平成26年全日本選抜柔道体重別選手権大会

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73kg級 大野 圧巻の強さを見せつけ、初制覇!!
90kg級 吉田 安定した強さで初優勝!!
100kg級 羽賀 決勝で惜しくも敗れ、準優勝!

4月5日(土)・6日(日)に福岡県・福岡国際センターにおきまして全日本選抜柔道体重別選手権大会が行われ当部より9名の選手が出場しました。

今大会は8月にロシア/チェリャビンスクにて行われます、世界選手権大会の最終選考会となっております。

*100kg級・100kg超級は全日本選手権後(4月29日)に決定

初日は90kg級に吉田、100kg級に増渕・羽賀、100kg超級に百瀬・上杉の5名が出場しました。

2日目は、66kg級に高上、73kg級に齋藤・大野、81kg級に海老の4名が出場しました。

《初日》

吉田は初戦で、2010・2011年世界選手権2位の西山選手(新日本製鐵住金)を一本勝ちで退け波に乗り、準決勝戦でも攻めの柔道でポイントを挙げ勝利し、決勝へと駒を進めました。

決勝戦の相手は東海大学の後輩で若手のホープとされるベイカー選手との対戦になりました。吉田は決勝戦でも果敢に攻撃し、組際の【払巻込】による有効ポイントを2つ挙げ、先輩の意地を見せ勝利し、今大会初優勝となりました。

100kg級の羽賀は初戦を得意の内股で一本勝ちし、準決勝戦では昨年の世界選手権代表の小野選手(了徳寺学園)を退け決勝戦へ駒を進めました。決勝戦の相手は東海大学の先輩である熊代選手(ALSOK)との対戦でしたが、一瞬の隙を突かれ一本負けを喫し、2位となりました。

《2日目》

73kg級の大野は初戦から得意の内股を軸に試合を展開し、準決勝戦でも内股によるポイントで勝利し決勝戦へ駒を進めました。

決勝戦の相手はロンドン五輪銀メダルの中矢選手(ALSOK)との対戦となりましたが、試合序盤より前にプレッシャーをかけていき【指導】の反則ポイント重ねていき、最後は【浮落】で見事に一本を奪い世界チャンピオンの貫録と意地を見せつけました。

詳しい試合内容をご報告させていただきます。

66kg級

1回戦

高上 優勢
(有 効)
六郷
(了徳寺学園)

73kg級

1回戦

齋藤 一本
(腕拉十字固)
中矢
(ALSOK)
大野 優勢
(指導2)
西山
(筑波大学)

準決勝戦

大野 一本
(指導4)
中村
(大阪府警察)

準決勝戦の相手は、中村選手(左組)との対戦となった。

大野(右組)は、釣手(右手)を相手の釣手(左手)の下から持ち、じわじわと上に突き上げながら引手(左手)を掴みにいく。相手は大野の圧力にやや後退。

開始40秒、組むことを嫌がる相手に【指導1】が宣告。その後は引手(左手)を持って【巴投】、そして得意の【内股】と見せるも技の入りが浅かったため相手にさばかれる。

仕切り直して、釣手(右手)を持ち、次に引手(左手)の順番で掴み、先ほどの(内股)より深めに相手の懐に入り込めば、相手は左足を上げて大野の体をまたぐようにかわそうとしたが耐え切れず右体側より落ち、【技有】のポイントとなる。

後がない相手は、逆に前に出て押し込みペースを変えようとする。押し込まれて不用意に場外に出てしまい開始1分40秒で大野に【指導1】が与えられる。

相手が前に出て距離を詰めてきたことで大野も接近戦での勝負に切り替え、これまで釣手(右手)は襟を持っていたが背中に持ち替え【内股、大外刈】などで一本を狙いにいく。相手はまともに組み合っては分が悪いと判断したのか慎重な組手になる。その姿勢に審判は2つ目の【指導】を宣告する。

なおも大野は距離を詰め、【内股】を中心に攻撃していく。

残り時間1分45秒、組むことを嫌がる相手に対し3つ目の【指導】が宣告される。いよいよ後がない相手は、攻撃を仕掛け、一本を取りにいきたいところだが、大野から伝わる力や威圧感の前に技が出せない。

しばらく膠着状態が続き、審判より【待て】がかかる。そして、残り50秒で両者に消極的ということで【指導】が与えられ、相手は累積の【指導】が4つとなり大野の決勝戦進出が決定した。

決勝戦

大野 一本
(浮落)
中矢
(ALSOK)

