第44回全日本実業個人選手権大会

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73kg級 齋藤、惜しくも3位!
81kg級 海老が嬉しい初優勝!!
90kg級 穴井が3位入賞
100kg級 増渕が2連覇達成!!
100kg超級 西潟が3連覇達成!!

8月23日(土)・24(日)に兵庫県尼崎市ベイコム総合体育館におきまして「第44回全日本実業柔道個人選手権大会」が行われました。

初日は、66kg級に前野、73kg級に齋藤、81kg級に白井、西田、海老が出場しました。

66kg級では前野が準々決勝戦まで勝ち進みましたが惜しくも破れ、「講道館杯全日本体重別選手権大会の出場資格決定戦」へまわりロンドン五輪60kg級銀メダルの平岡選手(了徳寺学園)に対し寝技による一本勝ちで出場資格を獲得しました。

73kg級の齋藤は、初戦より順当に勝ち進み、準決勝戦へ駒を進めましたが惜しくも敗れ3位となりました。

81s級では、海老が実力を発揮し圧倒的な内容で決勝戦へ駒を進めました。決勝戦でも安定した戦いで今大会初となる優勝を飾りました。

2日目の、90kg級に垣田、穴井、100kg級に増渕、野田、田中、小林、100kg超級に辻、西潟、上杉、土屋が出場しました。

90kg級では穴井が初戦より他を圧倒する強さで準決勝戦まで駒を進めました。準決勝戦では序盤にポイント奪われ、その後追い上げるも及ばず3位入賞にとどまりました。

100kg級では増渕がベテランらしい巧みな試合運びで強豪を撃破し決勝戦へ。決勝ではロンドン五輪90s級代表の西山選手との対戦。開始早々に増渕の仕掛けた技を受けた際に負傷し続行不可能となり増渕が勝利しました。

100kg超級では西潟が安定した戦いぶりで順当に勝ち上がり、決勝戦では開始30秒で「大外刈」を決め3連覇に華を添えました。

各試合の詳細は以下の通りです。

66kg級

1回戦

前野 一本
(内 股)
中山
(明治東洋医学院専門校)

2回戦

前野 一本
(袖釣込腰)
富永
(鹿児島情報クラブ)

3回戦

前野 一本
(足 車)
熊谷
(金沢学院クラブ)

4回戦

前野 一本
(巴 投)
青木
(パーク24)

準々決勝戦

前野 GS・技有
(小外返)
佐藤
(日本エースサポート)

講道館杯出場資格決定戦

前野 一本
(上四方固)
平岡
(了徳寺学園)

準々決勝で敗れた前野は講道館杯出場資格決定戦へとまわった。
対するは、ロンドン五輪60kg級銀メダルの平岡選手。実力者の相手に対し接戦が予想された。開始より前野は軽快な動きで組みにいく。
相手は先手を取ろうと組手不十分ながら得意の「背負投」を仕掛けてくる。前野はこれを読み冷静にさばく。そしてすかさず寝技へ移行。四つん這いになり防御する相手の頭側へまわり、足で相手の腕と首を制するようにロックし「四つん這い」から「仰向け」に返して「崩上四方固」にはいり「抑え込み」の宣告。そのまま20秒間抑え「一本」。実力者を破り出場権を獲得する。

73kg級

2回戦

齋藤 一本
(縦四方固)
佐藤
(クラレ岡山)

3回戦

齋藤 一本
(上四方固)
中園
(熊本市消防局)

4回戦

齋藤 技有
(大外返)
丸山
(東芝)

準々決勝戦

齋藤 一本
(大内刈)
熊澤
(まるや接骨院)

準決勝戦

齋藤 僅差
(指導2)
橋本
(パーク24)

