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賃貸経営の収益性を長期間安定させる

経営ノウハウ

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2018年6月19日

賃貸経営の収益性を長期間安定させる

賃貸経営はミドルリスク・ミドルリターンと言われ、長期安定経営が見込める事業です。そのためには、しっかりとニーズを見極め、30年先まで見据えた収支計画や競争力を維持する管理・運営が必要になってきます。長期安定経営のために、気を付けなければならないポイントを解説します。

収益を左右するメンテナンス計画

賃貸経営は長期事業です。30年間の収支計画をシミュレーションする際、大きなポイントとなるのがメンテナンス計画です。
しかし、サラリーマン向けのワンルーム投資や中古アパート投資では、販売会社が採算シミュレーションで利回りなどを算出する際、メンテナンスについて無視しているケースが少なくありません。しかし、建築費などの初期費用と満室時の賃料だけを考慮し、メンテナンス費用を無視した収支計画は意味がなく、キャッシュフローの正確なシミュレーションをすることはできません。

メンテナンスは、専用部分、共用部分、そして大規模修繕があります。
■専用部分
入居者の入れ替え時の原状回復費用、クーラーや給湯器など、設備の寿命による取り替え費用など。
■共用部分
エントランス、外廊下・階段、ゴミ置き場、駐輪場(駐車場)などの日常の清掃、共用設備の補修など。
■大規模修繕
外壁の塗り替えや屋根の防水・吹き替えなど。

これらのメンテナンスを計画し、費用の予測もシミュレーションすることが収支計画としては大切なことになります。
日々の清掃などは管理会社に管理費の中で依頼しているケースが多いでしょう。
しかし、予測しづらいのが、入居者の入れ替え時の原状回復や設備の故障などです。入れ替えについては、不動産会社にエリアの類似の物件の入れ替わりサイクルを聞いて参考にするしかありません。費用もおおよそ教えてもらえるでしょう。

また、退室時や入居中の突発的な補修・修繕費用を定額で行い、収支計画が立てやすくする方法があります。その一つが、旭化成の30年一括借上げシステムの「メンテナンスサポートプラン」です。これは、毎月一定額を支払うことで、いつ、どの程度発生するか予測できない修繕費用を、旭化成不動産レジデンス(株)等が負担する仕組みです。

そして、メンテナンスの中で気をつけたいのが大規模修繕です。外壁の塗り替えや屋根の防水・吹き替えなどです。これらは足場を組んで行いますので、費用もかかります。外壁の塗り替えや屋根の防水・吹き替えを10年から15年ごとに行う必要があるのであれば、大規模修繕分として毎年建築費の0.4〜0.5%を目安に積み立てをしておく必要もあります。
一方、最近の建物の一部は屋根や外壁の耐久性が高く、例えばヘーベルメゾンの屋根と外壁メンテナンスは30年間不要で、初期保証も30年間ついています。つまり、ローン返済中に大規模修繕をする必要がない訳です。

ヘーベルメゾンで30年一括借上げシステムを利用し、「メンテナンスサポートプラン」に加入していれば、退室時および入居中の内装・設備等の修繕費用についてはほとんど心配がなく、「メンテナンスサポートプラン」交換対象外の設備の費用だけを積み立てしておけばよいことになり、積立必要額はだいぶ減らすことができるわけです。

収支計画のポイントについては、「アパート経営の基礎知識:収支計画編」でも解説しています。合わせてご覧ください。

収支計画には、メンテナンス費用も組み込んでシミュレーションすること。屋根と外壁の耐久性が高く、「メンテナンスサポート」などのシステムも利用できれば、自分で積み立てるメンテナンス費用は大きく減らすことができる。

築15年目からの設備投資で競争力を維持

長期にわたり競争力をどう維持していくかも賃貸経営の大きな課題の一つです。新築当時の競争力が高いのは当然ですが、15年、20年経つと設備が古くなり、少しずつ競争力が落ちてきます。常に人気設備についてトレンドを把握し、設備投資を検討したいものです。

例えば、「入居者に人気の設備ランキング2017」(全国賃貸住宅新聞調べ:全国の不動産会社372社が回答)を見てみると、「インターネット無料」「宅配ボックス」「ウォークインクローゼット」などは15年前には重視されなかった設備です。「宅配ボックス」などライフスタイルの変化や設備そのものの進化で、あっという間に人気が出る設備もあります。
またこのランキングには、「洗浄機能付き便座」や「バストイレ別」は入っていませんが、それらはむしろ必須設備となったということです。「洗浄機能付き便座」が普及し始めた頃は、他人が使っていたものは抵抗がありましたが、洗浄ノズルの交換ができるようになって以降、今や必須設備と言われるまでになりました。同様に「TVモニター付きインターホン」も安価で簡単に後付けできるようになり、普及が進んでいます。

■「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても入居が決まる」設備ランキング

そして、築20年くらい経って気を付けたいのが水回りです。システムキッチンがランキングに入っているように、築20年も経つと、特に水回りの古さが目につくようになります。キッチンの蛇口一つとっても、今はレバー方式のものがほとんどで、つまみを回すタイプは古さを感じてしまいます。昨今人気の浴室換気乾燥機も後付けで設置できる場合もありますので、キッチン、お風呂は築20年あたりからリフォームの検討が必要です。

また、入居に影響するのはあくまで設備の話で、築年数そのものについては入居者は許容するというデータがあります。何年経ってもクリーニングが行き届き、相応の設備が備わっていることがポイントなのです。

築15年あたりから競争力を維持するための設備投資もできる余裕のある経営計画が必要。常に人気の設備は把握しておく。

エリアの状況を知り、入居者目線でコストパフォーマンスの高い家賃と初期費用の設定を!

