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腹水濾過濃縮再静注法(CART)

Cell-free and Concentrated Ascites Reinfusion Therapy

婦人科がんにおける腹水管理とCARTの適応について

第72回日本産科婦人科学会学術講演会ランチョンセミナー
婦人科腫瘍治療へ腹水濾過濃縮再静注法(CART)を使いこなす

座 長

鈴木 直 先生

聖マリアンナ医科大学 産婦人科学

演 者

利部 正裕 先生

岩手医科大学 医学部 産婦人科学講座

卵巣がんにおけるCART導入のタイミング

卵巣がん治療は、まず手術が原則であり、その後必要に応じて化学療法を行います。初回治療後のフォローアップで再発卵巣がんと診断された場合には、化学療法が主な治療法となりますが、場合によっては腫瘍減量術や放射線治療なども行われます。
卵巣がんの多くはがん性腹膜炎を呈し、腹水が貯留します。ベバシズマブが本邦で使用可能となった現在でも、初診時や再発時において難治性腹水を呈する症例は多数あります。卵巣がん患者に対する腹水濾過濃縮再静注法(CART)は再発治療時に加え、試験開腹などの初回治療前にも導入可能です。当科では、抗がん剤を併用している場合は白血球数を確認しながら腹水治療を行っています。腹水貯留量が少ない場合や高頻度に貯留する場合以外は、2週間に1回のCARTを行っています。

岩手医科大学 医学部 産婦人科におけるCART施行症例の検討

2012年1月~2017年12月の約6年間に、当科で実施した卵巣がん患者に対するCARTについて検討しました。進行期はⅢ期およびⅣ期が21例、病理組織型は漿液性がんが17例でした。
術前CART施行症例は8例で、再発CART施行症例は16例でした。術前症例へのCARTは、大量腹水のために悪化しているPSの改善と術後低アルブミン血症予防のために施行しました。

  • 対象:

岩手医科大学 医学部 産婦人科でCARTを施行した卵巣がん患者24例

  • 実施期間:

2012年1月~2017年12月

進行期

I 期 2例
II 期 1例
III 期 13例
IV 期 8例

病理組織型

漿液性がん 17例
粘液性がん 1例
明細胞がん 3例
その他 3例

術前CART施行症例:8例

初診からCART施行までの日数:
平均 9日(1日~17日)

再発CART施行症例:16例

初診からCART施行までの日数:
平均 626日(1日~1,996日)
CART施行日から死亡日までの日数:
平均78日(3日~298日)
プラチナ抵抗性・不応性再発:
16例
化学療法・CART併用例:
5例(1~2レジメン)

再発時にCARTを施行した症例を提示します。
卵巣がん(high-grade serous) stage IIcの患者で、2013年に根治手術とDC(ドセタキセル、カルボプラチン)療法、2015年6月にプラチナ感受性再発となり同年10月までDC療法(6コース)、2016年3月にプラチナ抵抗性再発となりONO4538試験で標準薬投与後PD(Progressive Disease:腫瘍の大きさの和が20%以上増加かつ絶対値でも5mm以上増加した状態、あるいは新病変が出現した状態)となりました。PTX+Bev(パクリタキセル+ベバシズマブ)8コース終了後、腹水貯留が著明となったため、ノギテカンまたはPLD(リポソーム化ドキソルビシン)と腹水穿刺排液・CARTを併用しました。
腹水穿刺排液からCART施行までの日数は初回5日間、2回目は10日間でしたが、CART施行から腹水穿刺排液までの日数は、初回17日間、2回目は23日間と長くなりました。3回目の腹水穿刺排液後、BSC(ベストサポーティブケア)へ移行しました。
本症例を経験し、改めてBev投与後のCARTは腹水穿刺排液に比べ腹水貯留間隔が延長する可能性に気づきました。今後、腹水治療へのBevとCART併用の有用性についてさらに検討したいと考えます。