齋藤(右組)の対戦相手は、若手有望の橋本選手(右組)が順当に勝ち上がってきた。
開始よりお互いに引手(左手)の方を伸ばしつかみにいく。齋藤は引手(左手)で袖をつかんだ瞬間に低くしゃがみながら右足を伸ばして「体落」を仕掛ける。両者組手争いが続き十分には組み合うことはできない。開始1分となったところで相手は上体を低くし引手(左手)で齋藤の右手を下方向へ押し込み「袖釣込腰」を仕掛ける。タイミング良く入られるが空中で体勢を変え腹ばいで逃れる。相手は組み合おうとはしないが片手からでも攻撃を仕掛けてくる技数が少ない齋藤に対し開始2分に「指導1」が宣告。その1分後には場外へ押し込まれ「指導2」が齋藤へ。
残り時間も2分を切りペースを変えて攻撃したいところだが運動量豊富な相手は前後左右に動きまわり組み止めることができない。そして、5分間の試合時間が過ぎ「指導2」の差で惜しくも敗退する。

81kg級

1回戦

西田 一本
(払腰)
茂木
(井野整形外科)
白井 不戦勝ち 三熊
(東日本旅客鉄道)

2回戦

西田 反則勝
(指導4)
田中
(金沢学院クラブ)
海老 一本
(背負投)
赤迫
(戸高鉱業社)
白井 一本
(袖釣込腰)
中野
(井野整形外科)

3回戦

西田 一本
(大内刈)
佐々木
(セントラル警備保障)
海老 一本
(合せ技)
近藤
(石田接骨院)
白井 一本
(背負投)
榊原
(ジェイテクト)

4回戦

西田 GS有効
(大内刈)
春山
(自衛隊体育学校)
海老 一本
(背負投)
菊池
(トーエー企業)
白井 僅差
(指導3)
武田
(新日鐵住金・広畑)

準々決勝戦

西田 GS僅差
(指導1)
山本
(九州電力)
海老 技有
(小内刈)
吉井
(パーク24)

講道館杯資格決定 1回戦

西田 GS一本
(支釣込足)
吉井
(パーク24)

準決勝戦

海老 一本
(背負投)
山本
(九州電力)

準決勝戦の相手は、西田に勝利し勢いにのる山本選手(右組)との対戦となった。
ケンカ四つの組手になる両者は互いに釣手(海老:左手、相手:右手)を持ちあう。相手は、動きを封じようと海老の釣手(左手)を上から抑えるように持つ。海老は右側へ動きながら引手(右手)を掴む。そして、自分の間合いになった瞬間に相手の視界から消えるようにしゃがみ込み低い「背負投」を掛ければ相手は反応できずくるりと回転し「一本」の宣告。初制覇に向け弾みをつける。

決勝戦

海老 僅差
(指導3)
平尾
(パーク24)

決勝戦、海老(左組)の相手は、しぶとさに定評がある平尾選手(左組)。
試合開始より相手はジャンプして奥襟(左手)をつかみにくる。対する海老は相手の動きを冷静に読み、右手で相手の左脇あたりを抑えて動きを制し、次に攻撃に移るため距離をとっていた右手で相手の袖を上から引っ掛けるように持ち変える。海老の組手を嫌がり防御を固めるため右足を大きく一歩下げて体を左に開き更に頭を低く落す。海老は防御を崩すため、前に出している左足を「足払」や「小内刈」で攻撃してチャンスをうかがう。全く攻撃をしない相手に対し開始1分50秒「指導1」が宣告。その後も相手に対し2つの「指導」が与えられ有利な展開で試合は進む。残り1分をきり逆転を狙い距離をつめようとするも海老は冷静にさばいて試合終了。
入社後初めてとなる個人タイトルを手にする。


81kg級で優勝した海老泰博

90kg級

2回戦

垣田 一本
(小内刈)
日當
(日本通運)
穴井 一本
(体 落)
西山
(VILLAGE)

3回戦

垣田 技有
(体 落)
花本
(京葉ガス)
穴井 反則勝
(指導4)
中ノ森
(トヨタ自動車)

4回戦

穴井 反則勝
(指導4)
渡邊
(熊本刑務所)

準々決勝戦

穴井 一本
(背負投)
山本
(日本中央競馬会)

準決勝戦

穴井 技有
(一本背負投)
北野
(パーク24)

