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平成29年路線価、都心でバブル期を超える

市場動向

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2017年7月18日

平成29年路線価、都心でバブル期を超える

いよいよ東京都心部は土地バブルの様相を呈してきました。7月3日、国税庁より発表された路線価では、三大都市圏はもちろん地方中核都市でも上昇率の幅が大きくなっています。路線価は、相続税・贈与税の土地評価の算定基準となるだけに、土地オーナーにとっては注目の地価指標です。

全国平均で2年連続上昇、地方にも広がる

今回の路線価で話題となったのが、最高路線価でおなじみの東京銀座の鳩居堂前がバブル期を超えたことです。今年の公示地価でも東京都心ではバブル期を超えていましたので、想定通りの結果と言えます。全国平均でも前年の0.2%を上回り0.4%と、2年連続の上昇です。

平成29年分都道府県庁所在都市の最高路線価の上位ベスト5は、東京銀座中央通り4,032万円、大阪御堂筋1,176万円、横浜駅西口904万円、名古屋市名駅通り880万円、福岡市中央区天神2丁目630万円です。東京銀座がバブル期を超えたとはいえ、横浜駅の水準はバブル期の約半分にとどまっていて、金額を見ても東京一極集中が加速しているようです。

主要都道府県別のグラフを見ると、ほとんどのエリアで上昇に転じたのが平成26年。中でも東京の上昇トレンドが顕著で、大阪も上げ幅は少ないながら、上昇傾向に勢いを感じます。この数年、地価の二極化が叫ばれていますが、路線価も同じ二極化は進んでいます。ただし、中核都市にも上昇傾向は及んでいて、下記グラフでも兵庫県はまだマイナスながら、減少幅は縮小しています。
この他、県庁所在地の中核地方都市である京都、札幌、金沢、神戸、仙台、広島は路線価の伸びが高まっています。

■主要都府県の標準宅地の対前年変動率の平均値推移(単位:%)

東京圏の動向ーバブル超えで過去最高が4地点!

全国で最も路線価の高い土地として有名なのが東京銀座「鳩居堂前」です。今年で32年連続日本一になりましたが、価格がついに過去最高だったバブル直後(1992年)の3,650万円を超え4,032万円となりました。
バブル後の「鳩居堂前」の路線価推移を見てみると、1992年からわずか5年で価格は約70%下落し、2005年頃まで低迷しています。その後、少し回復しましたが、リーマン・ショックで再び下落します。経済はアベノミクスの影響で回復を見せ始め、日経平均株価は2013年にリーマン・ショックの水準に戻ります。路線価もこのあたりから上昇を続け、4年後に過去最高となっています。このグラフの推移を見るとバブルと変わらない動きになっています。

バブル期と違うのは、路線価の高騰は東京銀座に集中していることです。路線価は面する道路に対して価格がつきますが、路線価図を見ると、「鳩居堂前」の他に昨年9月に開業した「銀座プレイス前」、「三越銀座店前」、「和光本館前」の銀座4丁目交差点を中心とした4地点が4,032万円となっています。またこの周辺には、バブル期最高の3,650万円を超えている地点が他にもあります。
銀座は商業施設の再開発ラッシュです。最近では松坂屋跡地の「ギンザシックス」が4月に開業しましたが、年間来客数目標2,000万人を上回るペースで賑わっているようです。
また、五輪選手村やタワーマンションが計画されている晴海エリアでは、建築中のタワーマンション前の路線価が前年より約10%も上がっています。このあたりも道路などインフラ整備が急ピッチで進められています。

この他にも、東京圏では2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けてまだまだ大規模開発がめじろ押しです。もちろん、バブルを懸念する声は数年前からあります。地価が上がれば、商業施設の賃貸料も高騰しますし、タワーマンションなども価格高騰に買い手が追いつかない状況も出てきています。今後の動向に注意が必要です。

■「鳩居堂前」最高路線価推移

■東京圏の最高路線価上昇率トップ5(1平米あたり)

