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入居の"初期費用"と"めやす賃料"

市場動向

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2011年10月 1日

入居の

家賃に対しての意識が変わってきています。礼金・敷金といった初期費用、そして、共益費や更新料といったランニングコストについて、最近の賃貸市場の動向を探ります。

初期費用と共益費・更新料

初期費用である敷金・礼金。これらの費用は、今、大きな転換期を迎えようとしています。

これまでの流れを振り返ると、まず2004年に東京都が敷金返還問題のトラブル回避のため、賃貸住宅紛争防止条例、いわゆる東京ルールを施行しました。 これを機に敷金は2カ月から1~0カ月が増えていきました。これは東京だけでなく、保証金制度を採用していた大阪にまで波及し、今では敷金制度が広く普及しています。礼金については、古い商習慣でもあるので、徴収の根拠が曖昧との声があります。また、入居者にとっては初期費用が抑えられることもあり、物件への注目度を高める方法の一つとして、礼金を1~0カ月に設定する物件が増えてきました。

次に共益費と更新料についてです。共益費は、共用部の維持・管理費(光熱費、清掃費、エレベーターの維持管理費等)に充てられる費用です。物件によってこの共益費は異なりますが、例えば、家賃7万円・共益費3千円とするよりも家賃6.9万円・共益費4千円と設定した方が、募集上有利になると判断すれば、値付けを調整するケースもあるようです。更新料については、前回このコーナーで解説した通り(更新料「有効」判決の影響!2011.9)、最高裁で「1年で家賃2カ月分の更新料」が認められる判決が出ています。

敷金、礼金、共益費、更新料は減少傾向に。

めやす賃料とは?

エリアの商習慣の違いや、初期費用、共益費、更新料が物件ごとに違う今の賃料表示は、入居者から見れば分かりづらいものです。そこで、賃料表示を標準化して、分かりやすく比べやすくしようというのが「めやす賃料」です。日本賃貸住宅管理協会が普及に努めています。

めやす賃料は、礼金、敷金、共益費・管理費、更新料の4年分を合計し、1カ月あたりの平均を出したものです。これなら、共益費や更新料に違いがあろうが、4年間住む前提で容易に比較できます。

もちろん、これ以外にも仲介手数料や火災保険などがかかり、それらは含まれていませんので、全てではありませんが、ずいぶん比較しやすくなったと言えるでしょう。

このめやす賃料表示は昨年の秋から、普及活動がスタートしました。しかし現在、主なポータルサイトを見ても目立ってめやす賃料を表示しているところはありません。まだまだ普及しているとは言えないのが現状です。めやす賃料は、入居者の評価が低いのでしょうか?

そこで、日本賃貸住宅管理協会が入居者にアンケート調査を行いました。次にその結果から、入居者の反応を見てみましょう。

「わかりやすい、くらべやすい」をテーマに、全国一律に同じ基準で計算された賃料表示が、めやす賃料。

めやす賃料の入居者の反応は?

調査は店舗でめやす賃料を表示している不動産会社で行われました。来店前の認知度はわずか21.2%と低く、まだまだ普及には至っていないのが分かります。しかし、説明を聞いて、「とても分かりやすい」17.0%、「分かりやすい」44.8%と、合わせて61.8%の入居者が高く評価しています。「分かりやすい理由」は「ランニングコストのイメージがつかめた」「地域によって共益費など異なるので、めやすを示して頂けるとすぐ分かるので便利」と分かりやすさ、比較しやすさを評価しています。

実際に参考にしたかどうかについては、「参考にした」「まあ参考にした」が44.4%、逆に「参考にしなかった」「あまり参考にしなかった」は43.9%とほぼ半々でした。

さらに、感想として「金額の透明性が上がるので、安心感がある」78.0%、「表示しているお店の方が安心できる」76.2% と賃料の透明性は不動産会社への信頼にもつながっているとの結果が出ました。

この結果から見る限りでは、「めやす賃料」は入居者から一定の評価を得ており、今後も普及が加速するようにも思えます。しかし、現場の不動産会社からすれば、導入しづらい部分もあるようで、今後の賃料表示をどうしていくか、頭を悩ませているようです。

入居者には、賃料の透明性、不動産会社への信頼が高まると好評。

どうなる!?今後の家賃設定

前述したように、賃貸物件を借りる場合、敷金・礼金といったイニシャルコストと家賃・共益費・更新料等のランニングコストに分けることができます。

現在、不動産ポータルサイトの検索条件で、家賃の他にイニシャルコストやランニングコストである「共益費を含む」「礼金」「敷金」等を細かく条件指定することができます。ただそれだけではかかる費用の一部の項目で判断しがちになり、結局精査したつもりでもトータルでいくら費用が掛かるのかは分かりにくい ものです。

めやす賃料は4年間にかかるイニシャルコストとランニングコストの合計を平均した金額です。上記検索条件の他にめやす賃料の上限下限の選択項目が加われば、かかる費用の総額で比較検討をすることが容易にできるようになりますので、物件を探している人はさらに助かるようになるでしょう。

また、今後このめやす賃料が普及していけば、賃料設定する側にとっても、周辺物件のめやす賃料を参考に初期費用や家賃を逆算して家賃を設定する時代になるかもしれません。

めやす賃料をベースに、家賃設定をする日も近い!?

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