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AsahiKASEI旭化成ホームズ株式会社

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News Release  

平成27年7月27日
旭化成ホームズ株式会社
 

二世帯住宅研究所 調査報告
息子夫婦・娘夫婦同居における同居前不安と解消法
~最も不安が多いのはやはり「嫁」、次いで娘夫婦同居の「母」~
~イマドキの嫁&姑は「交流上手」、母&娘は「自立×シェア型」が主流~
 

   旭化成ホームズ株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:池田 英輔)の二世帯住宅研究所は、一般の方が同居前に抱く不安要素と、実際に当社のヘーベルハウスで同居生活をしている居住者の実態を、“息子夫婦同居・娘夫婦同居”という視点で調査し、報告書「息子夫婦同居・娘夫婦同居で異なる同居前不安と交流意識」にまとめましたのでお知らせします。

   当社が二世帯住宅を発売してから今年で40周年を迎えますが、娘夫婦同居の増加や子世帯の共働き率の増加など、親子同居スタイルは昔と大きく変わってきました。しかし、依然として同居の際の人間関係、とりわけ嫁姑関係については同居前の検討段階で多くの不安があり、同居計画にブレーキがかかるのが現状です。本調査の目的は、イマドキの息子夫婦・娘夫婦同居の交流意識や、満足度の高い二世帯同居のくらし方の特徴やニーズを改めて調査することで、同居前に感じる不安を解消するヒントとして広くお役立ていただくことです。当社ではこれからも、家族全員が満足できる同居のプランニングノウハウの研究と二世帯住宅の普及に、一層努力して参ります。
 

<調査結果のトピックス>
1.親子同居の検討中には9割以上の方が何らかの同居ブレーキ(=不安)を感じ、特に息子夫婦同居の子世帯妻(嫁)の不安は99%に達する。
2.最も不安が強いのは、子世帯では息子夫婦同居の「妻(嫁)」、親世帯では、娘夫婦同居の「母」
3.不安要素は、「生活リズム・習慣の相違」や「個人の時間への干渉」など従来から見られる不安の他、娘夫婦同居の増加や子育て協力への期待から「孫育てによる母親の疲れ」なども加わり、配慮すべき内容が多様化
4.イマドキの息子夫婦同居は嫁姑がバランスをとって付き合う「交流上手型」が、娘夫婦同居では母娘が気軽に協力・交流しながらも自分の領域・生活リズムを守る「自立×シェア型」が、共に約半数と主流
5.キッチンが2つあっても他方も使う「Wシェア」というスタイルが、娘夫婦同居では約3割と多数存在
6.娘夫婦同居は洗濯機も約2割が「Wシェア」状態。1日に2回以上洗濯機を回す人は6割以上も存在し、2台が同じ場所にあればどちらも利用する人が更に増えると考察。これを踏まえ「Wシェアランドリー」などの空間を新たに提案

 


I.調査の背景  

   1975年に当社が「二世帯住宅」を発売した当初は、大家族同居の伝統が残る中で、一つ屋根の下でいかに二世帯が別々の暮らしを実現するかが大きなテーマでした。息子夫婦同居の子世帯妻、つまりお嫁さんが、姑に気兼ねすることなく、独立して家事をできるようにするために「キッチンを分ける」という、二世帯住宅の根幹を成すコンセプトがそこから生まれました。1987年には、長男が家を継ぐという意識がまだ強い中で、息子夫婦同居・娘夫婦同居それぞれの入居者ニーズに合わせた商品として「DUO」「DUET」を発売しました。
   それ以降、当初は少なかった娘夫婦同居の割合もこの30年間で1.5倍に増え、最近では全体の34%(契約ベース)を占めています。また、子世帯が同居を決めた理由については、「長男・長女だから」などの社会的規範によるものは大きく減り、育児などの協力志向へと変化し、それらの理由が大きな同居アクセル(=動機)になってきました。



   共働きが一般的となり、高齢化が急速に進展する現在、ますます子育てや介護への不安が高まっています。当社では、営業活動の現場や調査活動などを通して、二世帯住宅に住まうお客様の満足度が非常に高いことを実感してきました。一つ屋根の下でそれぞれの生活スタイルを実現しながら、子育てや介護などの協力を期待できる「二世帯住宅」という住まい方が、今後より重要な選択肢の一つとなっていくと当社は考えています。今回の調査結果が、少しでも多くの皆様の同居に対する不安を解消するきっかけとなり、「二世帯住宅」を選択して幸せな二世帯同居を始められる方が増えていくことを願っております。
 

