HOME > アパート経営・土地活用の知恵袋 > マンスリーレポート > 市場動向 > 2023年「路線価」、コロナ前の伸び回復
アパート経営・土地活用の知恵袋
マンスリーレポート 最新情報をレポートします

2023年「路線価」、コロナ前の伸び回復

市場動向

タグ :

2023年7月20日

2023年「路線価」、コロナ前の伸び回復

相続税・贈与税の土地評価の算定基準となる2023年の路線価が7月3日、国税庁より発表されました。路線価は2023年1月1日時点のもので、コロナ禍による行動制限解除の前ではありますが、全国平均は前年比1.5%、2年連続の上昇です。インバウンド需要や経済活動の回復と共に地価は再び上昇基調となっています。三大都市圏を中心に傾向を見ていきたいと思います。

三大都市圏は再び地価上昇基調

都道府県庁所在地の最高路線価が前年比で上昇したのは、昨年の約2倍となる29都市でした。
都道府県別に見ると昨年から5県増え25都道府県が上昇しています。三大都市圏の主要都府県では、東京都、神奈川県、埼玉県、愛知県、大阪府、京都府が2年連続の上昇。上昇幅も東京都が1.1%から3.2%と拡大しています。千葉県にいたっては10年連続の上昇です。既にコロナ禍の影響はなく、再び地価は上昇基調を強めています。

これは地方の主要都市も同じで、都道府県別で最も上昇率が高かったのが、北海道6.8%です。札幌市周辺の住宅ニーズが旺盛で北海道新幹線延伸の期待もあり上昇しています。次いで「天神ビッグバン」と呼ばれる大規模再開発が進む福岡県が4.5%上昇、住宅ニーズが高まりを見せる宮城県が4.4%の上昇です。
再開発が進むエリア、インバウンド需要が回復するエリアなどで、地価上昇が続いています。

■主要都府県の標準宅地の対前年変動率の平均値推移(単位:%)

東京圏の動向-東京都は下落地点ゼロ、郊外人気も衰えず

東京国税局内での上昇率トップ5を見ると、1位は昨年に続き、横浜駅西口エリアの「鶴屋橋北側」で14.2%でした。昨年の6.2%から大きく上昇しています。そして、2位に「本厚木駅北口広場通り」12.7%でこちらも昨年の4.4%から大きく上昇しています。
本厚木駅といえば、「借りて住みたい街」ランキングで1位になるなど、郊外人気の象徴となったエリアです。駅前にはタワーマンションが完成し、今も複数の再開発が進行中。「共働き子育てしやすい街ランキング2022年」(日経xwoman・日本経済新聞社 調査)で県内1位になるなどファミリー層に人気のエリアです。

コロナ禍では東京都の転出超過が話題になり、郊外人気の要因とも言われていましたが、今では再び転入超過となり都心回帰が進んでいます。しかし、本厚木の地価上昇に見られるように、郊外人気は衰えていません。コロナ禍で浸透したテレワークの実施率は低下しているものの、出社と在宅勤務を組み合わせる働き方が定着しているといいます。
上昇率トップ10の中には、津田沼、本八幡、船橋といった郊外の他、北千住、日暮里といった下町エリアが並んでいます。

東京都内に限ると、下落地点は3年ぶりにゼロになりました。上昇率が高かったのは、昨年に続き「北千住駅西口駅前広場通り」8.8%、先日閉館した中野サンプラザをはじめ大規模再開発が進む「中野駅北口駅前広場前」8.5%、駅前の再開発が進む「日暮里駅東口広場通り」8.3%、インバウンド需要が戻った浅草「雷門通り」は昨年の1.1%から7.7%と大きく上昇幅が拡大しています。

また、全国最高価格で話題の銀座中央通り「鳩居堂前は」1.1%の上昇と3年ぶりに上昇しました。他の都心部も昨年は下落でしたが、今年は上昇に転じています。

■「鳩居堂前」最高路線価推移

■東京圏の最高路線価上昇率トップ5(1平米あたり)

名古屋圏の動向-名古屋市内の住宅ニーズが地価をけん引

愛知県は前年比で2.6%の上昇でした。経済活動の持ち直しと共に名古屋市内の再開発やマンション建設が地価上昇をけん引しているようです。愛知県も下落地点は3年ぶりにゼロとなりました。

