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ヘーベルハウスLONGLIFE IS BEAUTIFUL カワサキZシリーズ50周年の記念ロゴマーク

あそびのある暮らし

愛され続けるカワサキZシリーズのこだわりと
ガレージのある豊かな暮らし【前編】

ヘーベルハウス神戸東展示場のガレージに設置したカワサキZシリーズ初代Z1とZ900RS 50th Anniversary

半屋外空間

経済の発展の中で更なる豊かさに向かいながら、さまざまな革新が生まれていた1972年の日本。その時代に「Kawasaki 900 super4」、 通称Z1(ゼットワン)は生まれた。このモーターサイクル市場に燦然と輝く「神車」と呼ばれるZ1とその後継のシリーズは、ここから50年にわたってファンを魅了し続けてきた。時代が変わっても愛され続け、新しいファンはもちろん、時には父親がZシリーズを乗っていたから自分も乗り始める人もいる。Zシリーズ誕生の背景、愛され続ける理由、未来の展望、そしてガレージのある豊かな暮らしをカワサキのお二人に話を聞いた。

72年の熱気。世界最高という夢を実現

ヘーベルハウス神戸東展示場のガレージにあるカワサキZシリーズ初代Z1とZ900RS 50th Anniversary

1972年に誕生した「Z1(Kawasaki 900 super4)」(写真左) 2022年に登場した「Z900RS 50th Anniversary」(写真右)

国内のモーターサイクルは1900年代初頭、欧米メーカーの車両をコピーするところから始まり、第二次世界大戦後、ようやく産業としての産声をあげる。欧米に比べてかなり後発だったが、奥村さんによれば60年代後半から70年初頭には、日本のモーターサイクル技術は、「欧米に対して追いつき、一部では追い越した」時代に入っていたという。この時代の熱気の中、カワサキでもいよいよ本場アメリカ市場を開拓するという機運が高まっていた。「進出にあたって、世界最高のモーターサイクルをつくろうという開発思想のもと、社内で一致団結して生まれたのがZ1でした」(奥村さん)。

2022年に50周年を迎えたカワサキZシリーズ初代Z1の設計図

1971年12月に製作されたZ1のエンジン設計図

2022年に50周年を迎えたカワサキZシリーズ初代Z1のエンジン分解図

Z1のエンジン分解図

なにをもって「世界最高」なのだろう? 速度、運動性能というワードが浮かぶけれど…。「一言でいうと、すべてなんです」と奥村さん。「動力(エンジン)性能もそう、ハンドリングもそう。さらに速いだけじゃなく、乗りやすさ、快適性、そしてスタイリング。これらをひっくるめて世界最高のものを造る」。

それは途方もない目標で、実現は困難だとも思われていた。例えば67年の開発開始から2年で一旦完成近くまでいくも、他社も優れたモーターサイクルを開発するなどの状況もあって、スクラップ&ビルドされるなど、いろいろな試行錯誤が繰り返されていた。そしてようやく72年、Z1は、DOHC4気筒、排気量は903cc、最高速度200㎞/hを超えるという、サーキットで戦う性能をもつモンスターバイクとして登場した。Zは同時にモンスター級ながらも、街乗りもできる、通勤もできるという快適性、さらに過去のモーターサイクルの常識から一新されたスタイリングを併せ持っていた。それは今までの常識から飛躍した夢のような存在。そう、単なる「工業製品」ではなく「新しい価値」だからこそZ1は神車と呼ばれるようになる。

2022年に50周年を迎えたカワサキZシリーズ初代Z1

日本のモータサイクルを世界に広めたZ1

衝撃をもって海外市場で迎えられたZ1は、1年後、「750RS」、通称Z2として国内でもデビュー。Z1の750㏄バージョンを日本で出してほしいという熱望もあったが、もともと同時進行で開発は進められていた。「Z2は、Z1の単純なダウングレードではなく、クランクシャフト、カムシャフトなど全部を変え、ピストンのストローク量も変更。外側の見た目は一緒でも、内側は再設計という相当大変な変更が加えられています」(奥村さん)。
世界最高を目指すZシリーズは、開発陣はもちろん、マーケティング、営業など含め全社でこだわりをぶつけあった。「各部門でやりたいことを、お互い尊重しあって…これは言葉がよすぎますかね。正直に意見をぶつけ合ったというか、側から見たら喧嘩に見えたかもしれないと聞いています(笑)」と奥村さん。例えば、エンジニアとしてはエンジンの性能を極限まで高めたい。でも、デザイナー側からすればフォルム、シルエットの美しさにもこだわりたい。相反することをお互いに高め合いながら、融合していくという大変なプロセス。こうした世界最高を目指す徹底した姿勢、モーターサイクルの常識を変えるというヴィジョンという原点が、50年という歳月が経過した今なお輝き続ける理由の一つなのだろう。

