2025年も半年を過ぎました。安定した賃貸経営を続けるためにも、この時期に空室を出さないよう入居者ニーズをしっかりと把握して、空室対策を検討することが大切です。不動産情報サービスのアットホーム株式会社による「不動産のプロが選ぶ!2024年下半期問合せが多かった条件・設備」から、入居者ニーズを探ります。
まずは「2024年下半期 問合せが増えた条件・設備~賃貸編~」のトップ10をご覧ください。1位「転勤のため引っ越したい」、2位「通学・通勤先の近くに引っ越したい」でした。このアンケートは2024年7月~12月の間に、賃貸居住用物件を探しているお客さまを担当したことがある不動産業者に実施しています。
賃貸市場下半期の8月、9月、10月は転勤シーズンといわれ、春の繁忙期に続いて入居者の入れ替わりが多い時期です。不動産会社のコメントでは「コロナ禍で控えられていた転勤が活発になってきた」とのことです。また、「リモートワークする会社が減った」との声もあり、10位「都心に引っ越したい」にあるように都心回帰の傾向も見られます。
この時期の入居者入れ替えで、空室が出ないように入居者ニーズをしっかりと把握し対応することが大切です。
8月~10月は転勤シーズン。併せて入居者の住み替えが増加する時期。空室が出ないように入居者ニーズを把握して対応すること。
このランキングで注目したいのが、5位「今より平米数を広くしたい」、6位「今より部屋数を増やしたい」、8位「仕事・作業用の部屋がほしい」、9位「設備のグレードを上げたい」です。3位には「毎月の家賃を下げたい」とありますが、これらを満たすとなれば、当然家賃も上がっていきます。
近年入居者層で注目されているのが、子育てファミリーと中堅社会人です。子育てファミリーは、分譲マンション価格の高騰により賃貸市場に流れていると見られます。また、未婚率の増加等で中堅社会人も増えていると考えられます。
どちらも共通しているのが、"経済力がある"ということです。それを考えれば、よりグレードの高い賃貸のニーズが求められているのもうなずけます。
アットホームが発表した2025年6月の東京23区単身者向け(30㎡以下)平均募集家賃は10万1623円で、2カ月連続で10万円を超えました。昨今の新築物件は設備のグレードも高く家賃も強気です。家賃相場を押し上げている要因の一つでしょう。中堅社会人であれば、1LDKなどのニーズも高まりそうです。
最近では更新や入居者の入れ替え時に、家賃を上げるケースも増えているようです。古くなった設備等をリフォーム・リノベーションするよい機会ではないでしょうか。
子育てファミリーや中堅社会人で広さや設備など、グレードの高い賃貸住宅を求めるニーズが高まっている。今、家賃は上昇基調でもあるので、リフォーム・リノベーションのよい機会ともいえる。
ランキングでもう一つ注目したいのが4位「ペット可物件に引っ越したい」です。ペット可物件のニーズの高さは、本マンスリーレポートでも様々なデータを紹介していますが、新しいデータが出る度に、ニーズはどんどん高まっているようにも感じます。
一昔前までは賃貸住宅でペットを飼うことはできないのが常識でしたが、少しずつペット可物件が増えたこともあり、入居者の認識も変わってきていると思われます。ただ、それでもペット可物件は全体の2割程度と希少価値が高いのが現実です。
それだけにペット可物件の付加価値は高く、賃料や次の入居者の決まりの早さに表れています。「LIFULL HOME'S」調査の「ペットとの住まい探しの実態調査」によると、平均掲載賃料は、「ペット可物件」112,771円と「ペット不可物件」に比べ34,518円も高く、次の入居者も16.6日早く埋まるとのことです。
ただし、既存の物件を「ペット可物件」にする場合は要注意です。まず、他の入居者の了解を得ること、入居後もペット飼育のサポートやサービスを怠らないことなどが必要です。それでもペットを飼う人と飼わない人が混在する場合はトラブルになりがちです。この管理の難しさが、ペット可物件が増えない理由です。
ベストなのは、単なる「ペット可」ではなく、入居者全員がペットを飼うこと、ペットと暮らすことを前提にプランニングされた「ペット共生型賃貸住宅」です。旭化成ホームズのペット共生型賃貸住宅「+わん+にゃん」では、ペット専門の管理業者が管理し、ペット専門スタッフが、入居者(ペット)審査から、入居後のしつけ教室開催など、サポートします。入居者同士、ペットを通じて顔見知りになり、ゆるやかなコミュニティが生まれるのも「ペット共生型賃貸住宅」の特長の一つです。
「ペット共生型賃貸住宅+わん+にゃん」についてはコチラ。
ペット可物件は、依然ニーズが高く付加価値が高い。理想は単なる「ペット可」ではなく、「ペット共生型賃貸住宅」にすること。
条件編のランキング9位に「設備のグレードを上げたい」がありました。具体的に問合せが増えている「設備」のランキングを見てみましょう。
「駐車場」や「オートロック」を除くと、今の新築物件ではほぼ完備している設備ばかりです。1位「インターネット無料」、2位「宅配ボックス」は、今や必須になりつつあります。昨今の物流問題もあり、"置き配"が増えていますが、住所や名前、電話番号が長時間人目に触れてしまうので、「宅配ボックス」は防犯対策上もニーズが増えていると言えます。
駐車場やオートロック以外は、既存の物件でもリフォームで可能です。中でもニーズが高まっているのが「洗面所独立」です。条件編「設備のグレードを上げたい」に「バス・トイレ別」とありますが、もはやこれも定番の条件で、さらに「洗面所独立」が望まれています。「洗面所独立」もリフォームで可能な場合があります。部屋探しの検索条件に「洗面所独立」が加われば、競争力も上がります。検討してみてはいかがでしょうか。
「インターネット無料」「宅配ボックス」は定番の設備に。ニーズが高まっているのが「洗面所独立」でリフォームでも可能。