名古屋圏の動向ー駅前大規模開発完成で上昇に一服感

名古屋は経済活動のバロメーターと言われていて、どこよりも早く地価が上がり始めました。リニア中央新幹線の開業予定を2027年に控え、名古屋駅周辺では大規模開発が活発でした。この数年上昇率でトップクラスだった名古屋駅前の名駅通りの上昇率は4.8%で、前年の14.1%から大きく鈍化しました。
今年4月には高層ビル「JRゲートタワー」が全面開業するなど、駅周辺の大型再開発ビルはほぼ完成しています。早くから地価が急騰していただけに、ここにきて一服感があります。
それでも上昇率トップだった名古屋駅北側の広井町線通りは23.4%上昇です。その他名古屋駅に次ぐターミナル駅の金山駅の新尾頭金山線通りが20.6%もの高い上昇率を示しています。

一方、県別に見ると愛知県は5年連続で上昇しましたが、三重県は25年連続下落、静岡県、岐阜県は9年連続で下がっています。エリア全体を俯瞰すると二極化は他のエリア同様にあるようです。

■名古屋圏の最高路線価上昇率トップ5(1平米あたり)

大阪圏の動向ーミナミなど中心部の上昇率が高い

大阪圏では、上昇率8位までが20%以上と高い伸びを示すところが多く、エリア全体傾向としては、東京、名古屋よりも上昇トレンドが強い印象を受けます。上昇率トップのミナミの心斎橋筋36.0%は全国ランキングでも上昇率は2位で、それ以外にもベスト10に大阪・京都6地点が入っています。
このところ、特に大阪・京都は訪日外国人に人気が出始め、商業地の収益性は上がっています。しかし、東京と比較すると地価は割安感があり、投資マネーがまだまだ旺盛だと言います。さらに、大阪は大阪万博誘致が控えていて、成否が地価の上昇に大きく影響しそうです。

また今回、上昇率2位だったのが、これまでまったく注目されてなかった京都宇治市の六地蔵奈良町です。路線価自体は24万円と中心部に比べると低い価格ですが、いきなり29.7%も上昇しました。全国でも3番目です。六地蔵駅は、JR、地下鉄、京阪電鉄と3つの路線が利用でき住環境がよいエリアです。京都市の中心では地価高騰しており、住宅取得が周辺エリアにシフトしていることが一つの要因です。今後のさらなる開発への期待値も高く、今回の上昇率につながったと見られています。

■大阪圏の最高路線価上昇率トップ5(1平米あたり)

今後の動向ー続く再開発、民泊の動向にも注意

この4年間の地価上昇の大きな要因の一つが、訪日外国人の増加です。
それにより、商業施設の再開発や、ホテルの再開発が盛んに行われています。特にホテルは、絶対数が不足しています。京都では、オフィスビルをホテルにコンバージョンする例もあり、オフィスが足りないエリアもあると言うほどです。ホテル不足の解消として注目されているのが民泊です。いよいよ民泊新法が来年早々には施行される見通しとなりました。先頃、楽天と不動産情報サイト・Home'sを運営するライフルが業務提携し民泊事業に参入すると話題になりましたが、民泊は新しい業態だけに、活性化すればこれも地価を上昇させる要因になるかもしれません。

訪日外国人の増加以外にも、東京オリンピック・パラリンピック、リニア中央新幹線、大阪万博誘致など、地価を押し上げる要因となる大きなイベントも控えています。また、都心部ではオフィスの需給関係、住宅の販売動向も影響するでしょう。
路線価など地価の上昇は都市の商業地ばかりがクローズアップされますが、京都宇治市の六地蔵奈良町のように、三大都市圏に関しては郊外の商業地・住宅地にも波及しています。

アパート・土地オーナーにとって路線価の上昇は、将来の相続税の負担増加につながります。相続対策を含めた資産管理・運用をより綿密に計画的に考える必要がありそうです。
路線価は国税庁のホームページで調べることができます。ぜひ、確認してみてください。

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