II.調査の概要  

■調査方法: WEBアンケート調査及び訪問調査
■調査期間: 2015年3月、6月
■調査対象:
25歳以上の一般既婚者男女(n=19,884)/将来同居検討者 (親世帯 父n=206 母n=206 子世帯 夫n=206 妻n=206)
ヘーベルハウスオーナー(2000-14年建設 親世帯母n=102、子世帯妻n=239)
 

Ⅲ.主な調査結果  

1.親・子世帯同居前に感じるそれぞれの不安と解消のヒント  
     二世帯同居を阻害している心理的要因を把握するため、一般既婚男女を対象に親・子世帯同居前に感じる不安を調査したところ、9割以上の人が不安を感じており、特に息子夫婦同居の子世帯妻(嫁)の不安は99%、次いで娘夫婦同居の母は94%に達することがわかりました。それぞれの立場によって不安の強さや内容が異なり、親子同居スタイルの変化から、住まいで配慮すべき内容は多様化しています。
(不安一覧表はこちらからダウンロードできます)
 
  (1)今も昔も変わらない不安はやはり「嫁姑関係」。最も不安を多く抱えるのは息子夫婦同居の妻(嫁)
   不安が最も多いのは息子夫婦同居の子世帯「妻」、理由の1位は「嫁姑関係は何かと気遣い多い」(88%)で、嫁の立場への不安は今も昔も根強いと言えます。全体的には、属性を問わず「生活上の相違・干渉・負担に対する不安」など従来からある親子同居に伴う不安が上位に上がり、相手にどれくらい合わせたらよいのかといったことが気になっている様子が伺えます。ヘーベルハウス二世帯同居者の大半はキッチンを2つ設けており、水廻りなど基本的な生活を分けることで満足度が高い傾向があり、お互いマイペースにくらせるような建物計画をすることが安心につながると言えます。
 

         

(2)増える娘夫婦同居で、「母」の不安は増大。母と妻はマスオさん本人以上にお婿さんの立場を心配
   娘夫婦同居が増加していますが、母の不安は「娘夫婦同居の母娘関係は遠慮がなくなる」(61%)といった母娘特有の不安や、「娘夫婦同居の夫は気遣いが多くなる」(62%)といった、いわゆるマスオさん(子世帯夫=お婿さん)への気遣いなど、意外にも、実の娘との同居でも心配は多岐にわたります。一方、マスオさんの不安の1位は「1人になれない」(64%)でした。「娘夫婦同居の夫は気遣いが多くなる」については、本人以上に妻や母の方が強く心配しているようです。本調査でもヘーベルハウスの娘夫婦同居者では、約半数の方が子世帯の夫専用スペース(書斎や趣味コーナー)を設置しており、リビングはもちろん、マスオさんがくつろげるスペースを設置する事が不安解消へのヒントと言えそうです。
 
        
 

(3)「子育てのために張り切って疲れてしまう」など、従来はなかった不安が登場
   同居検討者のうち息子夫婦同居で65%、娘夫婦同居で77%の母が「孫の世話をしたい」と回答しています。子世帯をサポートすることが大きな同居アクセルになる一方で、どれくらい負担を感じるかという、協力しながら暮らすニーズが生む新たな不安も確認されました。ヘーベルハウスの二世帯同居者の実態では、共働き子育て世帯の92%が保育園を利用しており、親世帯が平日に孫と過ごす時間は夕方の4時間以下と、想像以上に子世帯は自立しています。
 
               

(4)親世帯の不安の1位は「子世帯に介護の負担をかけること」
   親世帯が不安に感じているのは、息子夫婦・娘夫婦同居を問わず「子世帯に介護の負担をかけること」。ヘーベルハウスの二世帯同居者では、親世帯母の9割以上が「介護についての外部サービスを利用してできるだけ家族の負担を軽減したい」と思っています。将来に備え、訪問介護などの外部サービスを利用しやすくプランニングすることが、こうした不安を軽減すると言えるでしょう。
 
            
 

2.ヘーベルハウス二世帯居住者の交流意識から見るイマドキのDUO・DUET像  
     一般的に9割以上の方が二世帯同居前に不安を感じる一方で、実際にヘーベルハウスで二世帯同居をしている方への調査では、同居前に不安があり同居後も不安が残っているという回答は、息子夫婦同居でも1割程度でした。やはり、二世帯住宅の「キッチン2つ」というコンセプトが重要な要素と思われます。
 
