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住宅地が9年ぶりに上昇!「平成29年公示地価」

市場動向

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2017年4月11日

住宅地が9年ぶりに上昇!「平成29年公示地価」

2017年1月1日時点の公示地価が国土交通省から発表になりました。地価は三大都市圏を中心に3年前から上昇トレンドにありましたが、今回も引き続きトレンドは上向いています。地価上昇は商業地が中心でしたが、住宅地も下げ止まりの傾向を示しました。3月に発表された公示地価を大都市圏ごとに見ていきたいと思います。

三大都市圏は4年連続の上昇、地方中核都市はさらに上昇

昨年、全用途の全国平均が8年ぶりに上昇しましたが、今年も0.1%から0.4%と上げ幅が拡大し、2年連続の上昇となりました。また、住宅地の全国平均が横ばいとなりました。住宅地が下落を脱したのはリーマン・ショック以来の9年ぶりのことです。三大都市圏は依然好調で、全用途、住宅地、商業地ともに4年連続の上昇となり、特に商業地は上昇基調を強めています。

また、三大都市圏をも上回る上昇トレンドを示したのが、地方圏の中核都市4市、札幌市、仙台市、広島市、福岡市です。この地方4市も三大都市圏同様、全用途、住宅地、商業地が4年連続で上昇しているのですが、上昇幅はいずれも三大都市圏を大きく上回っています。住宅地は2.8%、商業地は6.9%と前年を上回る上昇を示しました。
商業地をエリア別に見ると、札幌市で6.1%、仙台市で9.0%、広島市で4.7%、福岡市で8.5%の高い上昇となっています。

地価上昇の要因は、訪日外国人客の増加によるホテル・商業施設開発、堅調なオフィス需要、マイナス金利政策による投資マネーの不動産への流入などがあげられます。
ただし、これらの要因は商業地に限ったもの。住宅地は下げ止まったものの、駅近と駅から遠いエリアで格差が広がる傾向が全国的に広がっているようです。都心では、価格高騰で分譲マンションの販売が低迷し、大阪、名古屋の住宅地の上げ幅は縮小しました。

■平成29年公示地価変動率(単位:%)

東京圏の傾向ー銀座を中心に再開発続く

今年も全国最高路線価は東京・銀座の山野楽器銀座本店でした。11年連続で、1平方メートル5,050万円と昨年に比べ約1,000万円も上昇しました。これはバブル期と比べても3割高いといいます。商業地の地価変動率は上位6地点まで銀座でした。
増加する訪日外国人、そして2020年東京オリンピック・パラリンピックへ向け開発が加速しています。例えば、4月20日に開業する「ギンザシックス」(松坂屋跡地)は、観光バス乗降口があり、外貨両替もできる「ツーリストサービスセンター」を設置するなど、訪日外国人を意識した商業施設になっています。

ただし、昨年から東京都心はミニバブルだという声が囁かれています。価格が上がりすぎ、投資しても利益が出にくくなっているようです。それでも上位4地点の変動率は昨年を上回っています。
銀座以外でも再開発事業は活発です。リニア中央新幹線の始発駅となる品川駅と田町駅の新駅も2020年に開業予定、渋谷は駅周辺4つの街区で再開発が進行、東京駅周辺もまだまだ開発が進んでいます。

また、都心だけでなく多摩地区の地価上昇も目立ちます。商業地で上昇率が高かったのは、「SUUMO住みたい街ランキング2017」で1位に返り咲いた吉祥寺、そして大型商業施設の開業が続く立川です。多摩地域全体では約1.8%から1.9%の上昇です。住宅地でも0.7%の上昇でした。
23区の住宅地を見ると上昇率上位3地点は、千代田区7.5%、中央区6.2%、港区5.2%でした。分譲マンション販売は全体的には低迷しているものの、国内外の富裕層向けの高級マンションはいまだニーズが高く、地価上昇を牽引しているようです。

■東京圏変動率上位─住宅地(単位:%) ■東京圏変動率上位─商業地(単位:%)