再発卵巣がん StageⅡcへ CARTを施行した1例

  • 卵巣がん(high grade serous) stage Ⅱc
2013年
根治手術(optimal)+化学療法(DC療法)
2015年6月~10月
プラチナ感受性再発→DC療法6コース
2016年3月
プラチナ抵抗性再発
ONO4538試験(ニボルマブ 標準治療群)
PTX+Bev 8コース

CART施行回数は、術前症例では1回、再発症例(Bev投与なしが13例、Bev投与ありが3例)では平均2.6回でした。再発症例でBevありの症例はBevのみでは病勢が抑えられず腹水貯留コントロールが難渋する例に施行しました。

CART施行回数(術前と再発)

再発症例におけるBev投与の有無とCART施行について比較検討を行いました。
初診時から初回CART施行日までの日数の中央値は全体で626日で、Bev投与なしでは539日、投与ありでは1,003日でした。
CART施行日から死亡日までの日数は、全体で78日で、Bev投与なしの56日と比べて、投与ありでは169日と有意に長くなりました。BevにCARTを併用することでBevの副作用が増悪されることはこれまで経験しておらず、安全に施行できました。

再発症例におけるCART施行について(Bev投与有無の比較)

再発症例のCARTと術前症例のCARTについて比較検討を行いました。
穿刺排液腹水量は、再発症例では3,159mL、術前症例では3,058mLでした。
腹水中の総蛋白(TP)濃度は、再発症例では2.8g/dL、術前症例では3.6g/dLでした。
濾過濃縮後のTP投与量は、再発症例では88.6g、術前症例では111.3gでした。
いずれの項目においても統計学的な差を認めませんでした。

再発症例と術前症例におけるCART

投与可能な総蛋白またはアルブミン量を、CARTとアルブミン製剤投与で比較してみました。当科では、CART1回施行により総蛋白86.1gが回収できました。そのため2週間に1回保険算定可能なCART施行により1か月あたり総蛋白172.2gの総蛋白が投与できると言えます。一方、悪性腹水に対するアルブミン製剤の保険算定可能な投与量は60g/月です。アルブミン製剤投与に比べCARTでは約3倍の総蛋白量を投与することができると言えます。
「アルブミン製剤の適正使用(血液製剤の使用指針 厚生労働省医薬・生活衛生局:平成31年3月)」に“悪性腫瘍による低アルブミン血症患者や末期患者へのアルブミン製剤投与は避けるべきである”と記載されていることからも、がん性悪性腹水治療におけるCARTは極めて有用であると考えられます。

CARTとアルブミン製剤投与の比較

卵巣がん、卵管がんおよび腹膜がん患者の難治性腹水成分の解析とCART施行による影響の検討

我々は、 CART前後の腹水および末梢血中のサイトカインを網羅的に解析するために、順天堂大学と共同研究で『卵巣がん、卵管がんおよび腹膜がん患者の難治性腹水成分の解析とCART施行による影響の検討』と題した研究を行っています。
(UMIN ID: UMIN000034893)
サイトカインはがん細胞の増殖および抑制に関与していると言われており、CARTの有害事象である発熱の原因の一つとも考えられています。
サイトカインが分離除去可能となれば、今以上に良いCARTを患者に提供できるのではないかと考えています。

まとめ

CARTは婦人科悪性腫瘍に合併する難治性腹水に有用です。

  • 難治性腹水症患者に対するCARTは蛋白の補充や苦痛軽減に有用です。

CARTはBevが多くの症例に使用されている現在でも難渋する腹水治療に重要な役割を果たしています。

  • CARTは腹水貯留間隔の延長が期待されるBev併用症例や副作用が懸念されるためBev投与ができない症例に安全かつ有効に施行できると考えます。
  • 卵巣がん治療ガイドラインで初回・再発治療へBevの併用と維持療法が推奨され臨床使用されている現在でも、Bev効果減弱による腹水貯留例は存在します。卵巣がん治療におけるCARTの役割は変わらずあると考えます。

CARTの使用タイミングとして術前導入が検討されています。

  • CARTの術前導入により周術期管理での安易な血液製剤の使用を避けることができると考えます。

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