アパート経営・土地活用の知恵袋
マンスリーレポート 最新情報をレポートします

平成25年度税制改正のポイント

税務・確定申告

タグ :

2013年4月 2日

平成25年度税制改正のポイント

新年度が始まりました。ここで、平成25年度の税制改正のポイントについて解説します。昨年末の税制改正大綱の発表以来、週刊誌でも相続対策の特集が毎週のように掲載されています。それだけ、土地オーナーのみならず相続税の増税は大きなインパクトがありました。その他も含め、税制改正の争点だった富裕層への増税は予定通り盛り込まれています。一方、贈与税の緩和、住宅ローン控除の拡充などの減税策も盛り込まれています。今回は、土地オーナーにとっては見逃せないアパート経営に関係する改正のポイントを整理します。

1.相続税の見直し

【基礎控除の引き下げ】

平成27年1月より基礎控除が4割引き下げられます。相続税の課税対象者は全国平均で約4%、東京都で約10%と言われていましたが、これにより、大幅に増えると予想されています。

・現  行:定額分5,000万円 + 1,000万円 × 法定相続人の数
             ▼
・改正後:定額分3,000万円 +  600万円 × 法定相続人の数

※平成27年1月1日より適用。
例えば、配偶者と子供2人が相続した場合は、
3,000万円 + 600万円 × 3人=4,800万円が基礎控除となります。現行だと8,000万円です。仮に、所有している土地(更地)120m2の路線価が40万円/m2だとすると、この土地の評価額は4,800万円(120m2×40万円)です。この土地だけで基礎控除分がなくなってしまい、その他の相続財産全てに相続税がかかってしまうことになります。

【小規模宅地等の特例の要件見直し】

路線価の高いエリアに土地を持っていると、それだけで上記のように相続税負担が大きくなってしまいます。そこで、自宅の土地に関しては、評価額を80%減額する小規模宅地等の特例があります。この対象面積が240m2から330m2に拡充されました。
さらに、事業用の土地(400m2まで80%減額)がある場合は、それぞれの土地の限度面積まで適用することが可能になりました。

・特定居住用(自宅)の特例の対象面積を240m2  ⇒ 330m2に拡充
・居住用330m2 + 事業用400m2 = 最大730m2まで可能

※平成27年1月1日より適用。
ただし、特定居住用(自宅)の適用要件は厳しく、相続人は被相続人と同居していたか、別居していても過去3年間、相続人またはその配偶者が持ち家を所有していないなどでなければ適用されませんのでご注意下さい。
また、今回の税制改正で下記の2点の要件が緩和されました。

・1棟の二世帯住宅の場合、構造上分離していても被相続人・相続人が居住していた部分は適用が可能に。
・被相続人が老人ホームに入所して、居住しなくなった自宅の敷地については、介護が必要なため入所した場合や自宅が貸付等の用途に使われていない場合は適用。

※平成26年1月1日より適用

【相続税率の見直し】

相続税率も改正になり、以下の表のように、取得金額が「2億円超3億円以下」および「6億円超」の税率が引き上げられています。

■相続税の税率

法定相続分による取得金額

現行

改正後

 〜1,000万円以下

10%

同左

 1,000万円超〜3,000万円以下

15%

 3,000万円超〜5,000万円以下

20%

 5000万円超〜1億円以下

30%

 1億円超〜2億円以下

40%

40%

 2億円超〜3億円以下

45%

 3億円超〜6億円以下

50%

50%

 6億円超〜

55%

※平成27年1月1日より適用。

2.贈与税の見直し

【贈与税率の見直し】

平成27年1月から贈与税率は直系尊属(父母・祖父母)からの贈与(受贈者20歳以上)とそれ以外の贈与の2つのパターンになります。最高税率は引き上げられましたが、直系尊属からの贈与は部分的に減税になっています。

■贈与税の税率

課税価格

現行

改正後

直系尊属
からの贈与

直系尊属以外
からの贈与

 200万円以下

10%

同左

 200万円超〜300万円以下

15%

 300万円超〜400万円以下

20%

15%

20%

 400万円超〜600万円以下

30%

20%

30%

 600万円超〜1,000万円以下

40%

30%

40%

 1,000万円超〜1,500万円以下

50%

40%

45%

 1,500万円超〜3,000万円以下

45%

50%

 3,000万円超〜4,500万円以下

50%

55%

 4,500万円超〜

55%

55%

※平成27年1月1日より適用。

【相続時精算課税制度の要件見直し】

相続時精算課税制度の贈与者の年齢、受贈者の範囲が子および孫に拡充されました。

 

