8月に発令された南海トラフ地震臨時情報は、あらためて地震への警戒を強めることになりました。加えて台風による風水害に見舞われるなど、今年も自然災害は多発しています。賃貸住宅においても、入居者の防災への関心も高まり、防災力の高さが求められるようになりました。今回は自然災害に強い賃貸住宅について考えます。
自然災害は突発的に起こります。地震はもちろんのこと、昨今では集中豪雨が頻繁に起き被害をもたらしています。人々の防災への意識が高まる状況は、賃貸住宅の入居者も同じことです。これまで賃貸住宅は仮の住まいのイメージが強く、防災への意識も低いと見られがちでした。しかし、度重なる自然災害の発生により、入居者の意識も大きく変わっています。
SUUMOリサーチセンターの賃貸契約者動向調査によると、注目のコンセプト賃貸住宅は2年連続で「防災賃貸住宅」でした。それほど、入居者の防災意識は高まっているのです。
アットホームの調査では入居者に「次の住まいを探す際に防災を意識するか」聞いたところ、75.5%が「はい」と回答しました。「はい」と回答した方にこだわりたい設備を聞いたところ「免震構造」、「雨戸・シャッター」、「自動火災報知器」、「強化ガラス・網入りガラス」、「耐火壁」などが挙げられました。
実際、賃貸住宅に求められている設備にはどのようなものがあるのか、防災力の高い賃貸住宅とはどのようなものかを次の段落でご紹介します。
入居者の防災意識が高まり、賃貸住宅にも防災力が求められるようになった。
災害への備えには「自助」と「共助」があります。地震への備えとしては、まず「自助」として家具を固定するように注意が促されます。しかし、賃貸住宅の場合、勝手に壁に釘を打つことは禁止されていますので、思うようにできないこともあります。
ヘーベルメゾン 防災パッケージでは、冷蔵庫や家具を置くことが想定される壁面には、固定用の下地を設置し、壁面に「家具固定OK」のプレートを掲示しています。これで入居者も安心して、家具の固定ができます。
また、「保存食・水等の備蓄」については、収納設備がポイントになります。備蓄ができる大きめの収納「パントリー」があれば、保存食の備蓄に便利です。また「ウォークインクローゼット」は転倒や落下の恐れのあるタンスや衣装ケースを収納でき、生活空間と収納空間を分離することで、人的・物的被害を減らします。
さらに、都市部の地震で気を付けたいのが二次災害の火災です。その原因の一つが、停電から復旧した際に起こる通電火災です。阪神・淡路大震災の火災原因で最も多かったのがこの通電火災です。「感震ユニット付分電盤」があれば、避難時にブレーカーを切り忘れても、通電火災を防げます。
そして災害が発生した後の対策として大きなポイントとなるのが「在宅避難」です。耐震性の高い建物の場合は、震災で倒壊する可能性はほぼありません。その場合は、むやみに避難所に行くのではなく、「在宅避難」を各自治体では勧めています。
では、停電などが起きて在宅避難となってしまっても、不安を取り除く設備としてはどのようなものが考えられるのでしょうか。
例えば共用部に「防災ステーション」を設けます。太陽光発電と蓄電池により、停電時にも使える非常用コンセントを設置し、停電時には入居者が譲り合いながら、スマートフォンの充電や、テレビ・ラジオからの情報収集、電気ポットによるお湯の確保などができます。特に乳幼児やペットのいる入居者にとっては、大きなサポートとなるでしょう。
防災ステーションの詳細についてはコチラをご覧ください。
地震・火災への防災力を高めるには、「自助」「共助」を促す設備を備える。また、在宅避難をサポートする非常用電源などの設備が防災力を高める。
8月、東京都心は集中豪雨により道路が冠水、駅の改札やホームも浸水する事態となりました。雨が降り始めてから、わずか1時間ほどのことでした。そもそも集中豪雨とは局地的で短時間の強い雨のことですが、昨今はその傾向がより強くなっている印象です。
賃貸住宅でも雨水の浸入は想定されます。例えば、暑いのでつい窓を少し開けて外出したり、飛来物で窓ガラスが割れるなどにより、雨が室内に浸入し水漏れを起こすことが考えられます。また、ベランダの排水口や側溝にゴミが詰まり、ベランダがあっという間にプール状になり、室内に浸入することも考えられます。
これらに対しては、窓にシャッターを付ける、ペアガラスにするといった建物の対策の他に、日常の清掃を怠らずに行ってもらうために入居者への注意の呼び掛けが有効です。掲示板があれば、張り紙等で注意を喚起、または夏は集中豪雨や台風に注意するよう、特別にチラシを配布してもよいでしょう。
また、都市部の集中豪雨では河川の氾濫だけではなく、排水が処理しきれないことで発生する都市型水害にも注意が必要です。8月の東京都心集中豪雨でもマンホールが吹き飛ぶ被害が出ましたが、集中豪雨により下水道管の処理能力を超えてしまったことが原因です。
床上浸水ほどの大きな水害自体を食い止めることは困難ですが、床下浸水であれば、軽微な被害で済ませ、その後の復旧を早めることは可能です。例えばヘーベルメゾンの場合は、基礎がベタ基礎ではないため、床下に浸水した水は時間の経過とともに地中に浸透します。長期間湿気が残らないので腐食の原因をつくりません。
夏季は集中豪雨、台風シーズン。入居者に注意を呼び掛けることが大切。また水害に強い構造であれば、被災後の復旧も早い。
都市型の防災対策で忘れてはならないのが、阪神・淡路大震災で得た大きな教訓の一つ「共助」の存在です。これまで賃貸住宅は、コミュニティを形成するのは困難でした。しかし、近年ではゆるやかなコミュニティのある賃貸住宅が人気です。
例えば、旭化成ホームズのペット共生型賃貸住宅「ヘーベルメゾン +わん+にゃん」、女性限定のあんしん共有賃貸住宅「ヘーベルメゾン New Safole(ニューサフォレ)」、子育て共感賃貸住宅「ヘーベルメゾン BORIKI(ボリキ)」などの商品です。
これらの賃貸住宅に共通するのは、ゆるやかなコミュニティが存在していること。それぞれ共通のニーズや意識を持ち、入居の際には「災害時には助け合う」といった同意書にサインをし、「共助」の意識を確認しています。さらには、入居者向けの「防災イベント」を開催して、コミュニティを醸成し、「共助」による防災力を高めています。
コミュニティ賃貸住宅の詳細についてはコチラをご覧ください。
賃貸住宅でもコミュニティの存在が防災力を高める。同じライフスタイルの入居者が住まうコミュニティ賃貸住宅では人間的なつながりが強化され、賃貸住宅の防災力を高めている。