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腹水濾過濃縮再静注法(CART)

Cell-free and Concentrated Ascites Reinfusion Therapy

消化器がんの腹水マネジメントとCARTの可能性

第58回日本癌治療学会学術集会 学術セミナー54
悪性腫瘍による腹水治療の最前線
腹水濾過濃縮再静注法(CART)のUP TO DATE

座 長

吉治 仁志 先生

奈良県立医科大学 消化器内科学講座

演 者

水上 拓郎 先生

聖マリアンナ医科大学 臨床腫瘍学講座

腹水に対するマネジメント

消化器がんでは約2割の患者が経過中に悪性腹水を伴うことが知られており1)、予後は10週程度2)と非常に短いことが報告されています。悪性腹水は腹水蛋白濃度、血清-腹水アルブミン格差(SAAG)を用いて滲出性か漏出性かを診断し、治療方針を決定します。

非代償性肝硬変による腹水に対する抗アルドステロン薬の有効性は50~90%、ループ利尿薬の有効性は約50%3)という報告がありますが、がんに伴う悪性腹水で抗アルドステロン、ループ利尿薬投与における有効性は43%4)と報告されています。

腹腔−静脈シャント(P-Vシャント)は腹水制御が期待される一方で、閉塞、肺水腫、挿入後の感染等3)が課題です。腹水濾過濃縮再静注法(CART)は腹水中の細菌、がん細胞等を除去し、アルブミン等の蛋白質を濃縮して患者に戻す方法です。

聖マリアンナ医科大学病院におけるCARTの実施

聖マリアンナ医科大学病院で2015年1月から2020年9月にCARTを実施した消化器がん症例を後方視的に調査しました。
年齢の中央値は60歳、男性が59%、原発臓器は胃が53%でした。CARTを導入した時点で胸水合併例が47%、悪性腹水の貯留と同時に悪性の消化管閉塞を伴っている例が2例(12%)含まれていました。多くの患者で急激に腹水が貯留し、利尿薬の効果をみる前にCARTが導入されていました。CTの画像上腹水が出現してからCART導入までの日数は89日、CART導入28日前の腹腔穿刺回数は2回、CARTと化学療法を併用した例は77%でした。

症例
CARTを含む集学的治療により長期に治療ができた大量腹水を伴う膵がんの1例
(60歳 男性)

本症例は、膵がんの化学療法としては一般的ではありませんが、ご本人のスケジュールに合わせてS-1療法を先に行いその後ゲムシタビンとnab-パクリタキセルの併用療法(GnP療法)を行いました。

来院時、大量腹水が認められましたが、経口摂取は比較的保たれていた状態で治療開始しました。S-1療法と利尿薬投与およびCARTを月に1回併用しましたが、S-1療法の効果が得られず、約3ヵ月で病態が進行し、用量を調節しながらGnP療法に切り替えました。

GnP療法開始後、通院頻度が増えたこともありP-Vシャント造設を行いました。二度チャレンジを行いましたがシャント閉塞のため、いずれも抜去しました。GnP療法の治療効果によりこの後定期的な腹腔穿刺排液はせずに治療を継続できました。治療開始時の大量腹水も治療変更後は量が減少し、全身状態は保たれたまま治療継続ができました。

化学療法が奏功するまでの期間、全身状態を保つためにCART、利尿薬、P-Vシャントを含めた多角的なアプローチを行うことによって化学療法の継続性を上げることができる可能性を示した症例でした。

CARTに伴う有害事象としてDIC(播種性血管内凝固症候群)や心不全は認められませんでした。血圧低下と発熱が29%認められましたが、いずれも軽度でCARTは安全に行うことができました。

一般的に腹腔穿刺排液の場合、穿刺間隔は10~14日5)~7)、CARTでは穿刺間隔が27日8)との報告がありますが、本調査結果ではCART導入後初回腹腔穿刺までの期間は12日(95%CI 6~57日)でした。CART導入後全生存期間は72日(95%CI 14~90日)でした。

消化器がんの中では胃がんに比較的腹水症例が多く認められますが、胃がんでは激しく腹水が貯留してくる印象があります。今回の検討では初回腹水が認められてから、CART導入までの期間が長く、緩やかに腹水が貯留する胆道がんや膵がんで複数回CARTを継続している例がありました。消化器がんではこのような症例にCARTが有効ではないかと期待をしています。

まとめ

  • 悪性腹水のマネジメントとして利尿薬、腹腔穿刺排液、CART、P-Vシャントなどが選択肢となる
  • CARTは、腹部膨満感を中心とした症状のコントロールに有効性が高い可能性がある
  • CARTを含めた集学的な悪性腹水のマネジメントにより化学療法を継続できる症例があった

Q&A

Q:CARTの適用症例について、無効例または適用できない例等がありましたら教えてください。

A:CARTの適用について線引きすることは難しいですが、通常の腹腔穿刺排液に比べ比較的大量に腹水を抜くので、患者の状態や臓器の余力をみて導入いただくのが一番よいと思います。患者のQOLを改善する目的として患者のためになるのであれば選択肢の一つとしてご家族、ご本人と相談の上導入するのがよいのではないでしょうか。

総括

水上先生から消化器がんへの悪性腹水について自らの経験を中心にお話いただきました。
水上先生のデータから、CARTから次回穿刺までの間隔は平均12日ということで、言い換えればCARTは保険では2週間に1回算定できますので、腹腔穿刺排液を行わなくてもCARTを繰り返していけば、腹水コントロールできる可能性があるということです。
エビデンス構築によってがん患者のQOL改善にCARTが寄与する可能性を明らかにできればと考えます。

吉治 仁志 先生


参考文献
1)Cavazzoni E et al. Intrn J Clin Oncol 2013; 18: 1-9.
2)Zervos EE et al. World J Surg Oncol. 2006; 4:16.
3)Boyer TD, Warnock DG. Gastroenterology 1983; 84: 1051-1055.
4)Becker G et al. EJC 2006; 42: 589-597.
5)Heiss MM et al. Intrn J Cancer 2010; 127: 2209-2221.
6)Jatoi A, et al. Oncology 2012; 82 : 315-320.
7)Ross GJ et al. Am J Roentgenol 1989; 153: 1309-1311.
8)Hanada R et al. Support Care Cancer 2018; 26:1489-1497.

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