名古屋市内で最も上昇率の高かったのは、「千種区今池1丁目 広小路通り」、地下鉄今池駅付近で9.9%の上昇です。現在、駅直結のタワーマンションを建築中。名古屋駅まで約11分、栄まで約6分のアクセスで、住宅ニーズ、商業ニーズが共に高いエリアです。
次に上昇率の高かった「江川線通り」7.8%も、名古屋駅から2kmほどに位置し利便性が高く、賃貸住宅の需要が見込まれているとのことです。

名古屋最大の繁華街「栄」も再開発が進み、隣接する東区久屋街「久屋大通り」は7.4%の上昇でした。2026年には栄最大の高層タワーが完成し、ホテル大手のヒルトン最上級ブランド「コンラッド」が開業予定です。

名古屋国税局管内でいうと静岡県も管轄内になりますが、最も大きな上昇率だったのは熱海「平和通り」11.1%の上昇でした。こちらもインバウンド需要や国内観光の戻りが地価を押し上げています。

■名古屋圏の最高路線価変動率トップ5(1平米あたり)

大阪圏の動向-大阪・関西万博で湾岸エリア上昇

大阪圏で最も上昇率の高かったのが「京都市右京区西院高山寺町 四条通」で10.8%と昨年の2.8%から大きく上昇しています。阪急電鉄の西院駅の近くで、市内で2番目に児童数が多い小学校があるなど、子育て世代に人気の街です。今年の4月には建物の高さ規制が20mから31mまで緩和されるなど、マンション供給が進むと見られています。

大阪圏での注目イベントといえば、2025年4月に開幕する大阪・関西万博です。地価にもその影響が及び、会場への乗換駅となる大阪メトロ中央線弁天町駅付近の「大阪市港区弁天1丁目 中央大通」は10.0%もの上昇でした。周辺ではホテルや商業施設の開業の他、民泊のニーズも高まっているようです。加えて会場に隣接したエリアでは2029年以降に開業予定のカジノを含む統合型リゾート(IR)の準備も本格化しているようで、こちらの期待も高まっています。

コロナ禍ではインバウンド需要の消失から大阪市の繁華街キタやミナミの下落が目立ちましたが、JR大阪駅北側は1.4%上昇、昨年10.6%下落したミナミの心斎橋筋は横ばいとなり、徐々に回復傾向にあります。
また、JR大阪駅北側では「うめきた2期」の再開発が進行中。このエリアに近く、マンション建設用地としても人気が高いJR福島駅近くの「福島区福島5丁目 なにわ筋」は7.4%の上昇、同様のニーズが高い地下鉄肥後橋駅近くの「西区江戸堀1丁目 四つ橋筋」が7.1%上昇しました。

■大阪圏の最高路線価上昇率トップ5(1平米あたり)

今後の動向-地価の上昇局面では相続税評価額に注意

地価は再び上昇基調となり、コロナ前の伸びを回復しています。
今回の路線価は2023年1月1日のものですが、直近の「2023年第1四半期(1月1日~4月1日)地価LOOKレポート」(国土交通省発表)によると、「主要都市の地価は前期に引き続き全ての地区で上昇または横ばい」とあります。
商業地では「人流の回復傾向を受け、店舗需要の回復が見られたことなどから、上昇傾向が継続した」、住宅地では「マンション需要に引き続き堅調さが認められたことから、上昇が継続した」ということです。

地価上昇の要因の一つに、日銀の金融緩和政策による低金利があげられます。今後、金利が上がるとは考えにくいとの見方もあり、地価上昇はしばらく続くかもしれませんが、土地オーナーにとっては注意が必要です。将来の相続税の負担や遺産分割に大きく影響するからです。地価は2014年ごろから、総じて上昇を続けています。10年前と比べると土地の相続税評価額が大きく変わっているエリアもあるでしょう。また、遺産分割に関しても予定していた分割割合では、土地の値段が上がって不公平になっているかもしれません。

さらに、先日タワーマンションの相続税評価について新しいルールをつくるとの発表が国税庁からありました。現在、マンションの相続税評価額は実勢価格の約4割にとどまっていることから、富裕層を中心に節税対策としてタワーマンションの購入が広がっていました。新ルールでは、実勢価格の6割以上になるとのことです。年末の税制改正で詳細が発表されると思います。

地価の上昇や相続税評価のルール改正など、土地オーナーにとっては気をつけなければならない環境変化が起こっています。今後は、これらの変化にうまく対応し、資産管理をしていく必要があるでしょう。今後も地価動向、経済動向に注視していきたいと思います。

土地活用・アパート経営の資料プレゼント

セミナー・イベント情報を見る

窓口・WEB・電話で相談する

▲ページトップへ

マンスリーレポートトップへ