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| 1. 背景 |
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アセトニトリルは、医薬用溶剤、分析用試薬、農薬などの分野で世界的に使われている製品で、特に医薬用溶剤分野では需要が多く、高い成長を続けています。一方で、供給のほとんどがアクリロニトリル(AN)製造過程から副生する粗アセトニトリルの精製によってまかなわれており、生産量がAN製造設備の能力や稼働率に左右されることから、現在、需要に対し供給が追いつかない状況が続いています。
今回の事業化検討は、現在PTTAC社がタイにおいて建設中のAN新工場から副生する粗アセトニトリルを回収・精製することで、アセトニトリルを製造する計画であり、これにより今後も拡大が予想される需要に対応することが可能となります。また、PTTAC社は、新工場におけるAN、メチルメタクリレート(MMA)および副生硫安の製造に、今回のアセトニトリルの製造を加えることで、収益基盤をより強固なものとすることが可能となります。
今後PTTAC社は、当社の支援のもと直ちに設計・機器資材調達・建設契約に関する業者の選定作業に入り、年内に株主三社で事業化の最終決定と建設業者等との契約締結を目指します。 |
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| 2. 計画概要 |
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| 1) |
生産能力 |
: |
年産1万2千トン |
| 2) |
立地 |
: |
タイ国ラヨーン県 マプタプット工業区内(AN/MMA工場敷地内) |
| 3) |
原料 |
: |
AN製造過程からの副生粗アセトニトリル |
| 4) |
生産技術 |
: |
当社がライセンス |
| 5) |
工期 |
: |
2009年末建設契約締結、2011年後半生産開始 |
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| 3. 当社のアセトニトリル事業について |
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当社は、川崎製造所内(神奈川県川崎市)に年産1万4千トンのアセトニトリル生産設備を保有し、アジア(日本・東南アジア・インドを含む)および欧州の顧客に幅広く販売しています。今回の事業化により、世界市場においてすでに世界トップクラスの供給能力をもつ当社の地位をより一層強固なものとしていきます。
また、今回の事業化検討と並行して、当社の水島製造所(岡山県倉敷市)のAN製造設備からの副生粗アセトニトリルの回収率の向上により、川崎におけるアセトニトリルの生産量を拡大することも検討しており、今後、一層の安定供給と事業拡大を目指していきます。 |
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| <ご参考> |
| 1. PTT Asahi Chemical Company Limited (PTTAC社)の概要 |
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| 1) |
社長 |
: |
Pailin Chuchottaworn |
| 2) |
設立 |
: |
2006年8月 |
| 3) |
所在地 |
: |
タイ国バンコク市(本社)、タイ国ラヨーン県(工場:建設中) |
| 4) |
登録資本金 |
: |
12,400百万バーツ(約400億円) |
| 5) |
出資比率 |
: |
旭化成ケミカルズ48.5%、PTT社48.5%、丸紅3.0% |
| 6) |
生産品目 |
: |
| (1)AN |
生産能力 |
: |
年産20万トン/製法:プロパン法 |
| (2)MMA |
生産能力 |
: |
年産7万トン/製法:ACH法 |
| (3)副生硫安 |
生産能力 |
: |
年産16万トン |
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| 7) |
生産開始 |
: |
2010年末予定 |
| 8) |
総投資額 |
: |
約7億5千万米ドル(内4億ドルはプロジェクトファイナンスにより調達) |
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| 2. PTT Public Company Limitedの概要 |
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| 1) |
社長 |
: |
Prasert Bunsumpun |
| 2) |
設立 |
: |
2001年10月 |
| 3) |
事業内容 |
: |
下記3つに大別される。 |
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| (1)Oil Business Group |
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石油の生産および輸出入、LPG、ガソリン等の販売 |
| (2)Gas Business Group |
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天然ガスの採掘、販売および分離生産 |
| (3)Petrochemicals and Refining Business Group |
| |
石油精製および石油化学製品の生産 |
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| 4) |
登録資本金 |
: |
28,572百万バーツ(743億円、2008年末時点) |
| 5) |
売上高 |
: |
2,000,816百万バーツ(5兆2千億円、2008年12月期) |
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| |
| 以上 |
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