名古屋の傾向ー上昇トレンドにやや一服感

2027年のリニア中央新幹線開業に向けて、三大都市圏の中でもいち早く地価上昇を始めた名古屋でしたが、商業地、住宅地ともに上昇率は縮小しました。それでも商業地の変動率上位5地点は20%を超える上昇です。
名古屋市でも訪日外国人の影響は大きく、今後2019年にかけて開業するホテルが30軒近くあります。名古屋駅東側の高層ビル開発は一段落したとのことですが、リニア中央新幹線開業まではまだ10年あります。再開発などで、再び地価上昇が活発化することも考えられます。

名古屋の住宅は戸建て志向が強いとのことですが、この4年の地価上昇で中間層に手が届かない価格に近づいているようで、住宅地の上昇率が縮小しています。その一方で、都心回帰も進んでいるようで、このニーズに応えたマンション開発が進み商業地では地価を押し上げています。例えば市営地下鉄丸の内駅では、単身者用の投資用マンションが増えているといいます。

■名古屋圏変動率上位─住宅地(単位:%) ■名古屋圏変動率上位─商業地(単位:%)

大阪の傾向ー商業地の全国上昇率ランキングでは上位5地点が大阪

今回、上昇率で目を引いたのが大阪です。訪日外国人の人気が高く、商業地の上昇率では、東京銀座を抑えて上位5地点が大阪でした。
商業地の上昇率1位は道頓堀のフグ料理店「づぼらや」で41.3%もの上昇です。フグの立体看板が印象的で、近くにある名物人形「くいだおれ太郎」と合わせて記念撮影する観光客が絶えないといいます。地価上昇率4位だった心斎橋には、訪日外国人に人気のドラッグストアが軒を連ね、医薬品や化粧品を買い求める訪日外国人で賑わっています。
その他、6位は京都の東山区八坂神社に近いお香の専門店「豊田愛山堂」で29.2%の上昇です。こちらも訪日外国人に人気です。
以前のような訪日外国人の爆買いはなくなったといいますが、それでも訪日外国人向けのホテル・店舗開発は旺盛で、地価上昇を牽引しているようです。

住宅地は府県別に見ると、大阪府が0.0%で横ばい、京都府が0.3%、兵庫県0.2%の上昇、奈良県はマイナス0.4%でした。三大都市圏すべてに言えることですが、利便性に優れる駅近の地価は上昇傾向にある一方、そうではない住宅地では下落傾向が続いています。これは、地価の上昇が始まった4年前からの傾向で、毎年二極化が進み、差がどんどん開いていく傾向にあります。
「SUUMO住みたい街ランキング2017関西版」では、1位西宮北口、2位梅田、3位なんばでした。

■大阪圏変動率上位─住宅地(単位:%) ■大阪圏変動率上位─商業地(単位:%)

今後の地価動向は?

三大都市圏の地価は4年連続の上昇となりましたが、いずれも都心部の商業地はバブルの様相を呈してきました。日銀のマイナス金利政策により、資金調達がしやすくなり投資マネーが不動産に流入したのも地価上昇の大きな要因です。そして、地価の上昇に見られるように、投資マネーは三大都市圏から地方都市へと流れています。

東京は2020年東京オリンピック・パラリンピックまでは、上昇トレンドは落ち着くことはあっても、引き続き上昇傾向となりそうです。大阪も2025年の開催を目指し万国博覧会の誘致に乗り出しました。2027年にはリニア中央新幹線開業を控え、名古屋がさらに活気づくと思われます。
訪日外国人の2016年の年間旅行消費額は3兆7,476億円で前年比7.8%の増加です(観光庁調べ)。最近は、地方の観光地でも訪日外国人も増えているようです。爆買いの勢いは止まったようですが、訪日外国人の影響は今後も地価に大きな影響を及ぼすでしょう。

こう考えると、まだまだ三大都市圏の中心部においては地価の上昇トレンドは続くでしょう。しかし、地方や三大都市圏でも利便性の悪いエリアは地価下落が続いていて、二極化は今後もさらに進んでいくと思われます。
また、住宅価格が高止まりしていることも気になります。住宅販売が伸び悩むと景気全体に悪影響を及ぼしかねません。一方、その影響として住宅を買い控えている層が賃貸住宅に流れ、賃貸住宅市場は活性化するかもしれません。

アパート・土地オーナーにとっては、土地の資産価値を見極めることが大切になってきます。地価が二極化傾向を示す中、土地の価値やニーズをしっかりと見極め、どう活用するのが最善の策なのか、相続対策も考慮した資産管理・運用が必要になってくるでしょう。

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