賃貸住宅は新築のうちは人気も高く強気で家賃設定できますが、数年後、入居者の入れ替えの際には家賃設定をどうするか考えどころです。もちろん、家賃を下げれば下げるほど次の入居者は決まりやすくなると思いますが、収益性を維持するためにもむやみに家賃を下げるのは避けたいところです。

家賃設定を見極めるには、まずエリアの家賃相場を知ることです。家賃相場は不動産ポータルサイトで簡単に見ることができます。例として不動産情報サイト・アットホームを見てみましょう。アットホームでは家賃相場から物件を探すことができます。例えば吉祥寺駅で見ると、間取りごとに年間の家賃相場がグラフで掲載されます。1R〜1Kを見ると今年の繁忙期まで家賃相場は上昇し5月で少し下がりましたが、昨年の5月と比べると3,200円上昇しています。グラフの下に間取り別、価格別に一覧になっていますので、自身の物件とライバル物件の比較ができます。駅からの距離、設備の充実度で適正家賃を把握していくのです。
最終的には相場を調べた上で、仲介を依頼している不動産会社に相談するのがよいでしょう。家賃を下げないためには、設備投資することで競争力を高めていくことも必要です。築年数が古い場合は、大規模なリフォームも提案されるかもしれません。その際は、あらためて家賃を設定し収支をシミュレーションすることも必要です。

■アットホームの家賃相場推移のページ画面(2018年6月13日現在)
不動産情報サイト アットホーム(2018年6月13日時点)より

そして、家賃設定の際に気を付けたいのが、礼金・敷金、共益費とのトータルで考えるということです。礼金・敷金に関しては、新築の時は礼金2・敷金1で設定できたとしても、築年数が経つと減らすことも出てきます。入居者にとっては、入居の初期費用に大きくかかわることなので、家賃が希望どおりでも初期費用が高いと躊躇してしまうでしょう。むしろ、初期費用が低い物件を前提に探すこともあります。競争力が落ちてきたと感じたときには、すぐに家賃を下げるのではなく、家賃は現状維持にしておいて、まずは礼金・敷金を下げることを考えたほうがよいでしょう。

また、共益費も最終的には家賃と一体として考えます。ただし、不動産情報サイトの検索では家賃で検索しますので、ここでヒットするように家賃と共益費のバランスを考えることが必要でしょう。

まずはエリアの家賃などの相場を知ること。設備投資で入居者から見たコストパフォーマンスを高めつつ、引っ越し時の初期費用の負担を抑えた礼金・敷金の設定、共益費とのバランスを考慮した家賃設定をする。

空室対策に有効な「一括借上げ」

賃貸経営の収益性を長期に安定させる上で、最も大きなリスクが空室です。
空室にも短期の場合、長期の場合があります。春の繁忙期に退室があればすぐに次の入居者が決まるかもしれませんが、繁忙期以外で退室されると次の入居者が決まるのに3、4カ月空いてしまうこともあるでしょう。冒頭の収支計画のシミュレーションをつくる場合は、この空室率も考慮するのが現実的です。

この空室リスクを回避する方法が「一括借上げ」です。仮に空室が出ても、その間の家賃は保証されますので、収支計画も安定しメンテナンスやリフォームの計画も立てやすくなります。
ただし、空室リスクが解消されたとはいえ、家賃そのものは定期的に見直しがありますので、家賃が維持できるよう設備投資などで競争力の維持には努めなければなりません。

さらに、一括借上げのメリットは賃貸管理を切り離すことができるという点です。
管理は、入居者の管理と建物の管理に分けられます。今の賃貸住宅では、どちらも専門性が高く、一括借上げでなくても管理は不動産管理会社に依頼するのが一般的です。
入居者管理については24時間365日対応が必要です。いつなんどき、設備故障が発生したり近隣とのトラブルが発生したりするかもしれません。家賃滞納トラブルなどが発生すれば、根気よく催促しなければなりません。これらは、経験者にとっても年々難しくなっています。代替わりしたばかりの初心者ではなおさら難しいでしょう。
また建物の管理も日々の清掃から法定点検、故障箇所のチェックなど細かい作業があります。

デメリットとしては管理料がかかることですが、ますます難しくなる賃貸管理を手放せる上に賃貸経営最大のリスクが回避されることを考えれば大いにメリットはあるでしょう。
一括借上げのメリット・デメリットはバックナンバー「一括借上げのメリット・デメリットを再確認!」でも紹介しています。合わせてご覧ください。

■一括借上げのしくみ(旭化成ホームズの場合)

■管理会社の管理委託と一括借上げの違い

一括借上げ最大のメリットは空室リスク回避と管理も任せることができること。長期安定・手間いらずの経営計画を立てることができる。

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