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特別連載企画活性酸素と透析療法
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酸化的ストレスがもたらす合併症

これまで、活性酸素の持つ特異的構造や、透析患者さんにおける活性酸素産生促進のメカニズムを「透析膜」と「透析液」の観点から述べてきました。この第四章、第五章では、活性酸素の酸化的ストレスが原因として予想される様々な合併症について説明したいと思います。 

酸化的ストレスに曝されるとまず生体的な反応として、細胞シグナルの活性化からはじまり、生体膜酸化、細胞膜・DNAの損傷、アポトーシス、およびAGE生成等、様々な病態反応が起こります。

これらの反応が、臨床の場でどのような疾病につながるかというと、下図のようになります。これらの病気は、すべて透析患者さんの合併症と関連しているもので、特に下図で赤色に変えているものは発生頻度が高く、死亡原因として上位に位置づけられるものです。

また、透析患者さんの場合はそれらの合併症に特異性が見られます。例えば、感染症ですと透析患者さんは細胞性免疫が低下しており、結核罹患率は健常者と比較して、男性で6.4倍、女性では16倍高くなっています。

また、動脈硬化症でも、透析患者さんは健常者に比べて進行しやすく、それが基盤となって脳血管障害、心筋梗塞、心不全などに繋がると考えられます。悪性腫瘍ですと、透析患者さんは健常者に比べ1.4~4.3倍高くなっており(胃、腎、肝、肺、結腸、直腸の順に多い)、特に腎癌は健常者の9.4~12.5倍(30~45歳では147~551倍)高くなっています。

このように、透析患者さんの場合は常に酸化的ストレスと関係のあるイベントに曝され、合併症の罹患率が高くなっていると考えられます。
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