感性に響く性能。Zらしさの継承

カワサキZシリーズ50周年を記念して発売されたZ900RS 50th Anniversaryのカワサキロゴ

世界最高とともに、輝き続ける理由としてもう一つのキーワード。それは「Zらしさ」。1984年の出来事を奥村さんが振り返る。
「もともとZ1は最高の性能を持つ、フラッグシップという位置づけでしたが、1984年、GPZ900R、Ninja(忍者)が登場し、Zが担っていた最高性能という目的を引き継ぎフラッグシップになるんです」。最高性能の追求というバトンを渡し、フラッグシップから解き放たれたZシリーズは、Zらしさという哲学を追求するようになる。奥村さん曰く、それは諸元値には現れない「感性に響く性能」という類のものらしい。「アクセルを空けたときの一瞬ぐっとくるレスポンス。サスペンションの柔らかさ、乗り心地。柔らかいけど粘る……。サーキットで速く走るモデルなら数値的な基準がありますが、基準がないんです」(奥村さん)。

カワサキZシリーズ50周年を記念して発売されたZ900RS 50th Anniversary

Zシリーズ50周年を記念して登場したZ900RS 50th Anniversary

その感覚値とも言うべき部分こそZらしさなんだろう。その感覚を開発陣、また全社的に常に共有してきた。Zらしさは、シリーズ50周年を見据えて2017年に登場した初代Z1のオマージュモデルZ900RSにも継承される。「ファンであれば、パッっと見るだけで誰もがZシリーズということがわかると思います」(奥村さん)というデザイン。もちろん乗り心地もZらしさがちゃんとある。これがファン待望であったことは販売台数にも表れる。赤地さんによれば「今401㏄以上のバイクで最も売れているモデルです。エンジン、足回りの性能では他のスーパースポーツ系の方が高いものがあります。でも40代50代、その方々が求めるバイク像、例えば「あのとき憧れていたのってこれだよね」という支持を頂いたり、また、若い世代の方も、スタイリング、乗り心地の良さに評価いただいている声を聞くと、単純にオマージュしてるからたくさん売れるということではなく、Z1登場以降これまでずっとZが洗練され続けているから、今の時代に受け入れられているのではと思います」。

ヘーベルハウス神戸東展示場のガレージに設置したZ900RS 57th Anniversary

伝説となったZ1をオマージュし、新しい世代には、今ならではのZを提示する。そのテーマを実現することは容易ではなかったと奥村さん。「RSを出すとき、ほんとにこれでいいの?今までのお客さんが納得してくれるの?というのはすごく議論になり、その議論によって改良されていったところがあります」。乗り心地は?バランスは?造形はこれでいいの?グラフィックは?その追及は塗料のフレーク(粒子)の含有量にまで及んだという。50周年モデルはZ1の再定義、Zらしさのさらなる追求の機会になった。お二人は「まったく別のものを創るほうが気は楽だと思います」と笑う。なんといっても50年、ファンは一緒に歩んでくれた。「サイドスタンドを立てて、そこから起こすときの感覚一つでも、Zらしさを感じてくださる、といえばだいぶ大袈裟ですけど・・・(笑)」(奥村さん)。

ヘーベルハウス神戸東展示場のガレージに設置したカワサキZシリーズ初代Z1とZ900RS 58th Anniversary

奥村さん(写真左)と赤地さん(写真右)の熱いバイク談義は続く

ファンだからこそわかるZらしさ。そしてカワサキが考えるZらしさ。ここが一致しているからこそZは長らく愛されているのだろうが、なぜ、そこが一致するのだろう? 赤地さんはその理由を「開発陣みんなが、カワサキモーターサイクルのファンなんですよ」と微笑みながら言う。「目線がユーザーに近い。自分が乗りたいモーターサイクルを求め続けています。だからこそこだわりが強い。俺はこんなのは欲しくない、これが欲しいんだって」。奥村さんも「だって俺がそうしたかったんだもんってね(笑)。俺はどうしてもこうしたいが集まる。でも、他のメンバーがそういうならしかたないよね、ならええか、みたいな」。赤地さんは「どの世代のZを造るにしても、どの時代の開発陣もZらしさを常に考えてきたと思います」と言う。「Zらしさを言葉にするのは難しいですが、最後の最後までこだわり続けて造る、ということなのではないでしょうか」。時代を経て、アップデートされたとしても、「Zらしさ」に徹底的にこだわり、開発する。ファンもZらしさを共有する。それはZに対するお互いの敬意の結実なのだろう。

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