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全用途で8年ぶりの上昇!「平成28年公示地価」

市場動向

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2016年4月 5日

全用途で8年ぶりの上昇!「平成28年公示地価」

平成28年1月1日時点の公示地価が発表になりました。昨今、景気の先行き不透明感もありますが、平成26年から上昇の兆しがあった地価は、その後も上昇傾向を維持し、その勢いを増しているように見えます。今回は、全用途の全国平均が8年ぶりに上昇しました。3月に発表された公示地価を大都市圏ごとに見ていきたいと思います。

三大都市圏は3年連続の上昇

今年の公示地価は、全用途の全国平均で0.1%と、わずかながら8年ぶりに上昇しました。商業地の全国平均も0.9%の上昇で、こちらも8年ぶりのことです。リーマンショック後の地価下落から、ようやく立ち直りを見せました。
三大都市圏は、住宅地、商業地ともに3年連続の上昇で、特に商業地は上昇トレンドを強めています。
また、注目したいのは、地方中枢都市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市、北九州市)が住宅地、商業地ともに三大都市圏を上回る上昇を見せていることです。これは、3年前に地価が上昇しはじめたころからの傾向で、引き続き地方中枢都市にも波及しています。

地価上昇をけん引しているのは、訪日外国人の急増によるホテル、店舗への投資、都市部の再開発ラッシュです。
特に訪日外国人効果は大都市から地方の観光地にも波及しています。北海道のリゾート地ニセコでは住宅地が19.7%上昇(北海道倶知安町)で住宅地の伸び率首位となり、大分県由布院温泉(大分県由布市)の商業地は、大分市中心部と同水準の15.4%の上昇となりました。

ただし、地方圏については、下落幅は縮小したものの下落が続いています。全国平均で地価はプラスに転じましたが、商業地で30県、住宅地では36県と多くのエリアで下落しています。人口減少率が高い地方では、地価反転の兆しは見られず、格差が広がっている状況です。

■平成28年公示地価変動率(単位:%)

東京圏の傾向ー銀座の地価、バブル期超え最高価格に

公示地価で必ず話題となる地点が、国内で最も高い東京・銀座の山野楽器銀座本店で、10年連続の1位。しかも今回は1平方メートルあたり4,010万円となり、2008年のミニバブルで記録した額を上回り、過去最高を更新しました。銀座は訪日外国人効果で、テナント賃料も高騰していて、中央通りやみゆき通りの路面店になると月15万〜30万円/坪の高賃料が定着していると言います。公示地価、商業地の東京圏変動率ランキングを見ても、上位7位までが銀座です。

再開発事業も活発で、リニア中央新幹線の品川駅をはじめ、虎ノ門、大手町、東京オリンピック・パラリンピックのインフラ整備が進む湾岸エリアなどで盛んに行われています。再開発に合わせて、オフィス需要も旺盛になっており、空室率は低下、新規賃料水準は上昇しており、継続賃料も増額改定が多くなっているとのことです。

住宅地では、東京23区が2.8%と3年連続上昇。全ての区で3年連続上昇、特に千代田区9.4%、中央区9.7%、港区6.3%と都心部は大きく伸びました。一方、多摩地区では全域で0.7%と3年連続で伸びていますが、伸び率は鈍化しています。

■東京圏変動率上位─住宅地(単位:%) ■東京圏変動率上位─商業地(単位:%)

名古屋圏の傾向ー3年間で地価8割以上の上昇地点も

2027年のリニア中央新幹線開業に向けて、三大都市圏の中でもいち早く地価上昇をはじめたのが名古屋駅周辺でした。その勢いは、今年も衰えていません。
商業地の上昇率全国3位、名古屋圏1位の名古屋駅西側の太閤通口前にある「ミタニビル」の変動率の推移を見ると、2014年12.0%、2015年16.8%、そして今年は38.4%と大きく伸びています。リニア新幹線の詳細ルート発表からの3年間で地価は8割以上も上昇しています。

名古屋の繁華街、栄地区も8年ぶりに上昇率が10%を超えました。栄地区でも訪日外国人が増加していますが、さらに岐阜県高山市、三重県伊勢市の観光地も訪日外国人増加の影響で、地価が上昇しています。

■名古屋圏変動率上位─住宅地(単位:%) ■名古屋圏変動率上位─商業地(単位:%)

大阪圏の傾向ー訪日外国人旅行客の人気上昇で商業地上昇率が全国1位

最近、アジア圏からの旅行者に人気が高いのが大阪です。エアービーアンドビーが発表した“中国の旧正月である春節の人気旅行先ランキング”では、人気訪問国1位が日本、人気都市1位が大阪、2位東京、4位京都でした。また、韓国の大手旅行会社が発表した“韓国人が自由旅行で行ってみたい都市ランキング”で、大阪はパリに次いで2位、東京は10位圏外となっています。

それを裏付けるかのように、商業地の全国上昇率上位10位地点のうち6地点を大阪市内が占めています。上昇率全国1位となったヤマハ心斎橋店の上昇率は昨年の10.7%から45.1%に急騰しています。大阪府内の商業地上昇率が全国1位になるのは1975年以降で初めてです。心斎橋と並ぶ繁華街の道頓堀も40.1%と大きな上昇率を示しています。

住宅地は、大阪市、京都が0.5%の上昇。神戸市の灘区は新駅の開業予定による住宅需要が堅調で、地価が上昇しています。

■大阪圏変動率上位─住宅地(単位:%) ■大阪圏変動率上位─商業地(単位:%)

今後の地価動向は?

マイナス金利の効果が見えず、景気の先行き不透明感も出ていますが、地価は「平成26年公示地価」からプラスに転じはじめて、さらに勢いを増しているように感じられます。大都市圏の再開発ラッシュにも要因はありますが、やはり訪日外国人客の増加が大きいと見られます。2015年の訪日外国人は1,974万人、前年に比べおよそ47%の増加です。中国の成長率鈍化が懸念されますが、中国人の訪日外国人旅行消費額は2014年5,583億から2015年は14,174億円と2.5倍強に増えています(観光庁調べ)。
当初政府は訪日外国人の目標を2020年までに年間2,000万人に設定していましたが、ほぼ達成してしまったので、目標を年間4,000万人に引き上げています。今後もこの勢いは止まりそうにありません。訪日外国人の行き先も、当初は大都市だけでしたが、徐々に地方へも延びています。名古屋圏などでも見たように、訪日外国人が増加した地方の地価は上昇しています。

住宅地も上昇傾向が見られますが、東京の都心では、新築マンションの価格が高騰しています。2015年の東京都区部の平均価格は6,732万円、2014年の5,994万円から738万円のアップです。リーマンショック前年の2007年の6,120万円も越え、もはや、一般のサラリーマンには手が届きにくい価格となっています(不動産経済研究所調べ)。
2020年東京オリンピック・パラリンピック後には、下がるという声も多かったのですが、最近では、そうならないとの見方も出ています。実際、国際比較すると東京の不動産価格は、ロンドン、パリ、ニューヨークと比べるとまだ安く、投資マネーが集まりやすい市場だからです。東京オリンピック・パラリンピックが成功すれば、訪日外国人もさらに増えるかもしれません。

アパート・土地オーナーにとっては、資産である地価が上昇すること自体は喜ばしいことですが、相続対策を含めて資産管理・運用については、メリット・デメリットが交錯しますので、緻密かつ計画的に土地活用を考えていく必要がありそうです。

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