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空き家が抱える問題点を解消するには?

市場動向

空き家が抱える問題点を解消するには?

核家族化の影響もあって、さまざまな理由で実家が空き家のままになっているケースは決して少なくはありません。しかし、空き家にしておくことは多くのリスクを抱えていて、大きな社会問題になっています。特に都市部では「空き家問題」が深刻化し、この数年、対策に乗り出す自治体が急増しています。今回は空き家のリスクとその対策方法について解説します。

空き家が抱える問題点

空き家と言ってもさまざまなタイプがあります。募集はしているが入居が決まらないアパートの空き室や売りに出されている戸建ても空き家です。しかし、今問題になっているのは「活用されていない空き家」。つまり、空室で募集もしてないアパートや長期間不在になっている戸建て住宅です。この空き家が、直近の調査では約268万戸(2008年総務省「住宅・土地統計調査」)。その5年前の2003年と比べると約56万戸増加しています。このペースでいくと、おそらく今年の夏に発表される調査では300万戸を突破するのでは、と言われています。

空き家が増加する要因の一つは核家族の増加です。今は子世帯も結婚すると実家で同居するのでなく、独立して新たに居を構えることが多いでしょう。たとえ実家を相続したとしても、既に持ち家を取得している場合などには、そこに住むことはまれです。また処分しようにも、相続でもめて所有者が決まらないケースもあるでしょう。固定資産税の問題もあります。更地にしてしまうと固定資産税は6倍になっていまいますし、今のように景気回復が期待されれば、値上がりするまで処分するのは待とうという気にもなります。

そして、その空き家のほとんどが老朽化しています。一番の問題は耐震性です。いつ起こってもおかしくないといわれる南海トラフ大地震による被害想定がたびたび発表されていますが、老朽化した空き家には倒壊の危険性があります。空き家には人が住んでいませんが、もし倒壊した場合、周辺にもたらす影響は甚大です。通りかかった人に被害を加えるかもしれません。倒壊にいたらなくても、瓦や外壁が落下し危害を加える危険性もあります。

また、防犯上の問題も地域社会にとっては深刻です。空き家の敷地内にゴミが不法投棄されたり、放火の対象となったり、犯罪者が出入りしていたりするケースがあるのです。

空き家は全国的に増加傾向。放置しておくと、倒壊、放火、犯罪利用などさまざまな危険性が高まる。

自治体の空き家管理条例とは?

空き家の数は地方の方が多いのですが、住宅が密集している都心では1軒でも空き家が存在すると、防災・防犯上のリスクが高まり近隣からの苦情も多いと言います。
そこで、自治体では空き家問題解消に取り組みはじめています。その解決策の一つが「空き家の適正管理に関する条例」の施行です。この管理条例を施行している自治体数は、この2年で75もの自治体に上り、合計では138自治体になります。この2年で半数以上が施行したことになります。

では、条例の内容はどんなものでしょうか。以前にも、京都や北海道のニセコ町などの観光地では、景観や環境関連の条例で空き家の適正管理を促すものはありましたが、「空き家の危険性」という観点からの管理条例の口火をきったのが2010年に施行された所沢市の条例です。住民から管理されていない空き家の情報があると市が実態調査を行い、所有者に助言・指導、勧告ができるというものです。そして、勧告に従わない場合は所有者名を公表し、最終的には警察などと協議して必要な措置を要請するとあります。強制撤去とは明言していないものの、可能性も示唆している条例となっています。実際、施行後20件が自主撤去に応じました。
東京都内で初めて空き家管理条例を施行(2011年施行)した足立区の場合も同様に、危険な空き家があると実態調査を行い、指導、勧告できるというものです。さらに、勧告によって建物を解体する場合は、100万円を上限に工事費の半額が助成されます。

これまでも自治体では指導を行っていたものの権限も強制力もありませんでした。空き家条例は、その実行性のある内容からも空き家問題の切迫した危機感がみてとれます。

「空き家条例」を施行する自治体が急増。管理不適正の場合は指導・勧告が行われる。

放置していると相続上のリスクにも発展

空き家を相続の観点から見てみましょう。
老朽化した空き家の建物自体には、資産としての価値はありません。それでも、中にはこれから空き家になった実家の相続を控えているケースもあります。つまり、本来そこに住んでいるはずの親世代が老人ホーム等に入居し、子世代は独立して他に居を構えているケースです(※1
この場合、子世代がその空き家の実家に住むなどの要件を満たさない限り、敷地の相続評価額が80%減額される小規模宅地の特例は適用されません。敷地は路線価などによって算出された評価額がそのまま適用されてしまいます。加えて、2015年1月1日以降は、相続税の基礎控除が引き下げられ、相続財産が【3,000万円+600万円×法定相続人の数】を超えると相続税が発生します。
基礎控除額は、相続人が子供3人の場合は4,800万円、2人の場合は4,200万円、1人の場合は3,600万円です。都市部など、土地の評価が高いエリアでは、土地だけで基礎控除を超えてしまうことも少なくないでしょう。
※1 2014年1月1日からは、介護の必要性があって老人ホームに入所した場合は、小規模宅地の特例の適用が受けられることになりました。

空き家は、自宅であっても小規模宅地の特例が適用されるケースは少なく、敷地の評価額が100%相続資産として計上される。

都市部なら土地活用の効果に期待できる

では、防災・防犯上のリスクがあり、また相続資産としても注意が必要な空き家をどうすれば良いか? 一つは解体・撤去です。今は使用していないとはいえ、育ってきた実家を解体するのは気が進まないでしょう。しかも更地にしてしまうと固定資産税は6倍になり負担が増しますし、相続の問題はクリアされません。解体・撤去の場合は売却を見越した上で考えた方が良いでしょう。

もう一つは、活用するという方法です。“戸建て賃貸”として貸し出す方法です。老朽化している場合は、そのままでは借り手も付きづらいので、リフォームして貸し出すことになるでしょう。自治体も「空き家バンク」という制度を使って、空き家の利用促進を進めていますが、こちらは地方での活用が多く、まだ十分に普及はしていません。

そして、空き家が都市部の場合、最も有効な解決策が土地活用です。都市部の土地は利用価値が高いので思い切った土地活用が可能だからです。例えば、建て替えによる賃貸住宅の建設は有効な対策の一つです。土地活用の経験がない方にとっては、大きな事業となりますので躊躇してしまい、なかなか踏み切れないかもしれません。しかし、低金利の今こそ、土地活用がしやすいタイミングとも言えるでしょう。
そして、土地活用は相続対策としても効果が期待できます。その一つが、相続評価を下げる効果です。賃貸住宅を建てると、土地評価が小規模宅地の特例により、200m2までは50%減額になります。また、自宅併用賃貸住宅を建て、そこに住むなどの要件を満たすと、自宅用の240m2※2)までが80%減額になります。
賃貸市場の競争の激化も懸念されますが、エリアのニーズに合った賃貸住宅のプランニングをすることで、長期間安定的に収益が期待できますし、その収益は納税資金として活用することもできます。
そして、何よりも空き家の防災・防犯上のリスクが解消できます。
※2 2015年1月1日からは、小規模宅地の居住用宅地の適用対象面積が240m2→330m2に拡大されます。

今後、老朽化した空き家を所有していると、先の条例で指導・勧告がくる場合もあります。いずれにせよ、なんらかの対策が必要です。
老朽化した実家の空き家対策

都市部の老朽化した空き家は、土地の利用価値が高いので、建て替えによる賃貸住宅の建設で高いメリットが期待できる。

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