決勝戦の相手は、2011年の世界選手権で優勝し、ロンドン五輪でも銀メダルを獲得している中矢選手(右組)との新旧世界王者対決となった。

試合開始より大野はすぐ相手に詰め寄り組みにいく。相手は下がりながら【巴投】を掛け寝技に誘い込もうとする。

開始53秒、相手が掛けた技が掛け逃げとみなされ【指導1】が宣告される。

大野は引手(左手)で相手の右脇をもち、前に出ながら釣手(右手)で奥襟を掴みにいく。相手はその圧力に耐えきれず場外を背にして戦う時間が多くなる。

そして、開始2分となるところで相手が場外へ出たとして2つ目の【指導】が与えられた。徐々に試合は大野ペースになりはじめ、じわりじわりと相手を追い込み、投げるチャンスをうかがう。

得意の【内股】を軸に攻めて【大外刈】で決めようとするが相手も精一杯耐えポイントには至らない。

残り1分20秒で相手に対し3つ目の【指導】が与えられ一方的な試合展開となる。

このままでも勝てる展開だが更に前に圧力を掛けて攻めに転じ、【大外刈から内股】と掛けていく。相手も反撃しようと右足を伸ばし【大外刈】の態勢になったところで、大野は右足を引き、体を右に開きながら大きくハンドルを右に回すように捻ると相手は回転し、一本の宣告。

新旧世界王者の対決を圧倒的な内容で勝利し、今大会初制覇に華を添えた。

90kg級

1回戦

吉田 一本
(内股返)
西山大
(新日本製鐵住金)

準決勝戦

吉田 優勢
(技 有)
菅原
(パーク24)

吉田(右組)の準決勝戦は、昨年の今大会覇者である加藤選手(千葉県警)に勝利し勢いに乗る菅原選手(左組)との対戦となりました。

試合開始より激しい組手争いとなり、吉田は釣手(右手)で相手の釣手(左手)を上から抑えて釣手を制しようとする。両者、引手を持って有利に試合を展開したいがなかなか持てずに膠着していると、開始30秒過ぎに吉田に対し、指を持ったとして【指導1】が宣告。

1分過ぎには組み合わない相手に【指導1】が宣告される。その後も両者は【指導】を1つ受け、【指導2】となる。

開始3分ほどのところから相手が受けにまわりだし、吉田がペースを握りはじめ足払や変則的な背負投【通称:韓国背負投】などで攻めポイントにはならなかったが優位な展開となる。

残り1分少々で防戦一方の相手に対し、【指導】が宣告され、累積の【指導】が3つとなり吉田がリードする。そして、残り時間55秒、吉田は釣手(右手)を相手の釣手(左手)の上から抑えタイミングよく左に回転し再度、【変則的な背負投】に入れば相手はたまらず一回転。一本にはならなかったが【技有】のポイントを奪い、そのまま試合終了。

昨年に続き決勝戦へ駒を進める。

決勝戦

吉田 優勢
(有 効)
ベイカー
(東海大学)

決勝戦の相手は東海大学の後輩で昨年12月開催のグランドスラム東京大会を制し、勢いのあるベイカー選手(右組)となった。

両者は東海大学を練習拠点としているが、これまで練習でも組み合ったことがないという。

注目度の高い両者の対戦に会場は緊張感が漂う。両者、右組の相四つ。ベイカー選手釣手(右手)で吉田の奥襟や背中、腰あたりを深く持って接近戦を仕掛けて勝機を狙っていると予想される。

吉田は引手(左手)で相手の釣手(右手)を先に抑えたいところ。

吉田が引手(左手)を持つと相手は嫌がりなかなか組むことができない。相手は飛び掛かるように釣手(右手)を奥襟に伸ばし強引に体を寄せようとするが吉田は冷静にさばく。お互いに引手(左手)で袖ではなく襟を持ち吉田は距離を取り、相手は寄せようと奥襟を持って前に出てくる。

開始1分50秒、少し後退した吉田に【指導1】が宣告される。相手はさらにペースを引き寄せようと前に出て圧力を掛けてくる。しかし、吉田は冷静に相手の動きを読み、釣手(右手)で奥襟を持ちに来る瞬間に合わせ、左に向きを変えながら相手の釣手を掴み【払巻込】を掛ければ相手はこらえきれず右体側から落ち、有効ポイントを奪う。

相手はポイントを取り返そうとこれまで以上に前に出て、どうにか試合の流れを変えようと吉田の右肩越しに背中を持って【隅返】などの捨身技を仕掛けてくるも冷静にさばき寝技で応戦する。

