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賃貸住宅を社会貢献の視点で考える

経営ノウハウ

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2021年9月21日

賃貸住宅を社会貢献の視点で考える

賃貸住宅の建築は、地域や社会にとっても大きな影響を及ぼします。良質な賃貸住宅は、街の表情を変えるだけではなく、社会的課題を解決するための大きな一助となることもあるのです。今回は、賃貸住宅の社会貢献について、どのようなことが考えられるのか、コンセプト賃貸住宅の例と共に考えてみたいと思います。

地域活性化、まちづくりへの貢献

日本の将来にとって、少子化による若い世代の人口の減少は、早急に取り組まなければならない、最重要課題の一つです。少子化は過疎化が進む地方だけの問題ではありません。2014年、東京都豊島区が「消滅可能性都市」として指摘されたことが話題になりました。理由は、2040年に20~39歳の若年女性が半減し、人口を維持することができないというものです。以来、豊島区は「子どもと女性にやさしいまちづくり」などを柱に活性化を図ってきました。それが功を奏して「借りて住みたい街ランキング(LIFULL HOME'S)」で「池袋」が2017年から2020年まで4年連続で1位、2021年はコロナ禍の郊外人気に押され5位になりましたが、再開発も進み街のイメージも大きく変わりました。

豊島区の発展に見るとおり、地域活性化の鍵は若いファミリー世代を呼び込み定着させることです。各自治体では、子育て政策がさかんに計画されていますが、その生活の拠点となる賃貸住宅の建設が大きな役割を果たしています。
ニッセイ基礎研究所のレポート「戦略的賃貸住宅誘導論-賃貸住宅が地域を変える」では、賃貸住宅には「若いファミリーを呼び込み、地域に定着させる装置としての機能」があるとしています。実際、賃貸住宅から持ち家に住み替える場合も、約7割が同じ市区町村で持ち家を取得しています。

そのためにも、間取りが若いファミリー向けというだけではなく、子育てしやすい機能が賃貸住宅にも備わっていることが大切です。
例えば、ヘーベルメゾンの子育て共感賃貸住宅「母力(ぼりき)」は、入居者同士のコミュニティがあり、安心して楽しく子育てできる仕組みを備えた賃貸住宅です。
「母力」以外でも、コミュニティ型の賃貸住宅は人気があり、ペット共生型賃貸住宅など、ライフスタイルに共感する人たちが集まる賃貸住宅にはコミュニティがあります。
共助の関係に前向きな世帯は、将来、地域の担い手となり得る世帯としても期待されています。そこでも、地域発展の鍵として賃貸住宅の社会貢献が期待されているのです。

実はこの賃貸住宅の建築による地域活性化は、土地オーナーなど地域の土地所有者にしかできません。公団のような大規模開発もありますが、一つ一つの有益な土地活用が地域の発展に大きく影響するのです。

子育て共感賃貸住宅「母力」

ヘーベルメゾンの子育て共感賃貸住宅「母力」のようなコミュニティ賃貸住宅の入居者が、地域への定住や担い手となり、地域活性化につながる。

都市防災の観点から、地域の防災力を高める

賃貸住宅でも防災・減災は、入居者の命を守り、暮らしを守るためにも重要な課題です。東京都などの都市部では、大地震に備えた防災都市づくりが進められています。都市部の問題点の一つが大地震による火災で、木造住宅密集地域の不燃化が喫緊の課題となっています。各自治体では、木造住宅から耐火構造への建て替えを促進するため、老朽建築物の除却費用の助成などの制度を設けています。

阪神・淡路大震災では、地震後に発生した大規模な火災で大きな被害が出ましたが、ヘーベルハウスが防火壁となって、近隣の類焼・延焼を食い止めたという例もあります。
老朽化した木造アパートの場合は、耐震・耐火にすぐれた賃貸住宅に建て替えることにより、地域の防災力を高めることにもなります。