穴井(右組)の対戦相手は、変則的な柔道スタイルの北野選手(左組)となった。
穴井は昨年の同大会では敗れているためリベンジに燃える。穴井は開始より相手に向かって一直線に詰め寄り釣手(右手)をのばす。しかし、開始15秒で前に出る穴井の力を利用され釣手(左手)を持って低い「一本背負投」を掛けられ相手の背中を転がって畳に落ち「技有」を奪われる。組み合うことを嫌う相手に対し穴井は引手(左手)を襟に持ち替え「内股」を狙う。徐々に相手はプレッシャーに押され開始1分20秒と3分30秒に「指導」を受ける。残り時間も1分少々となり正攻法の組み方から背中に釣手(右手)をまわし相手の左体側に密着して接近戦を仕掛ける。そして相手の後ろにつき強引に「裏投」を掛けるが先に畳に落ちてしまい「有効」を奪われる。この時点で残り50秒。逆転するには「一本」を取るか、「指導」を2つ取るか。疲労困憊の相手は苦し紛れに「巴投」を掛けて時間をかせぐ。この技を偽装攻撃とみなし3つ目の「指導」が宣告。残り30秒、穴井は全力で追いかけるもブザーが鳴りリベンジ果たせず無念の敗退。

100kg級

1回戦

小林 不戦勝ち 川波
(九州電力)
野田 一本
(縦四方固)
清田
(三菱重工・名古屋)

2回戦

増渕 不戦勝ち 石井
(関西電力)
小林 一本
(横四方固)
森田
(建装工業)
田中 一本
(送襟絞)
小林
(常翔学園クラブ)
野田 一本
(縦四方固)
渡辺
(日本エースサポート)

3回戦

増渕 GS僅差
(指導1)
吉永
(新日鐵住金・広畑)
小林 GS一本
(大外刈)
杉淵
(センコー)
田中 有効
(大内刈)
西山
(新日鐵住金・広畑)
野田 一本
(背負投)
乙津
(東芝)

4回戦

増渕 技有
(内 股)
伊能
(JFEスチール)
小林 一本
(腕拉十字固)
高木
(日本中央競馬会)
野田 有効
(背負投返)
羽沢
(パーク24)

準々決勝戦

増渕 一本
(大外刈)
村上
(パーク24)

準決勝戦

増渕 一本
(一本背負投)
高木
(日本中央競馬会)

増渕(左組)の準決勝戦は2010年世界選手権代表の高木選手(右組)が勝ち上がってきた。
懐が深く返し技を得意とする。両者ケンカ四つの組手。試合開始より釣手(増渕:左手、相手:右手)の取り合いとなる。その中で増渕は釣手(左手)をつかみ引手(右手)で袖をつかむと「大内刈」から「内股」へと移行し攻め込む。しかし、相手は増渕の腰を抱くように右手をまわし一旦は股の中に掛かっていた増渕の左足を抜きながら「内股透かし」を仕掛けるとバランスを崩してしまい「技有」を奪われる。残り時間は4分以上あるため増渕は焦せった様子もなく開始線へ戻る。その後、なかなか組み合ってからの攻防がないため両者に対し開始1分と2分30秒に「指導」が宣告される。ここから増渕は一段階ギアをあげ「大外刈」や「内股」で相手にプレッシャーを掛ける。このペースでは分が悪いと相手も反撃にうつり釣手(右手)のみ持って「大内刈」を掛けて右足で増渕の左足を持ち上げるようにしてケンケンで追ってくる。これ状況を待っていたかのように増渕は左足に掛けられた相手の右足をかわし左方向へクルリと回転すると同時に低くしゃがみ「一本背負投」を掛けると相手は頭上を越えながら大きく回転し「一本」となる。駆け引きの巧さを見せ昨年に続き決勝戦へ駒を進める。

決勝戦

増渕 棄権勝 西山
(新日鐵住金・広畑)

