HOME > アパート経営・土地活用の知恵袋 > マンスリーレポート > 市場動向 > 礼金・敷金の傾向と家賃相場の関係
アパート経営・土地活用の知恵袋
マンスリーレポート 最新情報をレポートします

礼金・敷金の傾向と家賃相場の関係

市場動向

タグ :

2012年11月 6日

礼金・敷金の傾向と家賃相場の関係

入居者調査(リクルート)から過去4年間のエリア別の礼金・敷金の傾向を見てみます。家賃相場全体では、下げ止まり傾向も見て取れますが、礼金・敷金との関係で見ると、より細かい市場の動向が見えてきます。

東京では礼金ゼロが減少。郊外エリアは?

家賃を設定する際、合わせて考えなければならないのが礼金と敷金です。

首都圏全体で見ると礼金は0カ月超~1カ月が50.4%と最も多く(2011年)、礼金は1カ月が平均値と言ってもいいでしょう。一方、礼金ゼロも36.5%になっていますが、これは、前年の41.5%と比べれば減少しています。傾向としては、2008年25.1%、2009年31.2%、そして2010年と年々増えてきたところ、2011年にやっと減少しました。これは、家賃相場全体の傾向と同じで2010年、2011年を境に、やや改善傾向が見られます。

しかし、これは、あくまでも平均値。エリア別に見ていくと、礼金ゼロは東京23区だと29.8%ですが、神奈川県(横浜市・川崎市以外)だと52.6%、千葉県が48.6%、埼玉県が49.3%と半数になります。入居時の初期費用を下げるために、礼金をゼロにするといった調整をしている傾向が見られます。

東京23区の礼金ゼロは29.8%。
神奈川県郊外、千葉県、埼玉県は半数が礼金ゼロ。 

東京ルールの影響で敷金1カ月が定着か?

敷金は家賃滞納の担保や、原状回復のための資金としての意味合いがあります。首都圏全体の敷金ゼロ物件は、2008年の10.3%から年々増え、2010年は14.1%でしたが、昨年は13.7%とわずかですが減少しています。しかし、郊外で見ると東京都下で19.7%、神奈川県(横浜市・川崎市以外)で23.7%と高いポイントになっています。

それよりも、敷金が1カ月や2カ月の物件の割合は大きく変化しています。敷金2カ月は2008年には47.9%と半数でしたが、2011年には25.8%にまで減少しています。逆に敷金1カ月は、2008年には35.1%でしたが、2011年に55.8%と半数を超えました。原状回復規定の厳格化、いわゆる東京ルール(賃貸住宅トラブル防止ガイドライン)ができてから久しくなります。これにより、通常の原状回復費用はオーナー負担ということが明確になり、敷金は退去時に全額返すのが前提という意識が浸透し、2カ月の敷金が1カ月に定着したようです。 

 

2008年に敷金2カ月が半数だったのが、2011年には1カ月が半数に。

築年数が古くても競争力はある!?

不動産ポータルサイトのSUUMOの反響データというのがあります。これは、SUUMOで検索して気になる物件を資料請求した際のデータで、成約に結び付くための第一歩です。これを築年数別に見ると、東京23区で2012年に最も多いのが築21年以上の27.1%。これは、新築の10.8%の3倍近くにもなります。過去4年間の傾向を見ても、築21年以上の資料請求の比率は年々上昇しています。

このデータを見る限り、築年数が古くても入居者のニーズは十分にあるということが分かります。これは、入居者のニーズが、築年数よりも物件の質を重視しているともいえるでしょう。しっかりメンテナンスされた、ニーズを満たした質の高い物件であれば、築年数はあまり関係なく十分に競争力を保てるのです。

もちろん、資料請求が多い理由の一つは、コストパフォーマンスでしょう。築年数が古ければ、家賃も抑え目に設定されているでしょうし、敷金・礼金も低い設定になっています。反響データの中で、礼金ゼロ物件が最も多いのは、どのエリアも築21年以上です。

 

資料請求が最も多いのは築21年以上の物件!!

“めやす賃料”表示の部屋探しへの影響は?

賃貸には、家賃の他、礼金・敷金、共益費、更新料と複数の料金が設定されています。そのため、入居者にとっては、分かりづらいのではないかと、2年前に“めやす賃料”の表示が始まりました。めやす賃料は、4年間入居した場合、冒頭の家賃の他の諸費用を合計し1カ月あたりに換算したものです。これなら、物件同士の比較検討がしやすくなります。しかし、入居者への認知はまだまだ低いのが現状。日本賃貸住宅管理協会の調査では、認知度は2割程度です。

確かにめやす賃料は、4年間入居の前提なら、比較しやすいのですが、まだまだ入居者は月々の家賃と初期費用は別々に見ているようです。現場の不動産会社も、入居者はまずは月々の家賃で検討し、その上で、初期費用が安ければ、アピールになると言います。

礼金・敷金の設定は、家賃と同様、物件エリアの相場に左右されます。昨今では、共益費との兼ね合いも含めて、このバランスを見極めるのは、非常に難しいものです。オーナーとしては、エリアの相場を熟知している不動産会社の声に耳を傾けるのが良いでしょう。

 

めやす賃料の認知度は2割程度。 
部屋探しは月々の家賃が基本。
部屋探しは月々の家賃が基本。

土地活用・アパート経営の資料プレゼント

セミナー・イベント情報を見る

窓口・WEB・電話で相談する

▲ページトップへ

マンスリーレポートトップへ