旭化成メディカル
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特別連載企画活性酸素と透析療法
目次 1
ここまで、活性酸素、フリーラジカルを軸に、透析治療における活性酸素の振る舞いとそれがもたらす疾患について述べてきました。第一章では活性酸素の持つ特異的構造からスタートし、第二章で透析療法における透析膜の問題、第三章で透析液清浄化の問題、さらに第四、五章では酸化的ストレスがもたらす合併症について述べてきました。
この第6章では、透析治療における活性酸素研究の現在と未来を概観し、この連載のまとめとしたいと思います。

活性酸素やフリーラジカルは生命誕生の過程で必須のものですし、殺菌作用で知られるように、生命を外敵から守るために無くてはならぬものと位置づけられます。にもかかわらず、一般にこれらは不都合なものとして認識されています。その理由は、今回の連載シリーズをご覧になられてきた方々にはお分かりかと思いますが、活性酸素やフリーラジカルが発症に関与する疾患は、羅列すれば枚挙に暇がないためです。しかも、透析患者において特に発生頻度が高い促進性動脈硬化症、透析アミロイドーシス、悪性腫瘍など、ほとんどの合併症が透析中に生成される活性酸素の洗礼を受けて惹き起こされることが次第に明らかになってきました。

さて、透析療法が進歩したと言われて久しくなりますが、毎年約3万名の透析患者が死亡し、その30~40%が活性酸素に関連した合併症に起因するとすれば、これは重大事です。透析療法から活性酸素の産生を招くような過程を取り除くか、作られても直ちに消去されるようなシステムを構築することが必要です。これこそが将来の透析療法、血液浄化療法に求められる視点ではないかと考えます。

すなわち、血液透析で言えば、生体にとって異物反応を起こさない透析膜、濾過膜、血液回路の開発、異物を全く含まない透析液、補充液の開発であり、腹膜透析で言えば、pHは中性で、AGEsやGDPsで代表されるようなフリーラジカルによって作られるような物質を全く含有しない透析液の開発が必要だということです。その意味で、ビタミンEでコーティングしたポリスルフォン膜やエンドトキシンカットフィルターで清浄化した上に、更に光触媒により超清浄化した透析液、あるいはポリグルコースのようにブドウ糖に代わる浸透圧物質の開発・製品化などは、5~10年以内の近未来的な部分で大いに期待できるし、更に長期的にも、同様の視点は欠かせないと考えます。

以上、特別連載企画「活性酸素と透析療法」を終えるに当たり、この分野での今後の研究の方向性について述べました。今回の連載が皆様の日常臨床あるいは新機軸への挑戦に何らかの示唆を提供できたことを祈ってやみません。
2004年5月
東京女子医科大学付属第2病院内科
佐中孜
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