー2級以上の福祉、医療の専門家や医療法人等の職員を日中常駐することとなっています。また、契約内容についても前払い金の初期償却に制限を設けて保全措置・返還ルールを明示するようにしています。

この内容は、これまで高齢者住宅で指摘されていたことが、「サービス付き高齢者向け住宅」の基準としてまとめられたものです。健全に運営するオーナーであれば特に問題となるものではないでしょう。これらの基準を満たしていれば、国土交通省の「高齢者居住安定化推進事業」の対象として認可登録され、1戸当たり100万円を上限にして新築の場合は建設費の10分の1、改修の場合は3分の1を国が直接補助します。また、税制面でも国などの補助金を受けていることを条件に、所得税、法人税、固定資産税、不動産取得税が優遇されます。

保険業界の進出が本格化

「サービス付き高齢者向け住宅」の整備が進むことを見越して、高齢入居者を対象とした保険も出てきました。これは、入居者を被保険者としてオーナーや管理会社が保険料を支払い、入居者が死亡した時に、葬儀費用、清掃・撤去費用、家賃補てん費用として300万円を上限として第三者受取制度を通じて保険金が支払われるものです。1年ごとの自動更新による定期保険ですので、その都度、保険料を見直すこともできます。

保険は死亡保険と災害死亡保険に特化したもので、毎月支払う保険料を一定にして、死亡保険金が年を追うごとに減額される「保険料一定型」と、死亡保険金額が固定され、毎月の保険料が増額される「保険金一定型」があります。被保険者の年齢層は、65~70歳が中心。身寄りのない高齢者の場合、万一の時には、オーナーが葬儀費用、清掃・撤去費用、家賃補てん費用を負担しなくてはなりません。そういった時に役立つのがこの保険です。

高齢者向けの住宅戸数が増え、高齢入居者保険等の周辺サービスも整備されてくれば、高齢者が賃貸住宅市場の重要な位置を占めるようになるのは間違いないでしょう。ヘルパー2級以上の福祉、医療の専門家や医療法人等の職員を日中常駐させるなどの課題は、医療法人と連携することで解決できると思います。また、万一の時には、高齢入居者保険を活用することで、様々な費用負担のリスクを軽減することができます。

「サービス付き高齢者向け住宅」は、市場のニーズもあり国からの補助も受けられることから、様々な業界が高齢者向け住宅事業の強化に乗り出しています。大きく広がる市場を目指して検討してみる価値はあるのではないでしょうか。

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