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エシカル消費に見るこれからの賃貸住宅

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2022年6月 7日

エシカル消費に見るこれからの賃貸住宅

エシカル消費とは、「人や社会、環境に配慮した消費行動」のことです。ものを買ったり、食べたり、使ったりする際に、エシカル(倫理的)に考えて消費する、いわばサステナブルな社会の実現に向け、消費者ができる具体的な行動の一つです。今、このエシカル消費に積極的なのが、今後の賃貸住宅のメインターゲットとなるZ世代と呼ばれる若者です。エシカル消費の視点から、これからの賃貸住宅・賃貸経営を考えてみます。

社会的課題への意識がZ世代の価値観を変えた

気候変動による異常気象は、世界各国で大きな被害をもたらしています。近年、日本でも毎年のように豪雨による被害に見舞われ、脱炭素社会の実現ヘ向けて様々な取り組みが進んでいます。
日本政府が2050年までに「温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と宣言したのは2020年10月のことです。

加えて、コロナ禍やウクライナ情勢で、人々の価値観は大きく変わろうとしています。リモートワークにより在宅時間が増え、仕事とプライベートの充実を図ろうと郊外が人気になったり、都市と地方に居を構える二拠点居住が注目を集めるなど、住まい方にもその影響が出ています。
さらに、カーボンニュートラルの実現に加えて、今後懸念される世界的なエネルギー問題もあり、省エネへの意識はますます高くなっていくと思われます。

これらの社会環境・価値観の変化に、いち早く順応すると思われるのがZ世代(1990年代半ば~2010年初頭生まれ)と呼ばれる若い世代です。この世代は、自分が価値を感じたものに「時間、お金、熱量」を注ぐと言われています。

また、この世代は賃貸住宅のメインの入居者層でもあります。Z世代は環境や社会に関心が高く、高性能な住宅で育ったために、家に対しても高い基準を持っています。
一人暮らしを始めた入居者に、賃貸住宅と実家でどちらが「断熱性・省エネ性」の満足度が高いかを聞くと、20代以下では「実家」の方が高いと答えています。
このZ世代のニーズに応えることが、これからの賃貸住宅の大きなテーマとなるでしょう。

ひとり暮らしを始めた「住宅性能体験キッズ」は実家の方が断熱性が高いと回答

入居者のメインターゲットとなるZ世代のニーズに応えることが今後の賃貸住宅では必要。

エシカル消費が住まいにも影響!?

価値観やライフスタイルの変化は、消費行動にも表れるようになりました。象徴的なのがエシカル消費です。人・社会・地域・環境に配慮した消費行動で、地産地消やエコ商品の利用などが定着し始めています。
これは、2015年9月に国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)の17のゴールのうち、ゴール12「つくる責任 つかう責任」に関連する消費行動にもつながり、消費者庁も普及に努めています。

「エシカル消費 意識調査2020(電通調査)」によると、エシカル消費の認知度は4人に1人とまだ少ないものの、新型コロナウイルスの影響でエシカル消費の意識が高まった人は3割います。
エシカル消費をする理由は、「社会貢献」「環境問題」「長い目で見ると節約につながる」など、長期の視点で社会的課題に貢献したいという気持ちが見てとれます。

Q. エシカル消費をやってみたい、もしくはすでにやっている理由

社会貢献につながるエシカル消費は、今後、Z世代を中心に、住まいにも影響が出てくると思われます。賃貸住宅であっても、決して例外ではありません。調査でも「同じような商品を購入するのであれば社会貢献につながるほうがいいと思う」という回答にも表れているように、部屋選びの新しい基準となる可能性があります。

人や社会、環境に配慮したエシカル消費が浸透し、部屋選びの新しい基準となる。

これからのスタンダートとなる賃貸住宅の3つの基本価値

エシカル消費に象徴される価値観の変化や多様化するライフスタイルを考えた場合、今後、賃貸住宅のスタンダードとなり得る基本価値には、次の3つが考えられます。

1. 基本性能&プラン品質-建物の安全性・快適性

省エネ性能、防災力、遮音性といった基本性能に加え、入居者のライフスタイルにあったプランニングは欠かせません。

2. 環境共生-持続可能な社会の実現に貢献

今や環境との共生は、サステナブルな社会の実現には欠かせない大きなテーマです。賃貸住宅でも高断熱化により「省エネ」や、太陽光発電で「創エネ」を実現することは可能です。

3. レジリエンス性-地震などの災害に対応

先頃、東京都は首都直下地震等による被害想定を10年ぶりに見直しました。それによると死者や建物被害が前回より3割以上軽減したとのことです。大きな要因は耐震化・不燃化が進んだことです。特に不燃化は都市防災の大きな課題です。賃貸住宅の防災力を高めることは入居者の安全を守るだけではなく、地域の防災にも大きな役割を果たします。

「基本性能&プラン品質」「環境共生」「レジリエンス性」の3つの基本価値が、これからの賃貸住宅のスタンダードになる。

基本価値プラス付加価値で長期安定経営

エシカル消費に応えるには、基本価値に加え入居者の多様化する暮らしに応える提案力も大きなポイントです。
例えば、ペットを飼育している世帯、共働き夫婦、子育て世帯、郊外でリモートワークによるワークライフバランスを重視する世帯。それぞれのライフスタイルに合ったプランを提供することで付加価値が生まれます。

基本価値プラス付加価値で入居者の暮らしの満足度がアップし、長期入居を促すとともに、その物件にしかない付加価値は周辺物件より高い家賃設定を可能にします。また、社会的ニーズの高い住まいと良好な地域環境がそろうことで、将来にわたり入居希望者も集まりやすくなり、空室率を最小限に抑えます。

これらは、今後の賃貸住宅における長期安定経営を支える、とても重要な経営資源となるでしょう。

基本価値と付加価値を備えれば、経営面でも「長期入居」「空室率を抑える」「高い収益性」で長期安定経営を実現する。

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