二世帯住宅の
お役立ち情報まとめ
二世帯住宅の建設では、税金の負担減などさまざまな優遇を受けられる利点があります。
ただし、優遇適用のための諸制約を知っておかないと税負担を減らすことはできません。
今回は、二世帯住宅を検討するならば知っておきたい税金の知識や優遇が適用される条件についてご紹介します。
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二世帯住宅には、建てるときや居住している間、税の優遇措置があります。
ここでは、優遇措置の内容について詳しく見ていきましょう。
住宅の新築時には、不動産取得税や固定資産税などの軽減措置を受けることができます。二世帯住宅を新築するときには、登記内容にかかわらず、いくつかの要件を満たすことで二戸分の軽減措置を受けられる場合があります。
軽減措置が受けられる二世帯住宅の要件は、「構造上の独立性」「利用上の独立性」を満たしていることです。具体的には、各世帯が専用の「玄関」「キッチン」「トイレ」を持ち、独立して生活できること、各世帯をつなぐ廊下などは、鍵付きの扉などで仕切ること、などです。
要件は、各地方自治体によって異なる場合もありますが、要件を満たして二戸分と認められれば、以下の軽減措置を受けることができます。
新築の建物に対する不動産取得税は以下の計算で算出されます。
固定資産税評価額(課税標準額)×3%
(2021年3月末までの軽減税率)
不動産取得税を算出するに当たり、50㎡以上240㎡以下の床面積で居宅要件を満たす新築家屋ならば1世帯当たり1,200万円の控除が あります。ここで忘れてはいけないのは、控除は「1世帯当たり」となっているところです。上述した要件を満たす二世帯住宅ならば、二世帯分=1,200万円×二世帯=2,400万円もの控除が発生することになります。
固定資産税評価額が4,000万円だったと仮定して、一戸建ての場合と二世帯住宅の場合でかかる不動産取得税を具体的に計算してみましょう。
・一戸建て
(4,000万円-1,200万円)×3%=84万円
・二世帯住宅
(4,000万円-1,200万円×2)×3%=48万円
この例では、二世帯住宅の不動産取得税が36万円も少ないことが分かります。
二戸分と認められる二世帯住宅ならば、土地と建物に対する固定資産税も軽減されます。
・土地
家屋が建つ土地のうち、200㎡までの部分が小規模住宅用地として扱われ、土地にかかる固定資産税の課税標準額が6分の1、都市計画税の課税標準額が3分の1に軽減されます 。二戸分とみなされる場合は 400㎡までが小規模住宅用地扱いになるのです。
・建物
新築の場合、建物部分についても固定資産税の軽減があります。床面積で1世帯当たり120㎡相当分の固定資産税が新築後3年間は2分の1に減額されます(2020年3月31日までに新築の建物が対象)。二戸分と認められる場合は、床面積が120㎡×二世帯になるので最大240㎡までが減税対象です。さらに、長期優良住宅に認定された住宅ならば、新築後5年間は2分の1に減額されます。
(2020年3月31日までに新築の建物が対象)
不動産取得税など、二世帯住宅を建てるときの減税について説明してきましたが、居住している間も減税の恩恵を受けることができます。その内容を確認していきましょう。
・住宅ローン減税
住宅ローンの残高に応じて、所得税もしくは住民税が控除されます。2014年1月1日~2021年12月31日までに住宅を取得している場合は、1~10年目の年末残高等×1%(上限額40万円)が控除されるしくみです。10年間で最大400万円が控除されます。さらに、長期優良住宅の場合は控除額が大きくなり、上限額が50万円までとなります。
また、消費税率10%への引き上げ後の住宅購入等を支援する目的で2019年10月1日~2020年12月31日までの間に入居した場合は、住宅ローン減税の控除期間が3年間延長されることになりました。 そのため、借入額がより多く、期間が長い人ほど住宅ローン減税の恩恵を受けられる制度といえるでしょう。
相続時にも遺産総額によっては、税金がかかるのはご存じのとおりです。二世帯住宅で同居する親が亡くなる際も相続税がかかる可能性はあります。相続税が高すぎると税金の支払いのために今住んでいる家を手放さなければいけないという事態にもなりかねません。そのため、同居家族には減税特例があります。
その特例は「小規模宅地等の特例」といわれるもので、被相続人と継続して同居している場合は、相続する自宅の土地面積330㎡までの評価額が80%減額される特例です。80%の減額は被相続人1人当たりのものとなります。
適用条件は、相続人が誰であるかによって異なります。以下では、相続人が、被相続人の配偶者や同居の親族である場合の条件について紹介します。
1.土地の相続人が、被相続人の配偶者
・居住要件なし
・所有要件なし
2.相続人が、被相続人と同居していた親族
・相続税の申告期限(死後10カ月間)まで居住および土地を保有し続けていること
・被相続人と相続人とが区分登記をしていないこと
二世帯住宅に住む親世帯・子世帯が、それぞれ別世帯として登記する「区分登記」をしている場合は、「小規模宅地等の特例」が適用されないため、注意が必要です。
なお、建物の構造の観点からいうと、以前は玄関・水廻りを一緒に使う「完全共用型」、玄関など家の一部が共有の「部分共用型」など内部で行き来ができる二世帯住宅でのみ「小規模宅地等の特例」が適用されていました。しかし、2014年に要件が緩和されて以後は、玄関・水廻りなどが独立し、内部で行き来ができない「完全分離型」の二世帯住宅の場合も、「区分登記」をしていなければ、「小規模宅地等の特例」が適用されています。