決勝戦は階級を1つ上げて出場してきたロンドン五輪90kg級銅メダリストの西山選手(左組)との対戦となった。試合巧者同士の対戦にどの様な決着を見せるのか非常に楽しみである。
試合開始よりお互いに引手(右手)で左脇を持ち相手の間合いにならないように距離を保つ。この動作にもヒシヒシと緊迫感が漂う。相手は十分に持ち合っていないが奇襲攻撃などでチャンスをうかがう。開始30秒を過ぎたところで増渕は引手(右手)で襟をつかみ相手を自分の方へ引き寄せるようにしながら釣手(左手)で相手の奥襟を持つ。そして、「大外刈」から「内股」、そしてもう一度「大外刈」と掛け投げたかに思われたが相手は畳に落ちる前に回転し腹ばいの状態で着地しポイントにはならず「待て」となる。開始線に増渕が戻り、相手選手は起き上がってこない。先程の一連の攻防の中で負傷した模様。このまま試合を続行することができずまさかの決着。これで増渕の優勝が決まり2連覇を達成となった。


100kg級で優勝した増渕樹

100kg超級

2回戦

西潟 一本
(大外刈)
木切倉
(新日鐵住金・大分)
土屋 一本
(内 股)
津志田
(十全会・おおりん病院)
上杉 僅差
(指導3)
谷村
(センコー)
反則勝
(指導4)
窪田
(近畿通関)

3回戦

西潟 一本
(大外刈)
増子
(東レ・滋賀)
土屋 一本
(裏 投)
渡辺
(パーク24)
上杉 GS技有
(出足払)
紺野
(京葉ガス)
僅差
(指導2)
藤井
(パーク24)

4回戦

西潟 一本
(支釣込足)
ラディック
(K,K sports)
上杉 GS一本
(内 股)
藤井
(パーク24)

準々決勝戦

西潟 僅差
(指導3)
須藤
(京葉ガス)

準決勝戦

西潟 棄権勝 増田
(新日鐵住金・広畑)

相手選手の怪我による棄権勝ちとなり、決勝戦へ。

西潟 一本
(大外刈)
藤井
(パーク24)

3連覇を狙う西潟(左組)の対戦相手は、辻と上杉に勝利し勢いにのる藤井選手(左組)となった。体格は西潟(身長:191cm、体重:120kg)の方が相手(身長:185cm、体重:118kg)を上回っているが非常に試合巧者であなどれない。
開始より西潟は出かたをうかがう様子もなく、引手(右手)素早く伸ばし相手の襟をつかみ直ぐに釣手(左手)で奥襟をつかみにいく。体格を活かしたダイナミックな組手とパワーに相手はたまらず頭を下げて防御姿勢をとる。西潟は何度か右へ腰をきりながら技へ入るチャンスをうかがう。そして、相手を十分に引き寄せた瞬間に左足を伸ばし「大外刈」を掛ければ相手は体を仰け反らしてこらえるも西潟は体を浴びせながら豪快に刈り倒し「一本」。見事な「一本」で大会3連覇に華を添えた。


100kg超級で優勝した西潟健太

最終結果

60kg級

優勝 石川 裕紀(了徳寺学園)
2位 廣瀬 裕一(センコー)
3位 椿 龍堂(新潟総合警備保障)
3位 川端 龍(了徳寺学園)

66kg級

優勝 八巻 祐(松前柔道クラブ)
2位 小倉 武蔵(了徳寺学園)
3位 佐藤 鉄馬(日本エースサポート)
3位 本間 大地(ALSOK)

73kg級

優勝 橋本 壮一(パーク24)
2位 太田 慶一(了徳寺学園)
3位 齋藤 涼(旭化成)
3位 相馬 啓敏(東芝)

81kg級

優勝 海老 泰博(旭化成)
2位 平尾 讓一(パーク24)
3位 山本 泰三(九州電力)
3位 山邉 雄己(自衛隊体育学校)

90kg級

優勝 菅原 健志(パーク24)
2位 北野 裕一(パーク24)
3位 穴井 航史(旭化成)
3位 大辻 康太(日本エースサポート)

100kg級

優勝 増渕 樹(旭化成)
2位 西山 将士(新日鐵住金)
3位 高木 海帆(日本中央競馬会)
3位 小林 大輔(ALSOK)

100kg超級

優勝 西潟 健太(旭化成)
2位 藤井 岳(パーク24)
3位 増田 哲也(新日鐵住金・広畑)
3位 赤迫 健太(新日鐵住金・広畑)

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