■災害時活動困難度を考慮した火災危険度ランク

また、災害には「自助」と「共助」が大切だということが、これまでの震災等の教訓として分かっています。賃貸住宅の防災力を高めるには、「自助」を促す設備、「共助」を育むコミュニティをできるだけ備えることが重要です。先のコミュニティ賃貸住宅は、地域の防災・減災の観点からも地域に貢献しているといえるでしょう。

都市部では防災の観点から不燃化促進が喫緊の課題。特に老朽アパートの建て替えは、地域の防災力を高めることになる。

超高齢社会の新しい高齢者の住まい

人生100年といわれて久しくなりますが、高齢者の約8割は介護認定を受けていない元気な高齢者です。また、高齢者世帯の住まいに多い持ち家一戸建ての約6割は、築38年以上で老朽化が進んでいます(※)。郊外の一戸建ては、老夫婦二人で暮らすには広すぎて、メンテナンスが行き届かず、駅からも遠く不便といった声があります。
※ 東京都福祉保健基礎調査報告書『高齢者の生活実態』(平成27年度、『居住開始時期 持家(一戸建て)』より

解決策として住み替えニーズがあることは、以前から指摘されていました。しかし、夫婦二人がほどよい広さで自由に暮らせる住まいはほとんど整備されていませんでした。高齢者は、自宅か介護施設かのほぼ二者択一です。中にはケア付きのシニア向け分譲マンションもありますが高価格帯のものが多く、軽度な介護を前提とした賃貸住宅「サービス付き高齢者住宅(サ高住)」の多くは施設化しています。

高齢者が、健常期から要介護期になるまでの間をフレイル期といいますが、このフレイル期の元気な高齢者の住まいが超高齢社会のニーズでもありました。そこで開発されたのが、「へーベルVillage」です。「へーベルVillage」は、各住戸の広さが45~75m²。単身者から夫婦二人でもほどよく、ゆったり暮らせる1LDK~2LDKで設定しています。また、「今は健康だけど万が一のことが心配」といった不安に対応する「見守り」「かけつけ」サービスなども行っています。
「へーベルVillage」は、元気なシニア向け賃貸住宅のパイオニアとして15年以上の実績があり、運営戸数が2021年6月末で1,200戸を超えました。超高齢社会において、元気な高齢者の住まいを考える社会的課題に、一石を投じたといえるでしょう。
今後「ヘーベル Village」では、東京都健康長寿医療センター研究所と連携し、健康寿命の延伸に向けたサービス創出などを目指していく予定です。

■ヘーベル Village の主な入居ターゲット

超高齢社会での元気な高齢者の新しい住まいを提起することも、大きな社会貢献の一つ。

脱炭素社会への貢献「ZEH-M(ゼッチマンション)」

この数年、毎年、豪雨による深刻な被害が続き、気候変動への意識が高まっています。異常気象は日本だけではなく、世界各地で被害をもたらしています。原因は、主に二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの放出です。いかに、温室効果ガスを削減するかは、地球規模で取り組まなければならない大きな課題なのです。

日本では、2020年10月に温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、住宅業界では脱炭素社会の実現へ向けて、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)が注目されています。これは、高断熱・省エネ・創エネによって、1年間で消費する住宅のエネルギー量が正味(ネット)でおおむねゼロ以下となる住宅のことです。そのZEH基準を満たした集合住宅をZEH-M(ゼッチ・マンション)といいます。

ZEH-M

2022年10月からは募集サイトに住戸毎の「目安光熱費」を表示する検討が進んでおり、賃貸住戸の消費電力(光熱費)も物件の差別化の要因に加わっていくことは必至です。
ZEH-Mを建てることで環境への貢献につながり、入居者から選ばれる賃貸住宅になります。

年間の光熱費の目安

エネルギー消費量の少ないZEH-Mは、脱炭素社会の実現に貢献できるだけでなく、物件の差別化にもなる。

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