なかなか流れを変えることができない相手は先程同様に飛び掛かるようにして釣手(右手)から取りに来たところを吉田は逃さず、先程と同じ形で【払巻込】に入り有効ポイントを奪う。

この時点で残り2分となり後がない相手は必死に前へ出てポイントを奪いにくる。後手にまわった吉田に対し、ラスト1分を切ってから指導が2つ与えられたが、そのまま試合時間終了となり、初優勝となった。

100kg級

1回戦

増渕 一本
(合 技)
乙津
(東芝プラントシステム)
羽賀 一本
(内 股)
高橋
(警視庁内定)

準決勝戦

羽賀 優勢
(指導3)
小野
(了徳寺学園)

準決勝戦の相手は昨年世界選手権代表の小野選手(右組)との対戦となった。

羽賀は左組、小野選手は右組とけんか四つになり、なかなか引手が持てない中で羽賀は片手からでも積極的に内股を掛けていく。

相手は釣手(右手)で奥襟を持って前に押してくる。前傾姿勢になり押してくる相手に対し、羽賀は釣手(左手)で距離を保とうとするが場外に出てしまい【指導1】の宣告を受ける。

直後、相手の掛けた技が掛け逃げとみなされ【指導1】が宣告。その後、相手に2つ目の【指導】が宣告されて反則の差で羽賀がリードする。

相手は組際に【大外刈】を掛けてくるも冷静に対処し、反撃の糸口をつくらせない。残り時間2分となったところで組み合わない両者に対し【指導】がそれぞれに宣告される。相手はこの【指導】で累積3つ目となり、後1つ【指導】を受けると反則負けとなる。

羽賀は立技で崩し、そのまま寝技へ移行しチャンスをうかがう。その後も攻めるがポイントには至らず試合終了。

新時代の幕開けとなる勝利で、決勝戦へ。

決勝戦

羽賀 一本
(袖釣込腰)
熊代
(ALSOK)

決勝戦の相手は東海大学の先輩である熊代選手(左組)との対戦となった。

両者は何度か試合で対戦しており手の内は分かっている。

羽賀は引手(右手)で相手の脇を突き距離を保ちながら【大内刈】を掛ける。対する相手は【一本背負投】を掛けてくるも潰して寝技でチャンスをうかがう。

両者とも出方をうかがい、静かな立ち上がりとなった。その後も膠着し組手で相手を警戒するような状態が続く。

間もなく2分が経過しようとした時に、相手は羽賀の釣手(右手)の袖を持って、再度羽賀が釣手(右手)を上に伸ばそうとした一瞬の隙をつかれ【袖釣込腰】に入られ一本を奪われてしまい惜しくも優勝を逃してしまう。

100kg超級

1回戦

百瀬 GS
(指導1)
王子谷
(東海大学)
上杉 優勢
(指導3)
上川
(京葉ガス)

最終結果

60kg級

優勝 高藤 直寿(東海大学)
2位 石川 裕紀(了徳寺学園)
3位 川端 龍(了徳寺学園)
3位 志々目 徹(了徳寺学園)

66kg級

優勝 高市 賢悟(東海大学)
2位 六郷 雄平(了徳寺学園)
3位 海老沼 匡(パーク24)
3位 福岡 政章(ALSOK)

73kg級

優勝 大野 将平(旭化成)
2位 中矢 力(ALSOK)
3位 中村 剛教(大阪府警察)
3位 秋本 啓之(了徳寺学園)

81kg級

優勝 永瀬 貴規(筑波大学)
2位 長島 啓太(日本中央競馬会)
3位 丸山 剛毅(天理大学)
3位 中井 貴裕(パーク24)

90kg級

優勝 吉田 優也(旭化成)
2位 ベイカー茉秋(東海大学)
3位 菅原 健志(パーク24)
3位 下和田 翔平(京葉ガス)

100kg級

優勝 熊代 佑輔(ALSOk)
2位 羽賀 龍之介(旭化成)
3位 乙津 瑞希(東芝プラントシステム)
3位 小野 卓志(了徳寺学園)

100kg超級

優勝 上川 大樹(京葉ガス)
2位 七戸 龍(九州電力)
3位 原沢 久喜(日本大学)
3位 王子谷 剛志(東海大学)

2014年 世界選手権代表決定

60kg級 高藤 直寿(東海大学)
66kg級 海老沼 匡(パーク24)
73kg級 大野 将平(旭化成)
81kg級 永瀬 貴規(筑波大学)
90kg級 ベイカー茉秋(東海大学)
100kg級 全日本選手権後*4月29日
100kg超級

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