現行

改正後

贈与者

 65歳以上

 60歳以上

受贈者

 20歳以上の子(推定相続人)

 20歳以上の子または孫

※平成27年1月1日より適用。

【教育資金の一括贈与の非課税】

教育資金に関して、今回の改正では以下の要件の子または孫に対して一括して非課税で贈与することができるようになります。

非課税金額:受贈者1人につき1,500万円(学校等以外は500万円)

受  贈  者:30歳未満の子・孫・ひ孫。30歳までに使い切れなかった場合、残額に贈与税がかかる。

※適用期間は、平成25年4月1日〜平成27年12月31日

3.所得税

【所得税の最高税率の見直し】

所得税の最高税率が40%から45%に引き上げられました。

・課税所得4,000万円超の場合、所得税率は45%(現行40%)

※平成27年分の所得分から

【住宅ローン控除の延長・拡充】

平成25年末で終了する予定だった住宅ローン控除が、消費税増税を考慮して延長・拡充されました。

■一般の住宅

居住開始

控除期間

住宅借入金等の
年末残高の限度額

控除率

合計最大控除額

平成25年(現行)

10年間

2,000万円

1.0%

200万円

平成26年
1月〜3月

10年間

2,000万円

1.0%

200万円

平成26年4月
〜平成29年12月

10年間

4,000万円

1.0%

400万円

 

■認定長期優良住宅・低炭素住宅等

居住開始

控除期間

住宅借入金等の
年末残高の限度額

控除率

合計最大控除額

平成25年(現行)

10年間

3,000万円

1.0%

300万円

平成26年
1月〜3月

10年間

3,000万円

1.0%

300万円

平成26年4月
〜平成29年12月

10年間

5,000万円

1.0%

500万円

【復興特別所得税】

東日本大震災の復興のため所得税および住民税が増税されます。

・所得税:所得税額の2.1%を上乗せ

※平成25年1月より25年間

・住民税:一律1,000円を上乗せ

※平成26年6月から10年間

4.その他、租税特別措置の見直し

【登録免許税の軽減措置延長】

・土地の売買による所有権移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置は、適用期限が2年間延長になりました。
・住宅用家屋の、所有権保存・移転または抵当権設定登記に対する登録免許税の税率の軽減措置は、中古住宅に関して適用要件を見直した上で、適用期限が2年間延長になりました。

※平成27年3月31日まで

■土地売買に関する登録免許税の軽減措置
・土地売買に係わる「所有権移転登記」:固定資産税評価額×1.5%(本則2%)

■住宅用家屋に関する登録免許税の軽減措置
・新築住宅の建築に係わる「所有権保存登記」:建物評価額×0.15%(本則0.4%)
・中古住宅の売買に係わる「所有権移転登記」:建物評価額×0.3%(本則2.0%)
・住宅ローン等に係わる「抵当権設定登記」:建物評価額×0.1%(本則0.4%)

【印紙税の特例措置延長】

・不動産の譲渡に関する契約書等の印紙税の税率の特例措置は、適用期限を5年間延長し、平成26年4月1日以降に作成される文書については、税率そのものも現行より引き下げられます。

※平成30年3月31日まで

■印紙税の特例の一例

契約金額

不動産の譲渡に関する契約書

現行
(平成25年3月31日まで)

改正後
(平成26年4月1日以降)

 1,000万円超〜5,000万円以下

15,000円

10,000円

 5,000万円超〜1億円以下

45,000円

30,000円

 1億円超〜5億円以下

80,000円

60,000円

 5億円超〜10億円以下

180,000円

160,000円

【金融・証券税制の改正】

「少額投資非課税制度」が創設されました。現在、上場株や投資信託の配当および売却益には、特例の軽減税率10%となっていますが、平成26年1月に本則の20%に戻ります。そこで少額投資非課税はその代わりに、毎年100万円の範囲なら非課税にするというものです。非課税期間は5年間で、平成35年12月末まで適用されます。

土地活用・アパート経営の資料プレゼント

セミナー・イベント情報を見る

窓口・WEB・電話で相談する

▲ページトップへ

マンスリーレポートトップへ