   

(1)世帯間の交流は「すべて別だが交流が盛ん」が多数。キッチン2つでも食事は一緒のことも
   親・子世帯間の交流実態は、息子夫婦・娘夫婦同居ともに、生活が「すべて別だが交流が盛ん」が最も多いパタンで、基本的な生活を分けてお互い気兼ねなく暮らしながら、交流も協力も盛んな様子が思い浮かびます。なお、世帯別にキッチンが2つあるいわゆる「二世帯住宅」において、毎日の食事は息子夫婦同居では83%、娘夫婦同居では67%が世帯別にしていますが、一緒に食事をすることもあるなど、食事スタイルは、キッチン数にとらわれず多様化しています。
 
   

(2)嫁が見られたくないのは、寝室・クローゼット・冷蔵庫。「見ないようにする」母の心遣い
    息子夫婦同居の嫁姑関係については、会えばよく話をして仲も良いが、母娘関係のように言いたいことを我慢せず言っているわけではありません。同居の母に見られたくない部屋・設備がある割合は、息子夫婦同居では娘夫婦同居の約3倍であり、それに対して、母の多くは「子世帯の部屋・設備で見ないようにしているところがある」と回答しています。仲が良いが、お互いのプライバシーを重視し、上手にバランスを取っている様子が伺えます。
 
   

(3)イマドキの主流は、息子夫婦同居は「交流上手型」49%、娘夫婦同居は「自立×シェア型」47%
    イマドキの息子夫婦・娘夫婦同居の嫁姑・母娘関係に焦点を当て「交流レベル」×「気兼ねレベル」で細かくタイプ分けしてみました。その結果、息子夫婦同居では、発売当初の二世帯住宅で提案した「お隣さん感覚型」も17%ありますが、交流しながらもバランスよくプライバシーを保つ、いわゆる「交流上手型」が49%と主流でした。また、娘夫婦同居では、自立意識を持って、心と生活の距離を分離し、張り切りすぎない協力関係を築く「自立×シェア型」が47%と多数派です。
 
   

(4)どちらのキッチンも使う「Wシェア」という新トレンド
    これまで当社では二世帯住宅の提案を通して、それぞれの暮らしに適した空間シェア度を実現するために、建物の空間分離度(ゾーニングや設備数)を工夫してきました。そのベースは、リビングやキッチンを2つもち、それぞれ自分のものを使う「分離型」か、両世帯共用で1つだけもつ「完全シェア型」で、空間の分離度と使い方の分離度を一致させる考え方でした。しかし今回の調査で、実際には、あくまで空間分離度は保ち、両世帯に2つキッチンを持っているが、必要に応じて相手世帯のキッチンも上手に利用するする、いわば「Wシェア型」が存在していることわかりました。「Wシェア型」は、リビング・キッチンの他に洗面台などでも娘夫婦同居に多くみられ、特に「自立×シェア型」の娘夫婦同居に絞れば、約半数は「Wシェア型」であることがわかりました。
 
   

(5)イマドキの娘夫婦同居には「Wシェアランドリー」という空間提案も有効
    キッチンと同様に、娘夫婦同居では22%が他方の世帯の洗濯機を使う「Wシェア」のスタイルであることがわかりました。子供がいて洗濯物が多い子世帯が、親世帯の洗濯機を含めて2台同時に使うというニーズが想像されます。
    しかし、洗濯機を1日に2回以上回すことが毎週数日以上ある方はもっと多く、子世帯の6割以上に上ります。この事実を踏まえ、親世帯と子世帯の洗濯機を2台一緒に置ける空間を「Wシェアランドリー」と名付け、日当たりのよい物干し場の近くに設けることを新たに提案します。特に娘夫婦同居では、76%が日常的に洗濯物を取り入れることを母に頼むなど空間シェアへの抵抗が少ないため、親世帯の洗濯機を借りて同時に回すという行為が受け入れられると考えています。
 
   

※調査報告書は二世帯住宅研究所HPよりダウンロードできます:
https://www.asahi-kasei.co.jp/j-koho/kurashi/kenkyu/nisetai/report.html/
 

<本件に関するお問い合わせ先>
旭化成ホームズ株式会社 広報室  tel 03-3344-7115
(Mail)j-koho@om.asahi-kasei.co.jp